世間には入社しないほうがいい会社(ブラック企業)があります。ブラック企業には明確な定義こそありませんが、残業時間や給与といった項目からその特徴を探ることができます。求人票に載っている情報ばかりなので、就活中でも判断可能です。今回は、怪しい企業の見抜き方や、入社してしまったときの脱却方法を紹介します。
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この記事の監修者
キャリアカウンセラー|秋田 拓也
厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。
■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
ブラック企業に明確な定義はない
ブラック企業に関する定義は存在しません。
厚生労働省が運営する「確かめよう 労働条件」に寄せられた「ブラック企業とはどんな企業?」という質問でも、明確に「定義はない」ということが紹介されています。
ただ、明確な定義こそないものの、一般的な特徴は存在します。この記事では、ブラック企業の特徴や見分け方、脱却する方法をお伝えしていきます。
ブラック企業の定義・特徴
ブラック企業には定義こそありませんが、一定の特徴が存在します。次の3点によって特徴を割り出していくことが可能です。
- 労働時間
- 給与・金銭面
- 人間関係・職場環境
それぞれ以下で詳しくお伝えしていきます。特徴を知っておけばブラック企業を見分けやすくなるため、ぜひご参考にしてください。
労働時間
労働時間があまりにも長い場合、ブラック企業の恐れがあります。休日が少なく、長時間労働を強いられているというケースが当てはまります。
①長時間労働や過剰労働が慢性化している
働きがい研究所では、OpenWork(旧 Vorkers)に投稿された評価レポートから、残業時間の調査データを公表しています。
そのデータによると、もっとも残業時間が長いのは、①35~39歳、②年収1,250万~3,000万円で70時間以上の平均残業時間を記録しています。月80時間を超えると過労死ラインに認定されるため、ギリギリの数値です。
上記の残業時間を参考に、ブラック企業かどうかを見極めることができます。
②休日が少なく、有給も取得不可
休日が少なく、有給も取れない場合、ブラック企業に当てはまる可能性があります。
法律に年間休日を定める規定はありませんが、企業は労働者に対して週1日以上の休日を与えなければなりません。また、2019年4月からは正社員などに対する有給が義務化されました。
「仕事が休めない」は労働法上あり得ません。以下の記事では労働基準法の内容や休日の定義などいふらながら解説しています。
給与・金銭面
給与や収入があまりにも少ないという場合、ブラック企業の特徴に当てはまる可能性があります。単純に給料が安い場合はもちろん、残業代や手当がないケースにも注意してください。
③給料が安く最低賃金以下
給料があまりにも安いと最低賃金以下で働かされている可能性があり、ブラック企業として疑ったほうが良いでしょう。最低賃金以下での雇用は完全に違法です。
自分の時給を換算する場合、月給を170で割る計算式がよく知られています。たとえば、手取り給与が月17万円を170で割ると、時給1,000円(基礎時給)と求めることが可能です。
全国の最低賃金のデータは、厚生労働省の「地域別最低賃金の全国一覧」をご確認ください。
④残業代・手当がない
残業代や手当がない場合もブラック企業の恐れが高くなります。労働基準法では、1日8時間、週40時間を超えた「時間外労働」には、割増賃金を支払わなければならないという規定があります。
そもそも残業代が一銭も支払われない「サービス残業」は違法です。また、あらかじめ一定額の残業代を見ておく「みなし残業」も、実際の残業時間に見合わない割増賃金だと違法となります。
人間関係・職場環境
人間関係や職場環境にも注意が必要です。「精神論が語られる」「強い言葉で圧力をかけられる」といったことがあると、ブラック企業の特徴に当てはまる可能性があります。
⑤精神論が語られる
精神論や根性論を叩き込まれる会社は、ブラック企業の恐れが大です。
