【完全版】年間休日数の考え方|最低ラインや計算・内訳を徹底解説

一般的に年間休日数は120日と言われていますが、この数字は正しいのでしょうか。労働基準法によって定められている年間休日数の定義や計算、そして最低ラインなど、気になる部分を解説していきます。また、各企業や業界が実際に設定している年間休日数の数字を、統計データを元に紹介します。

職場環境

⒈|年間休日数の定義や計算方法・内訳

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就職するにあたって、「入社した会社では休みが取れるのか」を気にする人が多くいるかもしれません。求人欄にある年間休日数を見れば120日という数字をよく目にしますが、多いのか少ないのかが分からないでしょう。

そこで年間休日数の定義や計算方法、内訳について解説していきます。

⒈-1|年間休日数の定義

労働基準法によると、「法定休日は毎週少なくとも1日、または4週を通じて4日以上」「労働時間の上限は週40時間」とあります。

労働基準法に明文化されている条件をもとに、各企業ではそれぞれに年間休日数が定められています。もし2つの条件どちらも満たしていない場合は、労働基準法違反となって、企業に罰則が科せられることに。

しかし定義を理解したところで、具体的に何日以上を年間休日数として定めなければ分かりません。そこで以下では、計算方法や内訳を解説していきます。

⒈-2|年間休日数の計算方法・内訳

労働基準法が定める年間休日数は、以下の計算で求めることができます。

まず従業員が1年間で働ける時間は、「365日(年)÷7日(週)×40時間(1週間で働ける時間)」となり、2085.7時間ということが分かります。

さらにここから1年間の労働日数を計算でき、「2085.7時間(年間)÷8時間(1日)」という計算式の結果、260日という答えが出てきます。

1年を365日として計算すると、「365日(年間)ー260日(労働日数)」となので、105日が労働基準法が定める最低の年間休日数となります。

年間休日の計算に有給は含まない

有給休暇は労働基準法によって定められている法定休暇になります。しかし会社が定める休日とは別扱いとなりますので、年間休日には含まれるません。

大きな理由としては、有給休暇は労働者の勤続年数で与えられる日数が変わってくるため。また時期によって取得できるかどうかも影響してくることから、個人差が生じるものです。

企業によって有給休暇の取得を奨励するところと、そうでないところがあります。年間休日数にカウントされないので、取れるようであれば積極的に取得することをおすすめします。

完全週休二日制(4週8休)か隔週週休二日制(4週6休)か

求人欄には週休二日制以外にも、「完全週休二日制」や「隔週週休二日制」といった文字があります。どのような違いがあるのか、それぞれの特徴を見ていきましょう。

完全週休二日制の場合、1週間に必ず2日の休日が設定されます。土日に当てられている場合が多いものの、必ずしも土日が休日になるわけではありません。

また隔週週休二日制になると、第1・3・5週もしくは第2・4週に2日間の休日が当てられます。年間の休日数はだいたい78日ほどとなりますので、完全週休二日制と比べると休日が少なくなることがわかるでしょう。

祝日がどれだけとれるか

隔週週休二日制の年間休日数は78日ほどになるため、これでは労働基準法にある基準をクリアできていません。そのため、就業規則で祝日は休日扱いとしている場合がほとんどでしょう。

しかし必ずしも祝日が休日になるわけではありません。労働基準法には祝日を休日とする記載がないため、祝日も働かなければならない企業があります。

どうしても祝日に休みを取りたい場合、求人欄に祝日が休日であると記載のあることをチェックしましょう。これは隔週週休二日制でも同様ですので、しっかりと記載内容を確認する必要があります。

⒉|年間休日数の最低ラインと関連法

休みが取れるかどうかは重要な部分です。しっかりと休みを取れなければ体調を崩してしまう可能性があり、生活に大きな影響を与えてしまいます。

ここからは年間休日数の最低ラインと、関連する法律について解説します。どのような条件が明記されているのかを把握して、企業が法律を遵守しているのかをチェックしましょう。

⒉-1|年間休日数の最低ラインは105日

労働基準法に記載されている文言によれば、企業が定めるべき年間休日数の最低ラインは105日です。もし105日以下の年間休日数だと、労働基準法に違反していることになります。

ただし必ずしも年間休日数が105日を上回る必要はありません。特殊な条件を満たしていれば、年間休日数が78日であっても問題ないとされています。

詳しい内容は以下のリンクにまとめています。残業代がどのような扱いになっているのかなど、年間休日数だけに捉われてはいけないことが分かりますので、必ず目を通してほしいと思います。

