資生堂の社長|魚谷雅彦(うおたにまさひこ)の経歴や評判、就任後の改革を解説!

資生堂の現会長である魚谷雅彦氏は、2001年に資生堂の社長に就任して以降、自身のマーケティングの知見を駆使して改革を行い、大きく売上を回復させた経歴があります。この記事ではそんな魚谷社長の過去の経歴・実績・有価証券報告書で公表される役員報酬・仕事への姿勢などを紹介します。

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この記事の監修者

キャリアカウンセラー|秋田 拓也

厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。

■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)

資生堂の社長は魚谷雅彦(うおたにまさひこ)

資生堂の社長は魚谷雅彦(うおたにまさひこ)氏です。

ここでは魚谷氏に関する過去の経歴などの詳細を見る前に、資生堂の基本データや魚谷社長の基本情報を確認しましょう。

目次

資生堂の基本情報

資生堂社長の魚谷氏の経歴などを確認する前に、資生堂の基本情報を確認します。

参考:資生堂の有価証券報告書第119期(平成30年1月1日 ‐ 平成30年12月31日)

資生堂は約150年の歴史を持つ老舗の化粧品メーカーで、元は調剤薬局として創業し、ソーダ水やアイスクリームの販売を行っていました。その後1922年に「美容科」「美髪科」が発足し、今の化粧品メーカーとしての礎が誕生しました。

以下の2記事では、数多くの子会社を抱える資生堂の主要な子会社と、顔採用が噂される資生堂の採用活動の実態について紹介しています。資生堂は学生にも人気の企業で難関企業なので、下記の記事の内容も踏まえて就活に望みましょう。

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資生堂の社長 魚谷雅彦のプロフィール

魚谷社長のプロフィールは以下の通りです。

魚谷氏は2001年に資生堂の代表取締役社長に就任し、2006年には同社の代表取締役会長に就任しています。以降、資生堂以外に複数社の取締役にも就任し、幅広い業界に携わっています。

新卒でライオン歯磨(現:ライオン)に入社後、コロンビア大学経営大学院でMBAを取得し、シティバンクとモンデリーズ・ジャパンを経て資生堂の社長に就任しました。

資生堂の社長 魚谷雅彦(うおたにまさひこ)の経歴と実績

経歴・最終学歴共に素晴らしい魚谷社長ですが、ここでより詳しく魚谷社長の過去の経歴やこれまでの実績を見てみます。

魚谷社長が資生堂の社長に就任して以降は、赤字資産が滞留していた資生堂を改革し、4年間で売上を11%成長させています。

資生堂の社長 魚谷雅彦の経歴

1988年にシティバンクのマネジャーに就任して以降は、輝かしい経歴が続いていますが、学生時代の就職活動は思うように行かなかった過去もあり、経営者としての地位を確立する前の苦労や努力が見られます。

ここでは、高校時代から資生堂の代表取締役社長就任までの経歴を見ていきましょう。

英語に目覚めた高校時代・思うように行かない就職活動

魚谷社長は奈良県出身で、中学時代はサッカー少年でしたが、高校は英語教育が活発に行われるカトリック系の学校に進学します。

その影響で英語に興味を持つようになり、将来は英語を使って世界を相手に仕事がしたいと思うようになります。大学は同志社大学文学部と高学歴ですが、世界で働くために商社を目指して就活をするものの、内定を獲得することは出来ませんでした。

しかしそれでも、世界を相手に仕事をしたいという思いは消えず、商社以外で留学制度がある企業を探し、最終的にはライオン歯磨株式会社(現:ライオン)に入社します。

留学資格の獲得と、外国での気づき

ライオン歯磨に入社後、営業マンとしての仕事が続きます。

日中は営業マンとして働きながら、社内の留学資格者の試験をクリアするために、業務終了後に英会話学校に通う日々が続き、昼夜問わず仕事と自己研鑽に励んでいました。そして、29歳で社内試験に合格し、コロンビア大学に留学します。

「Japan as No.1」と言われた時代で、魚谷氏に興味を示す外国人学生も多くいたようです。当時の欧米企業では、成果を出せない社員をすぐクビにする文化が根強く、欧米企業では珍しかった「チームワーク意識」の重要性に気づいたと言われます。

日本コカ・コーラマーケティング本部長と資生堂社長就任

コロンビア大学でMBAを獲得して以降は、以下のように主にマーケティング業務を中心に管理職・取締役などを歴任します。

資生堂の社長に就任する前はシティバンク・クラフトジャパン・コカコーラなどの管理職を歴任。2001年には資生堂の社長に就任しますが、その後ブランドヴィジョン・アスクル・シティバンク各社の取締役にも就任します。

