パワハラ上司の心理的弱点を掴み、仕返しに退職へ追い込むことを望む方は多いと思います。パワハラ上司は共通した特徴があるので、法的に訴えるなどの方法でパワハラ上司を潰すことは可能です。本記事では、まず初めにパワハラ上司の要素と類型をご紹介します。続いて、パワハラ上司への対処法と仕返し方法もお伝えします。
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この記事の監修者
キャリアカウンセラー|秋田 拓也
厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。
■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
パワハラ上司の特徴3要素と6類型
パワハラ上司とは、部下に嫌がらせをするというイメージがありますが、どのように定義されているのか知りたい方も多いのではないでしょうか。
本見出しでは、雇用環境・均等局が発表した資料を参照して、パワハラの3つの要素とパワハラの6類型をご紹介します。
パワハラの3つの要素
以下では、職場のパワーハラスメントに該当するための要素をご紹介します。これら3つのいずれも満たす場合に、職場のパワーハラスメントだと判断されます。
①優越的な関係に基づいて行われる
1つ目の要因は、優越的な関係に基づいて行われることです。この行為は、労働者が使用者に対して抵抗又は拒絶することができない可能性が高い関係において行われます。
- 職務上の地位が上位の者による行為
- 業務上で不可欠な知識や経験を持つ者による行為
- 抵抗又は拒絶することが困難な集団による行為
具体的な例としては、以上の3つが挙げられています。いずれの行為においても、立場の優位性を利用して行う行為がパワーハラスメントだとみなされます。
②業務の適正な範囲を超えて行われる
2つ目の要因は、業務の適正な範囲を超えて行われることです。この行為は、社会通念上で判断しても業務上で必要性が無い、またはその様態が適切でないものです。
- 業務上の目的を大きく逸した行為
- 業務を遂行するための手段として不適切な行為
- 行為の回数や様態が社会的に認められる範囲を超えている行為
適性な業務範囲を超えている行為として、以上の例が挙げられます。いずれにおいても、本来であれば必要のない行為であったり、或いは常識を超えている行為が該当します。
③身体的もしくは精神的な苦痛を与えること、または就業環境を害すること
3つ目の要因は、身体的もしくは精神的な苦痛を与える事、または就業環境を害することです。この行為は、労働者が就業する上で重大な悪影響をもたらすものです。
- 暴力により傷害を負わせる行為
- 激しい暴言などによって人格を否定する行為
- 長期に渡る無視や不適切な業務の付与により就業意欲を損なう行為
以上が、身体的・肉体的な苦痛を与えたり就業環境を害する行為に該当します。これらは、より直接的で周囲からもパワーハラスメントだと認知されやすい行動だと言えます。
パワハラの6類型
パワーハラスメントの3要件がわかりましたが、行為類型としてはどのようなものがあるのでしょうか。本見出しでは、パワハラの行為類型を6類型で網羅的にご紹介します。
何れの類型においても、前述の3要件を満たしている場合と満たさない場合の例をそれぞれご紹介します。
①身体的な攻撃
1つ目は、身体的な攻撃です。身体的な攻撃とは、殴る蹴るといった直接的な暴力行為に加えて、物を投げつけたりなど何かを用いた暴力を対象としています。
以上は、身体的な攻撃がパワハラの3要件を満たすか否かをまとめた表です。立場が上の上司が、業務に関係なく肉体的な苦痛を与えた場合にはパワハラとなります。
②精神的な攻撃
2つ目は、精神的な攻撃です。精神的な攻撃とは、人格を否定する発言を繰り返したり、実情とは異なる噂や評価をして組織内における立場の悪化に繋がる言葉の暴力です。
以上は、静止員的な攻撃がパワハラの3要件を満たすか否かをまとめた表です。発言が注意が業務上の必要性が認められず、かつ労働者個人の人格に関わる場合パワハラとなります。
③人間関係からの切り離し
3つ目は、人間関係からの切り離しです。人間関係の切り離しとは、労働者を意図的に孤立する状態へ追い詰めることで、物理的な嫌がらせによる精神的なパワハラと言えます。
パワハラに該当する・しない人間関係からの切り離しは以上となります。不必要にも関わらず、別室に隔離したり自宅での研修を課して他者との交流を制限する行為になります。
