【表つき】半年で付与される有給は何日?有給半年にまつわる疑問を解消しよう!

有給休暇は労働基準法で従業員に定められた休暇を取得する権利で、勤続年数や勤務形態によって申請できる日数が変わります。有給は半年以上勤務することで取得することが可能ですが、この記事では、その他に付与されるための条件や、申請時に覚えておくことなども紹介します。

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この記事の監修者

キャリアカウンセラー|秋田 拓也

厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。

■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)

有給休暇とは

「有給休暇」とは「賃金が発生する休暇」のことを言います。

つまり、有給休暇の取得が企業から許可されれば、その日は働かなくても給料をもらうことが出来るということです。

この見出しではその有給休暇について、日本で取得されている平均日数と、過去数年の取得状況の推移について紹介します。

目次

平均付与日数は18日

厚生労働省による労働時間などの調査の3ページでは、日本の有給休暇の平均付与日数は18日となっています。

有給休暇の「付与日数」とは、企業が従業員に与えた有給休暇の日数のことですが、従業員が実際に取得できた日数(取得日数)ではありません。同資料の記載では、実際の取得日数は9.4日で取得率は52.4%とされています。

また、取得率は企業規模が小さくなるにつれて低くなっているので、中小企業の方が取得しづらいことが分かります。

有給休暇取得率は上昇傾向にある

厚生労働省の「就労条件総合調査」によると、有給休暇の取得率は平成18年(2006年)の46.6%を最低値として、上下しながらも上昇傾向にあります。平成24年(2012年)以降の取得率の推移は以下の通りです。

公表されている情報では2016年と2017年の取得率に関する情報はありませんが、上下しながらも2012年以降は総じて上昇傾向にあります。

近年の働き方改革の影響や、2019年に行われた労働基準法改正の影響がこの傾向にも影響を与えていると考えられます。

有給休暇を取得するための条件

有給休暇は全ての従業員に付与されるものですが、付与されるためには法律で定められた条件をクリアしている必要があります。

ここでは厚生労働省から公表される年5日の年次有給休暇の確実な取得わかりやすい解説の3ページの記載を元に、有給休暇を取得するための2つの条件を紹介します。

①同じ会社に6ヶ月以上勤務する

1つ目の条件は、同じ会社に6ヶ月以上勤務していることです。

有給休暇を付与される場合には、まず6ヶ月以上同じ会社に努めている必要があり、この条件を満たしていない場合には正社員であっても有給休暇を付与されることはありません。

②労働日の8割以上出勤する

2つ目の条件は、労働日の8割以上を出勤していることです。

つまり、同じ会社に6ヶ月以上勤務しており、その労働日の中で8割以上出勤しているという2つの条件をクリアすることで有、給休暇を付与されることになります。

有給休暇の付与に関する4つの知識

次に有給休暇の付与に関する4つの知識を紹介します。

有給休暇を付与されるための2つの条件の他に、いつ支給されるのか・有給休暇の有効期限はいつまでかといった条件についても知っておく必要があります。

有給休暇が支給されるのは入社から半年後

先述の通り、有給休暇が支給されるのは入社から6ヶ月以上勤務していて、勤務日の80%以上を出勤していることです。

上記の条件を満たしている従業員に対しては、10日以上の有給休暇を付与することが会社に義務付けられています。

厳密には雇用形態によって付与される有給休暇は若干異なりますが、正社員のようにフルタイムで働く場合には「6ヶ月・80%・10日間以上」という数字を覚えておけば問題ありません。

有給休暇は毎年支給される

2つ目のポイントは、有給休暇は毎年支給されることです。有給休暇は入社から6ヶ月経過した以降は、下記の勤続年数に応じて1年ごとに所定の日数が付与されます。

上記の図は、一般労働者(正社員や契約社員でフルタイムで働いている人)の場合の付与日数の例です。パートタイム従業員など勤務時間が短い従業員の場合は、下記の勤続年数と付与日数となります。

短時間労働者の場合は1週間に勤務している日数・年間で働いている日数・勤続年数に応じて付与される有給休暇の日数が異なり、一般労働者よりも少ない日数が付与されいます。

有給休暇の有効期限は2年(労働基準法115条)

有給休暇の有効期限は、勤続年数や雇用形態に関係なく2年間となっています。

この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)、災害補償その他の請求権は二年間、(中略)行わない場合においては、時効によつて消滅する。

参考:労働基準法

労働基準法15条では上記のような記載があり、「二年間の時効」については有給休暇の申請にも当てはまります。

また、勤続年数6年6ヶ月以降は付与される有給休暇は一律で20日間なり、二年間の時効があることから、必然的に1年間で取得できる有給休暇の最大日数は40日間となります。

繰り越した有給を翌年取得することは可能

前年から繰り越しされた有給休暇は、翌年以降に取得することはもちろん可能です。

上述の通り有給休暇は2年間有効なので、前年に取得できなかった有給休暇は翌年に取得することが出来ます。そして、付与されてから二年を超えた分の有給休暇は、順次時効により申請する権利がなくなります。

有給の有効期限については従業員自身で把握しておき、今自分が何日間申請する権利があるのかを把握しておきましょう。

有給休暇で誤解されがちな3つのこと

次に有給休暇についてよくある誤解と正しい知識について紹介します。

「パート・アルバイトの有給取得の可否」「試用期間は勤続年数に含むのか」「有給休暇の買収」など、細かい取り決めについては誤解されていることが多いので、ここで正しい知識を覚えておきましょう。

