「文系が専門職になれるのは一部のエリートだけ」という噂は、決して正しくありません。むしろ職業によっては、理系よりも相性の良い仕事が多いのです。今回は、文系が専門職に向く理由と適職を3つ紹介していきます。有資格や将来性の高い職種に就くほど、メリットは多いと言えます。
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この記事の監修者
キャリアカウンセラー|秋田 拓也
厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。
■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
文系は就職しやすいのか
文系の就職しやすさは、理系に比べて「やや劣る」と考えられます。文部科学省の「令和元年度大学等卒業予定者の就職内定状況調査」によると、2019年10月1日時点で内定を獲得していたのは、理系で79.3%、文系で76.2%です。
では、なぜ文系のほうが内定率が3%以上も低いのでしょうか。その理由について、以下の関連記事で「文系と理系の就活の違い」に焦点を当てて解説しています。
また、内定率が低い理由を、「文系は就職偏差値が高いのではないか」と勘繰ってしまう方もいるはずです。しかし、就職偏差値は根拠が薄いため、あまり過信しないことをおすすめします。就職偏差値に固執すると3つのリスクにさらされる可能性があるため、以下の記事でよくご確認ください。
文系に最も人気な職種は営業職
文系の学生は、一般的に営業職を志望する人が多い傾向にあります。「2020年卒マイナビ大学生就職意識調査(p.12)」によると、2019年卒の文系男子が営業職を志望する割合は42.0%、文系女子は25.2%と、いずれも1番人気です。
営業職が文系の学生から人気を集める理由は、「総合的なビジネススキルを習得できる」からでしょう。
バランス感覚に優れる文系だからこそ、総合的なスキルを習得できる営業職に配属させたいと望む企業も少なくありません。幅広いスキルを持った人は、スペシャリストと対比してジェネラリストと呼ばれます。また、特別なスキルがなくても営業の仕事は成り立ちやすいため、文系の学生にとって無難な選択肢と言えます。
文系の職種とメリット・デメリット
文系に人気のある職種は営業だとお伝えしましたが、実は他にも注目される総合職が存在します。さらに、将来性の高さに着目し、文系から専門職を目指す人も少なくありません。
以下で、文系に人気のある職種の業務内容や、メリット・デメリットをお伝えしていきます。
営業・販売
営業・販売とは、顧客に対して会社の商品やサービスの魅力を説明し、購入を促す仕事のことです。
営業・販売の職種には、次のようなメリットがあります。
- しっかりと毎月のノルマを達成すれば早期昇給の可能性がある
- 培ったコミュニケーション力を活かして人脈を広げられる
- オールラウンダーなので「つぶし」が効きやすい
一方で、デメリットも押さえておきましょう。
- 取引先に合わせて残業や休日出勤になる可能性が高い
- 対人関係で悩まされることが多く、精神的な負担になることもある
また、同じ営業・販売職でも、メリットが強く現れる業界とデメリットが発生しやすい業界に分かれます。そこで以下の記事をご覧ください。
それぞれ「メーカーの営業職」と「商社の営業職」を解説していますので、記事を読むことで「業界によってメリット・デメリット、どちらが現れやすいか」が分かります。文系で営業職を志望しているものの、勤め先まで絞り込んでいない人にオススメです。
事務
ここで言う事務職とは、専門職や営業職などの花形職種を支える「バックオフィス型の仕事」のことです。そのため、総務や経理のほか、経営企画やマーケティング、人事の仕事も含みます。
事務職で働くメリットは職種にもよりますが、次の3点に大別されます。
- 総合的な思考力と専門的な技術力を同時に身に付けられる
- 専門職に比べて残業や休日出勤の可能性が低い
- 出世コースを歩む可能性がある
特に、経営企画や財務部門を担当した後に役員になる人は少なくありません。
一方、事務職で働くデメリットも見ておきましょう。
- 参入障壁が低いだけに競争相手が多い
- ルーチンワークに陥りがちで、仕事が退屈に感じてしまう可能性
- 飛躍的に年収が上昇することは少ない
事務職をさらに細分化した職種については、以下で簡単に紹介しています。
経営企画
経営企画とは、マーケティング部門の調査データをもとに中長期的な経営戦略を構築する仕事です。企業規模が膨らむほど、経営者のほかに経営企画部を設けて戦略を練るケースが多くなってきます。
部門をまたいだ総合的なスキルが求められ、文系の学生にも人気です。考えることが得意な人にとっては、仕事が楽しいと感じやすいでしょう。
