2020年4月より働き方改革の一環として、大手企業では「同一労働同一賃金」が施行されます。契約社員の中には、正社員並みに支給されることを期待している人もいそうですが、就業規則や雇用契約によってはボーナスなしの可能性もあります。そこで今回は、契約社員のボーナスについて解説します。
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この記事の監修者
キャリアカウンセラー|秋田 拓也
厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。
■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
契約社員はボーナスをもらえるのか
契約社員とは、働く期限に定めのある有期契約を雇用主と結んでいる非正規雇用者をさします。そのため企業が定めた定年まで雇用契約が続く正社員とは違い、ボーナスの支給がない、あるいは支給額が少ないケースがほとんどでした。
ここでは、同一労働同一賃金の導入によって、契約社員でもボーナスがもらえるのかについて説明します。
結論|契約社員もボーナスをもらえる企業はある
同一労働同一賃金の導入によって、契約社員もボーナスがもらえる企業はあります。これまでも大手企業の中には、契約社員に対してボーナスを支給してきたところは何社もありました。しかし詳細は後述しますが、その支給額には大きな違いがあることがわかります。大卒・大学院卒の就業者における、雇用形態別の平均年間賞与支給額は以下の通りです。
- 正社員/約115万円
- 契約社員/約25万円
2つを比較すると、正社員は契約社員の約4.8 倍の賞与が支給されていることがわかります。つまり、支給されても大きな格差があるということです。
現状|契約社員にボーナスを出す企業は少ない
しかし実際には、大手企業であっても契約社員にボーナスを出す企業は少ないという現実があります。それは、企業側が契約社員を採用する理由に、人件費削減があるからです。2020年3月までは契約社員は正社員と違い、同一労働でも賃金を低くして契約することが可能でした。その雇用契約に「賞与の支給」が明記されていなければ、ボーナスを払う必要がなかったのです。
そのため、1年更新の有期契約を長く続けている契約社員でも、ボーナスが支給されないのは珍しいことではありませんでした。
以上のように、契約社員にボーナスを出す企業は少ないことがわかりました。そのため、入社後にギャップを生まないためにも契約社員として働く場合には給与形態を確認したうえで働くようにしましょう。
契約社員と正社員のボーナスには格差がある
大手企業に勤務する契約社員にも、ボーナスが支給されるケースがあることは前述しました。しかし、支給額には正社員と大きな違いがあります。ここでは厚生労働省が発表した「労働統計年報 平成29年 賃金」に基づき、契約社員と正社員のボーナスの支給額を比較します。
契約社員のボーナス
「労働統計年報 平成29年 賃金」にある「雇用形態、性、学歴、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額」から抜粋した、年代別の大学・大学院卒の男女における、契約社員の「年間賞与その他特別給与額」は、以下の通りです。
60~64歳以降の賞与額が高くなっているのは、退職金が特別賞与として含まれていることが考えられます。契約社員の平均年間賞与その他特別給与額は、25万0,913円となっています。
正社員のボーナス
「労働統計年報 平成29年 賃金」にある「雇用形態、性、学歴、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額」から抜粋した、年代別の大学・大学院卒の男女における、正社員の「年間賞与その他特別給与額」は、以下の通りです。
正社員の平均年間賞与その他特別給与額は、115万2,454円となっています。契約社員と比較すると、格段に支給額が高いことがわかります。
契約社員が給料を増やす方法
正社員と契約社員では、基本給の時点で差がついていることが多く、ボーナスが支給されても格差があるのが現実です。しかし、契約社員でも能力がある人は、それに見合う報酬を得たいと考えるのが当然です。ここでは、契約社員が給料を増やす方法を紹介します。
ボーナスを上げる方法
契約社員が給料を増やす方法の一つに、ボーナスを上げるというものがあります。ここでは、契約社員がボーナスを上げる具体的な方法を2つ、紹介します。
①仕事で結果を残す
1つめは、仕事で結果を残すことです。ボーナスは、定められた期間における個人の業績や成果によって査定されます。契約社員であっても目標を達成する、あるいはそれを上回る業績や成果を上げることで、支給額を増やせる可能性が高いです。
特に営業職やシステムエンジニアなどの専門職の場合は、査定がよければボーナスが上がる企業が多いようです。ただし、これが適用されるのは雇用契約でボーナスが支給されると明記されている人に限られます。
②上司に相談する
2つめは、上司にボーナス支給について相談することです。契約社員の中には勤続年数が長く、人によってはリーダーなどの役職を与えられている人も珍しくありません。その場合は、上司を通して勤務先に対し、ボーナスの支給や金額の交渉をするという選択肢があります。
