7大商社とは?それぞれの雰囲気などの特徴について解説します!

商社は人気が高い志望業界の1つである一方で、携わる仕事によって事業会社的な働き方になるか、投資家としてのスキルが必要になるのかが分かれます。当記事では、そんな商社について7大商社の特徴・商社を志望する上でやっておくべきこと・取得しておくと良い資格などを紹介します。商社を志望する方はぜひご一読下さい。

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この記事の監修者

キャリアカウンセラー|秋田 拓也

厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。

■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)

商社とは

商社について詳しく知らない方は、「商品の買付と販売によって利益を得ている業界」といった印象しか無い方も多いと思いますが、実際の業務はその他にもあります。

この記事では、新卒の学生向けに商社の特徴や各社の傾向などを紹介しますが、まずは商社で行われている事業や仕事について、基本的な情報を押さえておきましょう。

目次

トレーディング

商社で行われている1つ目の業務は、トレーディングです。トレーディングとは従来の商社ビジネスのイメージの仕事で、商材を求めている需要業者と商材を生産している供給業者を結ぶビジネスで、下記の2つから利益を得ています。

  • コミッション(手数料)
  • マージン(買値と売値の差額)

1つ目の収益源は、コミッションです。これは自社の流通網を利用したり新たに流通網を作り、供給業者と需要業者の2社を結びつけ、その業務を行った手数料を受け取ることで収益を上げています。

トレーディング業務のもう一つの収入源が、マージンです。マージンは供給業者から買い付けた価格に自社の利益分を上乗せして、需要業者に提供することで、利益をあげます。多くの場合、1つの取引で手数料とマージンが両方が発生しています。

事業投資

商社ビジネスの2つ目の収入源が、事業投資です。

一般的な商社のイメージからは想像できないかも知れませんが、商社では自社のヒト・モノ・カネ・情報といった経営資源を提供して、投資先企業の価値を向上させ、株の売買額の差から利益を得ています。

対象企業の業績・将来性などを総合的に判断する「デューデリジェンス」を行いながら、適切な投資対象企業を探し、その企業の株を大量に購入して大株主になり、投資先企業に自社の経営資源を投入して、企業価値を高めた後に株を売却します。

コーポレート

3つ目の商社業務は、社内の管理業務であるコーポレートです。コーポレート業務には以下のようなものがあります。

  • 経理
  • 人事
  • 広報
  • 経営企画
  • 総務
  • 法務

つまり、トレーディングと事業投資が商社ビジネスの収入源であるのに対して、コーポレート業務は、トレーディングや事業投資業務のサポート的な業務ということです。

サポート業務ですが、必要な資金調達も行う経理、優秀な人材を確保し続けるための人事・広報、事業の方向性を決める経営企画、コンプライアンス遵守に努める総務・法務など、健全なビジネスの継続にとって欠かせない業務が行われています。

7大商社とは

ここでは、日本国内で特に売上・知名度が高く、新卒の学生にも人気度が高い企業を7社紹介します。紹介する企業は以下の通りです。

  • 三菱商事
  • 三井物産
  • 伊藤忠商事
  • 住友商事
  • 丸紅
  • 双日
  • 豊田通商

上記の7大商社について、各社の企業情報・特徴・各社の社風などについて紹介します。商社を志望する学生にとっては、志望する上での各社の基本となる情報なので、必ず押さえておいて下さい。

①三菱商事

三菱商事は、エネルギー・素材・食品・衣料・都市開発など、幅広く事業を手掛ける商社で、当記事で紹介している7大商社のなかで、最も売上規模が大きな企業です。三菱商事の基本情報は、下記の通りです。

参考:三菱商事公式ホームページ・有価証券報告書

三菱商事の社風は、企業理念として重視されている「三綱領」から想像できます。社会奉仕の精神となる「所期奉公」、事業の透明性に勤める「処事光明」、グローバル・宇宙的な視野に勤める「立業貿易」という精神が、全社で意識されます。

硬い。遅い。リスクとを取ることを避ける傾向にあり、それが強みにも弱身でもあるように感じる。

社内から新しい事業や、イノベーションが生まれてくる素地がかなり低下していることが危惧される。

参考:Openwork

一方で社員の口コミを見ると、典型的な「大企業病」的な企業文化があり、新人の育成や成長に時間がかかったり、社内で新しいビジネスを生み出せる環境が整っていないことが伺えます。

②三井物産

三井物産は金属・機械・インフラ・エネルギー・化学品・生活産業・IT関連の次世代部門を得意分野とする総合商社です。同社も、売上規模・従業員数などは国内トップクラスの商社です。基本情報は下記の通りです。