人事・総務・広報
人事・総務・広報の業務は以下の通りです。
- 人事:組織の中のヒトを育てる(採用活動・人事評価)
- 総務:ヒトを束ねた組織を管理する(福利厚生・行事管理)
- 広報:社会と自社の関係性を構築する(社外PR・取材対応)
これらは文系の女性に人気の高い職種です。いずれも対人的な関係性の構築が重要となるため、高いコミュニケーション能力が求められます。
経理・財務
経理とは、企業の利益を生み出すために、「過去の」収支管理を行う仕事です。経理の仕事は財務に引き継がれ、財務部門によって「将来の」予算管理や調達計画が練られます。つまり、経理と財務により、企業のお金に関する「過去と未来」が明らかにされています。
数字に強い人ほど、経理や財務の仕事には有利と言えるでしょう。
法務
法務とは、対外的な契約や取引内容をチェックするほか、自社の法令遵守を確かめるコンプライアンス業務まで担う仕事です。企業の不祥事やコンプライアンス重視の世評が広がるなか、未然に法的リスクを見極めるスキルが年々重要視されつつあります。
総合職のなかでは専門性が求められる職種であり、法学部出身者は有利と言えるでしょう。
企画・マーケティング
企画とは、時流に沿って新しい商品やサービスの発案を行う仕事です。一方のマーケティングは、市場調査やターゲット分析などから、販売数量や売上を伸ばす営業戦略を考えます。
数ある事務職の中でも、強い憧れを抱く人も珍しくありません。企画は発想力、マーケティングには分析力が必要です。
公務員(事務職)
公務員の事務職は勤め先によって異なり、地方自治体の場合は「行政事務」として書類作成や窓口対応などにあたります。国立大学や公立学校は「学校事務」として、備品・教材管理や給与計算などの仕事が一般的です。
公務員の事務は落ち着いて仕事できるイメージがあるものの、「実は激務」と言われているのをご存知でしょうか。以下の記事では、公務員が激務の理由を検証しています。
「公務員だから人生安泰」と安直に考えてしまうと、思わぬ落とし穴にはまって後悔することにもなりかねません。就活中ならまだ間に合いますので、今のうちにご確認ください。
専門職
専門職とは、特別なスキルを持って初めて成り立つ仕事のことです。主に、国家資格を必要とする職業に加え、無資格でも高度な技術が必要な職種もあります。
専門職のメリットは次の3点です。
- 参入障壁が高いため、経験を積むほど失職のリスクが減る
- 転職で有利になることが多い
- 1時間単位の給与額が上昇しやすい傾向にある
一方、専門職のデメリットについても押さえておくようにしましょう。
- 特定の分野でしか専門知識を活かしづらく、汎用性は少ない
- スキルの維持・向上に資金と労力がかかる
以下で、専門職をさらに細かい職種に分けて紹介していきます。
士業
士業とは、弁護士や税理士、行政書士など「士」が付く仕事のことです。医師のような「師」が付く仕事を含める場合もあります。
名前の通り、数ある専門職の中でも特に高度なスキルを求められるため、ケースによっては1,000万円以上の年収も狙えます。しかし、以下の記事で紹介しているように、「人の役に立つ仕事だからこそニーズがあり、激務になりがちな点」は見逃せません。
2つめの記事では「PwC京都監査法人」を詳しく解説しているため、「具体的な激務のケースを教えて」という人にオススメです。ぜひ、収入の高さと仕事の忙しさのバランスを見極め、自分に最適な志望先を見つけてください。
アナリスト
(証券・金融)アナリストとは、企業の経営状態や国内の経済動向などを分析し、金融商品の将来的価値を予測する仕事です。アナリストが行う評価は、銀行や証券会社、保険会社などの資産運用に大きく役立っています。
ただし、膨大な量のデータを検証するがために、アナリストも激務に陥りがちです。以下の記事を参考に、業界全体の多忙具合を知りたい方は「証券会社は激務?」の記事へ、詳しい激務の事例を知りたい方は「ゴールドマンサックス」の記事をご覧ください。
教員
教員の仕事内容は主に、生徒への学習支援・学級経営、保護者との面談、学内の清掃管理などが中心です。子供とはいえ他者の自立を助ける仕事なので、これほど人の役に立つ仕事もありません。
一方で、過去に放映された学園ドラマなどを見て、「モンスターペアレントからクレームが来たらどうしよう」と悩む教員志望者の方もいるかもしれません。以下の記事では、「教員になったときの想定リスク」が5つの事例をもとに解説されています。
また、5つのリスク以外にも、小学校・中学校・高校によって「○○にだけ」は気をつけておくべきです。気になる方は、ぜひ以下の記事よりどうぞ。
法曹
法曹とは、司法試験や司法修習に突破した人たちが就く、弁護士・検察官・裁判官(法曹三者)の仕事です。特に弁護士は、職業年収ランキングなどで上位を飾ることも多いため、専門職のなかでも人気が高くなっています。
