ビジネスメールを作成し推敲している際、内容の書き漏れがあって「ps（追伸）」を使う社会人がいるようです。しかしそれは、ビジネスメールではよい行為とはいえません。そもそも「ps（追伸）」はビジネスメールに適したものではないからです。そこで今回は「ps（追伸）」の使い方を解説します。

ps（追伸）とは

なぜ「ps（追伸）」をビジネスメールで使うべきではないのかは、その意味を知れば理解できます。ここでは、「ps（追伸）」の意味と書き方について説明します。

psについて

psは、英語表記です。Weblio英和辞典・和英辞典では「㎰」を、以下のように説明しています。

(手紙の)追伸、追記、あとがき

psは、「postscript」という英単語の略字でもあります。意味については、次章で説明します。

追伸について

psを日本語訳すると、「追伸」となります。小学館のオンライン大辞泉では、「追伸」について以下のように説明しています。

手紙などで、本文のあとに、さらに書き加える文。また、その初めに記す語。なおなお書き。追って書き。追啓。追陳。二伸。追白。

つまり、手紙やメールの文面の最後に付け加える文章を意味します。

追伸は、もともと手紙で用いられる表現でした。かつてはビジネス文書も便箋にペンで手書きしていたため、書き忘れがあると一からやり直さなければなりませんでした。しかしそれでは大変なので、「追伸」として書き添えるようになったのが始まりです。

ps（追伸）はビジネスメールでは使わない

ps（追伸）は、ビジネスメールでは使わないのが原則です。その理由として、以下のことがあげられます。

• ビジネスメールは一通ですべての内容を伝えるのが基本である
• 追伸を加えると、内容が2つ以上になり混乱を招く可能性がある
• ビジネスメールの書き直しは簡単なのに、書き直す手間を省いているという印象を与える
• 上司や取引先など、目上の人に対するビジネスメールの場合は失礼にあたる

ビジネスメールでは守るべきマナーがあり、「ps（追伸）」は適さない表現だということです。合わせて、メール以外でも「ps（追伸）」を使いべきではないシーンを列記しておきます。

• 結婚を祝うとき
• お見舞いのとき
• 感謝や謝罪の意を伝えるとき

「ps（追伸）」は「重ねて伝える」という意味を持つため、結婚やお見舞いの手紙やメールで使用するのは適していません。そして感謝や謝罪の意を伝えるときも、文末に何かを付け加えるのは失礼にあたるので、「ps（追伸）」の使用は避けるべきです。

ps（追伸）が使える例外もある

ビジネスメールでは「ps（追伸）」を使わないのが原則と前述しましたが、例外もあります。そして、例外的な使い方をすることで、相手との関係を深められる可能性が高まります。ここでは、ビジネスメールにおいて、「ps（追伸）」を例外的に使えるシーンと使い方を説明します。

例外①｜相手を気遣うとき

追伸　4月に入りましたが、寒い日が続いております。くれぐれもご自愛くださいませ。

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ビジネスメールを送る相手の体調などを気遣うときには、「ps（追伸）」を用いてかまいません。これから親しくなりたい相手に対して、季節に配慮した体調を気遣う文章を加筆する際に活用できます。

また、「追伸　打ち合わせ当日にお車でご来社いただく場合は、事前にお知らせくださいませ。駐車スペースを用意させていただきます」など、相手の返信を促す際にも活用できます。

例外②｜食事に誘うとき

追伸　毎日残業とのこと、お疲れさまです。弊社の近くにとても評判の良い和食店がございます。もしご都合がよろしければ、今後息抜きに食事でもご一緒しましょう。

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「ps（追伸）」はビジネスメールの内容とはまったく関係がなく、個人的に相手を食事に誘うときにも使えます。ただし、会社が行うイベントなど、出欠の連絡が必要な場合は「ps（追伸）」を使ってはいけません。

例外③｜簡単な近況報告をするとき

追伸　ご家族は変わりなく、お元気ですか。私の方は相変わらずにぎやかです。

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信頼関係のある方へのビジネスメールの場合、「ps（追伸）」を使って簡単な近況報告をするという使用方法があります。「追伸　最近私もミステリーにはまっています。もし機会がありましたらお薦めの作品を教えてください」という使い方も可能です。

ps（追伸）が送られてきたときの対応

自分が受け取ったビジネスメールの中に「ps（追伸）」があった場合、どう返信すべきか悩む人もいることでしょう。「ps（追伸）」があったからといって、返事を本文の末尾に「ps（追伸）」として入れる必要はありません。返信の本文の中に「ps（追伸）」の返答を織り交ぜましょう。

ただし、「ご自愛ください」と体調を気遣う「ps（追伸）」だった場合には、それに対して返信する必要はありません。食事の誘いや近況報告があった際には、相手を不快にさせない意味でも、きちんと返答するよう心がけましょう。

ps（追伸）は正しく使おう

ビジネスメールで「ps（追伸）」を使う際には、正しい使い方をする必要があります。以下に4つのポイントをまとめました。

• 「ps（追伸）」には、大切な要件は入れない
• 目上の人に対しては使わない
• お祝い・お悔み・感謝・謝罪の言葉は入れない
• できるだけ簡潔に書く

上記のポイントを守れば、問題ありません。また、「ps（追伸）」の後に一文字文あけてから文章を綴るか、改行して加えるのがマナーです。ビジネスメールだからこそ、相手に失礼のないように十分に配慮して使いましょう。

まとめ

今回は「ps（追伸）」の意味や使い方について、解説しました。

友人や同僚など親しい相手に対し、メールや手紙で「ps（追伸）」を用いるのは問題ありません。しかし、ビジネスメールの場合は「ps（追伸）」が不適切となるケースもあります。「ps（追伸）」を使用するからには、相手との距離が縮められるよう、適切に用いることを意識することをおすすめします。