近年、成績評価指標としてGPA制度を活用する大学が増えてきました。そのため、大学生の平均GPAの数値が可視化できるようになっています。大学に進学したからには、GPAの平均値を下回る事態は避けたいものです。そこで今回はGPAとは何か、大学生の平均値、就活への影響について解説します。
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この記事の監修者
キャリアカウンセラー|秋田 拓也
厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。
■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
GPAとは
2018年に文部科学省が発表した「平成 29 年度文部科学省高等教育局委託事業『国内大学のGPAの算定及び活用に係る実態の把握に関する調査研究』報告書」によると、GPA制度の導入率はは国立大学では100.0%、公立大学では85.9%、私立大学では79.5%でした。
ここでは、GPA制度とは何かについて説明します。
GPAは大学の成績評価制度
GPAとは「Grade Point Average」の略語で、大学の成績評価制度を意味します。具体的には、学生一人ひとりが履修登録した科目の成績の平均値をさします。欧米の大学や高校で広く使われてきた制度で、日本の大学が導入を始めたのは2000年代になってからです。
学生が主体的に、学修意識を高く持って講義に臨むと共に、教員による指導や学生支援に役立てることを目的に導入している大学が多いようです。
GPAの計算方法
GPAには、明確な計算方法があります。まず、大学の科目は素点に応じて、A~Eまでの5段階に分けられます。そして、段階に応じてGPが付与されます。科目ごとの計算方法は一般的に以下の通りです。
実際には、素点の置き方は大学によって異なります。また、学期や在学期間におけるGPAの計算方法は、以下の通りです。
- 学期GPA=(当該学期におけるGPA導入科目のうち履修登録した科目のGP×当該科目の単位数)の総和÷当該学期におけるGPA導入科目のうち履修登録した単位数の総和
- 累積GPA=(在学全期間におけるGPA導入科目のうち履修登録した科目のGP×当該科目の単位数)の総和÷在学全期間におけるGPA導入科目のうち履修登録した単位数の総和
この累積GPAが、大学卒業時の評価となります。
大学生のGPAの平均
大学における成績評価の基準が異なり、そもそも入学の際の偏差値に幅があります。しかし日本のGPA制度は、大学における「秀」「優」「良」「可」「不可」を基準にしているため、平均値を求めることは可能です。ここでは、大学生のGPAの平均について説明します。
大学生のGPAの平均は2.4~2.8
日本の大学生のGPAの平均は、2.4~2.8といわれています。GPAにおける評価は、一般的に以下のようになります。
平均値の下は勉強不足になっているので、「優秀である」というポイントを狙いたいところです。
大学生のGPAの平均は大学・学部で異なる
GPA制度を導入する大学が増加しても、成績評価の基準が統一化されているわけではありません。大学の先生が学生を評価するうえで重視するポイントとして、以下のものがあげられます。
- 出席率の高さ
- レポート提出率の高さ
- レポートの質
- テストの点数
- テストの平均点を重視する
このバランスによって評価が異なるため、大学や学部で平均値が大きく異なります。そのため、GPAの平均値にも幅があるのです。その点を理解しておく必要があります。
就活でGPAの平均は見られるのか
大学のGPAが就活に影響するかどうかは、応募する業界や職種、企業によって異なるため一概にいえません。そのため自分の志望に合わせて、就活を始める前からGPAを意識しておいた方がよい学生がいるのも事実です。ここでは、就活で大学のGPAは求められるのかについて説明します。
GPAの平均を就活で見られることは少ない
日本企業においては、大学のGPAを就活で求められることは少ないと考えられます。これは、応募者が在籍する大学の偏差値を重視する傾向が強いうえ、大学や学部によって評価の基準が異なると考える企業が多いからです。
国家資格と就職が紐づくケースを除いて、大学の学業成績と入社後の業務内容が一致しないことがほとんどであることも、就活でGPAを求めない理由の一つです。
外資系企業や大企業では見られることもある