たとえば、「死ぬ気で仕事しろ」という言葉で無理に社員を働かせたり、「病気は気持ちの持ちようだから仕事しても平気だよね」と言って従業員に休みを取らせないなど、社員の気持ちや状況を無視したものも少なくありません。
⑥強い言葉で圧力をかけられる
ブラック企業の特徴は、上司や先輩の言葉や対応にも表れます。たとえば、「仕事を辞めろ」「お前は他の企業では通用しない」と圧力をかけられたり、部下に失態を押し付けるとった言動もブラック企業の特徴の一つです。
⑦上下関係に厳しい
ブラック企業は体育会系が多く、上下関係に厳しいのが特徴です。上司や社長の言葉は絶対で反発や批判は許されません。
目上の人を敬う気持ちは大切ですが、上司からの理不尽な言動がひどくなればそれがパワハラやセクハラに発展します。
ブラックな上司にどう対処していいのかわからない方も多いと思います。以下の記事ではブラックな上司の特徴や対処法を解説していますので、こちらも併せてご覧ください。
⑧パワハラ・セクハラが横行する
上司や先輩からのパワハラ・セクハラにも注意しましょう。
セクハラは「セクシャルハラスメント対策」として法律で義務付けられていますし、2019年5月29日には「パワハラ防止法(労働施策総合推進法)」も成立しました。
このように、性的な言動や要求、立場の優位性を利用した言動は違法となる可能性が高いといえます。ブラック企業かどうか確認するときに参考にしてみてください。
⑨社員を使い捨てにする
一般的な企業では、実績を出した従業員は昇進・昇給したり、スキルアップしたりすることで自分に還元し、会社に貢献しています。
しかし、ブラック企業の場合は昇進・昇給がほとんどなく、長時間労働と劣悪な環境で疲弊した社員は自身の成長も出来ないまま心身を壊してしまいます。
それに対して会社側は「お前の代わりはいくらでもいる」と社員が使い物にならなくなっても新しい人材を採用すればよいだけだと人材を軽視しています。
⑩離職率が高く人材の入れ替わりが激しい
劣悪な環境下では、当然退職する人も多くなります。
当然人材が不足するため、企業は空白を埋めようと人材を募集しますが、前任者は十分な引き継ぎをしないまま退職していくケースが多いため、補強された人材は無理な職務をしいられることが多いです。
やけに入れ替わりが激しい、常に人手不足という企業はブラックな労働環境である可能性が高いため注意が必要です。
以下の記事では職場を辞めていく人の特徴が紹介されています。労働環境に不満を覚えて退職していく人が多い職場に残り続けるべきか否かという疑問への回答も掲載されていますので、興味のある方はこちらも併せて参照してください。
⑪退職を認めない
社員を雇いなおすことは育成などコストがかかります。ブラック企業の場合、今雇っている社員を逃すことは大きな損害です。
そのため、辞めたいといっていも損害賠償請求をするなど難癖を付けて退職を認めない企業もあるようです。ブラック企業の場合、辞める人が多く人材に余裕がないという都合もあります。
また、後進の人材を雇わなず退職すると人が減って残された社員が苦しむだけなので辞めたくても辞められないという場合もあります。
ブラック企業と定義される数値
ブラック企業には明確な定義は存在しません。しかし、危険と定義される数値もあります。
たとえば、「過労死ライン」や「最低賃金割れ」といった要素です。こうした基準を上回っている(下回っている)場合は、ブラック企業と判断してよいでしょう。
以下でその要素について詳しくお伝えしていきます。
過労死ライン|月80時間以上の残業
厚生労働省は、月80時間以上の残業を過労死ラインと認定しています。仮に、1ヶ月25日のペースで働いてたとすると、1日あたり約3~4時間の平均残業時間です。
言葉通り、このラインを超えると心身に大きな負担がかかり、健康に悪影響を与えたり、最悪の場合は命を落としてしまう危険性もあります。
最低賃金割れ
厚生労働省は、都道府県ごとに最低賃金を設定しています。この最低賃金を下回ると、不当な雇用として最低賃金法に反することになるのです。たとえ月給の場合でも、必ず求人票を確認した時点で最低賃金を計算しておきましょう。
全国の最低賃金のデータは、厚生労働省の「地域別最低賃金の全国一覧」をご確認ください。
