契約社員は正社員と比べると選考が緩やかな傾向にありますが、面接は必ず行われます。特に正社員登用制度がある会社に契約社員として応募する際には、採用につながる事前準備が不可欠です。そこで今回は、契約社員とは何か、面接の難易度と流れ、押さえておくべきポイントなどについて解説します。
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この記事の監修者
キャリアカウンセラー|秋田 拓也
厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。
■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
契約社員とは
企業には様々な契約形態があり、契約社員と正社員、パート・アルバイトでは、働き方も待遇もまるで違います。ここでは契約社員とは何かについて、正社員・パート・アルバイトと比較しながら説明します。
契約社員と正社員の違い
まず、契約社員と正社員について説明します。
- 契約社員/入社の際に雇用期間を定めて契約を結んでいる従業員
- 正社員/フルタイムで働く、雇用期間の定めのない従業員
契約社員の多くは、正社員と同じ勤務時間で働いています。そして、契約社員の雇用期間は3ヶ月から1年のケースが多いようです。また、1年ごとに契約更新することで、長期間雇用されることも少なくありません。さらに、以下のような違いもあります。
雇用の安定性や賞与・諸手当があることでの年収の高さは、正社員の方が有利です。しかし、契約者胃の場合は「残業なし・転勤なし」など、入社にあたって雇用条件を結ぶことができます。自分のライフスタイルのあった働き方をするとい意味では、契約社員にもメリットはあります。
契約社員とパート・アルバイトの違い
パート・アルバイトは、正社員や契約社員よりも短い労働時間で働く雇用形態です。そのため、給与計算は時給で行われるのが一般的です。以下では、契約社員とパート・アルバイトの違いをまとめてみました。
パート・アルバイトより契約社員の方が、給与は高いです。しかし、パート・アルバイトはシフト制で働くのが一般的なので、自分の都合で勤務時間を決めやすいというメリットがあります。またスキルがあれば、高い時給で雇用してもらえることも珍しくありません。
契約社員の面接は正社員ほど難しくない
応募する企業によって違いはあれど、基本的に契約社員の面接は正社員ほど難しくありません。それは、採用のポイントが正社員と異なるからです。契約社員の面接時に重視されるものは、以下の通りです。
- 業務に必要なスキルがあるか
- 契約期間中、休まず働いてくれそうかどうか
企業は契約社員を採用するにあたり、依頼する業務を決めているものです。それを求めるレベルで的確にこなし、雇用期間中は自己都合の欠勤がないように働いてくれればそれでいいと、企業は考えます。そのため、正社員より面接に通りやすいのです。次章では、契約社員の面接の流れについて詳述します。
契約社員の面接の流れ
契約社員としての応募であっても、面接を突破しなければならないことに変わりはありません。そのためにも、契約社員の面接の流れを理解しておきましょう。一般的な面接の流れは、以下の通りです。
- 入室/入室すると着席するよう促されますが、座る前に「本日面接に伺いました〇〇と申します。本日はよろしくお願いいたします」と挨拶しましょう。
- 自己紹介/自己紹介では、これまでの職歴と経歴について説明します。勤務先と雇用期間に加え、業種や職務内容について完結に述べるよう意識します。それが自己PRにつながります。
- 志望動機についての質問/どうして応募企業を選んだのか、熱意や意欲がどのくらいあるかについて、自分の言葉で語れるよう準備が必要です。採否に大きく影響しますので、企業研究を行ったうえで回答を用意するのがセオリーです。
- これまでの経歴と持っているスキルに関する質問/企業は契約社員に即戦力となることを求めるので、応募する職種にマッチする専門スキルがあることをきちんと伝えましょう。
- 逆質問/「すぐに担当する業務にはどんなものがありますか?」「職場の雰囲気はどのような感じですか?」といった入社後をイメージしている逆質問がおすすめです。逆質問ができない時点で企業研究が浅いと判断されることもあるので、必ず用意しましょう。
