就活生あるいは新入社員に対し、社会人基礎力を求める機運が高まっています。2006年に経済産業省が初めて提唱した社会人基礎力は近年、見直しが行われたことにも、それが表れているといえるでしょう。そこで今回は、社会人基礎力とは何か、なぜ必要なのか、身につける方法などについて解説します。
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この記事の監修者
キャリアカウンセラー|秋田 拓也
厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。
■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
社会人基礎力とは
経済産業省の公式サイトの「社会人基礎力」というページで、社会人基礎力について、以下のように説明しています。
「社会人基礎力」とは、「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」の3つの能力(12の能力要素)から構成されており、「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」として、経済産業省が2006年に提唱しました。
2006年当時、ニートといった無業の若者が増加していることが社会問題化しました。その理由の一つに、学生から社会人への意向につまづく若者の多さがあったのです。そのため、大学をはじめとする教育界と企業を中心とする産業界は、社会人として必要な能力とは何かを言語化して共有する必要があり、この提唱に至りました。
社会人基礎力はなぜ必要なのか
就活生も、企業での採用選考の際に社会人基礎力の有無やレベルをチェックされています。それは理解していても、なぜなのかについて説明できる就活生は少数派のはずです。
ここでは社会人基礎力はなぜ必要なのか、理由を2つ説明します。
理由①|学生から社会人にスムーズに移行するため
1つめは、学生から社会人にスムーズに移行するためです。終身雇用制度が当たり前だった時代の日本では、社会人基礎力は子供が大人に成長する過程で自然に身につき、就職後に会社の中で育み、強化されていくものだと考えられていました。この背景には三世代同居が普通で、地域で子供を育てるという気風があったことがあげられます。
しかし、核家族化が進み、子育ては家庭内で行うものという風潮に変化しました。さらに子供の高学歴化が進むにつれて職業教育を受ける機会が減り、終身雇用制度の崩壊によって企業が新入社員を一人前に育成することが難しくもなりました。その結果、企業が求める力と学生が社会人になった時に持っている力にギャップが生まれ、問題視されるようになったのです。
このギャップを埋めることが、学生から社会人への移行をスムーズにするために必要でした。
理由②|どんな年齢になっても活躍できる力が求められているため
2つめは、どんな年齢になっても活躍できる力が求められているためです。経済産業省が2018年2月に発表した「人生100年時代の社会人基礎力について」の中で、2006年に提唱した社会人基礎力の定義は有効であるものの、「人生100年時代」ならではの切り口や視点が必要だと説明しています。見直しイメージとして、以下のように述べました。
「新・社会人基礎力」は、これまで以上に長くなる個人の企業・組織・社会との関わりの中で、ライフ ステージの各段階で活躍し続けるために求められる力と定義され、社会人基礎力の3つの能力/12 の能力要素を内容としつつ、能力を発揮するにあたって、目的、学び、組合せのバランスを図ることが、 自らキャリアを切りひらいていく上で必要と位置付けられる。
超少子高齢化を迎えた現代の日本において、労働力人口減少を食い止める意味でも、常に学び続けることを前提として社会人基礎力が求められているのです。その前提として、学生時代に社会人基礎力を磨いておく必要があります。
社会人基礎力の構成要素
社会人基礎力を身につけることの大切さは、十分に理解できたことでしょう。実際に社会人基礎力を身につけるためには、その内容を知っておく必要があります。ここでは3つの力と12の能力要素で構成される、社会人基礎力の構成要素について具体的に説明します。
前に踏み出す力
1つめの力が、「前に踏み出す力(Action)」です。これは「一歩前に踏み出し、失敗しても粘り強く取り組む力」と表されています。社会人になると、周囲の指示を待たずに自ら考え行動することが求められます。そのために、この力が必要なのです。
以下では、「前に踏み出す力(Action)」を構成する3つの能力要素について説明します。
主体性
