求人票には「昇給年1回」と記載されていたにもかかわらず、実際には昇給なしの企業だった。もしこのような事態になっても落ち着いて対処できるよう、今回は3つの解決策をお伝えします。実際に昇給がない企業の割合は少数派ですが、間違って就職してしまうリスクもあります。会社を辞めるのも方法の一つです。
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この記事の監修者
キャリアカウンセラー|秋田 拓也
厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。
■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
昇給には2種類ある
就活生の方であれば、正社員として昇給を経験したことがないはずです。そのため、昇給には2種類あることをご存知ない方も多いのではないでしょうか。
実は、昇給には「定期昇給」と「ベースアップ」という2つの種類があります。まずはその違いについて詳しくお伝えしていきます。
定期昇給
定期昇給とは、年齢や勤続年数によって給与額がアップする制度のことです。
一般的に1年に1回ずつ昇給額が見直されることから、この定期昇給という言葉を使います。また、昇給といえば基本的にこの定期昇給を指すことが多いでしょう。そのため、この記事では「昇給=定期昇給」として話を進めていきます。
ベースアップ
ベースアップとは、企業と労働組合が話し合って社員の基本給を一律に底上げする制度です。基本給がアップする点においては定期昇給と同じですが、その時期が明確に定まっていない点がベースアップの特徴です。
臨時昇給
毎年、定期的に行われる上記2つの昇給とは異なり、文字通り臨時で昇給することを指します。具体的には、景気や業績が良い場合などに、全社員、もしくは特に業績に貢献する部署の社員などを対象として行われます。
また、個人単位で特に優秀、負担が大きいと判断された場合にも、臨時昇給が行われることがあるようです。
「昇給なし」の企業も存在する
従業員への昇給を行わない企業は、少なからず存在するのが現実です。
厚生労働省の発表している「定期昇給制度・ベースアップ等の実施状況」によると、昇給制度のない企業の割合は管理職で21.1%、一般職で14.4%となっています(2018年時点)。
ただ、制度自体がなくても昇給を実施している企業やベースアップのみを実施する企業も少なくありません。完全に昇給がない企業は非常に少ないといえるでしょう。
4月に昇給したらジム通おうと思ってたけど弊社の昨年度の業績が悪過ぎて昇給なしの可能性が出てきた😂😂😂
— ぼんれすはむこ (@oseibo865) January 13, 2020
例年は昇給があっても、年によって昇給がない可能性があることを示しています。昇給を見込んで生活の見通しを立てる人も多いため、唐突に昇給なしを告げられた場合、計画が狂ってしまう人もいるようです。
→61歳まで働いて昇給なし、手取り22万円。退職金は、切替時の10万円程。あの時、悲鳴をあげていてよかったんだなと今思う。だけど仕事があるだけありがたかった。今は、夫の年金頼りの生活。
— ナルヒサ (@naruhisa1) January 14, 2020
長年働いても昇給がない場合、精神的にもかなり疲弊してしまいます。退職金やボーナス、残業代なども基本給を基準として計算するため、昇給せずに基本給が低いままだと、月給以外の面でも損をしている可能性は高いです。
「昇給なし」に考えられる3つの可能性と対処法
企業の就業規則内に「定期昇給なし」「業績によっては賃金改定を見送る」などの文言があると、昇給が行われない可能性が高くなります。そのため、就活の段階でしっかりと就業内容を確認しておくことが大切です。
ただ、仮に入社後に昇給無しの事実を知ることも考えておくべきでしょう。もし昇給が行われなかった場合、次のような可能性が考えられます。
可能性①|景気・企業業績が悪い
企業の業績や景気が悪化することにより昇給が見送られる可能性があります。昇給制度は法で定められているわけではないため、企業の考え方次第で実施の有無も変化するのです。
対処法①|企業風土次第では我慢もあり
景気や企業業績の悪化によって昇給がないようであれば、無理に転職する必要はありません。企業業績は赤字に落ち込んでしまう恐れがある反面、黒字に反転する可能性もあります。
そのため、企業の風土や働き方が気に入っているという方は、今は我慢するのも方法の一つです。
可能性②|個人として実績を出せていない
個人としての成績が悪い場合も昇給を見送られる可能性があります。特に周りの同僚と比較して、1人だけ突出して実績が悪い場合、周囲は昇給していくのに、自分は据え置かれることもあるでしょう。
最近では、人事評価や個人の実績などをもとに昇給金額を定める企業も珍しくありません。そのため、個人の実績が売上に貢献しないと判断されると、昇給なしとなる場合も考えられるでしょう。
対処法②|評価が上がらない原因を考える
実績や評価によって昇給が見送られてしまった場合、まずはその原因がどこにあるのかを冷静に分析してみてください。
たとえば、ほかの人と比較して個人の能力やスキルが低いといった場合は、個人的な要因といえます。個人的な要因であれば自分の努力で結果を好転させることも可能です。
一方、「実現不可能なノルマが課せられている」などの場合は、外部的な要因となります。これは組織の構造的な問題点にも当たるので、自分の力だけで解決するのは難しいでしょう。
それだけ昇給も困難になるため、転職を検討してみるのも方法の一つです。
可能性③|企業の制度として存在していない
そもそも企業に昇給制度が存在していなければ、どれだけ努力しても給与が上がることはありません。先ほどお伝えしたように昇給なしの企業は少数派ですが、間違って就職してしまう可能性もゼロではないはずです。
対処法③|転職を検討すべき
昇給なしの企業でも、代わりに手当制度を充実している場合もあります。
ただ、昇給がなければ基本給も上がりません。賞与や残業手当などは基本給をベースにすることが多いため、頑張ってもなかなか収入が増えないことも出てくるでしょう。