しかし2010年以降資生堂の業績が低迷すると、2013年に同社のマーケティング統括顧問に就任し、以下で紹介する改革を断行し、4年間で売上を11%も回復させます。

資生堂の社長 魚谷雅彦が行った改革

ここからは、2013年に資生堂のマーケティング統括顧問に就任して以降に行った改革の具体的な内容について紹介します。

当時の資生堂は、2010年に買収した米国企業の売り上げ低迷や、国内外の不採算子会社・工場の閉鎖、さらには2015年の消費増税などで売上が伸び悩んでいました。この状況を打開するため、魚谷社長は以下の2つの改革を進めます。

①「セルイン」から「セルアウト」志向への転換

「セルイン」とはメーカーが卸や小売店に商品の納品することで、「セルアウト」とは小売店が消費者に商品を売ることです。

改革前の資生堂は、化粧品業界全体に見られる「セルイン」で売上を計上していました。しかし卸や小売に納品しても最終消費者に購入されていなければ、実需に見合わない品数を納品することになり、小売店では在庫が積み上がり品質が下がります。

そのため、魚谷社長は自社の商品を実際に使う消費者が購入した時点で売上を計上する「セルアウト」志向に変更し、自社商品が本当に売れているのかを把握しながらマーケティング・セールスを行うように方針を転換しました。

②「インバウンドマーケティング」への転換

また、魚谷社長の改革の中で、従来の化粧品販売のように百貨店などの各種販売店で美容部員が売り込む「プッシュ型」の販売から、問い合わせを待つ「プル型」の販売を主体とする仕組みに移行したとも言われています。

ここでは魚谷社長の過去のマーケティングに関する知見を活かし、見込み客からの問い合わせから顧客のニーズを吸い上げ、今お客様が求めている商品をいかにつくるかという視点に切り回りました。

資生堂の社長 魚谷雅彦(うおたにまさひこ)の年収と評判

輝かしい経歴と大企業の売上回復に貢献してきた魚谷社長の資産・収入が気になる方もいるかと思います。

ここではその情報と、世間では魚谷社長についてどんな意見が発信されているのかについて見てみます。

資生堂の社長 魚谷雅彦の資産・年収

資生堂の有価証券報告書の記載では、魚谷社長の報酬は「4.12億円」とされています。その内訳は以下の通りです(単位は百万円)。

参考:資生堂の有価証券報告書第119期(平成30年1月1日 ‐ 平成30年12月31日)

役員報酬などが1億円を超える取締役は、有価証券報告書にその報酬額が記載が義務づけられます。魚谷氏の場合、上記の通り1.5億円の基本報酬に加え、賞与でも1.6億円を得ていることが分かります。

総資産額については開示されている情報はありませんが、毎年4億円近くの年収を獲得していることを考えると、これまでに蓄えられている貯蓄は数十億円単位になっていることが想像できます。

資生堂の社長 魚谷雅彦の評判

このような魚谷社長に対して、ツイッターでは以下のようなツイートが見られます。

<script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script>

資生堂では「資生堂ショック」と言われる、女性の働き方改革が行われました。このツイッターでは、魚谷社長の女性が働きやすい職場環境づくりへの取り組みに賛同の声が上がっています。

<script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script>

こちらのツイートでは、リーダーとしての「話し方」の重要性が述べられています。コロンビア大学在学中の「チームワーク」の重要性に気づいたことが、魚谷社長の求心力につながっているのかもしれません。

資生堂の社長 魚谷雅彦(うおたにまさひこ)の名言

魚谷社長は各種メディアで、下記のような発言をしています。

一緒に仕事をしている同僚や部下たちに、「やってやろうじゃん!」という気持ちを起こさせる能力といえばいいのでしょうか。そういう能力をリーダーが持っていると、組織は思いもよらない大きな力を発揮するものなのです。

参考:PHP Online 衆知

こちらの発言は、先述のツイートのようにリーダーに求められる資質は、部下を奮い立たせる力だということが述べられており、魚谷社長の「チームワーク意識」の高さが垣間見られます。

まったく新しい商品を世に送り出すのに、市場があるわけないじゃないですか。市場調査ができるということは、すでに市場があるということでしょう。それは二番煎じである証拠なのです。

こちらは、誰も作ったことのない新しい商品を生み出すことの重要性について述べた発言です。マーケティングのプロである魚谷社長だからこそ、売れる新しい商品を作れるのだと考えられます。

まとめ

この記事では、資生堂代表取締役社長の魚谷雅彦氏について、過去の経歴や資生堂で行ったこと、魚谷社長に対する世間の声などを紹介しました。

100年以上続く老舗企業の経営改革によって、売上を大幅に成長させた功績が目立ちますが、その裏には20代の頃の努力の時期や、留学時の学びや気づきが反映されていることが分かります。

これからキャリアを積み上げていく方も、自分にどんな強みや得意分野があるのかを考え、様々な経験から社会に還元できる能力を身に付けて行くようにしましょう。

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