モーレツ社員は時代遅れの存在か?時代背景や社畜との違いを説明します!

日本では働き方改革が進んでいますが、現代にもモーレツ社員はいます。モーレツ社員と聞くと「昭和の価値観」「時代遅れ」と感じる人もいそうですが、それを望む会社や上司があるのも現実です。そこで今回はモーレツ社員とはどんな人物か、社畜との違いやその特徴について解説します。

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この記事の監修者

キャリアカウンセラー|秋田 拓也

厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。

■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)

モーレツ社員とは企業に全てを捧げることを厭わない人

モーレツ社員とは、私生活を省みず、会社や仕事に人生を捧げる勢いで仕事をする会社員を意味します。「企業戦士」や「猛烈社員」と呼ばれることもあります。

ここでは、モーレツ社員の年齢や生まれた背景について解説します。

目次

モーレツ社員の年齢は51才〜73才

日本の世代と時勢についてまとめたのが、以下の表です。

戦後の高度成長期からバブル時代までを経験した人たちの多くが、モーレツ社員として働いていました。その理由について、次章で説明します。

高度経済成長期以降の日本を支えた”過去の象徴”

第二次世界大戦から復興する過程で、日本は高度経済成長期を迎えました。当時の日本には「アメリカに追いつけ追い越せ」という雰囲気があり、日本のサラリーマンは会社を急成長させるために必死で働いていました。

その背景には、日本企業が終身雇用制だったこと、家庭は女性が守るものという価値観が浸透していたことがあります。つまり、モーレツ社員は過去の象徴といっても過言ではありません。

モーレツ社員と社畜との違い

近年の若者は、モーレツ社員と社畜を混同してとらえているようです。しかし、この2つは明確に違います。ここでは、モーレツ社員と社畜との違いについて説明します。

①働いた分だけ見返りとなる報酬・給料がもらえた

高度成長期からバブル時代までは、残業時間に上限を設けている会社はほとんどなく、働けば働いた分だけ残業手当が支給されました。また、成果を上げれば確実に昇給し、年収アップにつながっていました。

つまりモーレツ社員には、きちんと見返りがあったということです。現代のブラック企業のように従業員から時間を搾取するのではなく、労働時間を等価交換できた時代でした。

②自ら進んで仕事をしていた

モーレツ社員は、家族より仕事を優先するのが当たり前でした。高度成長期やバブル時代は仕事はいくらでもあり、毎日残業するのは当たり前、帰宅が深夜になることも休日出勤することも、珍しくないことでした。

モーレツ社員は家に寝に帰るようなものでしたが、自ら進んで仕事をしていたので、それをストレスに感じる人は少数派だったようです。自分の仕事が会社の業績アップにつながることがやりがいという人が、大勢いました。薄給で長時間労働を強いられる社畜とは、明確に違います。

モーレツ社員の特徴

自分が生まれる前の時代だから、よくわからないという人もいることでしょう。ここでは、モーレツ社員の特徴について説明します。自分の周囲に同じタイプの人がいないか、思い浮かべながら読み進めてください。

①会社・仕事を最優先に考える忠誠心の強さ

モーレツ社員にとって最優先なのは、会社であり仕事です。そのため仕事のために、プライベートな予定をキャンセルすることは当然と考えています。会社に対する忠誠心が、とても強いです。

②周囲からの評価やプライドを大切にする

モーレツ社員は、会社や上司に評価されることが何より大事です。また、仕事で結果を出し、会社に貢献するのは当然のことという価値観を持ち、プライドも高い傾向があります。そして、それを隠そうとしません。

③労働時間と給料が釣り合っていると認識している

モーレツ社員は寝食を削って仕事をしますが、その分、残業手当や報奨金をきちんと受け取っています。そのため、自分の労働時間と給料が釣り合っていると認識できるため、激務を苦痛に感じることはありません。

④残業こそ正義

モーレツ社員は、仕事が辛いのは当たり前だと考えています。そして結果を出すためには、自分にできる最大限のパフォーマンスをするものという価値観を持ちます。そのため、毎日の残業は当たり前であり、正義だと考えます。

モーレツ社員にも犠牲にしたものがある

モーレツ社員のすべてが、好き好んで激務に身を投じていたわけではありません。しかし、がんばれば給料が上がり生活が豊かになることがモチベーションとなり、ストレスを感じにくかったのです。

しかし、時代背景や当時の日本の一般的な価値観のもと、犠牲にしたものもありました。ここでは、モーレツ社員が犠牲にしたものを紹介します。

①自分の体調

いくらやりがいのある仕事でも、残業や休日出勤が続けば疲労がたまり、やがて体調を崩すことになります。しかし自分の体調を回復させることより、無理をして仕事をする会社員が多かったようです。

②趣味の時間

激務に追われるモーレツ社員には、趣味に割ける時間などありませんでした。そのため定年退職した後に、夢中になれることも、やることもなく、途方に暮れている高齢者がたくさんいます。

③家族との時間

モーレツ社員は妻に家庭を任せて、仕事に没頭することで家族を養っていました。そのため家族と過ごす時間は短く、育児に携わることもありませんでした。その結果、大人になった我が子とうまくいかない高齢者も珍しくありません。