一方で外資系企業や大手企業には、GPAを求めるところもあります。GPAの平均を重視する理由として、以下のことがあげられます。
- 講義への取り組み姿勢を理解できる
- 最終選考で他の候補者と差別化しやすい
- 研究分野へのコミット度をはかる
- 専攻科目が確認できる
- 学年別のGPAを比較することで、応募者のモチベーションがはかれる
- 学生生活の安定度を予測できる
- メンタルの強さを垣間見られる
GPAによって上記のポイントをチェックしていくと、就活生の学生生活の過ごし方や行動を知る手掛かりとなります。外資系企業の中には、GPAのポイントによって応募を足切りしているところもあるので、平均値を超える努力をしておく必要があります。
就活でGPAの平均はアピールポイントになる
GPAがの高さを重視する企業ばかりではありませんが、就活生にとっては自己アピールできるポイントの一つになります。それは、学生の本分である学業に真摯に取り組んだ結果として、GPAが高くなっていることに間違いがないからです。
また、専門分野への就職を目指している就活生は、GPAが高いことと「決めたことはやり抜く」という意思の強さをまとめて自己アピールにつなげることが可能です。
GPAの平均が低い場合の就活テクニック
就活生の中には、GPAが平均値に届かない人もいることでしょう。面接において、GPAの低さを指摘される可能性もゼロではありません。そんな時に慌てずに済むように、きちんと対策をたてておくことをおすすめします。ここでは大学のGPAが低い人のための就活テクニックを2つ、紹介します。
①GPAが低い理由を説明できるようにする
1つめは、GPAが低い理由を説明できるようにしておくことです。早期からインターンシップに参加した、経済的事情でアルバイトを優先した時期があるなど、面接官が納得のいく理由を用意するのも方法の一つです。
また、出席率などの問題で成績が振るわなかったとしても、自分が履修した科目を選択した理由を説明することで、就活生が何を学ぼうとしたかを伝えられます。臆せず、評価をプラスにする方法を考えましょう。
大学によっては該当する資格があると単位認定が認められたり、試験費が戻ってくることもあるようです。例えば簿記3級であれば1ヶ月で十分合格が狙えるうえに、就活でも十分使えるアピール資格になります。 現在こちらのURLから資料請求をするだけで、簿記3級に受かるための講義動画ももれなく「無料」で入手できるのでぜひチェックしてみてください。
②勉強以外の活動でアピールする
2つめは、勉強以外の活動をアピールすることです。部活動やボランティア活動、留学、学生起業、研究やフィールドワークに没頭するなど、自分が学生時代に真剣に取り組んだものをアピールするのです。
その場合は具体的なエピソードと共に、成果や自分がどのように成長したか、それを入社後にどう生かせると思うのかにちいて、きちんと説明できることがポイントです。成績以上に得たかったものがアピールできるよう、自己分析でしっかり洗い出しをしましょう。
③ゼミの勉強内容でカバー
たとえGPAの平均が低くとも、ゼミのテーマや勉強内容次第ではカバーできることもあります。
志望企業の仕事内容に近いテーマのゼミの場合、どのようなテーマで研究したかなど定性的な情報を多く盛り込みましょう。それだけで「この学生は大学でしっかりと学んでいる」という印象を与えることができます。
GPAの平均は面接であまり聞かれる機会はないですが、ゼミは聞かれることが多いためその機会をうまく活用するようにしましょう。
大学のGPAの平均は今後就活で重視されるのか
社会のグローバル化がスタンダードな現代を考えると、今後は欧米企業並みにGPAを重視するところが増える可能性は十分にあります。これまではTOEIC®スコアなどで足切りしていた企業が、GPAに移行するのは難しくないからです。
特に応募者多数の大手企業や人気企業は、いつこうした方針を打ち出しても不思議ではありません。大学に入学した当初から、GPAを意識して履修科目を選定することをおすすめします。
まとめ
今回はGPAとは何か、大学生の平均値、就活への影響について解説しました。
就活において、応募者のGPAを評価の対象にしている企業は少数派です。しかし今後を考えると、大学に入学した時点でGPAを意識して勉強しておくのが理想です。自分が志望している業界や職種、企業がGPAを重視しているかどうか、リサーチしたうえで準備を進めることをおすすめします。