④過大な要求
4つ目は、過大な要求です。過大な要求とは、本来要求されるレベルをはるかに逸脱して、限界ギリギリまでの労働や過労に相当する業務を付与して追い詰めることです。
過大な要求の中でもパワハラだと判断される事例と、されない事例は以上となります。社員を意図的に潰すことを目的とした指示や要求は、過大な要求に該当します。
⑤過小な要求
5つ目は、過小な要求です。過小な要求とは、部下にあえて極めて簡単で退屈な業務ばかりを行わせることで、精神的なストレスを与え続けて退職に追い込むことです。
以上は、パワハラの3要件を満たす・満たさない場合の過小な要求です。仕事へのやりがいを感じることが無く、退屈さで嫌になることを想定した場合に過小な要求となります。
⑥個の侵害
6つ目は、個の侵害です。個の侵害とはプライバシーを侵害したり、あるいは社員の思想や信条を理由として組織内で孤立させたりすることです。
パワハラの3要件をみたす個の侵害と、満たさない例は以上となります。社員への配慮やサポートではなく、悪意を持った嫌がらせに繋げた場合に個の侵害となります。
その他のハラスメント
パワハラについて詳しくわかりましたが、その他のハラスメントではどのようなものがあるのか知りたいと感じた方もいらっしゃると思います。
これらのハラスメントは、いずれもパワハラと同様に3つの要件を含むものとして、上司が部下に対して行っている場合には問題となります。
また、以下の記事では職場の人間関係や仕事上のストレスに悩む方へ、改善に向けたポイントをご紹介しています。今が辛くても希望を捨てず、解決に向けて一歩を踏み出しましょう。
パワハラ上司になる心理的背景
パワハラの要件と類型について理解を深めることができましたが、そもそもなぜパワハラをするのか心理的な背景を知りたい方もいらっしゃるのではないでしょうか。
- 実は人間関係に臆病な小心者
- 神経質で異常なほどの心配性
- 自己抑制が聞かない
- 支配的な願望がある
- 嫉妬深い
- 自分も上司からパワハラを受けてきた
- 慣習や価値観が変えられない
パワハラ上司になる心理的背景としては、以上7つのようなポイントが挙げられます。一言で要約すると、人間として未熟で人と向き合えない弱さがあると考えられます。
パワハラ上司に狙われやすい人・狙われにくい人
前述の見出しでは、パワハラ上司の心理的背景がわかりましたが、パワハラの対象となりやすい人はいるのでしょうか。
本見出しでは、パワハラ上司に狙われやすい人・狙われにくい人の特徴をそれぞれご紹介します。パワハラに悩んでいる方は、ぜひご自身の特徴と比較してみて下さい。
狙われやすい人
パワハラ上司に狙われやすい人は、以下のような人だと考えられます。本来であれば、組織内の雰囲気を良くしたり良好な人間関係の構築に貢献できる魅力的な人です。
- 仕事に真面目で言われたことを妥協せずに行う人
- 人と争ったりぶつかることが嫌で優しい人
このように、パワハラ上司から狙われてしまう人は相手に非があってもそれを受け入れ、自分の中でため込んだり自己解決をしようとしてしまうため、狙われてしまいます。
狙われにくい人
パワハラ上司狙われにくい人は、以下のような人だと言えます。理不尽な要求や行動に対して理路平然な対応ができたり、パワハラ上司の止め方を把握している人です。
- パワハラに該当する問題行為を的確に指摘できる有能な人
- 法的な知識など、パワハラをすることが難しいと感じる知識がある人
上述のように、パワハラ上司から狙われにくい人は、ターゲットとすることが難しいと能力や態度で明確に示すとともに、辞めさせるための手段を取ることができます。
パワハラ上司への対処法
パワハラ上司に、狙われやすい人と狙われにくい人の特徴をそれぞれ確認しましたが、パワハラを実際に受けた際にはどのような対処が求められるのでしょうか。
本見出しでは、パワハラ上司への対処法を6つご紹介します。パワハラの類型に応じて、適切な対応をできるようにしましょう。
①身体攻撃型への対処法
1つ目は、身体攻撃型への対処法です。身体攻撃型のパワハラとは、直接的に殴る・蹴るといった暴行となるので、心身の危険を伴います。
- 大声を出して周囲に助けを求めるなど暴行の実態を知らせる
- 警察や人事部などへ速やかに通報して暴行の被害届を出す
身体攻撃型のパワハラでは、継続的に暴力を受けるという状況を避ける必要性があるので、パワハラ上司と1対1で密室に行くといった状況を回避することを心がけましょう。
②精神攻撃型への対処法