3年以内の離職率30%超
入社して3年以内に離職率が30%を超える(早期退職)会社は、ブラック企業の可能性が高いといえます。
同時に、社内の人間が頻繁に入れ替わり、全体的に入職者や離職者の割合が高いという傾向もあります。つまり、それだけ辞める人が多く、そのために新しい人材をどんどん獲得しなければならないからです。
離職率が高い理由は、「給与が著しく低い」「人間関係が悪い」「昇給の見込みがない」などが挙げられるでしょう。
上記で紹介する数値以外にも、「ブラック企業偏差値」と呼ばれる指標もあるようです。以下の記事ではブラック偏差値に関して解説していますので、併せて参照してください。
入社前にブラック企業か見抜く方法
入社前にブラック企業かどうか見抜く方法もあります。就活を行っている学生の方は、次の3点に注意しましょう。
労働条件をしっかりと確認する
ブラック企業を判断するには、まず労働条件をしっかりと確認しておいてください。
たとえば、給与という項目だけでも見るべき内容はたくさんあります。「基本給の高さ(残業代や昇給の基準となる)」「残業代は支給の有無」「手当の有無」などは最低限チェックしておきましょう。
また、労働時間や残業時間、休日、福利厚生など、一つひとつしっかりと情報収集することが大切です。
よく出てくるフレーズに気を配る
求人情報によく出るフレーズに気を配ることも、ブラック企業を見抜くコツです。たとえば、「アットホーム」「若手が活躍」といった抽象的な言葉には注意しましょう。
アットホームな会社とは、ワンマン経営で社長の立場が強く、個人の裁量が小さい企業になっている可能性が高いです。若手が活躍している会社とは、離職率が高く、ベテランの年齢まで働く社員が少ないことを表している可能性もあります。
掲載情報の実態に目を向ける
求人情報の掲載内容ばかりではなく、実態に目を向けることも必要です。実際に入社してみると、求人の掲載内容とは異なる部分が出てくることも珍しくありません。
企業の実態を知るには、「人から聞く」ことが一番です。たとえば、その企業に勤める友人や知人に内情を聞いてみることや、OB訪問も効果があります。就活生用の口コミサイトも多いので、必ず応募前に活用しましょう。
実際に職場見学や面接に行って確認する
実際に職場に行くことで、何となく違和感を感じる場合があります。
まず、従業員が疲れきっていたり、服装がだらしなかったりといった従業員の見た目から得られる印象があります。社員に熱気がなく疲労感がにじみ出ている場合、何らかの理由があると推測できます。
また社内の様子が見られるのであれば、掲示されているポスターや成績表・社訓などにも目を向けてみると良いでしょう。
「なんか変だな」という直感がある場合は、その違和感を信じ、疑ってみるのもブラック企業を見抜く方法です。
「ブラック企業大賞」にノミネートされていないか確認する
ブラック企業大賞は 「ブラック企業大賞企画委員会 」が運営している企画です。2012年に始まって以来、毎年多種多様な企業をブラック企業として認定し、ノミネートしています。
ブラック企業大賞は委員会による独自のブラック企業の定義と指標によって認定されています。
【定義】ブラック企業とは・・・・①労働法やその他の法令に抵触し、またはその可能性があるグレーゾーンな条件での労働を、意図的・恣意的に従業員に強いている企業、②パワーハラスメントなどの暴力的強制を常套手段として従業員に強いる体質を持つ企業や法人(学校法人、社会福祉法人、官公庁や公営企業、医療機関なども含む)。
【ブラック企業を見極める指標】
①長時間労働
②セクハラ・パワハラ
③いじめ
④長時間過密労働
⑤低賃金
⑥コンプライアンス違反
⑦育休・産休などの制度の不備
⑧労組への敵対度
⑨派遣差別
⑩派遣依存度
⑪残業代未払い(求人票でウソ)
※ただし多くのブラック企業が上記の問題を複合的に持っているので、判断する際も総合的に判断する。
出典:ブラック企業大賞公式サイト「ブラック企業大賞とは」
ノミネートされている以上はブラック企業だと疑わしい点があると考えらえるので参考にはなるのではないでしょうか。
定時後にビルの明かりが点いていないか見に行く
