就活に関するノウハウを提供しているメディアの中で、「額面給与」「手取り額」という言葉をよく見かけます。しかし額面とは何かについて、入社後に知る人も多いようです。月給・ボーナス共に、額面給与と手取り額は異なるので覚えておくのがおすすめです。そこで今回は、額面とは何かについて解説します。
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この記事の監修者
キャリアカウンセラー|秋田 拓也
厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。
■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
額面とは
会社からもらう給与明細の額面と、実際に銀行口座に振り込まれる金額には違いがあります。初任給をもらった新入社員が、そのために戸惑うケースも珍しくありません。
ここでは、額面とは何かについて説明します。
額面の読み方・意味
額面とは「がくめん」と読みます。小学館のデジタル大辞泉では、額面の意味を以下のように記載しています。
1 公債・社債などの券面
2 「額面金額」の略。「額面を割る」
3 書面の掛け額。また、その表面
4 (比喩的に)外から見えるかたち。特に、内実とは違う見せかけ。「彼の賛辞は額面通りには受け取れない」
就職における額面は、このうち2つめの「額面金額」をさします。しかしそれ以外の意味も、ビジネスシーンで使用されることが多いので、覚えておきましょう。
額面は基本給に諸手当を足した金額を指す
「額面給与」は「額面賃金」といわれることもあります。額面給与とは、基本給に超過勤務手当など様々な諸手当や税金、社会保険料を足した総額を意味します。
給与明細書では「総支給額」の欄に、額面給与が記載されます。これは月給・ボーナスを問いません。
そして給与明細書には、総支給額から控除額を引いた「差引支給額」も記載されています。この差引支給額が、いわゆる手取り額です。
厚生労働省は「平成30年賃金構造基本統計調査」の中で、「性別」「学歴別」「企業規模別」など、様々な調査結果を公表しています。
その中に記載されている平均賃金も額面給与です。実際に受け取る手取り額ではないので注意が必要です。
額面に含まれない給与もある
給与所得の中には、額面に含まれないものもあります。それは、「現物給与」です。国税庁の「No.2508 給与所得となるもの」では、現物給与について以下の記載があります。
1 物品その他の資産を無償又は低い価額により譲渡したことによる経済的利益
2 土地、家屋、金銭その他の資産を無償又は低い対価により貸し付けたことによる経済的利益
3 福利厚生施設の利用など(2)以外の用役を無償又は低い対価により提供したことによる経済的利益
4 個人的債務を免除又は負担したことによる経済的利益
具体例として、通勤交通費や家賃補助、食事の現物支給、商品の値引販売などがあげられます。
従業員にとったはありがたい給与ですが、これらは額面給与には含まれません。そのため、現物給与は課税対象にはならないのです。
額面と手取りの違い
就活で見る求人票にある給与例も、額面給与が記載されています。しかし入社後に受け取るのは手取り額なので、額面給与と異なり戸惑う新入社員も少なくないようです。
ここでは、額面と手取りの違いについて説明します。
額面と手取りの違いを理解している就活生は少ない
応募企業を選定するうえで、給与や福利厚生は重要なポイントでしょう。
しかし、額面と手取りの違いを理解している就活生は少ないのが実情のようです。それが、企業の採用担当者の声としてツイートされています。
「キャリアの相談がしたい」と連絡を下さる学生さんと話していると給与額の話になったりもする.かろうじで「月○ぐらいは欲しい」と答えられる方はいらっしゃっても,それが額面なのか手取りなのか,どこの地域に住んでどんな生活をしたいが故の金額なのかなど答えられる方はほぼいない.#学生さんに届け
— 木村 彰宏 (@1130Kimura) November 30, 2019
今まで参加した新卒採用イベントで「手取りと額面の違い分かります?」と聞いて分かった人は一人しかいなかったので、会社説明会以前に雇用に関する説明会をやった方がいいんじゃないかとすら思う
— 白鳥 紘子 Hiroko Shiratori (@irotarihsLASH) July 8, 2017