- 退室/退室する際にも、「本日は貴重な機会をいただき、ありがとうございました。よろしくお願いいたします」と、きちんと挨拶してください。
面接の流れの中で、質問に対して適切に回答できるよう、事前準備をすることをおすすめします。
契約社員の面接のポイント
正社員より難易度は低いとしても、何の準備もせずに面接を突破するのは難しいのが現実です。だからこそ、事前準備をきちんと進める必要があります。ここでは契約社員の面接のポイントについて、具体的に説明します。
事前準備編
契約社員・正社員を問わず、面接を突破するうえで一番大切なのは、事前準備です。ここでは面接に向けた事前準備の進め方について、具体的に説明します。
会社概要をきちんと理解する
就活の基本は、企業研究です。まず応募企業の会社概要について、きちんと理解することから始めましょう。これをきちんとしておかないと、志望動機がつくれません。確認しておくべき項目は、以下の通りです。
- 会社の代表の名前と経歴
- 企業理念
- 事業内容
- 業界での立ち位置
契約社員であっても、こうした基本情報を押さえておくことをおすすめします。
志望動機をしっかり考える
面接の質疑応答の中でも、志望動機は面接官が重視するものです。同業他社ではなく、どうして応募企業を選んだのかを盛り込んだ、志望動機をしっかり考えましょう。
「企業理念や経営方針と自分の志向性がマッチしている」、あるいは「行っている事業のどの部分に関心がありその一翼を担いたい」など、理由は様々です。そこに熱意や意気込みを込めることが、面接突破のポイントです。
自分の持っているスキルを押し出す
契約社員は、依頼する業務に直結する専門スキルがある方が有利だと前述しました。そのため、自己PRの時には、自分が持っているスキルをすべて押し出しましょう。
過去の職歴・経歴における成功例なども披露しながら、自分が培ってきたスキルをどのように業務に生かせると考えているのかを論理的に説明してください。
当日編
採用面接では、応募者のスキルだけでなく、人となりが自社にあっているかもジャッジされます。それを踏まえて、面接当日に配慮すべきことについて紹介します。
服装に注意する
まず、服装に注意することです。アメリカの心理学者であるアルバート・メラビアン氏は、「人間の第一印象は3~5秒で決まる」と提唱しました。つまり、部屋に入室した瞬間に第一印象が決まるということです。
そのため面接では、ふさわしい恰好をしているか、清潔感があるかを瞬時に判断されます。契約社員の面接を受ける際には、スーツで臨みましょう。
5分前行動を心がける
社会人にとって、時間厳守はいうまでもない常識です。だからこそ、面接当日は5分前行動してください。ビルによっては、入館許可をとるのに手間取る可能性もあるからです。
上記の記事では、面接に遅刻した場合の対応について解説しています。面接に遅刻しそうになった時点ですぐに企業に連絡を入れる、その理由と到着時間の目処を知らせるのがセオリーです。記事の中では、理由の伝え方の具体例も紹介されているので、ぜひ参考にしてみてください。
笑顔を忘れない
面接中は、常に笑顔でいることを忘れないようにしましょう。契約社員は、限られた期間雇用する人です。そのため、すでにいる正社員と協調性をもって働くことが求められます。
常に笑顔でいると面接官に好印象を与えるので、採用しても職場でうまくやってくれそうと思ってもらえるはずです。
きちんとお礼をする
契約社員であっても、面接の後にお礼メールを送っておくことをおすすめします。退室前に挨拶をしたとしても、ビジネス文書に即したお礼メールを入れるのはマナーです。
上記の記事では、面接のお礼メールが必要な理由と書き方の具体例を解説しています。一読して、実践してみてください。
契約社員の面接で聞かれる質問の種類
契約社員の面接で聞かれる質問は、いくつかの種類に分かれます。ここでは種類別の質問について、具体的に紹介します。
種類①|自己紹介
面接は、自己紹介から始まるといっても過言ではありません。以下のように、質問されることが多いです。
- 自己紹介をお願いします。
- これまでの経歴も含めて自己紹介してください。
この時点で、面接官は募集職種にマッチしているかどうかを判断します。応募職種に生かせるスキルや経験を交えて、自己PRにつなげましょう。
種類②|志望動機
質疑応答で最も重視されるのが、志望動機です。以下のように、質問されることのが一般的です。
- 当社を志望した理由は何ですか?
