就職活動・転職活動をしていると「アットホームな環境で働きやすい!」といったアピールをしている企業があります。しかし「アットホーム」を謳う企業の実態がどうなのか気になる方も多いでしょう。この記事ではそんな企業の実態や志望する際の注意点を紹介します。
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この記事の監修者
キャリアカウンセラー|秋田 拓也
厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。
■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
「アットホームな職場」を謳う企業は多い
実際に就職活動や転職活動のために企業情報を探していると、「アットホームな職場」という謳い文句を使っている企業が数多く見られます。
こうした企業は実は注意深く情報を見る必要があり、本当は全くアットホームではない・特筆すべき特徴がないから、とりあえずアットホームと言っているといったケースがあります。
求人サイトのIndeedやリクナビNEXTで検索をすると、「アットホームな職場」と書かれた求人は数多く出てきます。
特に保育士や教員は激務と言われるので、注意が必要です。以下の記事でも、激務と言われる理由や向いている人の特徴を解説しているので、転職を検討の方は併せてご覧ください。
そもそも「アットホーム」とは何か
そもそも「アットホーム」とはどういう意味なのでしょうか。
「アットホーム」の辞書的な意味
日本国語大辞典には以下のように説明されています。
1.(形容動詞)くつろいださま。家庭的。
2.(名詞)①くつろいだ宴会。お茶の会。② 客の訪問を受けること。接客。接見。また、在宅すること。
企業の説明に使われるのは①の意味が近いです。まるで自分の家にいるかのように気兼ねなくくつろげるような職場環境だという意味を孕んでいるようです。
「アットホーム」を使う企業側の意図
美容室やエステサロンの求人情報を掲載しているリジョブでは、求人情報に「アットホーム」という言葉を使用しているサロンが多いことに注目し、アンケート調査を行っています。
その調査によりますと、企業が「アットホーム」という言葉を使う意図として、以下のようなものが挙げられています。
- ①スタッフ・社員の仲が良い(アンケートの回答数:56%)
- ②顧客との距離が近い(25%)
- ③社員が少ない・小規模 (18%)
- ④楽しく働くことができる (17%)
- ⑤チームワークが良い (12%)
- ⑥顧客のリピート率が高い (7%)
主な意図は「社員間の仲の良さ」にあるようです。社員同士の仲が良いことは悪いことではありませんし、円滑な業務遂行のためには良いことです。しかし、必要以上に距離が近かったり、仲が良いことを強いられていたりする企業もあるようです。
「アットホームな職場」を疑いの目で見る人は多い
実際に「アットホーム」と歌っている企業情報に対しては非常に警戒心の強い目が向けられていることが多く、ツイッター上でも「信用できない」といった声が多く見られます。
ここにそうした傾向が見られる2つの特徴的なツイートを紹介します。
求人文言を正しい日本語に変換してやるシリーズ
急募=人が逃げました、ブラックです
産休代替=バカの尻拭い、バカが帰ってくる迄の人柱、割に合わない
アットホームな職場です=悪口が蔓延しています、他人の私生活を詮索します
派遣=女衒— 商社メーカーちゃん (@Marunouchiko) September 15, 2019
1つ目のツイートでは「アットホーム」と書かれている職場では悪口がはびこり、人の私生活を覗く人がたくさんいると書かれています。書くべき特徴がないことから見られる典型的な「手抜き」とも言えます。
自信がないのに漬け込んで、「愛してる」の言葉とともにメンタルをズタボロにする彼氏がいる。
転職できないことに漬け込んで「未経験でもアットホームな職場です」の言葉とともに奴隷化させる職場がある。
恋人や、会社の「常識」で身動き取れなくなったら、自分を肯定してくれる友達こそ信じよう。
— DAIKO@キャリア (@dai_career) September 14, 2019
2つ目のツイートでは「アットホーム」という甘い言葉を利用して人手不足の穴埋めをして、採用した人材を奴隷化すると言われています。これも特筆すべき特徴がない企業の手抜き採用の例と言えます。
「アットホームな職場」が怖いと警戒される理由
ここまでに紹介した「アットホームな職場」が警戒されるのには、以下のような理由があります。
- それ以外に書くに値するメリットがない
- 抽象的なワードなので、嘘でも言える
- 単に人数が少ないだけ
- 家族経営企業で、一部の人が経営者家族と仲が良いだけ
- 業務以外での付き合いが必要
特に、「それ以外に書くメリットがない」ということは給与が低かったり残業が多かったりと、条件面ではブラックなのではないか、と不安がる人も多いようです。また、職場の人間関係は職場だけに留めておきたい人からしたら、このような職場は迷惑極まりません。
どちらにしても「アットホーム」という企業を見たら警戒する必要があるでしょう。
