固定残業代と聞くと、悪いイメージを抱く人が多いのではないでしょうか。日本では「固定残業代=ブラック企業」という考えが先行しています。しかし、実際の固定残業代は労働者にメリットが多い制度なのです。日本での固定残業代の現状やホワイト企業での固定残業代の取り組みと共に解説します。
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この記事の監修者
キャリアカウンセラー|秋田 拓也
厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。
■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
固定残業代とは
残業代は残業した分だけ支払われると思っている人は多いかもしれません。しかし実際は固定残業代として、すでに1か月分の残業代が給料に含まれていることもあります。別名「みなし残業」とも言われています。
そんな固定残業代について、詳しく解説します。
固定残業代を取り入れるメリット
固定残業代にはメリットもあります。具体的にどのようなメリットがあるのか解説します。
メリット①|残業代を計算しなくて済む
固定残業代を取り入れると、給与計算の時に残業代の計算をしなくて済みます。職員の人数が多ければ多いほど、それぞれの残業時間を算出してそこから残業代をはじき出さなければいけません。これが給与計算では一番手間がかかる作業になります。
しかし、固定残業代を取り入れておくと、すでに残業代は給与に含まれているため、面倒な残業代を計算せずに済みます。給与計算も簡略化できて間違いも少なくなるというメリットがあるのです。
メリット②|残業時間が少なくても給与に反映される
固定残業代は1か月の残業時間をあらかじめ会社側で設定して給与に含んでいます。これは言い換えるなら、1か月の残業がみなし残業よりも少なくても、固定残業代を受け取ることはできるということです。
極端な話、まったく残業しない月であっても、固定残業代として1か月分の残業代は基本給に含まれているので受け取ることができます。仕事を効率的に進めて就業時間内に必ず終わるようにすれば、残業しないで固定残業代を受け取ることができるのです。
固定残業代はブラック企業に多い
固定残業代には確かにメリットもあります。しかし、固定残業代を取り入れているところはブラック企業が多いというのが現状です。固定残業代を基本給に組み込んでしまうと、実際の残業時間に見合った残業代を受け取れているかどうかがわかりにくくなります。
この不透明感を利用して、基本給に組み込まれている固定残業代以上に従業員に残業を強いるという企業が多く存在します。固定残業代の取り入れている企業日はやめとけという声を目にしますが、その理由は固定残業代以上に残業を強いられることが多いからです。
固定残業代を取り入れているホワイト企業は少ない
固定残業代を取り入れているホワイト企業は、大変少ないというのが現状です。ホワイト企業と呼ばれるところは、残業に対する残業代も明確にしています。従業員が自分の仕事に見合った報酬を受け取っていることがわかるようにしているのです。
残業をすれば、それに見合った報酬を受け取ることができるということを明確にすることで、従業員のやる気やモチベーションが上がります。それは結果的に会社としての業績を上げることにつながるというメリットがあります。
ホワイト企業の多くは、従業員全体のやる気を上げて業績アップを狙うため、頑張っても頑張らないでも受け取ることができる固定残業代を取り入れることはあまりないのです。
固定残業代からホワイト企業を見極める方法
固定残業代を導入しているホワイト企業は大変少ないというのが現状です。しかし、ホワイト企業と呼ばれている会社の中でも、固定残業代を導入しているところがあります。
固定残業代からホワイト企業を見極める方法を解説します。就職活動や転職活動の際の参考にしてください。
方法①|固定残業代が高い
固定残業代を導入しているホワイト企業は、固定残業代が高額です。だからといって、基本給が安く設定されているというわけではありません。
例えば、自動車メーカーとして大変有名なトヨタは、希望者のみを対象に固定残業代を導入しました。その金額は約17万円です。これは残業しない月でもこれだけ支給されるということです。
基本給とは別にこれだけ高額の固定残業代が支払われるのなら、「何が何でも残業時間を減らそう」と思う人が出てくるでしょう。その結果、会社全体の業績はアップしているという実績があります。