参考:三井物産公式ホームページ・有価証券報告書

三井物産はホームページでも紹介される通り、個人の能力を重視して、人材育成にも力を入れているため、成長機会を得やすく、新しい事業にも挑戦しやすい環境が整っていると言われます。

文化としてはまさに『挑戦と創造』が重視されており、なにかに挑戦する時は、営業からコーポレートまで協力的な人が多い。

公的機関や他の大企業と連携することも多くて、その刺激も多い。仕事の負担もそれなりに大きいが、報酬とやりがいとのバランスから考えると、十分すぎる環境。

参考:Openwork

口コミサイトでも、大企業ながら新しいことへの挑戦意識やそれへの強呂億的な社員が多く、仕事のストレスは大きいものの、職場環境や収入が恵まれていることが伺えます。

③伊藤忠商事

伊藤忠商事は、機械・エネルギーと化学品・住生活・情報と金融・食料・金属・繊維・消費者生活に関わる8つのカンパニーで事業を行っています。同社の基本情報は以下の通りです。

参考:伊藤忠商事公式ホームページ・有価証券報告書

伊藤忠商事では社員が取る行動には、常に先見性・誠実・多様性・情熱・挑戦という5つ価値観に沿うのかが求められ、これらに沿う行動を取ることが常に求められています。

Something newを追いかける危害がある社員が一定数おり、若手のチャレンジを許容する土壌がある。

各カンパニーが他カンパニーの戦略に囚われずに、比較的スピード感を持って自カンパニーの戦略を実行に移すことができていると感じる。ただ、その一方でその弊害として横の連携が取れていないと感じることも多い。

参考:Openwork

上記の書き込みからも分かる通り、5つの価値観の「先見性」「挑戦」といった点を意識位している社員が多く、若手のチャレンジを許容する文化や、スピード感を持って事業を行う土壌があることが伺えます。

④住友商事

住友商事は金属・輸送機と建機・インフラ・メディアとデジタル・生活と不動産・資源と化学品という6つの事業分野を持つ総合商社です。住友商事の基本情報は下記の通りです。

参考:住友商事公式ホームページ・有価証券報告書

住友商事の行動指針には「法と規則を守り、高潔な倫理を保持する」「円滑なコミュニケーションを通じ、チームワークと総合力を発揮」など、コンプラ意識の一方で、社内の円滑なコミュニケーションが意識された条項が目立ちます。

現在はベンチャーとのコラボレーションやIT業界への進出を試みているものの、いまいち結果に結びつかず机上の空論感が強い。

他の財閥や商社と暗めて「石橋を叩いて渡らない」と揶揄されるが、言い得て妙だと思う。(中略)育つべきビジネスや人材が育たなかったりドラスティックな取り組みができない社風。

参考:Openwork

行動指針の通り、法律遵守は行われているものの、新しい事業が育ちにくかったり、社員の育成が進まない傾向があることが伺えます。他の商社と比べるとかなり保守的で、既存のビジネスモデルからの脱却に遅れを取っているようです。

⑤丸紅

丸紅は生活産業、食料・アグリ・化学品、電力・エネルギー・金属、社会産業・金融、CDIO(次世代事業開発)という5つのグループで事業を行う企業です。丸紅の基本情報は下記の通りです。

参考:丸紅株式会社公式ホームページ・有価証券報告書

丸紅で重視される価値観は志・挑・論・強・正の5つです。この5つの「丸紅スピリット」から、社員には目標に向けて挑戦を続け、目標達成のために議論を重ね、困難にも積極的に挑戦を続けていく意識が求められています。

数年管理部門が強くなってきており攻めの経営とバランスが取れていない。

仕事でのガツガツさに欠ける傾向があり、その部分が5大商社で不動の5番になっている理由かなと思う。一方で、他の商社に対して規模が若干小さいので、若いうちから本気を出せば仕事を任せてくれる傾向があるので、その点は良いかなと思います。

参考:Openwork

口コミサイトでは、「丸紅スピリット」の記載とは裏腹に新しい事への挑戦意識は薄いようで、やや保守的な社風が伺えます。しかし企業規模が他の商社と比べると、小さいことから若年時は幅広い仕事を覚えるという点では良い環境があると言えます。

