【完全版】電子部品業界の業界分析|現状やこれから,向いている人について徹底解説!

身の回りのあらゆるところで利用されている電子部品を製造しているのが電子部品業界です。今後は工場のスマートファクトリー化、自動車業界の自動運転技術の台頭などで更なる需要拡大が期待されています。この記事では電子部品業界の現状と今後の展望を説明するとともに、代表的な企業を紹介していきます。

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この記事の監修者

キャリアカウンセラー|秋田 拓也

厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。

■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)

電子部品業界とは

電子部品業界は、身近なものだと自動車や普段利用しているスマートフォンなどの電気製品に組み込まれている電子部品などを製造している業界です。

大小関わらず身の回りにある全ての電気製品に電子部品が組み込まれており、目には見えませんが私たちの生活になくてはならない部品を製造します。

電子部品業界の動向

電子部品業界はモノづくりの根幹である組み立てメーカーと密接に関わっており、新製品の登場や新技術の台頭などに大きな影響を受ける業界です。

ここでは電子部品業界の現状とこれからの展望を紹介していきます。

目次

電子部品業界の現状

電子部品業界はスマートフォンの登場と爆発的普及を背景に堅調な成長を遂げることに成功しましたが、昨今は海外勢の格安スマホが登場したことでスマートフォン向けの部品生産量と利益率の下降が目立ちます。

しかし、自動車業界の自動運転技術の台頭や社会的問題である人手不足を背景とした工場の自動化によるスマートファクトリー化などの「IoT(モノのインターネット)」向けの需要が拡大しています。

電子部品業界のこれから

業界の成長を牽引してきたスマートフォン業界に代わる新たな市場が続々と生まれたことで電子部品業界の企業は新規市場開拓を目指す動きが目立ちます。

完成品メーカーに向けた新規商品提案活動や設計段階からの組み込み提案などこれまで取引がなかった業界へのアプローチと提案が可能となったことで活躍の場が広がることが予想されます。

国内だけでなく、国外の電子部品メーカーの台頭も進んでいるため、グローバルでの競争となるため、技術開発のための人材獲得・人材育成に各社が力を入れています。

電子部品業界の売り上げランキング

以下の表は2019年度の業界動向レポートを参考に作成した電子部品業界のシェアのランキングを作成したものです。ランキングされた上位5社を各社の詳細情報と特徴を合わせて紹介していきます。

京セラ

京セラは京都府に本社を構え、KDDIなどを創業した稲盛和夫を創業者とする日本最大の電子部品メーカーです。

基本データ

以下の表は京セラ株式会社の公式HPおよび有価証券報告書を参考に作成したものです。

特徴

京セラは創業時から強みを持つファインセラミックス部品の分野で「情報通信」「自動車関連」「環境・エネルギー」「医療」の4つを重点市場として捉えています。

特に自動車関連の分野では環境規制を背景とする電気自動車の需要拡大のタイミングで京セラのファインセラミックスが燃料電池部材に採用されたことで国内外の自動車メーカーからの受注が増加しています。

環境・エネルギーの分野では京セラの高い耐久性と発電量の高さを誇る太陽光パネルは世界中で人気を集めています。

村田製作所

村田製作所は携帯電話からエネルギー関連設備、へルスケアなど様々な業界に材料から製品までをワンストップの一環生産体制で部品を供給している電子部品メーカーです。

基本データ

以下の表は株式会社村田製作所の公式HPおよび有価証券報告書を参考に作成したものです。

特徴

村田製作所は材料から製品までワンストップの一貫生産体制が特徴です。完成品に至るまでの材料技術や分析・評価技術などモノづくりに欠かせない要素を自社で独自開発・蓄積しています。

村田製作所の売上高のうち、世界1位製品が占める割合が7割~8割とニッチな分野で圧倒的存在感を示しています。

多くの市場でマーケットリーダーの座を獲得しているため、高い収益性と外部環境に左右されにくい安定した経営体質も特徴です。

日本電産

日本電産は創業から40年で世界に名だたるモーターメーカーとなり、積極的なM&A戦略を行うことで幅広い分野の製品をグループ全体で提供する企業です。

基本データ

以下の表は日本電産株式会社の公式HPおよび有価証券報告書を参考に作成したものです。

特徴

日本電産は「”回るもの、動くもの”の全てを手掛ける世界No.1のモーターメーカー」を謳っています。

既に世の中にある製品ではなく「世界初」「世界最小」といった世の中には存在しないもの、他社には製造できない製品を開発し提供することで企業価値を高めてきた会社です。

現在では精密小型からスタートした事業分野が超大型モーターや周辺機器までカバーし、更にはIT、家電、自動車などあらゆる分野の製品を網羅しています。

TDK

電子機器に欠かせない磁性材料であるフェライトを開発し、売上高の海外生産と海外販売の比率が8割を超えているグローバル企業です。

基本データ

以下の表はTDK株式会社の公式HPおよび有価証券報告書を参考に作成したものです。

特徴

TDKの特徴として自社製品を製造する生産設備を自社で開発・研究している点です。

多くのメーカーが生産設備に関しては外部に委託する中で、TDKは自社製品に最も適した生産設備を自社で研究・開発することで他社の追随を許さないQCD(品質・コスト・納期)を確立することで競争優位を生み出しています。