方法②|超過分は別途支給
固定残業代を導入しているホワイト企業は、超過分は必ず別途支給します。超過分の別途支給があるということは、最低何時間残業する必要があるのかということも明確なっているということです。
あらかじめ設定されている1か月分の残業時間が明確なら、従業員は安心して働くことができます。すべてをオープンにすることで、会社全体の業績アップにもつながることがわかっている会社だと言えるでしょう。
ホワイト企業の特徴5選
ホワイト企業は、固定残業代だけで見抜くことはできません。ホワイト企業と呼ばれている会社の基準が固定残業代だけではないからです。それ以外の特徴を抑えておく必要もあります。
固定残業代以外のホワイト企業の特徴を5つに絞り込み、掘り下げて解説します。
特徴①|勤続年数が長い
ホワイト企業と呼ばれている会社は、従業員の勤続年数が長いという特徴があります。働きやすい環境なら、誰も「辞めたい」とは思いません。「長く勤めて頑張ろう」と思う人がほとんどでしょう。必然的に勤続年数は長くなります。
会社の勤続年数は、有価証券報告書で確認できます。過去5年間の有価証券報告書をチェックし、平均勤続年数を確認してみましょう。
特徴②|基本給が相場よりも高い
ホワイト企業は基本給が相場よりも高い傾向にあります。これは、残業代で稼ごうとする人を防ぐためです。企業にとって残業を多くする人は良いとは言えません。残業代はもちろん、体調を崩してしまうと大損害になるからです。
また、基本給が相場よりも高い企業は、それだけ生活が安定します。仮に業績不振に陥っても、基本給がカットされるということもないため、安心です。
特徴③|福利厚生の充実さ
福利厚生の充実さも注目すべき点です。福利厚生と聞くと、有給休暇や通勤手当などを思い浮かべるでしょう。ですが、福利厚生はこれだけではありません。福利厚生が大変充実しているホワイト企業は、他に会社にはない福利厚生を設けています。
例えば、誕生日休暇や勤続〇年を記念して記念品を贈るという福利厚生を設けている企業もあります。具体的な内容は企業によってさまざまですから、しっかりチェックしておきましょう。
特徴④|会社の財務状況が安定している
ホワイト企業は財務状況が大変安定しています。財務状況が安定していれば、それらは給料やボーナスに反映されます。従業員の生活に大きな影響を及ぼす指標になりますから、ちぇくしておきましょう。
財務状況は有価証券報告書で確認可能です。過去5年以上の有価証券報告書を見て、財務状況をチェックしましょう。少しだけ上昇傾向にある企業は、今後も緩やかに成長する可能性が高いので、ホワイト企業と言えます。
特徴⑤|ホワイト企業マークの有無
ホワイト企業マークは、厚生労働省や経済産業省が認めるホワイト企業に対して制定しています。国から認められているホワイト企業ということですから、大きな目安になるでしょう。
- 安全衛生優良企業公表制度ホワイトマーク
- 健康経営優良法人大規模認定ホワイト500・健康経営優良法人中小規模認定
- ユースエール認定(若年雇用)
- くるみん認定・プラチナくるみん認定(子育て支援)
- えるぼし認定(女性雇用)
主なホワイト企業マークは上記の通りです。中でも「安全衛生優良企業公表制度ホワイトマーク」は、すべてのバランスが取れたホワイト企業の中のホワイト企業にのみ与えられます。
【参考】固定残業代の計算方法
- 固定残業代=(基本給÷1か月の平均所定労働時間)×40時間×1.25
固定残業代の支給方法は手当型と組み込み型の2種類があります。しかし、どちらの場合も基本的な固定残業代の計算方法は上記の通りです。固定残業代の時間は必ず40時間で計算されます。
これは、36協定で1か月の残業時間の上限が43時間だからです。1か月の残業時間が43時間を超えるとそれは労基違反となり、企業には厳しい罰則が与えられます。この上限を超えないようにするために、固定残業代は1か月40時間で計算されています。
まとめ
固定残業代について解説してきました。日本では、固定残業代は悪いイメージが先行しています。ですが、正しく導入すれば本来なら労働者にとってプラスになる制度なのです。
ホワイト企業と呼ばれる会社の中でもトヨタのように固定残業代を導入している会社はあります。固定残業代を導入しているからブラック企業と判断せず、それ以外の点にも注目してみて、固定残業代が正しく導入されているかどうかチェックしてみてください。