⒉-2|年間休日数に関連する労働基準法をわかりやすく解説

法律に書かれている内容は難しい言葉が並んでいるため、理解するよりも読もうとする気が失せてしまいます。しかし自身に大きく関わってくる部分ですから、ある程度の理解は必須といえるでしょう。

そこでここからは、労働基準法に書かれてある年間休日数についての文言を分かりやすく説明していきます。

休日を定める文章だけでなく、時間外労働や休日出勤に関する文章も解説します。どのようなルールが定められているのか、その目で確かめてみてください。

労働基準法32条|時間外労働に関する規定

労働時間は1日8時間以内にすることが原則として定められています。多くの人が周知しており、労働基準法にも明記されている文言です。

しかし従業員数が30人未満の小売業・旅館・料理店・飲食店では、1日10時間までの勤務が可能となります。従業員と店舗代表者との労使協定が締結された場合のみ適用されますが、あまり知られていないでしょう。

もちろん、10時間働いても2時間分の残業手当は支給されません。ただし、週40時間以上の労働時間は労働時間外という扱いになりますので、41時間以降の残業手当の支給が義務づけられています。

労働基準法35条|休日に関する規定

労働基準法第35条には、4週4日の休日を与えることが明文化されています。

企業は週1回の休日を与えなければならないと誤解をしている人が多くいますが、4週間で4日以上の休日を与えることも可能です。そのため、毎週必ず1日の休日を与えなくても良いということに。

ただ1週間に1日の休日を与える方法も原則としてあります。1週間に1日の休日、もしくは4週間で4日以上の休日を与えていれば問題ありませんので、必ず休日に関する取り決めは確認しておきましょう。

労働基準法36条|時間外労働を認めている

労働基準法では、1週間に40時間の労働と1日8時間以上の勤務を禁止しています。しかし例外的に、従業員の過半数代表者と労使協定を締結し、労働基準監督署に届け出を出せば、この禁止事項が免除されます。

いわゆる「36(さぶろく)協定」というもので、労使協定の締結と労働基準監督署に届け出がなければ、従業員は残業や休日出勤ができません

基本的にどの企業も届け出を出しているものですが、残業を禁止している企業は、36協定を締結していないかもしれません。また、36協定には有効期限が存在しますので、更新されているかどうかも重要になります。

労働基準法37条1項|休日出勤の残業代は3割5分増し

時間外労働や休日出勤をする場合、企業は労働者に対して割り増し分の賃金を支払う必要が義務付けられています。

いわゆる残業である時間外労働では、賃金は1.25倍となっています。1週間40時間を超過した分に適用されますが、もし60時間を超えた場合は1.5倍となります。

そして法的休日に出勤した場合、割増率は1.35倍と明文化されています。法定休日とは企業が定める年間休日数の部分を指していますので、休日出勤の際は1.35倍の賃金が支払われることになります。

⒊|年間休日数の統計と多い・少ない業界

営業などの仕事であれば、土日祝をしっかりと休日として当てられているかもしれません。しかしサービス業などは、土日祝でも働く場合があります。

そこで気になるのは、業界によって年間休日数に差があるのかということ。統計データから分析してみましたので、各業界の休日数を知ってみてください。

⒊-1|年間休日数を統計データで分析

企業によって年間休日数が大きく変わります。最低の105日に設定していれば、一般的な120日前後など、多種多様といえるでしょう。

もちろん企業が所属している業界によっても、年間休日数が大きく変わります。そこで企業の年間休日数の平均値や、企業規模別の年間休日数、業界別の年間休日数の3つを分析していきます。

憧れている業界はどれだけ休みが整えられているのか、データをひも解くことによって、企業の福利厚生が充実しているのかが見えてきます。しっかりと確認したうえで、企業選びの参考にしてみてください。

企業の年間休日数の平均は108日

によると、企業の平均年間休日数は107.9日という結果が出ています。企業規模や業界によってバラつきはありますが、平成30年度の就労条件総合調査一般的とされる120日よりも少ない結果です。

しかし労働者1人あたりの平均年間休日数をは、113.7日という調査結果が出ています。企業としては労働者に対して、有給休暇の取得を奨励している傾向にあるといえるでしょう。