就活生が合同企業説明会で採用担当者に給与について質問する際、希望する月給額が額面なのか手取り額なのかを伝えないケースが多いようです。
生活に直結する問題なので、採用担当者は就活生がその違いを知っておくべきと考えていると予想されます。
手取りは額面から控除額を引いた金額を指す
手取り額とは、額面給与から社会保険料や税金などが控除された金額です。
新卒・中途を問わす、求人広告に記載されているのは手取りではなく額面給与であることは前述しました。これは、額面給与から控除する内容が、企業によって異なるからです。
例えば労働組合や退職金積立、社宅がある企業は、それにかかる費用が控除されます。しかしそうした制度がない企業は控除がないため、手取り額が高くなります。
しかし福利厚生を考えると、労働組合費や退職金積立、社宅入居料が控除されても、将来はそれを上回るメリットがあります。
2つを比較すると、社会保険料や税金の控除しかない企業の方が、手取り額の記載では有利です。
そうした誤解をなくす意味でも額面給与の比較が妥当であり、それを記載するのが慣例となっていると考えられます。
額面から手取りを計算する方法
額面給与から手取り額を計算する場合、おおよそ8割程度が目安となります。しかし、額面年収が600万円以下で扶養家族がいない独身社員であることが前提です。
ここでは、額面から手取りを計算する方法を説明します。
額面から控除される項目
額面給与から控除される社会保険料や税金には、以下のものがあります。
- 健康保険料
- 介護保険料(満40歳以降の従業員のみ)
- 厚生年金保険料
- 雇用保険料
- 所得税
- 住民税(新入社員は前年に所得がなければ、入社2年目の6月より控除)
- 労働組合費・退職金積立・社宅賃料(勤務先規定による。制度がないため控除されない会社も多い)
新入社員の場合は、介護保険料と住民税の控除はありません。2年目以降は住民税の控除が始まるので、手取り額が下がります。
計算方法
額面から控除される項目の計算方法は、以下の通りです。
ただし料率については、加入する健康保険や居住地域によって異なるので注意が必要です。また所得税と住民税の料率については、国税庁の「令和2年分源泉徴収税額表」で確認できます。
ここでは、入社2年目の独身社員を例にあげて、実際の手取り額を計算してみます。
手取り額は、総支給額28万円から控除額5万8,030円を引いた、22万1,970円となります。諸手当が多い、扶養家族がいる場合は控除額が変わります。
【参考】「額面通り」の意味・使い方
ビジネスシーンでは「額面通り」という言葉がよく使われますが、意味が2つあります。ここでは、「額面通り」の意味・使い方について説明します。
意味①|記載された金額通りに受け取る
小学館のデジタル大辞泉では、額面通りの意味を以下のように記載しています。
1 証券・債券・貨幣の表面に記載された金額の通り
「求人広告の額面通りに手取り額がほしい」「就業規則にある出張手当の額面通り支給してください」といった使い方をします。
給与の場合は、従業員が会社が提示した金額通りに受け取る場面で使用されます。
意味②|人の話を言葉通りに受け取る
小学館のデジタル大辞泉では、2つめの意味を以下のように記載しています。
2 言葉や物事の表面に現れた意味そのまま。言葉どおり
「彼は上司の説明を額面通りに受け取ることができなかった」「何度も入金遅れがあった取引先が言った、指定日に全額入金するという話を額面道通りに受け取れるほどバカではない」という使い方をします。他者との対話の場面で使用されます。
給料・賃金に関するその他の記事
給与・賃金は就職するうえで、重視すべき項目です。そのため就活生は、きちんと内容を理解したうえで応募企業を検討しておくことをおすすめします。
以下の2つの記事では基本給の男女別・学歴別の平均年収と、初任給の額面給与と手取り額の違いについて解説されています。ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
今回は、額面とは何かについて解説しました。企業の雇用条件で提示されている給与額が額面猶予であることを知っていると、あらかじめ手取り額を予想することができます。
控除項目別の料率に基づき、額面給与から控除額を計算すれば手取り額を算出できます。ただし、控除項目によっては、福利厚生や労働環境を守るうえで控除額以上の恩恵を受けられる可能性があるので、手取り金額に固執せずに判断することをおすすめします。