現在、アルバイトや契約社員として働いている方の中には、このまま同じ企業で正社員として働くことを希望している方もいるかと思います。そんな方は正社員登用制度を利用してみるのはいかがでしょうか。本記事では正社員登用制度や、正社員登用されやすい人の特徴について解説していきますので、参考にしてみてください。

正社員登用とは

求人情報などでも「正社員登用あり」という表記を見たことがある方もいるかと思いますが、この「正社員登用」とは一体何でしょうか。

正社員登用とは、非正規雇用で働いている人を正社員に登用することです。

つまり、現在パートやアルバイト、および契約社員といった雇用形態で働いている人を正社員に転換させる制度ということになります。

厚生労働省が行った「平成23年有期労働契約に関する実態調査（事業所調査）」によると、有期契約労働者を雇用している事業所の52.0%が、正社員転換制度があると回答しており、正社員登用制度は珍しい制度ではありません。

これから非正規雇用で働くことを検討しており、将来的にその企業で正社員になりたいと思っているのであれば、正社員登用の制度の有無を確認しておきましょう。

正社員登用の流れ

では次に、正社員登用制度を利用した場合の具体的な流れについてご説明していきます。

企業にもよりますが、正社員登用制度は誰もが今すぐに利用できる制度というわけではありません。どのようにして正社員登用されるのか、事前に確認しておく必要があります。

正社員登用されるまでのルートは大きく分けて2つあります。

まず1つ目は「社員登用試験を受ける」場合です。

非正規雇用者を正社員として登用するために、「社員登用試験」を実施する企業があります。試験内容は企業によって異なりますが、筆記試験や面接を実施するところが多いようです。

この試験を突破することで、正社員になることができます。

2つ目は「上司から推薦を受ける」場合です。

こちらは社員登用試験を実施していない企業に多く見られる正社員登用のルートです。上司から推薦を受ける場合、その上司に「正社員登用推薦状」を書いてもらう必要があります。

正社員登用制度を利用する方は、自分の勤務している企業が2つのルートのどちらを採用しているのか、あらかじめ確認しておきましょう。

正社員登用のメリット

続いては、非正規雇用から正社員になることで得られるメリットについてお話ししていきます。

正社員になると、以下のようなメリットがあります。

• 安定した収入が得られる
• 原則、定年まで働くことができる
• 福利厚生の恩恵を受けられる

正社員は雇用期間の定めがなく、基本的に定年まで働くことができます。

そのため、非正規雇用者が抱える不安のひとつである雇い止めに代表されるような、仕事を突然失うというリスクが低く、安定した収入を確保することができます。

また、福利厚生の恩恵を最大限に受けられるのも、正社員のメリットのひとつです。

残念ながら多くの企業において、非正規雇用者は一部の福利厚生が適用されません。待遇改善が叫ばれる昨今の流れこそあるものの、未だに各種手当や有給休暇などの格差は埋まっていません。

正社員になればそんなことはなく、すべての福利厚生を利用することができます。

企業が正社員登用をする理由

正社員登用は企業にとってもメリットのあることです。

正社員登用制度は、上手く運用することができれば、人手不足を解消できるだけでなく、効率的な採用活動にもなります。

例えば、パートやアルバイト、契約社員として働いていた労働者を正社員として採用することで、企業は業務内容を熟知した人材を獲得することができます。

また、企業はその人のやる気や適正をじっくり見極めることができ、労働者はその企業について深く知ることができるので、企業と労働者、両者にとってミスマッチが起きにくいのも魅力です。

このように、企業は適正を見極めた上で、すでに業務に関する各種技能を取得した人物を雇用することができるので、正社員登用は結果的に採用活動のコストを抑えることに繋がるのです。

ユニクロやGUを展開する「株式会社ファーストリテイリング」やディズニーランドを運営する「株式会社オリエンタルランド」では、こうしたメリットにより、正社員登用を積極的に行なっている企業の代表です。

正社員登用されやすい人・されにくい人の特徴

正社員登用は、非正規雇用で働いている方にとっては非常に魅力的であり、方や企業にとってもメリットのある制度です。

しかし、残念ながら、正社員登用は望めば誰でもできるというわけではありません。

正社員登用されやすい人、されにくい人にはいくつかの特徴がありますので、参考にしてみてください。

正社員登用されやすい人の特徴

まずは正社員登用されやすい人の特徴です。

正社員登用をされやすい人物というのは、企業にとって有益な人材です。

以下の内容を参考に、企業側に「正社員として長く働いてほしい」と思われる人物を目指していきましょう。

①成果を出している

まず1つ目の特徴は、自分の業務で成果を出していることです。

「そう言われても、非正規雇用者は正社員のサポートが業務の中心なんだから、華々しい成果なんて出せない」と、思う方もいるでしょう。

しかし、実際のところ、必ずしも華々しい成果でなくて構いません。

例えば、自分の業務に対して問題意識を持ち、積極的に改善に取り組んだり、正社員に指示をされる前に、必要な業務を先回りして行えるなど、そうした地道なことで構いません。