ただ全ての労働者が有給休暇の取得していません。取得状況のデータ上は平均51.1%となっているため、まだまだ取得率が低いと見ることができます。

企業規模別の年間休日数

同じく平成30年度の就労条件総合調査から、企業規模別の年間休日数について掘り下げてみることにします。

大きく4つに分けられていますが、もっとも年間休日数が充実しているのは300~999人規模の企業になります。30~99人の小規模になると、1人当たりの負担が大きいのか、休日数が少ない傾向でした。

しかし、年間休日数が110日前後になっているという特徴があります。一般的な年間休日数が120日と言われていますが、今の時代では110日が平均値になっているということになります。

企業平均年間休日数

労働者1人平均年間休日数

1000人以上

114.9日

118.0日

300~999人

122.5日

114.4日

100~299人

110.3日

111.9日

30~99人

106.4日

107.9日

業界別の年間休日数

続いて業界別の年間休日数についてですが、以下のランキング表で一目瞭然かと思います。

年間休日数が多い業界の顔ぶれはしばらく変わっていません。平成29年度に関していえば、金融業と保険業の年間休日数が121.2日となっていました。安定して休みを取得でき、残業や休日出勤が少ない業界と言えそうです。

一方で年間休日数が少ないのは、ホテルや飲食店といった業界が97.1日という結果です。唯一100日を下回っている業界ですが、いずれの業界も休みを取得しづらい環境にあると見ることができます。

年間休日数が多い業界

年間休日数が少ない業界

1位

情報通信業(118.8日)

宿泊業、飲食サービス業(97.1日)

2位

学術研究、専門技術サービス業(118.8日)

運輸業、郵便業(100.3日)

3位

金融業、保険業(118.4日)

鉱業、採石業、砂利採取業(103.8日)

4位

電気、ガス、熱供給、水道業(116.8日)

建設業104.0日)

5位

教育、学習支援業(112.7日)

生活関連サービス業、娯楽業(104.6日)

⒊-2|年間休日数の多い・少ない業界

企業の平均年間休日数を知れば、どの業界が休みが多いのかなどを知ることができます。目指している業界では休みを取りやすいのか、そうでないかも分かり、就職活動で企業選びの基準となるでしょう。

ここからは、年間休日数の多い業界と少ない業界について、それぞれどんな特徴があるのかを解説していきます。

一般的に残業や休日出勤が少ないとされる金融業界はどんな世界なのか、また労働時間と給料が見合っているのかなどを知ってほしいと思います。志望する業界がどのような環境にあるのか、応募する前にしっかりと確認しましょう。

年間休日数の多い業界

金融業、保険業は、一般的に年間休日数が多い業界として知られています。その次に情報通信業が多く、平成30年度の調査結果からも分かるでしょう。

しかし年間休日数が多い反面、労働環境は激務だという話を耳にします。実際に営業ノルマが課せられている場合が多く、他にも資格取得のために勉強をしなければならない時もあります。

以下のリンクでは、激務と言われている銀行の実情についてまとめています。なぜ激務と言われているのか、本当に忙しいのかなどを知るだけでなく、業界研究の一環として役立ててみてください。

年間休日数の少ない業界

年間休日数が少ない業界は、ホテルなどの宿泊業やレストランなどの飲食サービス業です。年間休日数が100日を下回っているため、ここからも激務だと想像できるかもしれません。

しかしいずれも、お客様ありきの業界です。ほとんどの企業が土日祝を休日と定めているため、家族や恋人と過ごすために利用するのは当たり前のことです。

サービスや顧客によって左右される業界とも言い換えることができます。激務とされる業界ですが、どのような環境になっているのか、魅力はあるのかを知るためにも、以下のリンクに目を通してみてください。

⒊-3|年間休日数が多い・少ないことの意味

年間休日数が多ければ、それだけ働かなくて済む。逆に少なければ、多く働かなければならないから大変そうなど、数字のイメージはとても強いです。

しかし年間休日数が多いからといって、安心して働けるとは限りません。その逆も然りで、休みが少ない企業でも快適に働ける場合があります。

ここからは年間休日数が多い、もしくは少ないことの意味について解説します。それぞれのメリットとデメリットについて知っておくと、より正しい企業選びに直結しますので、知っておいて損はありません。

年間休日数が多いことのメリット・デメリット

  • ストレス解消など、健康維持のためのリフレッシュがしやすい
  • 家族サービスなど、年間を通しての予定が立てやすい
  • キャリア形成のための勉強時間を確保しやすい
  • 残業代が出ない傾向にあるため、副業をしなければ収入が増えない
  • 週休三日制の場合、1日の労働時間が10時間になって拘束時間が増える

