初任給20万の手取り額と生活水準は!?新社会人の不安を解消します。

初任給が20万円の場合、手取り額は当然それより少なくなります。そこで今回は初任給で20万円を受け取る人の手取りはいくらなのか、それが安いのか、さらには生活支出の内訳がどうなるのかについて解説します。合わせて、初任給だけで企業を選ぶ危険性にも触れますので、会社選びの参考にしてください。

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この記事の監修者

キャリアカウンセラー|秋田 拓也

厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。

■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)

初任給20万の手取り額は約17万

初任給で20万円の場合、支給される手取り額はおよそ17万円になります。額面と手取りで金額の差ができる理由は、社員が支払わなければならない項目を企業が事前に額面から天引きして振り込むからです。

目次

社会保険料・雇用保険

社会保険料は、以下の2つに分けることができます。

  • 厚生年金保険料:老後あるいは死亡・障害を負った際に給付される、老齢・遺族・障害年金の財源のために納付する保険料
  • 健康保険料:ケガや病気で診察を受ける際に医療費が一部負担で済むよう、相互扶助のために納付する公的医療保険料

社会保険料は「標準報酬月額」に基づき、国で定められた保険料率により、自己負担額が決定します。保険料率は、健康保険料が4.25%、厚生年金保険料が約9%となっています。雇用保険料は約0.3%です。初任給、月給が20万であれば下記のような例になります。

  • 健康保険料:9,900円
  • 厚生年金:18,300円
  • 雇用保険料:600円

社会保険料全体で、約28,800が月給から天引きされることになります。

所得税・住民税

所得税は、毎月の給与額によって計算されます。これは会社が給与から天引きし、社員全員分をまとめて国に納付するシステムになっています。自営業でない限り、会社側が支払いを行い、所得税が引かれた金額が振り込まれます。

所得税額は額面の給与所得から社会保険や雇用保険などを引いた金額から計算します。初任給20万円の場合は、「200,000円−28,800円=171,200円」となり、国税庁の給与所得の源泉徴収税額表(令和2年分)を確認すると、扶養家族0人の場合の該当する水準の所得税額は3,410円となります。

  • 所得税:約3,770円

住民税は、前年の所得によって課税された金額を、翌年の6月から納税します。

そのため、新入社員の場合は0円になるのが一般的です。ただし、在職中にアルバイトなどで扶養範囲を超える収入があった人は、居住する市区町村から納付書が届くので、各自で支払わなければなりません。

  • 住民税:0円(翌年も同様の収入の場合:約6,689円)

したがって、初任給20万円の人の手取り額は167,430円になります。

初任給20万は安いのか?

厚生労働省が発表した「平成30年賃金構造基本統計調査」によると、学歴や性別によって初任給の額が異なります。

大卒の新卒者の平均初任給は20万6700円となっています。

ちなみに男性が21万100円、女性が20万2600円と少し差があります。大学院修士課程修了者になると、初任給の全体平均が23万8700円になります。これが高専・短大卒の新入社員になると、初任給の全体平均は18万1400円に下がります。高卒になると全体平均は、16万5100円になります。

初任給で20万を手にする場合、全体的な平均と同等もしくは少し下と言えるでしょう。

以下の記事では、初任給より次月以降の月給が20万円の人の生活水準を解説しています。本記事と似たような構成で、支出の内訳や20万円からステップアップしたい人のための仕事なども紹介しています。双方の記事を見比べて、将来設計の参考にしてください。

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残業代で手取り額が増える可能性もある

初任給で手取り17万円を受け取るとしても、残業代でさらに手取り額が増える可能性もあります。

定時に帰ってプライベートを充実させるのも良いですが、少しでも手取り額を増やしたい場合は、上司や先輩にこまめに声がけし、積極的に残業するのも一つの方法です。

以下の記事では残業が多すぎる場合に警鐘を鳴らす記事ですが、固定残業代(みなし残業)についても詳しく解説しています。法律的には違法かどうか、どれくらいまで許容できるのか知りたい方はぜひご覧ください。

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ボーナスや各種手当によっても異なる

初任給は、基本給とほぼ同義だと考えられます。会社によっては、残業手当を合わせて基本給とみなし初任給とするところもあります。しかし、年収は12カ月分の給与だけではありません。

ボーナスや通勤手当、住宅手当、職種によっては資格手当が支給される会社もあります。勤務した会社の給与体系によっては、初任給の手取り額が17万円でも、年収から逆算するとより多くの金額をもらえているかもしれません。

求人票をチェックする際には、初任給だけでなく、各種手当についても確認しましょう。

初任給20万の人の生活費内訳

就職を機に一人暮らしを始める人も多いことでしょう。初任給で20万円、手取りが17万円の人の一般的な生活収支を、表にまとめてみました。これを目安に、生活すると良いと思います。それぞれの内容についても、詳述します。

住宅費

住宅費の適正価格は、手取り額の3分の1程度といわれています。手取り額が17万円の場合は、家賃を6万円以内に収めたいところです。

東京都23区内で家賃6万円以下のワンルームマンションを借りられるのは、足立区の平均5万8000円、葛飾区の平均5万7000円、江戸川区の5万6000円のあたりです。