「指示待ち人間」にならないことが大切なのです。

②コミュニケーション能力が高い

高いコミュニケーション能力を持っていることも、正社員登用されやすい人の特徴です。

仕事というのは基本的に周囲の人と協力して行うものです。

そのため、周りの人と円滑な人間関係を築くことができる人物は、企業にとって採用しておきたい人材と言えます。

毎日の挨拶や、他人の指示をよく聞いて理解することができるなど、日頃からチームワークを大切にしているかどうかは、正社員登用をするかどうかのひとつのポイントになります。

③専門的な知識やスキルを持っている

例えばエンジニアなど、業務に専門的なスキルや知識を必要とする職種においては、それらを身につけておくことで正社員登用されやすくなります。

正社員登用を目指している方は、社内で必要とされているスキルや知識を身につけてみてはいかがでしょうか。

通常業務だけではそうしたスキルが身につかないという場合は、独学で習得するのもおすすめです。

正社員登用されにくい人の特徴

続いては正社員登用されにくい人の特徴です。

正社員登用制度があるにもかかわらず、いつまで経っても正社員になれずにいる人は一定数存在します。

「頑張っても、どうせ正社員にはなれない」、「自分を正社員にしてくれない会社が悪い」とネガティヴになる前に、自分にも原因がないか一度考えてみましょう。

① 積極性がない

「頑張っているのに正社員登用されない」という悩みを抱えている方は、積極性がないことが正社員になれない理由になっている場合があります。

先ほども少し触れましたが、企業にとって必要な人材とは、積極的な人物です。

言われたことだけ行う、いわゆる「指示待ち人間」は企業にとって有益とは言えません。

厳しい言い方になりますが、言われたことをやるのは当然のことです。

正社員として登用されることを望むなら、プラスアルファの努力をしましょう。

②信頼できる人物ではない

遅刻や欠勤、早退が異常に多い人物は、正社員登用をされにくい傾向があります。

仕事をする上では、信頼関係を築くことが非常に重要になります。何年も同じ企業で勤務をし、業務内容を熟知していても、勤務態度が悪ければ正社員にはなれません。

ましてや、遅刻や欠勤をしないということは、社会人として当然ですので、心当たりのある方は改善すべきです。

仕事に対して責任感に欠ける人物は、正社員として相応しくないと判断されてしまうのです。

③会社が求めるスキルレベルに達していない

非正規雇用者を正社員として雇うメリットに、「業務内容を熟知している人材を確保できる」というものがあります。

そのため、業務に必要な技能が身についていないうちは、基本的に正社員登用されることはありません。

企業によっては、正社員登用試験を受けるために、「○年以上の勤務実績があること」という制限を設けている企業もあるくらいです。

正社員登用されるのは即戦力になる人物です。すぐに正社員になりたいと考える方もいることと思いますが、勤続年数が浅いうちは、じっくり腰を据えて、必要なスキルを習得するようにしてください。

正社員登用の面接とは

最後は正社員登用の面接についてお話ししていきます。

正社員登用制度がある企業の多くは、その選考として面接を実施しています。

日頃の仕事ぶりも大切ですが、面接においても、自分をしっかりアピールできるよう対策をしておきましょう。

正社員登用の面接で聞かれる質問

正社員登用の面接で聞かれる質問は、基本的には新卒のときの就職活動で問われるような質問と同じですが、中には正社員登用面接ならではのものもあります。

以下にいくつか例をご紹介します。

• この会社で正社員を目指す理由
• 正社員登用を希望する理由
• 今後のキャリアプラン

「この会社で正社員を目指す理由」や「正社員登用を希望する理由」について問われたときは、「その企業で」正社員を目指す理由を話すようにしてください。

「安定して働ける」、「福利厚生が充実している」のような、多くの企業に当てはまる理由はNGです。

自分を正社員として雇用するメリットを論理的に話せるように対策をしておきましょう。

また、正社員登用の面接においては、今後のキャリアプランについて尋ねられることもあります。

そのために、正社員として雇用されたあと、自分はどのように働きたいか、あるいはどんな人間になっていたいかといった未来のことまで、あらかじめ考えておきましょう。

正社員登用の面接のポイント

正社員登用の面接のポイントは以下です。

• 自分が会社に貢献できることをアピールする
• 自分の能力をアピールする
• 自分の言葉で伝える

正社員登用の面接で大切なことは、「自分を正社員にすることで、企業にどのようなメリットがあるか」ということを面接官に伝えることです。

新卒のときの採用面接とは違い、正社員登用の面接では、いかに自分が即戦力になるかということを企業に示さなければなりません。

新卒で入社をする場合は「入社後に必要な技術や知識を身につけます」という姿勢でも良かったのですが、正社員登用の面接においては、それではいけません。

今の自分にどのような能力や実績があり、それを正社員としてどのように活かすかということを話さなくてはならないのです。

またその際は、自分の言葉で伝えるということも重要になります。荒削りでも、自分自身の力で考えた理由を伝えるようにしましょう。

まとめ

現在、非正規雇用で働いている方でも、正社員登用制度を利用すれば、同じ企業で正社員として働くことができます。正社員登用されるためには正社員登用試験を受ける必要がありますが、突破できれば安定した収入を得られるなど、様々なメリットがあります。正社員を目指している方はぜひ、ご自身の会社の正社員登用制度をチェックして見てはいかがでしょうか。