10時間労働は36協定に反する!?休憩、残業の観点から違法性を徹底解説!

厚生労働省が発表した「平成31年就労条件総合調査」によると、労働者の1日の所定労働時間は7時間46分でした。それと比較すると、1日10時間労働というのはきついという印象を受けます。また労働基準法に抵触している可能性が疑われます。そこで今回は36協定も含め、10時間労働について解説します。

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この記事の監修者

キャリアカウンセラー|秋田 拓也

厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。

■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)

10時間労働はきつい

医療・看護などの業界では、変形労働時間制を採用しています。その場合、シフトが10時間労働を前提に組まれることも多いです。また教職員にこの制度が適用されると、労働環境の悪化が懸念されています。

10時間労働は労働基準法32条に反するのか

労働基準法は、企業に雇用されている労働者の働く環境を保護するために設けられた法律です。そのため、以下のような最低限の基準を定めています。

  • 労働者が職場で働く労働時間
  • 労働者の最低賃金
  • 労働者の年間休日

ここでは労働基準法32条を取り上げ、10時間労働が違法ではないのかについて説明します。

目次

①1週間に40時間以上の労働はさせてはいけない

「労働基準法第四章 労働時間、休憩、休日及び免じ有給休暇」には、以下の記載があります。

(労働時間)
第三十二条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。

つまり労働者を1日8時間、週に40時間を超えて働かせてはいけないと、労働基準法に定められています。

しかし仕事によっては繁忙期と閑散期があり、忙しい時期にこの拘束時間を守ることは難しいのが現実です。そのため後述する「36協定」を労使間で締結することで、合法としています。

また、近年は週休3日制となっている企業も存在します。その場合、1日10時間労働でも4日しか勤務拘束されませんので、1週間の総労働時間は40時間です。これも労働基準法には抵触しないので、合法です。

②1日に8時間以上の労働をさせてはならない(休憩時間を除く)

「労働基準法第四章 労働時間、休憩、休日及び免じ有給休暇」には、以下の記載もあります。

(労働時間)
第三十二条 2 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。

これだけをみると、1日10時間労働というのは労働基準法に違反しているように思えます。しかし労働基準法第32条2における8時間というのは、休憩時間を除いた実働時間です。労働基準法では、労働者に対する休憩時間にもルールを設けています。

  • 労働時間が6時間以上8時間未満の休憩時間は45分
  • 労働時間が8時間を超える場合は1時間以上

つまり、10時間労働であっても上記の義務を守り、実働時間が9時間であれば合法です。

10時間労働は36協定に反するか

36協定とは、法定時間を超えて労働者に仕事をさせる際には、労働組合または労働者の代表を前もって協定を結ばなければならないというルールです。「労働基準法第四章 労働時間、休憩、休日及び免じ有給休暇」でも、以下のように規定されています。

(時間外及び休日の労働)
第三十六条  使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この条において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。

そして厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署が連名で発表している「時間外労働の限度に関する基準」では、36協定締結の際に遵守しなければならない内容がわかりやすく紹介されています。労働者側がチェックする必要があるのは、以下の項目です。

  • 時間外労働をさせる必要のある具体的な理由
  • 時間外労働をさせる必要のある業務の種類
  • 時間外労働をさせる必要のある労働者の数
  • 時間外労働をさせる業務の範囲
  • 時間外労働をさせる一定期間の区分
  • 時間外労働をさせる延長時間の限度

双方で確認のうえ労使間で36協定を締結し、期間における限度時間を遵守したうえで、きちんと残業手当や休日出勤手当が支給されていれば合法となります。以下に36協定で定められた、労働者の延長時間の限度をまとめておきますので、参考にしてください。

●一般労働者の場合

例えば10時間労働を5日間行なった場合、延長時間は2時間×5日=10時間となります。上記の表では、1週間の限度時間が15時間ですので、1週間単位で考えると違法ではないと言えます。

しかし、同じ状態が1ヶ月続くと、10時間×4週間=40時間となります。限度時間は45時間ですので、違法なラインにかなり近くなることは抑えておくと良いでしょう。

●対象が3ヶ月を超える1年単位の変形労働時間制対象者の場合

10時間労働で違法なパターン

36協定をはじめ労働基準法をきちんと守っていれば、10時間労働は合法です。しかし中には、労働者に対し明らかに違法な10時間労働を強いている企業があるのも現実です。