①パート・アルバイトでも取得可能

パートやアルバイトの有給取得は可能です。

先述の通り、パートタイム従業員などの短時間労働者についても有給取得のための条件が設けられているので、その条件に当てはまっていれば取得することは可能です。

その他、管理監督者(部長・課長などの管理職者)や有期雇用労働者(雇用期間が限定されている従業員)についても取得可能です。

②試用期間も勤続期間にカウントされる

試用期間は勤続日数にカウントされます。

「試用期間」とは雇用者(企業)が、新たな従業員が自社で働く適性があるかを判断するために設けた期間ですが、自社で働いていることには変わりないので、勤続期間にカウントされています。

③企業による有給休暇の買取は違法

企業による有給休暇の買収は基本的に違法とされています。

ブラック企業が従業員に有給休暇を使わせないために、付与されている有給休暇を買い取ることがありますが、こういった行為は基本的には違法です。

ただし、従業員が退職する際に法律で決められている以上の付与日数を買い取ることは、違法とはされていません。

④半年経つ前に退社した場合は付与されない

有給休暇の付与条件は「同じ会社に6ヶ月以上勤務し、勤務日の80%以上を出勤している」ことでした。

そのため、入社してから半年経つ前に退社する場合は当然有給休暇は付与されず、必然的に有給休暇を申請する権利はありません。

有給休暇の取得に関する知識

ここまでに説明してきた以外に、有給休暇を取得するにあたって更に知っておくべき知識もあります。

ここでは有給休暇の申請方法・申請理由・有給の取得申請に対して企業側に認められている権利などについても紹介します。

有給休暇を取得するのは正当な権利

有給休暇の取得は従業員に与えられた正当な権利です。

有給の申請時には「周りの社員に申し訳ない」「なんとなく申請しづらい雰囲気」といった意見もあります。しかし、法的にも認められている権利ですし、取得しなければ2年間で有効期限は切れてしまいます。

最低限会社の繁忙期は避けておく必要はありますが、使える権利は確実に使うようにしましょう。

有給休暇の申請方法

有給休暇の申請方法は法律では特に定められておらず、メールや口頭で管理職者などに伝えるだけでも取得できます。ただし一般的には会社ごとに取得方法の規則が取り決められているので、その方法に従いましょう。

有給取得時には、下記の点には注意しておく必要があります。

  • 3日程度以上のまとまった有給を申請する場合は1ヶ月前には申請する。
  • 職場の協業者や取引先に事前に連絡しておく。

有給取得は従業員の権利なので自由に申請しても構いませんが、取得日当日は協業者や取引先は仕事をしていて、あなた宛に連絡をする可能性もあります。その際に迷惑をかけないように、事前に周知しておきましょう。

有給休暇の申請理由

有給休暇の申請理由は事細かに会社側に説明する義務はないので、基本的には「私用のため」と伝えておけば問題ありません。それでも企業側から細かく説明を求められた時には、下記のような理由を述べておきましょう。

  • 友人の結婚式に出席するための。
  • 家族の介護・看病のため。
  • 資格試験を受けるため。
  • 知人の葬儀に出席するため。

企業が有給の申請理由によって申請が取り下げられることは労働基準法違反となります。

後々辻褄が合わなくなる理由は避けるべきですが、上記のような理由から当たり障りのない理由を伝えておきましょう。

企業には時季変更権が認められている(労働基準法39条5項)

労働基準法では、有給休暇の取得日について企業側に「時季変更権」が認められています。

使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。

参考:労働基準法

会社の正常な運営を妨害する場合には時季変更権が認められているため、繁忙期で人手が必要になるタイミングでは、企業側から有給取得日の変更を申し出ることが法律上認められています。

そのため、有給休暇の取得は従業員の権利ではあるものの、完全に自由に取得日を取得できるわけではないということになります。

企業が有給休暇の取得を拒否するのは違法

有給休暇の取得を企業側が拒否することは違法行為です。もし拒否された場合には下記の方法で対処しましょう。

  • 有給取得を拒否した理由を確認する。
  • 取得できる時季を会社側と改めて相談する。

まずは上記の2つの方法で対処をします。改めて相談した上で納得できる時季に取得できれば問題ありませんが、ブラック企業の場合には「時季変更権」を悪用して何度も有給休暇取得日を先延ばしにすることも考えられます。

そういった場合や取得を拒否した理由が正当なものではないと考えられる場合には、パワハラと認定される場合もあるので、法的な手段に出ることも選択肢の1つとなります。

労働基準法の改正案が審議中

2004年頃までは取得率が下落傾向で、それ以降ずっと低水準となっていましたが、2019年4月1日から有給休暇5日取得義務が実施されています。この取得義務の対象者は以下の2つの条件に当てはまる従業員です。

  • 企業規模に関係なく日本の全企業。
  • 有給休暇を10日以上付与されている従業員。

上記の条件に当てはまる従業員は、5日分の有給を企業側と話し合いの上、企業が休む日を指定して必ず有給を取得させなければいけません。一方で、従業員自ら5日分の有給休暇取得日を指定している場合は、企業側から指定する必要はありません。

しかしパートタイム従業員など短時間労働者で有給の付与日数が10日未満の場合にはこの義務は適用されないことに注意が必要です。

まとめ

この記事では労働基準法の記載も紹介しながら、有給休暇を付与されるための条件や、申請時に知っておくべきことについて紹介しました。

有給休暇は条件に合致する従業員にとっては法律で認められた正当な権利で、会社側に申請を拒否する権利はありません。

会社で働く以上は知っておくべき権利なので、この記事で紹介した知識をしっかり覚えておき、使える権利は確実に使えるようにしておきましょう。

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