「アットホームな職場」を謳う企業にありがちな実態
次は実際に「アットホーム」という謳い文句を使う企業によく見られる実態を紹介します。
アルバイトでも正社員採用を目指す就職・転職活動だとしても、企業情報に「アットホーム」と書かれている場合、実際はここで紹介するような職場環境になっている可能性があるので、よく警戒しておきましょう。
仕事とプライベートの境界がない
「アットホーム」という企業の1つ目の実態は、仕事とプライベートの境界がないことです。
仕事とプライベートの境界がないというのは残業や休日出勤が多かったり、飲み会も断りづらいというものです。誰でも自分ひとりになりたい時はあるものの、休日でも仕事や飲み会を理由にして会社に関わるように求めてきます。
そのため、自分のやりたいことに没頭したりじっくりと体を休めることができず、少しずつストレスが溜まっていき、やがて「仕事がしたくない」と考えるようになってしまいます。
組織として機能していない
「アットホーム」を謳う企業の2つ目の実態は、組織として機能していないというものです。
「アットホーム」という企業では、「これお願い!」「明日、お願いできる?」といった感じで従業員に仕事を頼み続け、従業員の時間を容赦なく切り崩してきます。
また、雇用者側から従業員の生産性を下げているにも関わらず、しっかりと労働とみなさずに残業代が支給されなかったり、休日手当の申請もしづらい雰囲気だったりすることが考えられます。
嫌われた際のリスクが大きい
「アットホーム」企業の3つ目の実態は、周りの従業員に嫌われた際のリスクが大きいことです。
「アットホーム」の実態は「仲間はずれを許さない」「ゴシップ好き」などが本質的な特徴で、働いている従業員全員が嫌われないことを最優先にして仕事をしています。
それは、嫌われた場合にはあからさまに周りの従業員から無視されたり、仕事の引き継ぎや相談がしづらくなってしまう事が容易に想像できるからです。そのため、誰も周りの悪口を言わなかったり、明らかに職場におかしいことも誰も指摘しません。
個人としての成長機会に乏しい
「アットホーム」企業の4つ目の実態は、個人が成長する機会が乏しいことです。
「アットホーム」という企業の実態は、本気で仕事に取り組んでいる人が少なかったりひどい場合には一人もいないことです。それは企業側が従業員一人ひとりが成長するための機会を全く与えておらず、成長を目指す人材が集まらないからです。
これは、中立な立場で指摘してくれる上司がいない、仕事の本気な人が少ないので尊敬する先輩を見つけられないといったことにもなり、将来的には自分自身で生きていかなければいけない世の中において、スキルを磨けないのは致命的です。
信頼できる「アットホームな職場」の条件
次は同じように「アットホーム」を歌っている企業でも、信頼できる可能性が高い企業の特徴を紹介します。
信頼できない企業との違いは、以下のような点にあります。
- 具体的にアットホームな理由が書かれている
- 自社に務めるデメリットも明記されている
- 従業員の非公式な場でのコメントが見られる
具体的理由が書かれている
信頼できる企業の1つ目の条件は、アットホームと言える具体的な理由が書かれていることです。
信頼できない企業の場合には、求人情報にある種、定型文のように「アットホーム」という言葉を使っています。その場合にはどのような点がアットホームなのか・アットホームなことでどんなメリットが有るのかを明記していません。
それに対して信頼できる企業では、「アットホーム」を風通しの良さ・適度な上下関係・仕事の相談がしやすいといった具体的な理由をとともに使っています。こうした具体的な説明がある場合には本当の意味で「アットホーム」と言える企業です。
デメリットも記載されている
信頼できる企業の2つ目の条件は、自社で働くデメリットも明記されていることです。
信頼できる企業では、自社の長所やメリットだけではなく、自社で働く場合に考えられるデメリットもしっかりと求人情報に明記しています。つまりメリット・デメリット両方を見てもらうことで正しく自社を評価してもらおうとしています。
自社に務めることのデメリットも明記しているので、実際に就職した従業員の離職率が少なかったり、満足度が高いので長く働いてくれる従業員が多く、結果的に本当に「アットホーム」と言える環境が整っていると言えます。
従業員の非公式な場での発言がある
信頼できる企業の3つ目の条件は、従業員の非公式な場での発言が見られることです。
求人にある「アットホームな職場」は人事部や経営など現場から離れた人々がつくる建前になっていることが多く、自社の特徴をはっきりと認識できていないことで、「とりあえず」アットホームと言っています。
その一方で、SNSなどで現場社員の声が見られる場合にはその声は比較的信頼できます。ただどのような意味でアットホームなのか、自分の価値観とマッチするのかといった点は確認する必要があります。
「アットホームな職場」を志望動機にするのは好ましくない
企業の求人情報には「アットホーム」という言葉は散見されますが、志望動機として「アットホームな職場だから」というのは好ましくありません。
企業が志望動機を求める目的は、主に以下の2つの要素があります。