主体性は、「物事に進んで取り組む力」とされています。仕事をする際に上司や先輩の指示を待つのではなく、何事にも前向きに取り組んでみる姿勢を意味します。
ただし、自分がやるべきこととできることを、きちんと見極めなければなりません。それを理解しながら、積極的に仕事に取り組む能力といえます。
働きかけ力
働きかけ力は、「他人に働きかけ巻き込む力」とされています。仕事の中で自分の手に余る事態が起こった際に、周囲の人に協力やサポートを求めることが必要です。
その際、周囲に気持ちよく手を貸してもらうためには、日ごろから良好な人間関係を築き、状況を的確に判断し、適切な声がけを行なえる能力が不可欠です。
実行力
実行力は、「目的を設定し確実に行動する力」とされています。仕事をする際には、会社から何らかの目標を与えられるものです。また、自分を成長させるために目標を課すこともあるでしょう。
そんな時に目標を達成するための計画を立て、それを確実に実行する能力がなければ、達成することはできません。目標達成に向けてチャレンジする姿勢も含めた、実行力が求められます。
考え抜く力
2つめの力が、「考え抜く力(Thinking)」です。これは「疑問を持ち、考え抜く力」と表されています。時代の変化が激しい現代では、業務を遂行する際に発生する問題の難易度が上がる傾向が強まっています。その解決のために、いち早く課題を発見し、解決方法について考え抜く力が不可欠です。
以下では、「考え抜く力(Thinking)」を構成する3つの能力要素について説明します。
課題発見力
課題発見力は、「現状を分析し目的や課題を明らかにする力」とされています。目標を達成するためには、想定される問題に対処する準備をしておくにこしたことはありません。
そのためには状況を冷静に見極め、課題を見つけることが先決です。目標達成のために何をすべきかを考えたうえで、実践方法を様々な視点から検討し、課題を見つける力と言い換えることもできます。
計画力
計画力は、「課題の解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力」とされています。目標を達成するためには、先に洗い出した課題を解決するにあたり、優先順位を決めて実践する必要があります。
いつまでに何をするかという計画を立てて実践することで、目標達成が近づきます。計画を立てる際には、状況分析や先を見る力が求められるので、ビジネスセンスを磨くことにもつながります。
創造力
創造力とは、「新しい価値を生み出す力」とされています。社会のグローバル化が進み、消費者が求めるニーズが多様化・細分化する現代において、既存の発想にとらわれない新しい価値を生み出す人材が求められています。
固定概念に縛られず、偏見を持つことなく、直感や独創性から新しいモノやサービスを発想し、自信を持って提案・実現できれば、職場でも社会でも必要とされる人材になれます。
チームで働く力
3つめの力が、「チームで働く力(Teamwork)」です。これは「多様な人々とともに、目標に向けて協力する力」と表されています。組織で働く際、他者と協働することが前提です。業務は人それぞれ違っても、それが一つになった結果として、企業が利益をあげているからです。
以下では、「チームで働く力(Teamwork)」を構成する6つの能力要素について説明します。
発信力
発信力とは、「自分の意見をわかりやすく伝える力」とされています。自分の考えや意見を他者に的確に伝えるためには、論理的な話し方をする必要があります。
論理的な話し方をするためには、情報を整理し、意見を論理的に組み立て、相手に伝わりやすい表現にも配慮した提案力が求められます。コミュニケーションにおいて、不可欠な能力でもあります。
傾聴力
傾聴力とは、「相手の意見を丁寧に聴く力」とされています。ネガティブな感情を排除できるよう質問を投げかけ、相手の本音を引き出す力は、マネジメントを行ううえでも重要です。
傾聴力を発揮するためには、対話において自分の意見を差しはさまない、適切に相槌を打つというというスキルも必要です。また、ソーシャルセンシティビティとも呼ばれる社会的感受性や、相手を受け止める受容性を持つことも大事です。
柔軟性
柔軟性とは、「意見の違いや立場の違いを理解する力」とされています。自分の価値観に固執したり、周囲に同調するような志向性では、職場で他者と協働することはできません。
グローバル化やダイバーシティーが進む現代において、相手の立場や思いを尊重する、様々な価値観や発想を前向きに受け止める力は不可欠です。協調性があり、ポジティブ思考の傾向が強いと、柔軟性も高くなります。
情況把握力