2つ目は、精神攻撃型への対処法です。精神攻撃型のパワハラとは、人格を否定するような発言、陰湿な嫌がらせや暴言などであり、記録を残すことが最優先となります。
- スマホや録音機などで、パワハラ上司の発言を録音しておく
- 何月何日に誰といる場所でどのような暴言・発言をされたか記録する
以上のように、後の証拠を得ておくことが推奨されます。またこちらの記事では、精神的なストレスに疲れて働くことが難しい時の対応を解説しておりますのでご一読下さい。
③人間関係切り離し型への対処法
3つ目は、人間関係切り離し型への対処法です。人間関係切り離り型のパワハラでは、社員を孤立させて精神的なストレスを与える方法であり、状況の通告が推奨されます。
- 管理職についているその他の上司へ相談をする
- 人事部や法務部に仕事上の悩みとして現状を報告する
精神力が強い人でも、毎日出社から退社までを小部屋で過ごさせると参ってしまうので、このような指示がなされたらできるだけ速やかに通告をして助けを求めることが必要です。
④過大要求型への対処法
4つ目は、過大要求型への対処法です。過大要求型のパワハラでは、明らかに完遂が不可能な業務量や肉体的に負担がかかる仕事をさせる方法であり、明確な意思表示が必要です。
- 業務量を一人では処理しきれないと伝えて、業務の軽減を求める
- 仕事による怪我や事故の可能性を伝えて、防止策を求める
使用者側は、労働者に対して責任を負っているので、見込まれる問題やリスクを放置していた場合には、後から不法行為として損害賠償請求が可能となります。
⑤過小要求型への対処法
5つ目は、過小要求型への対処法です。過小評価型のパワハラでは、労働者の能力を下回る業務だけを与える方法であり、時間を効率的に活用することがポイントとなります。
- 終業時間中でも自己成長に繋がる教育やトレーニングを受ける
- 裁量が不明確な仕事を自ら取りに行くか、新たに仕事を自ら創り出す
過小評価型では、自分がどのように時間を活用するかという点にかかっているので、仕事を上司に要求して認めなければ、自分の為に何をすべきかを考えて行動すると良いでしょう。
⑥個の侵害型への対処法
6つ目は、個の侵害型への対処法です。個の侵害型のパワハラでは、憲法で定められている宗教の自由や基本的人権を阻害する方法であり、法律的な解決が推奨されます。
- 法務部のコンプライアンス部門へ、内部告発をする
- 外部の弁護士や労働基準監督署へ解決依頼の相談をする
プライバシーの侵害や、宗教を理由としたパワハラがなされている場合、法律の専門家へ状況を説明することで和解や訴訟などを含めた方法で解決をしてもらえると考えられます。
パワハラ上司にしてはいけないこと
パワハラ上司は、肉体的にも精神的にも大きなストレスを与えてくるため、時には復習をしてやりたいと憎しみを感じることもあると思います。
しかし、パワハラ上司にしてはいけないことがあるので、本見出しではそのポイントを3つご紹介します。
①暴力を暴力で返す
1つ目のポイントは、暴力を暴力で返すことです。パワハラに該当するような、肉体的な暴力は暴行罪・傷害罪に問われる可能性があります。
仮に生命の危険を脅かすほどの暴力であっても、正当防衛の水準を超えると過剰防衛として罪に問われてしまう懸念が生じます。
暴力に対して、暴力で返すという突発的な対処は避けましょう。
②理論的な反論をする
2つ目のポイントは、理論的な反論をすることです。理論的な反論とは、パワハラ上司の行動が理不尽であったり、違法性であるということを的確に指摘することです。
そもそも、パワハラ上司は人間として未熟な心理的背景があるため、理論的な反論をされるとプライドを潰されたと感じてカッとなることも考えられます。
さらに最悪の状況に陥らないよう、パワハラ上司に論理で議論をすることはやめましょう。
③上司の反応に一喜一憂する
3つ目のポイントは、上司の反応に一喜一憂することです。人は、精神的なストレスを受けるとその相手から攻撃を受けないための防衛反応として、協力や顔色を伺ってしまいます。
このように、パワハラ上司の問題行動に対して都度リアクションを見せてしまうと、よりパワハラ行動を助長する結果に繋がると考えられます。
パワハラをされても、不必要な反応や感情を見せることは避けましょう。
パワハラ上司に仕返しする方法と対策
前述の見出しでは、パワハラ上司への対処法を類型に応じてご紹介しましたが、やはり仕返しをしないと気が済まないと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本見出しでは、パワハラ上司に仕返しをする5つの方法をご紹介します。インパクトに応じて、どのような仕返しをするか決めると良いでしょう。