しかしこの場合、前提として上司や一緒に働いている正社員が、契約社員の業績や成果を認めていることが前提です。企業が評価していない契約社員に対し、ボーナスを支給することはありません。企業の評価が低い人がボーナスの交渉をすることで、翌年の契約更新がなくなるケースもあるので注意が必要です。
ボーナス以外の方法
契約社員が年収を上げたいなら、ボーナスを上げる以外の方法も検討することをおすすめします。ここでは、契約社員がボーナス以外の方法で収入を上げる具体的な方法を3つ、紹介します。
①正社員登用を目指す
1つめは、勤務先で正社員登用を目指すことです。大手企業の中には、契約社員などの非正規雇用者に対し、正社員登用制度を設けているところが少なくありません。そうした制度に積極的に挑戦し、正社員登用されれば給与体系が変わるので、収入アップが見込めます。
また、正社員登用制度がない場合でも、勤続年数が長い契約社員の場合は、上司を通して企業に検討の余地がないかを聞いてみるのもよいでしょう。ただし、正社員登用にあたっては条件をクリアし、試験に受かる必要があることも忘れてはいけません。
正社員登用の流れやメリットについては以下の記事で紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
②副業を始める
2つめは、副業を始めることです。契約社員の多くは、残業しない前提で給与が低く設定されています。毎日定時で帰れて、土日祝日も休みということであれば、副業する時間は十分にとれます。契約社員の場合は「在宅でできる」「単発である」「時間に縛りがない」という、条件を満たした副業がおすすめです。具体例は以下の通りです。
- データ入力/パソコンやタブレット、スマホを使って、指示された数字や文字を入力する仕事
- Webライター/クライアントの要望に添う原稿を書く仕事。初心者可の案件が多い
- アンケート・モニター/リサーチ会社に登録し、アンケートに答えるなどの市場調査に協力する仕事
- プログラミング/Webサイト制作やアプリ開発、ツール制作、コードの修正などを行う仕事。専門スキルが不可欠
この他、アフィリエイトやFXなどの投資も、副業の一環と考えられます。ただし、大手企業の中には契約社員であっても副業を禁止しているところもあります。勤務先の就業規則がどうなっているのかを、確認してから副業を初めてください。
③正社員として転職する
3つめは、正社員として採用してくれる企業に転職することです。勤務先で正社員登用される見込みがないのであれば、スキルと経験が生かせる会社に転職することをおすすめします。ただし、契約社員として勤務した期間が長ければ長いほど、正社員就職のハードルが高くなるという現実があります。
そうした現実を踏まえ、ミスマッチのない就職を実現するためにも、転職エージェントを活用するとよいでしょう。転職エージェントはノウハウが豊富なので、契約社員から正社員転職を目指すうえで、的確なアドバイスがもらえるはずです。またその際には、複数の転職エージェントに登録するのがセオリーです。
契約社員のボーナスに関する疑問
契約社員の中には、正社員と業務が変わらないのにボーナスが支給されないことに納得できないと、不満を抱えている人もいることでしょう。さらに同一労働同一賃金になった場合、契約社員のボーナスがどう変わるのか、気になる人もいるはずです。
ここでは、契約社員のボーナスに関する疑問について説明します。
①契約社員のボーナスなしは違法なのか
働き方改革の一環として、2020年4月より同一労働同一賃金制度が導入されたことは前述しました。これは、雇用契約による待遇格差をなくす目的で導入された制度ですが、それによって契約社員のボーナスなしが違法になるのかというと、一概にそうとはいえません。それは、厚生労働省が発表した「同一労働同一賃金ガイドライン」に、以下の記載があるからです。
賞与であって、会社の業績等への労働者の貢献に応じて支給するものにつ いて、通常の労働者と同一の貢献である短時間・有期雇用労働者には、貢献に応じた部分につき、通常の労働者と同一の賞与を支給しなければならない。また、貢献に一定の相違がある場合においては、その相違に応じた賞与を支給しなければならない。
この記述があることで、正社員と契約社員の賞与に格差があることは合法と判断された判例がいくつもあります。また、雇用契約書に「賞与を支給する」と明記されていない限り、契約社員が寸志程度のボーナスしか支給されなくても、違法にはなりません。
②契約社員が入社半年でボーナスをもらうことはできるのか
契約社員が入社半年でボーナスをもらうことはできるのかについては、勤務先によるといわざるをえません。これは新卒採用された新入社員にもいえることですが、入社半年がボーナスの査定期間とずれている、あるいは教育期間が含まれている場合、社歴の長い社員と同等にはならないからです。
また、ボーナスは企業の業績が悪ければ、正社員でも支給されない可能性があります。そのため、採用にあたり労働契約を結ぶ前に、確認しておくことをおすすめします。中には、契約社員が入社半年でボーナスをもらえる企業もあるので、きちんとリサーチしたうえで応募を検討するとよいでしょう。
まとめ
今回は、契約社員のボーナスをもらえるのか、それを増やす方法などについて解説しました。
自由な勤務体系を推進する働き方改革法案に基づき、大手企業では2020年4月より同一労働同一賃金が導入されています。しかし罰則規定がないこともあり、これから契約社員と正社員のボーナス支給額の格差が埋まるかどうかは未知数です。今後の動向に注目しましょう。