ここでは労働基準法違反となる10時間労働の例について、説明します。

①休憩時間なし / 休憩1時間未満

「労働基準法第34条」には、以下の内容が明記されています。

(休憩)
第三十四条 使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。

つまり10時間労働にも関わらず、休憩が1時間未満の場合は労働基準法違反です。休憩時間なしなどは、論外です。

しかし、休憩時間のとり方については規定がありません。1回1時間の休憩はとれなくても、15分の休憩が4回あれば合法です。また、休憩を与えるタイミングについてもルールはなく、勤務拘束時間内に消化すればよいとされています。

②残業代未払い

36協定を結んで10時間労働をしている場合には、2時間分は超過勤務になるので、企業は労働者に対し残業手当を支給する義務を負います。同様に残業手当の計算方法も、労働基準法で定められています。

  • 1時間あたりの残業代=基礎賃金×1.25
  • 基礎賃金とは1ヶ月の基本給を時給計算して算出した数字

10時間労働を5日間行った場合、超過勤務が1日2時間×5日分で10時間となります。この分の残業代が未払いの場合は、労働基準法違反です。

変形労働時間制を採用している会社もある

企業の中には、変形労働時間制を採用しているところもあります。変形労働時間制とは、繁忙期に勤務時間が増えることがあっても時間外労働として取り扱わなくて済むように、労働時間を月あるいは年単位で調整する仕組みです。サービス業界で多く採用されている、労働時間制度です。

厚生労働省は「週40時間労働制の実現 1ヵ月又は1年単位の変形労働時間制」の中で、 労使協定又は就業規則その他これに準ずるものにおいて、あらかじめ労使間で決めておく内容について定めています。

  • 1ヶ月単位の変形労働時間制では、法定労働時間の総枠の範囲内で、1ヶ月以内の各日・各週の労働時間を特定
  • 1年単位のの変形労働時間制では対象期間を1ヶ月から1年とし、法定労働時間の総枠の範囲内で、1日10時間1週52時間以内で連続勤務日数の限度が6日となるよう、大量機関における労働日と1日の労働時間を特定

さらに1年単位のの変形労働時間制の場合は労使協定を締結してうえで、所轄の労働基準監督署に届け出る義務を負います。そのため、締結した内容が守られない場合は、労働基準法違反となります。

10時間労働が多い業界・職種

労働基準法を遵守するのは前提ですが、職業によっては難しいのが現実です。その仕事に就くために国家資格を取得しても、続けていける保証はありません。

ここでは10時間労働が多いとされる職業を、いくつか紹介します。

医者

医者の仕事は2つに大別されます。患者さんに対し病気やケガの治療・予防・リハビリテーションを行う「臨床医」と、 医学的な基礎研究を行う「研究医」です。そして激務といわれるのは、臨床医です。勤務する病院の規模にもよりますが、病気やケガは待ってくれないため、時間通りに追われる仕事ではありません。

そのため10時間労働が常態化しているようです。また、医者は高給というイメージがありますが、労働時間を考えると一概にそうとはいえません。激務といわれる医者の働き方については、以下の記事が参考になります。ぜひ一読してみてください。

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施工管理

国家資格が必要な施工管理は、納期に間に合うように工事現場の作業を発注通りに進むよう管理する仕事です。土木・電気など様々な専門職が関わり、工程も複雑なので計画通りに進むことは稀です。

現場作業が終わっても報告書の作成などの事務仕事があり、10時間労働が当たり前の仕事です。施工管理が激務といわれる理由については、以下の記事を参考にしてください。

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証券会社

証券会社の仕事は、投資家に代わって株を売買することです。お客さまに代わって株の売買取引をする「ブローカー業務」、企業から株式を買い取りたくさんの人に売る「アンダーライティング業務」、新規に発行された株式の買い手を見つけて販売する「セリング業務」などがあります。

ノルマがあり、利害関係者との調整も不可欠なので、10時間労働は珍しくありません。証券会社が激務といわれる理由について、以下の記事で詳しく説明しています。ぜひ読んで参考にしてください。

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まとめ

36協定が締結され、きちんと届出されていれば、10時間労働であっても労働基準法違反とはなりません。職場によっては10時間労働・12時間労働を前提に、シフトを組むところもあります。しかしながら、休憩をきちんととれる、残業代が支給されることが大前提です。応募する職場に問題がないか、きちんとリサーチすることをおすすめします。

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