都内であればOKということであれば、立川市だと平均5万5000円、小金井市や調布市は平均5万6000円となっています。職場までのアクセスを考慮して、居住地域を選びましょう。

水道光熱費・インターネット回線

一人暮らしを始めるにあたり、忘れてはいけないのが水道光熱費です。電気・ガス・水道などの料金の総称が光熱費ですが、冷暖房が電気かガスかによって、金額が変わるので注意が必要です。

また、自宅にテレビはなくても、インターネット回線がない若者は少数派です。賃貸物件にインターネット回線が含まれていない場合、自分で固定費を払う必要があります。それほど自宅でインターネット回線を使わない場合は、ポケットWiFiを申し込むという方法もあります。

通信費

スマートフォンは、仕事をするうえでも欠かせないアイテムとなりつつあります。しかし、ゲームやテレビ視聴もスマホで行える現代、加入している携帯電話会社やプランによって、支払う通信費の額が変わります。

通信費は節約しやすい項目でもありますので、格安SIMへの移行や使用頻度にあったプラン変更をすることをおすすめします。

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食費

手取り17万円での適正な食費は、3万円といわれています。月額3万円ということは、1日に使える食費は1,000円程度です。外食やコンビニでお弁当を買う生活をしていると、1日1,000円で抑えるのが難しいです。

そのため、スーパーで安い食材を買い、自炊するのが節約のためには得策です。ごはんはまとめて炊き小分けにして冷凍する、カレーやハンバーグなどおかずもまとめてつくって保存すると、日々の食事だけでなく、お弁当づくりにも役立ちます。

また飲み会は、上司や先輩におごってもらうなどの方法で乗り切りましょう。

日用品・娯楽・交際費

毎月2万円の貯金をしようと考えた場合、日用品や娯楽・交際費にかけられるのは3万5000円程度です。

この費用の中で優先順位が高いのは、日用品です。ティッシュペーパーやトイレットペーパー、掃除用品、台所洗剤など、日常生活に欠かせないものがどれくらい必要なのか、一人暮らしを3カ月くらい続けたうえで、目安金額を決めます。

3万5000円から必要な日用品にかかる費用を引いた残りを、娯楽と交際費に使います。読書が好きなら図書館を、映画が好きならレンタルDVDや動画視聴サービスを活用し、費用を抑えましょう。

貯金

初任給をもらえるようになったら、貯金の習慣をつけておくことをおすすめします。社内預金制度がある時には、給与天引きにしてもらう方が安心です。月額2万円の貯金ができれば、賃貸住宅の更新費の準備としても十分なはずです。

ただし、自分の生活を極端に切り詰めてまで、月の貯金額を上げる必要はありません。ボーナスを手付かずで貯金するなど、貯金額を増やす方法は別にあるので、毎月続けられる金額に設定しましょう。

寮・実家暮らしの場合は固定費を抑えられる

ワンルームマンションを借りて一人暮らしをする以外に、会社の独身寮に入居する、実家から勤務先に通うなど、様々な暮らし方があります。

独身寮の場合は会社からの補助もあるので、家賃・水道光熱費・インターネット回線使用料が込みで月額2~3万円程度のところが多いです。ただし、朝食と夕食を依頼する場合は、別途食費がかかります。

実家暮らしの場合は、食費として2~3万円入れる人が多いようです。月の固定費を減らせる分、自由に使えるお金が増えます。

初任給の額がいつまでも続くわけではない

初任給20万の手取り額が17万であるため、決して豊かな生活を送れるわけではありません。実家であればまだしも、首都圏の一人暮らしで家賃も負担しながら生活すると、必ずどこかでお金を切り詰めなければなりません。

しかし、初任給の額がいつまでも続くわけではありません。営業職などの場合は、初任給の他にインセンティブが支給されたり、業績によって昇給することもありえます。少しでも早く昇給できるよう、査定を上げる努力をすることをおすすめします。

以下の記事では、一般的な昇給額について紹介しています。しかし、昇給は必ずあるわけではなく、あくまでチャンスとして昇給を行わない企業もあるようです。そのような点は入社前にクリアにしておいた方が良いと思いますので、ぜひ以下の記事で確認してみてください。

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初任給が極端に高い企業は注意が必要

大手企業の場合は、大卒の初任給はどの会社でもそれほど差はありません。しかし、ベンチャー企業や中小企業の中には、大学院修士課程修了者の初任給よりも、高い金額を提示しているところもあります。

しかしその場合、残業時間に見合わないみなし残業代が含まれていたり、住宅補助や諸手当がない可能性があるので、注意が必要です。入社後ミスマッチがないよう、しっかりと下調べする必要があります。

以下の記事ではブラック企業のあるあるを紹介しています。残業時間に関することだけでなく、様々な観点からブラック企業でよく見かける事例をピックアップしているので、入社前にぜひご確認下さい。

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まとめ

初任給20万で手取り額が17万円は、平均的に見ると少ないことが分かります。一人暮らしをして、貯金をしながら生活するのは楽ではありません。

無理のない家賃の物件に住み、無駄遣いをしないように生活をすれば、十分に暮らしていくことができます。この記事を今後の生活費を考える目安にしてみて下さい。

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