ミネベアミツミ

ミネベアミツミはボールベアリングという機械の加工品と小型モーター、LEDバックライトの電子機器の異なる製品分野を主力としてラインナップし、異なる製品分野を掛け合わせた複合部品も得意とするメーカーです。

基本データ

以下の表はミネベアミツミ株式会社の公式HPおよび有価証券報告書を参考に作成したものです。

特徴

ミネベアミツミは外部の部品メーカーから部品を購入するのではなく、自社でモノづくりに必要な全ての部品を開発・組み立てする「垂直統合生産システム」を最大の特徴としています。

モノづくりをする上では必ず外部からの購入や組み立て作業などを外注するのが一般的です。

その中でミネベアミツミはモノづくりの上流の設計から中流の金型や治具の作成、部品の内製制作、下流の組み立てまでを一貫して行うことで高い品質、安価な製造コストをもたらしています。

電子部品業界に向いている人・向いていない人の特徴

ここでは電子部品業界に就職を考えている方に向けて、電子部品業界が向いている人の特徴と向いていない人の特徴を紹介します。

自分が電子部品業界に向いているか向いていないかを確認してください。

電子部品業界に向いている人の特徴

電子部品業界の顧客は完成品メーカーとなります。顧客の望んでいる製品要求がどのようなものなのか、なぜその性能が必要なのかをヒアリングして明確にする必要があります。

一方でニーズに対して全く新しい技術を用いた挑戦が必要になる場面も存在します。

特徴①|コミュニケーション能力が高い人

電子部品業界は基本的に顧客の要求に対して、最適な製品を提供するのが仕事です。そのため打ち合わせや商談の中で相手の言動からその真意やなぜこのスペックを求めているのかの理由を聞き出す必要があります。

相手の真意を読み取って、最適な提案ができれば、顧客からの厚い信頼を勝ち取ることができます。

一方で顧客から無理難題が来る場面もあります。安請け合いした場合、大きな損失を被ることになるので、相手の気持ちを害さないコミュニケーションをとって、顧客要求をコントロールする力もです。

特徴②|挑戦を恐れない人

電子部品業界は国内外の競合他社と熾烈な技術競争にさらされるため、総合職、技術職問わず常に新技術や新製品を生み出すことが必要です。

特に技術職は新技術の製品化への挑戦が求められます。

出口のないトンネルをひたすら歩き続けることができ、新しい技術を見出すことに抵抗がない人は電子部品業界に適した人材であると言えます。

電子部品業界に向いていない人の特徴

電子部品業界は取引先はもちろん社内からも厳しい要求をされる場面が多くあります。

細かなことに気を配れない人や周囲との協調性に欠ける人は電子部品業界に向いていません。

特徴①|細かなことに気を配れない人

電子部品業界は顧客対応、商品設計に至るまで細かな対応や積み上げで仕事が成り立っています。そのため細部に至るまで丁寧な仕事ができない人は電子部品業界に向いていません。

例えば、電子部品業界では製品の仕様変更依頼が多いことが特徴です。取引先の担当者から細かい部分の仕様変更を依頼され、何度も何度も図面データを修正することは日常茶飯事です。

この作業を1つでも間違えてしまうと全ての製品設計が狂ってしまい取引先からの信頼を損なう事態に直結します。

特徴②|協調性がない人

電子部品業界では1つの開発プロジェクトに営業・設計・製造・法務など多くの部署の人とチームを組んで臨むことになるため、チーム全体で円滑に仕事を進めることが必須です。

1人1人の行動がチーム全員の仕事に影響するため、自分だけ良ければいいという仕事をする人は電子部品業界に向いていません。

協調性を欠いた行動はプロジェクト遅延に直結し、チームメンバー全体の作業効率を著しく阻害し、納期遅れの原因にもなります。

電子部品業界の志望動機のポイント

ここでは電子部品業界への就職を考えている方へどのような志望動機を企業が求めているのかを紹介します。

しっかりと企業の求める志望動機のポイントを理解して、自分自身を企業にアピールしてください。

ポイント①|新しい挑戦をどのように成し遂げたかを伝える

電子部品業界は常に新しい技術の確立や新製品を開発することが求められる業界であることを説明しましたが、企業が判断するポイントは挑戦に対する考え方とその解決方法です。

やみくもに新しいことを挑戦しても、結果は出ません。どのようなプロセスや考え方を持って取り組むのかを企業は知りたいのです。

そのため、志望動機を伝えるうえで効果的なのが自分の過去の挑戦に関するエピソードを伝えることです。

どんな新しいことに挑戦し、どんな困難に直面し、それをどのように解決したのかを明確に伝えることができれば採用した後に活躍するイメージを持ってもらうことができます。

ポイント②|周囲と協力して成し遂げた経験を伝える

企業が判断するポイントとして挙げられるのが協調性の有無です。チームでの仕事が前提である電子部品業界で必須な能力であり、採用の中で重きを置かれるポイントの1つです。

協調性を伝えるうえで非常に有利なのが体育会系に属していることです。特にチームスポーツをして経験がある人は仲間と円滑にチームプレーをする上で実践してきたことなどを具体性を持って伝えることが大切です。

まとめ

今回は 電子部品業界の現状に加え、代表的な企業や電子部品業界向いている人の特徴について解説しました。

人手不足を背景とする自動化ニーズなどで電子部品業界はこれからも業界全体の動きは活発です。

世の中に影響を与える製品や技術を生み出したい人は是非、電子部品業界への就職をお勧めします。

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