- あなたの志望動機を教えてください。
前述した通り、この質問では自社への入社意欲の高さをはかっています。企業理念や経営方針、業務で携わる事業など、自分とマッチすると思える内容を盛り込んで回答しましょう。
種類③|生かせるスキル
契約社員は、即戦力となるスキルが求められます。それを確認するために、以下のような質問を受けるはずです。
- 当社で生かせると思う経験や実績について教えてください。
- あなたの持つどんなスキルが役立つと思いますか?
資格などで証明ができない場合は、過去に携わった仕事やそこでの成果を話すことで、自分のスキルを理解してもらえます。期間や内容などを、きちんと整理しておきましょう。
契約社員の面接で不採用になってしまう理由5選
比較的、採否の判断が緩い契約社員の面接にも、落ちる人がいる現実があります。そして、契約社員の面接を突破できない人には、共通点があるようです。ここでは契約社員の面接で不採用になってしまう理由を5つ、紹介します。
理由①|質疑応答時に笑顔や覇気がない
契約社員であっても、企業はスキルだけで採用することはありません。職場で能動的に、協調性をもって働けるかどうかも、採否に大きく影響します。
会話する時に相手の目を見る、聞かれたことに明確に答えるのは社会人の基本です。そのため、質疑応答時に笑顔や覇気がない人は面接で落ちる可能性が高いです。
理由②|コミュニケーションスキルが乏しい
契約社員はパートとアルバイトとは違い、正社員と関わる時間や期間が長いです。そのため、コミュニケーションスキルが乏しい人は、面接で落とされがちです。
契約社員は自己判断で業務を進めることができないので、コミュニケーション不足によるミスやトラブルの発生を防ぎたいという気持ちが働くからと予想されます。
理由③|求めるスキルを持っていない
企業が募集している職種が求めるスキルを持っていないことも、面接に落ちる理由になります。正社員であれば、スキルが無くても社内で育成しますが、契約社員は即戦力を求めての採用だからです。
契約社員の応募では、「入社後に勉強します」は通用しないことを念頭に置き、自分のもつスキルが応募条件を満たしているのかを、冷静に検討する習慣をつけましょう。
理由④|条件が合わない
契約社員を採用するにあたり、企業は期間や給与・業務内容をあらかじめ決めています。しかし応募者の中には、勤務時間や給与など、自分なりに譲れない条件を持っている人も珍しくありません。
その条件が合わないことも、面接で落とされる理由になります。その会社に入社したい、あるいは就業したいなら、相手の条件を飲むという選択をすべき時もあります。
理由⑤|だらしない印象がある
面接に遅刻した、あるいは身だしなみに清潔感がないなど、面接官にだらしない印象を与えることも、面接に落ちる理由にあげられます。社会人としてのマナーがないと、判断されるからです。
また、私服OKの職場で働いていた人がオフィスカジュアルで面接に臨んだ際、スーツでないことに面接官が不快感を覚えるケースもあります。T.P.Oにあった身だしなみが必要です。
まとめ
今回は、契約社員とは何か、面接の難易度と流れ、押さえておくべきポイントなどについて解説しました。
契約社員の面接は、正社員より難易度は低いですが、ぶっつけ本番でうまくいくほど甘くもありません。特に正社員登用制度のある企業に契約社員として応募する際には、しっかり事前準備をしておくのがおすすめです。面接のポイントを念頭に置き、質疑応答に備えましょう。