⑥双日

双日は、輸送機・機械や衣料インフラ・エネルギー・金属や資源・化学品・食料品・生活産業・都市開発などを行う総合商社です。双日の基本情報は下記の通りです。

参考:双日株式会社公式ホームページ・有価証券報告書

双日は、グループスローガンとして「New way New Value」を掲げており、行動指針には「将来を見据え、創意工夫する」「スピードを追求」「リスクを見極め、挑戦する」といった文言が並び、新しいことへの挑戦意識が強く伺えます。

新しいビジネスを創出することに意欲的。若手社員に対する勉強や成長の機会が多く用意されている。海外研修制度が用意されており、若いうちに必ず海外を経験する制度がある。

チャレンジしようという風潮は強い。(中略)その一方で、それが実現、すなわち投資を実際にすると言うところまでいくかというのは別の問題であるように感じる。

参考:Openwork

上記のように社員の声としては、スローガンや行動指針の通り、新しいビジネス創出への意欲はあるものの、そのアイデアが実現しやすい環境があるかについてはやや疑問が残るようです。一方で若手の成長機会には恵まれるという口コミが目立ちます。

⑦豊田通商

豊田通商は、金属、グローバル部品・ロジスティクス、自動車、機械・エネルギー・プラント、化学品、食品や生活産業などを行う総合商社です。同社の基本情報は下記の通りです。

参考:豊田通商公式ホームページ・有価証券報告書

豊田通商の企業理念や行動指針ではフェアな企業活動・社会的責任・創造性やヒトを尊重する職場つくりなどの文言が目立ち、他社のような「挑戦」「多様性」といった言葉は見られません。

上から下までトヨタ第一主義。トヨタ全世界37万人の困り事や非効率を改善することが利益の源泉となっている。

トヨタ系列の商社というだけあって良くも悪くもメーカー気質。事業も投資ではなくトレーディングが主体。

参考:Openwork

口コミサイトでは、「トヨタ自動車」系列であることが意識される職場・ビジネスモデルであることが多く書かれ、商社ではあるものの、トヨタグループの御用聞き的仕事が多く、新しい事業を作る機会は少ないことが伺えます。

7大商社の売上高ランキング

ここまでに紹介した7大商者の売上ランキングと、各社の売上は以下の通りです。ちなみに下記の売上は全て「百万円」単位で記載しています。

  • 1位:三菱商事|16,103,763
  • 2位:伊藤忠商事|11,600,485
  • 3位:丸紅|7,401,256
  • 4位:三井物産|6,957,524
  • 5位:豊田通商|6,762,702
  • 6位:住友商事|5,339,238
  • 7位:双日|160,339

参考:各社の2018年度の有価証券報告書

2018年度の有価証券報告書の記載によれば、売上高が最も大きいのは、約16兆円の三菱商事です。次いで、約11.6兆円の伊藤忠商事、約7.5兆円の丸紅という順になっています。

7社の内で最も売上が小さな双日と三菱商事では約10倍近くの売上の差があります。事業規模を就職先の1つの条件として考えるのであれば三菱商事・伊藤忠商事飲みが売上高10兆円を超えているので、この2社が最適と言えます。

7大商社の年収ランキング

次は、7大商社各社の平均年収を見てみましょう。

  • 1位:三菱商事|16,077,197円
  • 2位:伊藤忠商事|15,207,832円
  • 3位:三井物産|14,300,000円
  • 4位:住友商事|13,895,582円
  • 5位:双日|11,390,763円
  • 6位;豊田通商|10,969,946円
  • 7位:丸紅|6,189,100円

売上ランキングと同様に1位と2位は三菱商事・伊藤忠商事が並び、売上高では4位だった三井物産が、平均年収では3位となっています。

三井物産に関する口コミにも「報酬とやりがいのバランスは十分」とあったことからも、上位3社については関わる仕事の規模が大きく、相応の収入も得られるため、やりがいも収入も満足行く物が得られると考えられます。

7大商社から自分に合う会社を見つけるには

7大商社について、様々な視点から傾向を紹介してきましたが、複数ある商社の中から、あなたにとって最適な企業を選択するためには、何をすればよいのでしょうか。

ここでは、学生が最適な商社を見つける上で欠かせない、やっておくべきこと4つを紹介します。商社は各社で事業内容が異なり、各社で文化も違います。入社してからミスマッチに悩まないようにここで紹介するポイントを押さえておいて下さい。

業界分析を徹底する

1つ目は、業界分差益を徹底することです。

これは就活の大前提で、あなたが入社しようとしている企業や業界の傾向を知らなければ、外から見た場合に魅力的に見えても、実際に入社してみると「思っていた仕事ができない」ということにもなりかねません。