年間休日数が少ないことのメリット・デメリット

  • 勤務日数が給与に反映されるため、収入を得やすい
  • お金を使う時間が限られるため、貯蓄がしやすい
  • まとまった休みが取りにくく、ストレスがたまりやすい
  • 労働時間が長くなってしまうため、メンタル面にも影響が出やすい
  • 趣味やスキルアップのための時間を確保しづらい

⒋|年間休日数に不満がある場合の対処法

なかなか休みが取れない状況が続くと、どうしてもストレスをため込みがちです。イライラすることが増えて、会社に不満を持つようになるでしょう。

また、年間休日数が少ない環境では、希望通りの休みを取りにくい場合があります。ほかの人に気を配りながら休みを申請するのも億劫で、気疲れをしてしまうでしょう。

企業が設定している年間休日数に不満がある場合、上司に取り合ってもどうしようもないかもしれません。それでも現在の環境を変えるためには、どうすればいいのでしょうか。

労働基準監督署に相談する

もし企業の年間休日数に不満がある場合、思い切って労働基準監督署に相談してみると良いでしょう。

労働基準監督署には総合労働相談コーナーが設けられています。労働者の悩みを受け付けていることはもちろん、就活生の悩みも聞いてくれますので、気にあることがあれば相談してみてください。

働いている職場が労働基準法に違反している疑いがある場合も、専門の部署に取り次いでくれます。安心して話ができるでしょう。予約不要で相談をした秘密も厳守してくれるため、気軽に利用できます。

最後の手段、退職代行サービスを利用する

どうしても職場の環境が改善されない場合、会社を辞めようと考えるようになるでしょう。しかし自分の口から上司に退職の意を伝えるのは、相当な勇気が必要です。

そこで最後の手段として、退職代行サービスを利用すると良いでしょう。業者によってサービスが異なりますが、自分から会社に連絡する必要がありません

気軽な相談からにも対応しており、休日や深夜問わず取り合ってくれる業者もいます。中には転職サポートを整えている業者がありますので、利用してみる価値が十分にあります。

⒌|具体的な年間休日数を詳しく知る

具体的な年間休日数を知ったところで、実際に働いている人たちによって働きやすさや快適さが変わってきます。本当に年間休日数が少ないと、それだけ激務なのでしょうか。

最後に年間休日数が110日、105日、72日それぞれの職場環境が、どれだけ過酷な環境なのかを紹介します。どのようなメリットやデメリットがあるのか、その内容を確かめていきましょう。

年間休日数110日

年間休日数が100日だと、基本的に週休二日制であることから、生活のルーティーンを整えやすいようです。しかし長期休暇が少なく、有給が取りにくいと感じている人も少なくありません。

年間休日数105日

年間休日数が105日の企業では、基本的に土日祝実が休日扱いになるものの、一部で出勤する必要があります。労働日数が多くなりますが、その分労働時間が短くなりやすいという傾向にあるようです。

年間休日数72日

労働基準法に抵触するギリギリのラインである年間休日数72日の企業は、働く時間が多い分、お金を使う暇がありません。そのため貯蓄がしやすいというメリットがありますが、同時に体力的にも辛いものがあります。

年間休日数が72日しかない業界はどこなのか、また違法性などについて以下の記事でまとめていますので、合わせて確認してみてください。

まとめ

年間休日数について、厚生労働省のデータなどを参考に実態をまとめました。

多くの人ができるだけ休みを取りたいと考えているかもしれません。しかし労働時間が少ないと貰える給料が少なくなり、一方で余暇を充実させることができます。

また年間休日数が少ない環境では、働く時間が長くて体力的にも辛いでしょう。しかしお金を使う暇がないため、貯蓄がしやすくなります。

年間休日数が多くても少なくても一長一短です。どの部分を重視して選ぶのかは人それぞれですから、大切なのはしっかりと休日に休めるかなのかもしれません。

監修者プロフィール

三浦拓巳みうらたくみ

1997年群馬県生まれ。20卒として就職活動を行う。就活中はエントリーシート15社中全て通過。大手広告会社志望から一転、スタートアップに内定を承諾。内定後は人材育成会社にて、エントリーシート、面接などの選考対策に従事し、約70人の生徒を担当。自身の就職活動での学びを活かし、教育事業に注力している。