- ①業界・企業への志望度を測る
- ②学生の熱意を測る
企業は求人を出すことで「自社の戦力になる人材」を探しています。就活生も自分の武器や志向と企業がマッチしているかをアピールするために書きます。
「アットホームな職場に惹かれて志望しています」というだけ理由は、志望動機としては弱いです。アットホームな職場に来て価値を生み出さずに給料だけ奪っていく人と思われないように注意が必要です。
「アットホーム」を使用した志望動機の例文
しかし、どうしても使用したいという場合は、うまく工夫して使うようにしてください。
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私が貴社への志望を希望する理由は、全体でも100人という小規模であり、アットホームな雰囲気で、互いに助け合うという協力の社風に魅力を感じたからです。大学では、同じ大学のみならず他大学のメンバーと組んで、ビジネスコンテストへの参加を数多く行いましたが、その経験から人を大切にする意義を学びました。貴社へ入社後は、まず新入社員として営業補佐から事務職まで幅広いバックオフィス業務を経験し、組織で求められる役割を把握しながら強みである調整力を発揮して参ります。
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「アットホーム」を使用して志望動機を書く際のポイント
まずは志望動機を書く際の基本的なポイントを押さえましょう。
- 企業説明だけにしない
- 入社後に働きたいビジョンを明確にする
- 結論から書く
- 根拠を明確に書く
- 「貴社」を使う
そのうえで、「アットホーム」を使用する際は、なぜアットホームな職場が良いのか、そこで自分が貢献できるポイントは何かを明確かつ端的に記載して下さい。
「アットホームな職場」以外の要注意ワード
この記事では「アットホーム」という危険な言葉を紹介しましたが、実は「アットホーム」以外にも求人情報で見られる危険な言葉が4つあります。
ここではその代表と言える4つの売り文句を紹介します。
「若手が活躍しています!」
1つ目の要注意ワードは「若手が活躍しています!」です。このほかにも、「未経験者歓迎」「親切丁寧に始動します」といった言葉を使用する会社は離職率が高い可能性があります。
もちろん、実際、組織が整っていて、年長者が若手にチャンスを与えている本当に「若手が活躍している」職場もあります。この場合には、離職率が低かったり平均勤続年数が長いと言った他のデータに現れます。
この言葉で考えられることは、要するに「こんな会社はやってられない」と言って2〜3年で退職する人が多いことで、結果的に若手しか集まらない環境になっているということです。
実際、ブラック企業で真っ先に辞めるのは優秀な人であったり、まともで優しい人だったりします。以下の記事では、そういった人々が苦しんでいる実態や辞めてしまう理由、さらには辞め方まで徹底解説しています。退職者が多い企業の実態を知りたい方は、ぜひご覧ください。
「ノルマは一切なし!」
2つ目の要注意ワードは「ノルマは一切なし!」という言葉です。
ノルマがなければ「働きやすい」「ストレスを感じずに仕事を続けられる」といったイメージを持つかもしれませんが、その他の部分に強烈なしわ寄せが来ていて、劣悪な労働環境になっている可能性が高いです。
また、ノルマに相当する目標がないということは企業に「目標達成」という文化がないので、企業として継続的に利益を上げる意識がなく、近い将来潰れる可能性が高いので要注意です。
「年間休日○○日」
3つ目の要注意ワードは「年間休日○○日」です。一般的な大企業では120日とされていますが、計算の仕方によっては114日、110日、105日、72日といったものがあります。
しかしながら、年間休日120日未満の場合、実質的に週2日間の休みが保証されないだけでなく、休日が守られずに連勤が続く場合も多いです。
以下の記事で年間休日と連勤に関する知識を蓄えましょう。法律的な観点からも解説しているので、万が一の際に根拠にすることができます。
「昇給あり/正社員登用制度あり/賞与あり」「残業代支給」
4つ目の要注意ワードは「昇給あり/正社員登用制度あり/賞与あり」および「残業代支給」です。一見、上の条件は素晴らしく恵まれたものに見えます。
しかし、問題は「あり」の程度です。賞与とは言えない程度でも賞与という名称で支給すれば、「賞与あり」と記載可能ですし、実際にそのようなことを行う企業は数え切れません。そのような企業では、実質的に賞与はあると言えませんし、何より従業員を大切にしない会社であることは明らかです。
雇用条件や前年度の実績を現場社員に確認することが非常に大切です。
以下のような記事でも、昇給のない企業は違法ではないと紹介しながら、従業員を大切にしない企業だと解説しています。現状の待遇に不満がある方は、ぜひご覧ください。
まとめ
この記事では「アットホーム」という謳い文句を使う企業は要注意だということを紹介しました。
企業は少しでもいい人材を取るために嘘や誇張して自社の特徴を伝えようとすることもあります。
なので、求人情報に書かれている情報をもとに「本当に記載通りの職場環境なのか」を広い視野で評価するようにしましょう。