一方、「法曹関係はかなりハードルが高そう」とお悩みの就活生も多いでしょう。検察官などは、検察事務官という形で入職し、徐々にステップアップすることも可能です。以下で、検察事務官の詳しい内容をお伝えしています。
検察事務官も激務と言われる仕事の一つですが、ほかの職種に比べて「良い面」が多いのも事実です。法曹関係に職を志望している方は、ぜひその目で「良い面」をご確認ください。
文系におすすめの専門職
「文系には総合職」という一般的なイメージだけに縛られてしまうと、自分の適職を逃してしまう恐れがあります。多様な職種が生まれつつある現代、実は文系に向く専門職も増えています。
ここでは、文系におすすめの専門職を3種類紹介していきます。
文系に専門職がおすすめな理由
京都大学 こころの未来研究センターが発行するエッセイ「文系?理系?」によると、文系の学生ほど右脳の働きが強いそうです。右脳は「イメージ脳」と言われ、左脳に比べて創造力や感覚機能、空間認識、芸術性などが優れています。
今回は脳科学の観点から、文系に専門職がおすすめな理由を探ってみました。
理由①|感受性豊かな特性を活かせる仕事が多い
右脳をよく働かせることで、感受性が豊かになり情緒的になりがちです。情緒的と言うとヒステリーで悪い印象を抱きやすいですが、一方で「他者への共感能力が高い」と言い換えることもできます。
総合職において共感能力を活かすと、組織内での円滑なコミュニケーションに結び付きやすいでしょう。しかし、専門職にも、感受性や共感能力を活かした仕事がたくさんあります。後ほど紹介しますので、ぜひご確認ください。
理由②|空間認識能力の高さを活かせる仕事が多い
右脳の働きが強い人ほど空間認識能力が高く、「大きな物や複雑な構造の仕組みを瞬時に解明できる」という恵まれた資質に繋がります。
総合職においては比較的、細やかで気配りを意識した業務が多いと言えます。そのため、むしろ専門職のほうが「大きな物や複雑な構造」を仕事で扱うことが多く、文系にオススメと言えるでしょう。空間認識能力を活かした仕事は後ほど詳しくお伝えします。
理由③|芸術性を活かせる仕事が多い
右脳の働きによって感受性が芽生えると、同時に高い芸術性へと繋がる可能性もあります。また、右脳はイメージで記憶をし、左脳の数千倍の情報を処理できると言われており、高い創造力を発揮できるとも考えられるでしょう。
しかし、総合職で芸術性を発揮できる仕事は極めて少ないと言えます。一方の専門職ほど芸術性を活かした仕事が多いため、文系の学生に向いているでしょう。芸術性を活かせる仕事も後ほど紹介していきます。
文系におすすめの専門職TOP3
ここまで、文系の脳の働きにスポットライトを当て、文系が専門職に向く理由を3つ取り上げました。
- 理由①|感受性豊かな特性を活かせる仕事が多い
- 理由②|空間認識能力の高さを活かせる仕事が多い
- 理由③|芸術性を活かせる仕事が多い
こうした脳科学の観点から文系の適職を探ると、次のような専門職が浮かび上がってきます。
①臨床心理士(感受性を活かす)
臨床心理士とは、心理検査やカウンセリングのテクニックを活かし、人々の心のケアをする仕事です。臨床心理士の資格は民間資格にあたりますが、心理学の専門家の中では、もっとも高い知名度を持ちます。
他者への共感能力に優れる文系にとって、まさに最適な仕事と言えるでしょう。対人へのきめ細かな心配りができるからこそ、他者の問題に寄り添い、解決に結び付けることができます。
②施工管理技士(空間認識能力を活かす)
施工管理技士とは、建設現場における現場監督や関係者との調整を行う仕事です。あらかじめ施工計画を立て、定められた工程管理と安全管理に沿って現場をコントロールしていきます。
まず、複雑で巨大な「建物」の構造を理解し、不慮の事故が起こったときに適切な判断が求められることから、文系の得意な空間認識能力が効果を発揮します。さらに、建設現場では数多くの人たちが働くため、各員の適材適所を把握するスキルも、空間認識能力によって埋めることができます。
③デザイナー(芸術性を活かす)
デザイナーとは、衣服や家具、ゲーム、電化製品、Webサイトなど見た目の構成を美しく、そして売上に繋がるバランスへと整える仕事のことです。意匠や図案、図面など絵を描くことが多いため、表現力や芸術性が求められる仕事と言えます。
ただし、工業系デザイナー(プロダクトデザインなど)の場合、見た目を美しくする観点と共に、機能性やコストなどの視点も重要です。
まとめ
文系の新入社員は営業部門に配属されることも多く、学生自体もその多くが営業職を望んでいます。しかし、理系の専売特許とされる専門職においても、今では文系に向く仕事が増えています。
今回お伝えした3つの適職以外にもさまざまな選択肢があるため、右脳の働きを意識して専門職の仕事を探してみてください。