モーレツ社員と現代の価値観には齟齬が生じている

高度成長期やバブル時代には、モーレツ社員がもてはやされました。しかし現代の価値観とは、齟齬が生じています。

ここでは、現代におけるモーレツ社員の弊害について説明します。

職場の働き方改革の妨げになっている

働き方改革が進む現代の日本では、残業時間の上限設定や有給取得の法令化など、働き方改革を進めています。しかし、モーレツ社員はそれを妨げています。

ここでは、具体例を3つ紹介します。

①モーレツ社員が上司だと長時間労働が評価される

モーレツ社員にとって、残業は正義だと前述しました。自分の上司がモーレツ社員だった場合、無意識のうちに部下にも残業を求めます。そのため、仕事の質ではなく、長時間労働していることが評価の対象になるケースが珍しくありません。

そのため、効率の良い働き方で成果をあげていても人事考課が低いと、若手社員が悩むことになります。

②モーレツ社員の上司が残ると周囲も帰りづらい

特に新入社員の場合、上司や先輩が残業しているのに、自分だけ定時で帰るのは難しいと感じるはずです。モーレツ社員が上司にいると、通常業務が終わっても残業するため、部下が帰りづらい雰囲気が生まれます。

③女性の社会進出の障壁になっている

モーレツ社員は、家庭を省みることなく仕事をしてきました。そしてそれは、妻に家事や育児を任せることで成り立っていました。近年は共働き世帯が増え、ママになっても働き続けるのは当たり前という世の中になりつつあります。

しかし、育児中の女性に対しては時短勤務や在宅勤務などの配慮が必要です。モーレツ社員は、そうした旧来とは異なる風潮をよしとしません。その結果、優秀な女性社員が退職に追い込まれるのは、会社にとってマイナスです。

家庭の観点からもモーレツ社員は歓迎されない

共働き世帯が多い現代では、モーレツ社員は家庭でも歓迎されません。その理由には、高度成長期やバブル時代とは違う、現代の会社員が置かれた状況が関係しています。

ここでは、モーレツ社員が家庭でも歓迎されない理由を紹介します。

①働いても納得のいく給料が得られないことが多い

ブラック企業が横行している現代は、長時間労働したからといってきちんと残業手当が支給されるとは限りません。ホワイト企業が多い一部上場企業や報奨金制度がしっかりしている外資系企業に勤めない限り、納得のいく収入を得るのは難しい現状があります。むしろ、収入を労働時間で割った時給額を計算して愕然とするような業界や職種もあります。

現代でモーレツに働いている社員の中には、ブラック企業勤務や求人詐欺にひっかかった人が少なくありません。以下の2つの記事では、そうした会社や求人を見極める方法を紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

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②家庭内で男性に求められる役割が増えている

近年は、子供をもってもフルタイム正社員で働く女性が増えています。そして、女性も男性同様に仕事の責任は負わなければなりません。モーレツ社員は妻が専業主婦なので、家事も育児も任せることができましたが、共働き世帯の男性はそういうわけにはいきません。

保育園の送迎や家事の分担など、男性が家庭内で求められている役割が増えており、それを果たさないモーレツ社員はやがて家庭に居場所をなくすことになりかねません。

現代でもモーレツ社員は高給がもらえる業界に多い

現代にも、激務をこなして高収入を得ているモーレツ社員はいます。しかし自ら進んでそうした業界を選んでいる人が多く、高給を得ることで折り合いがついているようです。

ここでは、モーレツ社員が多い業界について紹介します。

総合商社

総合商社は、就活生の就職希望ランキングでも常に上位をキープしていますが、大手の場合は世界各国を対象に商品やサービスの輸出入をすることで利益をあげています。また事業投資も行っており、海外とのやりとりや顧客とサプライヤーとの調整などに時間をとられ、長時間労働になりがちです。

しかし大手の総合商社では、社員の平均年収が1,000万円を超えており、労働時間に見合うだけの報酬を得ていると感じている従業員が多いようです。

総合商社が実際にどのような仕事をするのか、そして給料に見合う分激務といわれる理由について説明できる人は少数派でしょう。以下の2つの記事で、総合商社の仕事内容ややりがい、辛いといわれる理由を紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

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不動産・建設業界

東京オリンピック・パラリンピックや大阪万博などの開催によりここ数年、不動産・建設業界が活性化しています。しかし日本の少子高齢化によりニーズが多様化する不動産業界も、納期に間に合うように作業をしなければならない建設業界も、激務であることは事実です。

しかし不動産・建築業界は激務だからこそ、採用のために高給を設定していることが多いです。入社する会社の規模にもよりますが、やればやっただけ給料が上がる仕組みに満足している人が多いと予想されます。

不動産・建設業界も業態に変化が起こっており、独自の収益スキームを持っている会社が登場しています。以下の記事では、賃貸不動産会社として有名な大東建託の仕事内容や年収について解説しています。ぜひ一読してみてください。

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まとめ

今回はモーレツ社員とはどんな人物か、社畜との違いやその特徴について解説しました。

自ら進んで仕事に没頭し、それに見合う報酬を得ていたモーレツ社員と、薄給で激務を強いられる社畜には大きな違いがあります。売上重視でコストは度外視という価値観は、経済が停滞している現代ではありえない価値観です。ブラック企業で社畜にならないよう、入社の際に見極めましょう。

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