①同僚や上司に相談する
1つ目の仕返しは、同僚や上司に相談することです。パワハラ上司には、特定の部下にだけパワハラをしている状況を周囲が認知していないと考えることがあります。
同僚や上司に対して、どのパワハラ上司から何のパワーハラスメントを受けているのか、詳細を相談することでパワハラ上司の信頼や職位を揺らがせることに繋がります。
②相談窓口を利用する
2つ目の仕返しは、相談窓口を利用することです。パワーハラスメントの実態を相談する際には、厚生労働省(明るい職場応援団)やこころの耳が候補として挙げられます。
これらの相談窓口では、実際にパワハラを行っている上司に対してだけでなく、その企業へもやめさせる力を持っているので、より本質的な解決が期待できます。
③弁護士に相談する
3つ目の仕返しは、弁護士に相談することです。弁護士とは、個人間の訴訟や企業への訴訟を請け負っており、損害賠償請求を目的として法的な措置を代わりに行っています。
どのパワハラ上司から、どのようなパワーハラスメントを受けたのかを相談すれば、被害の状況に応じてパワハラ上司個人だけでなく、雇用主である企業へも訴訟を行ってくれます。
④労災認定を貰う
4つ目の仕返しは、労災認定をもらうことです。労災認定とは、仕事が原因の病気や怪我に対して医療費の補助として厚生労働省から保険料を受け取ることです。
労災認定を受け取った場合、パワーハラスメントを見過ごしていた企業や実際に行ったパワハラ上司へのペナルティも課されることが期待されるので、申告をすると良いでしょう。
⑤訴える
5つ目の仕返しは、訴えることです。訴えるとは、損害賠償請求をパワハラ上司に要求したり、その雇用主である企業に対して不法行為責任を問うことです。
訴える際には、個人的に弁護士を雇うことも選択肢の1つですが、同じようにパワハラ上司から被害を受けた人を探して、集団訴訟を起こすこともより効果的だと考えられます。
パワハラ上司に対する法的措置
パワハラ上司への仕返し方法をご紹介しましたが、パワーハラスメントを規制するパワハラ防止法が2019年に制定されました。本見出しでは、パワハラ防止法の要点をご紹介します。
当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない
参照: 労働施策総合推進法30条の2第1項
当該労働者に対して解雇その他の不利益な取扱いをしてはならない
参照: 労働施策総合推進法30条の2第2項
以上のように、パワハラ防止法ではパワーハラスメントを行った事業主に対して、改善の勧告をするだけに留まらず社名の公開など間接的なペナルティも課すことを規定しています。
パワハラは退職もひとつの方法
パワハラは身体だけでなく心にも大きな傷を負う被害です。毎日の仕事でパワハラを受けていて、もう疲れ切ってしまった…というのであれば、無理をせず退職をするのもひとつの解決方法です。
今すぐ退職という選択をしなくても、最終的にはこういう道もある、と知っておけば少し気持ちが楽になるかもしれません。
パワハラの退職理由
パワハラを理由に退職する場合必要なのは以下の2点です。
- 退職の申し出は通常通り1ヶ月前までに行う
- 退職届を提出する
よほどの緊急性がない場合は、通常の退職通り退職日の1ヶ月前までに退職の意向を会社に申し出る必要があります。
退職届で迷いやすいのが「退職理由」です。退職理由は「一身上の都合」もしくは「パワハラについての詳細を記載する」のいずれかです。
- 【一身上の都合】
会社へパワハラを理由とした請求がない
一刻も早く退職をしたい
- 【パワハラについての詳細を記載】
会社へパワハラについての請求がある
時間がかかっても、きちんとした謝罪や賠償を希望している
パワハラについての詳細を記載した退職届を提出する場合、内容によっては企業側が受け取りを拒否する可能性があります。しかし、この場合の退職届はパワハラの事実を証明する証拠のひとつなので、後の各種請求時に役立てられるかもしれません。
まとめ
パワーハラスメントは3要件を満たす行為であり、パワハラ上司も6類型に分かれるので、それぞれに応じた対策や仕返し方法があるとわかりました。
パワハラ上司に狙われない人の特徴もお伝えしましたが、仮にパワハラを受けてもご自身に責任は無いので、前向きにご判断頂き第三者への相談や解決を要請なさってください。