定時後が過ぎた以降にどれだけビルの明かりが点いているか確認しに行くのも一つの手段です。夜遅くに明かりが点いていればいるほど残業をしているという目安になります。
しかし、業界によっては24時間稼働しなくてはいけない企業もあるため、一概に参考になるとは限りません。
また、ある時間になると一斉に消灯する企業もあります。中には消えた後も、カーテンを閉めて点けた光が漏れないようにしてまで残業せざるを得ないという企業もあるようです。
この見抜き方はかなり条件が限られますが、一の手段としては有効なのではないでしょうか。
ブラック企業にいる人の対処法
もし会社に入ってからブラック企業だと気づいた場合、次のような方法で脱却を試みてください。
- 転職を検討する
- 各種証拠は残しておく
- 外部機関に頼る
それぞれの方法について以下で詳しくお伝えしていきます。
転職を検討する
ブラック企業から抜ける一番の近道は、転職です。
最近では、退職代行サービスが登場するなど、以前に比べれば転職しやすい環境が整いつつあります。本人に代わって弁護士などに退職の意思を伝えてくれるため、「辞めたいけど辞めさせてもらえない」というトラブルを解消できます。
ただ、退職金や会社との交渉まで行わないこともあり、責任の所在を明確にするためにもできるだけ自分で対処すべきです。代行サービスは最終手段となるので、頭の片隅に置いておいてください。
各種証拠は残しておく
ブラック企業を辞める場合は、必ず各種証拠を残しておきましょう。
退職を決意するほどのブラック企業であれば、長時間労働や不当な残業、パワハラといったトラブルに巻き込まれる可能性があります。被害を帳消しにするため、損害賠償を請求することもあるはずです。
その際、必要となるのが証拠です。トラブルの内容によって異なりますが、雇用契約書や就業規則、タイムカード、ハラスメントの証拠映像・音声などを用意しておいてください。
外部機関に頼る
ブラック企業を辞めたいが辞めさせてもらえない(在職強要)、または誰かに相談してから決めたいという方は、外部機関に頼ることができます。
もし、法律に抵触している可能性があるなら、厚生労働省が管轄する「労働基準監督署・公共職業安定所」に相談してみましょう。法律違反までいかないというケースでも、同「総合労働相談コーナー」に相談することができます。
もし在職強要を受けた場合、弁護士に依頼するのも方法の一つです。弁護士だと会社と直接交渉を行い、法的に根拠のない主張を取り下げることも期待できます。
【参考】ホワイト企業の定義・特徴と見抜く方法
上記まで、ブラック企業の特徴について紹介してきましたが、対極に位置するホワイト企業の定義・特徴とはどのようなものなのでしょうか。
ホワイト企業の特徴10選
ホワイト企業の特徴としては以下のようなものが挙げられます。
- ① 有給取得率が高い
- ②新卒の3年以内の離職率が低い
- ③残業が少ない・強制でない
- ④女性が活躍できる環境が整っている
- ⑤コンプライアンス意識が高い
- ⑥風通しが良い
- ⑦人事評価が適切
- ⑧待遇の満足度が高い
- ⑨企業情報の透明性が高い
ホワイト企業を見抜く方法
ホワイト企業を見抜く際も、ブラック企業の場合と基本的な見抜き方は変わりません。
- 労働条件を確認
- 実際に職場見学や面接に行って確認する
- 口コミを見る
- OB訪問なので実態を聞く
など、多角的な情報を集め、実態を探りましょう。
また、社員投稿口コミサイトOpenWorkが発表している「働きがいのある企業ランキング2020」なども参考にしてみると良いでしょう。OpenWorkは実際にその企業で働いている社員かかつて在籍していた社員が投稿している口コミサイトなので、信憑性は高いです。
以下の記事では、ホワイト企業の特徴のより詳しい解説に加え、ホワイト企業ランキングやホワイト企業あるあるを紹介しています。興味のある方はこちらも併せてご覧ください。
まとめ
ブラック企業に明確な定義はありません。しかし、残業時間があまりにも長かったり、給与が低いといった特徴からブラック企業を判別することができます。
ブラック企業を避けるには、就活中にしっかりと求人票を確認しておくことが大切です。ほかにも、友人や知人に企業の内情を聞いたり、口コミサイトでの評判を参考にしてみてください。