ここまでにもお伝えしている通り、商社は各社で得意とする事業分野が異なるので、各社の事業分野・得意としている商材・商材別や業界別のシェアなどを確認して、あなたが携わりたい仕事に付けるように徹底的に調査をしておきましょう。

OB訪問を行う

2つ目は、OB訪問を行うことです。

商社は各社で得意とする商材などは異なるとお伝えしましたが、その一方で業務内容はほとんど変わりません。つまり、どの企業も「トレーディング」と「事業投資」が主な収益源で、そのビジネスモデルに大差はありません。

その一方で、社風が各社で異なったり、若手の挑戦機会の提供といった仕事環境では大きな違いが出ます。そして、こうした情報は募集要項などには書かれないので、OB訪問を繰り返して、あなたが思い描いている仕事ができるかを探る必要があります。

企業説明会に参加する

3つ目は、企業説明会に参加することです。

新卒向けの企業説明会には必ず参加しましょう。ここで、募集要項・新卒向けサイトに書かれていない、事業内容の詳細を聞くことができたり、社員のパネルディスカッションによって、リアルな仕事現場の話を聞くことができます。

こうしたOB訪問もそうですが、現職の社員の話を聞ける機会は限られているので、商社を志望する学生は、社員の生の話を聞ける場には積極的に参加して、企業理解を深めておきましょう。

インターンに参加する

4つ目は、インターンシップに参加することです。

多くの有名商社では採用選考に先駆けて、インターンシップを開催していることが多いく、多くの場合1日〜5日間の業務体験を受けることができます。これは企業のオフィスで実務に近い経験ができ、OB訪問や説明会よりも貴重な場です。

また、そこで優秀な成績を残せば、本選考とは別の選考を受けることができ、3月〜4月頃には内定を獲得できることもあります。なので、商社への志望度が高い方は、インターンシップへの参加に向けた準備も進めておきましょう。

7大商社の就職にオススメの資格

最後に7大商社に入社する上で、選考を有利に進められる資格を3つ紹介します。

商社の新卒採用では、資格取得が義務付けられていることはありませんが、入社後に取得を求められたり、予め取得していることで、入社後の業務の質が高まり、昇進・昇給のチャンスを得やすくなるので、できる限り早めに取得しておきましょう。

①TOEIC

1つ目のおすすめ資格は、TOEICです。

TOEICでは「Listening & Reading Test(L&R Test)」と、「Speaking & Writing Test(S&W Test)」の2つがあります。ビジネスで通用する英語力の証明としては「L&R Test」で800点以上を取得しておきましょう。

トレーディング事業でも事業投資でも、海外の現地法人との渉外業務が発生することがよくあり、現地語でコミュニケーションができなければ円滑な商談ができなくなります。なので、最低限英語力は身に付けておきましょう。

②簿記

2つ目のおすすめ資格は、簿記です。

簿記とは企業の財務状況を計算・記録する能力を測る試験で、ビジネスのプロとしてトレーディングや投資を行う商社マンには必須の能力と言えます。簿記は3級〜1級までありますが、仕事で活用できるレベルは2級以上です。

特に、事業投資分野に携わりたい方の場合、投資先企業の選定において、投資対象として適切かを判断するデューデリジェンス業務では、財務諸表を読むことは必須です。財務諸表を正しく読むためにも簿記の知識は必ず身に付けておきましょう。

③証券アナリスト・中小企業診断士

3つ目の資格は、証券アナリストと中小企業診断士です。

「証券アナリスト」資格では、投資先のファンダメンタルズ(資産や事業ポートフォリオ)分析・財務分析・経済環境分析などを学べるので、投資先を判断する能力を身に付けられます。

中小企業診断士では上記の内容に加えて、マーケティング戦略・組織や人事戦略・システム構築といった、企業価値向上に向けた具体的な戦略構築能力が身に付くため、投資対象企業の株式購入後の戦略構築に必要な知識・能力が身に付きます。

まとめ

当記事では、7大商社各社の特徴や売上・年収ランキング・商社を志望する上でやっておくべきこと・おすすめの資格などを紹介しました。

商社は難関大学の学生に人気度が高い業界の1つなので、ライバルとなる就活生も必然的にレベルが高く、戦略的に就活を行わなければ、内定獲得は難しい業界です。

この記事で紹介した内容は商社の専攻を受ける上で基本的な内容なので、当記事の内容を元に、あなた自身でも各社の情報を収集して、より深い企業研究を進めた上で、選考を受けて下さい。

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