状況把握力とは、「自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力」とされています。仕事では個人のものだけでなく、部署や組織に対する目標も課せられます。その際、周囲の状況を理解したうえで、自分がやるべきことを見極める必要に迫られます。
状況を冷静に分析したうえで、組織や部署内で自分が果たすべき役割や立場を認識し、周囲との関係を正しく把握する力は、様々な場面で役立つものです。
規律性
規律性とは、「社会のルールや人との約束を守る力」とされています。就職すると自分が勤務する会社だけでなく、社会生活全般でモラルある行動をすることが求められます。
法律や条例、就業規則など、社会人として守るべきルールを遵守するよう自分を律する力がなければ、周囲にも社会にも認めてもらうことはできません。マナーや自制心、一般教養があることも、規律性の有無に大きく関わります。
ストレスコントロール力
ストレスコントロール力とは、「ストレスの発生源に対応する力」とされています。社会に出ると、学生時代には遭遇しなかったストレッサーに出会うことも多いです。そして、ストレッサーが業務に関わる場合、それを排除するのは難しいという現実があります。
だからこそ、ストレスがあるという事実を認めながらもその事実をポジティブに受け止める、あるいはストレッサーに対して適切に対応するというセルフコントロール力を用いて、ダメージを軽減する力が求められます。
社会人基礎力を身につける方法
社会人基礎力の有無によって、入社後の成長スピードに大きな差が生まれます。就活に勝つためにも、学生時代から社会人基礎力を磨いておくにこしたことはありません。ここではすぐに実践してほしい、社会人基礎力を身につける方法について説明します。
方法①|本を読む
社会人基礎力を身につける方法の1つめは、本を読むことです。社会人基礎力を身につけるためには、その内容を知らなければなりません。効率よく社会人基礎力を学ぶには、本を読むのが一番です。
ここでは、社会人基礎力を身につけるために、おすすめしたい本を3冊、紹介します。
わかる社会人基礎力:人生100年時代を生き抜く力
1冊めは、「わかる社会人基礎力:人生100年時代を生き抜く力」です。社会人基礎力を構成する3つの能力と12の能力要素を章ごとに分け、わかりやすく解説しています。
本の主人公が大学3年生から中堅社員になるまでの過程をシナリオ化し、その時々で必要となる力を学ぶことができるので、共感しながら読み進められると評判のようです。
求められる人材になるための社会人基礎力講座
2冊めは、「求められる人材になるための社会人基礎力講座」です。就活前の大学生から入社3年目程度の若手社員まで対応する、社会人基礎力とは何かについて考える一冊となっています。
3つの能力と12の能力要素が90分で講義できるようにまとめられており、ケーススタディや事前チェックシートなどもあって使いやすいと好評です。
社会人基礎力(大学生の社会人準備講座)
3冊めは、「社会人基礎力(大学生の社会人準備講座)」です。社会人基礎力とは何かについて解説されているだけでなく、学生時代に身につけておくべきマナーや社会常識についても触れています。
ワークシートがついているので、実践しながら身につけられる点も魅力です。
方法②|意識して行動する
社会人基礎力を身につける方法の2つめは、日ごろから社会人基礎力を意識して行動することです。そのためには、まず自分の能力をはかる必要があります。自己分析や他己分析の中で、自分の強みや弱みを把握します。
そのうえで、社会人基礎力の3つの能力と12の能力要素を意識した行動を心がけるのです。例えばコミュニケーション力を養いたい場合は、自分から意見を述べる、相手の話を傾聴するなど、発信力や傾聴力のアップにつながる行動を行ってみましょう。
方法③|研修に参加する
社会人基礎力を身につける方法の3つめは、ビジネススキル養成をテーマにしている研修に参加することです。大学の中には就職支援の一環として、社会人基礎力講座を開講しているところがあります。また、社会人基礎力養成を目的とした研修やセミナーを行っている民間業者もあります。
こうした研修に参加し、座学やグループディスカッションなどを行うことで、より理解を深めることができます。また、自分の社会人基礎力のレベルを知るうえでも、有効な方法です。
まとめ
今回は、社会人基礎力とは何か、なぜ必要なのか、身につける方法などについて解説しました。
社会人基礎力は就活を始める時点から必要で、生涯にわたって磨き続けなければなりません。一見大変そうですが、きちんと身につけることで社会人としてキャリアアップするチャンスが広がるのも事実です。まずはその内容を把握し、日々の生活の中で社会人基礎力を磨くことを習慣化することをおすすめします。