もともと昇給制度自体がない企業の場合は、すぐにでも転職を検討すべきです。
「昇給なし」の企業は違法か
昇給なしの企業に勤めている場合、昇給がないことが違法であるかどうか、気になる方も多いと思います。そこで本見出しでは、昇給なしの企業が違法化どうか、解説していきます。
就業規則によっては違法ではない
10人以上の従業員を雇用する場合、就業規則を作成することが法律で義務付けられています。
常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。(労働基準法89条)
加えて、就業規則の中で昇給について言及しなければいけないとされています。
使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。(労働基準法15条)
しかしながら、法律で義務付けられているのは「言及すること」であり、「昇給を行うこと」ではありません。就業規則において、昇給時期や賞与の回数について明記されていれば、企業には履行義務が発生します。一方、言及はされていても明記されていない場合は履行義務が発生しないので、注意が必要です。
賞与や退職金についても、就業規則で明記する必要があります。自分の労働環境に疑問を感じている方は、一度、就業規則を確認してみることをおすすめします。
従業員を大切にしない企業である可能性は高い
就業規則に明記されていない、もしくは行わないと記されている場合でも、違法ではないことが分かりました。
しかしながら、そのような企業は従業員に満足感や幸せを提供するという姿勢が明らかに欠如しています。そのような企業は従業員を大切にしない可能性が高く、昇給以外でも様々な面で労働者から搾取をしていると言えるでしょう。
例えば昇給がない企業では、ボーナスや退職金も十分な額が支払われるかどうかは疑問です。長時間労働が常態化していないか、残業代がしっかりと支払われているか、といった事項にも気を払う必要があります。
以下の記事では、世間的にブラック企業と呼ばれる企業の見分け方を紹介しています。自分の職場がそうなのか、もしそうだった場合はどうすれば良いのか、といった疑問も解消できる記事となっているので、気になる方はぜひご覧ください。
一般的な昇給時期は4月
昇給(定期昇給)は法律で定められているわけではなく、企業の社内規定を基本としています。そのため、昇給時期についても明確なルールがあるわけではありません。
また、中小企業や大企業によっても昇給時期には差があります。以下で詳しくお伝えしていきましょう。
中小企業はバラバラなことも多い
中小企業は経営者の考えが社内規定に反映されやすいこともあり、会社によって昇給時期はバラバラです。
基本的には事業年度が変わる4月が一般的ですが、決算時期や社員の入れ替え時期などに応じて昇給時期も変化します。決算が8月の企業だと9月に昇給時期を合わせることも珍しくありません。
新卒大企業なら2年目の4月
大企業の場合、従業員の昇給時期は4月がほとんどです。新卒で大企業に入社すると、2年目の4月に初の昇給を受けられる可能性があります。
ただ、大企業のなかでも決算時期や事業年度の切り替わり時期に昇給を合わせることもあります。また、1月に定期昇給、4月にベースアップといったように1年に2回の昇給を行う企業も存在します。
昇給時期を正確に把握するためには、就業規則や雇用契約書、または求人情報の待遇欄を参考にしてみましょう。
2019年の平均昇給額
昇給によってどの程度収入が上がるものなのでしょうか。ここでは、日本労働組合総連合会(JTUC)の調査資料「2019 春季生活闘争 第 7 回(最終)回答集計結果について 」で、2019年の平均昇給額を見ていきましょう。
中小企業
中小企業の平均昇給額は、2019年で1.94%となっています。10年前の2009年は1.45%となっており、近年にかけて昇給額が上昇していることが分かります。
特に中小企業は人手不足の影響が大きいため、継続して平均昇給額が上昇していく可能性が高いといえるでしょう。
大企業
大企業の平均昇給額は2.07%です。資本力があることから、どの年度を見ても中小企業より昇給幅が大きくなっています。ただ、近年にかけて上り調子の中小企業に比べて、2004~2005年からやや昇給額が縮小傾向にあります。
以下の記事では、金額ベースで中小企業と大企業の昇給額について解説しています。前年度と比べて昇給額が上昇したのかどうか、についても紹介しているので、世間の一般的な昇給額を確認したい方はぜひご覧ください。
昇給に関する2つの注意点
企業の昇給制度は、入社時点で目にする雇用契約書や就業規則のほか、就活中でも求人情報を見ることで確認できます。そこには、「昇給年1回」という情報や昇給実績が記載されているはずです。
ただ、こうした昇給に関する情報を簡単に鵜呑みにしないよう注意してください。ここからは昇給に関する注意点を解説していきます。
「昇給年1回」はあくまでも機会
就業規則などに「昇給年1回」と記載されていても、必ずしも毎年給与がアップするわけではありません。昇給はあくまでも機会です。
「昇給年1回」とは、「年に1回だけ昇給する機会を与えますよ」と記載しているに過ぎません。その言葉の裏には、「業績や評価次第で昇給しない可能性もありますよ」という意味が含まれています。
企業の公表する実績を信じすぎない
昇給実績とは、求人情報などに記載された「昨年は特定の従業員に10万円の昇給を実現」などの情報のことです。就活生の方からすると、実績が記載されていたほうが入社後の昇給に期待できます。
しかし、その情報の裏付けを公開している企業はほとんどありません。そもそも嘘か本当か確認しようのない情報なので、昇給実績は信じすぎないほうが無難です。
まとめ
昇給なしの企業は限りなく少数派ですが、なかには正当な評価をせずに従業員を働かせたり、手当ばかりを拡充して昇給を行わない企業も存在します。たとえ手当が充実しても、基本給が上がらないと収入はなかなか増えません。
こうした企業に入社する可能性は低いとはいえ、確率はゼロではないはずです。万が一、昇給なしの企業に入社してしまったという場合は、今回の記事でお伝えした3つの対処法をご活用ください。