分析力とは、物事を正しく理解するための思考のことで、仕事で成果を生み出すためには必須の能力です。この記事ではその「分析力」の定義・分析力がある人の特徴・分析力の鍛え方などを紹介します。思考力や分析力に自身がなかったり、これから更に鍛えたい方は是非ご一読下さい。
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この記事の監修者
キャリアカウンセラー|秋田 拓也
厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。
■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
分析力とは
日常生活やビジネスなどの仕事の現場では、データや周囲の人の「分析」を行うことがありますが、そもそも「分析」や「分析力」とはどういう意味なのでしょうか。
この記事では「分析力」について、類似する言葉との違い・鍛える方法・分析力がある人の特徴・鍛えるための習慣などを紹介します。その前に「分析」「分析力」という言葉の定義を押さえておきましょう。
そもそも分析とは
まず、「分析」とは物事を要素ごとに分けて、その成り立ちや構成している要素を細部まで明確にすることを言います。
つまり、「分析」とはあくまでもある物事を正しく「理解」する行為であり、一般的なイメージである傾向を読み取ることや、学びを得ることでは含まれません。
似た言葉に「分解」「解析」がありますが、「分解」は1つのものを要素ごとに「分ける」こと、「解析」は数字やデータになった原因を探ることです。それぞれ、1つのものごとを捉える行為ではありますが、厳密には役割・意味が異なります。
分析力の辞書的な意味
『広辞苑』の第7版を見ると、「分析力」という言葉は掲載されていません。ただし、「分析」の意味は下記のように書かれています。
ものごとを分解して、構成する要素・成分・側面を明らかにすること
参考:『広辞苑』第7版
ここからも、「分析」には情報から学びを得たり、傾向を捉えたりする行為は含まれないことが分かります。あくまでも物事を構成する要素を「分解」して、正しく「理解」することにとどまり、その能力のことを「分析力」ということが考えられます。
分析力と似た言葉の意味とその違い
では、「分析力」と似た言葉との違いはどのようなポイントが有るのでしょうか。
ここでは類似する言葉として、「洞察力」「観察力」「思考力」という3つを挙げ、それぞれの意味と「分析力」との違いを紹介します。
洞察力
まずは、「洞察力」という言葉です。
「洞察力」というと、人が気づかないことに気づいたり、目の前の情報から新しい気づきを得るようなイメージがありますが、実際にはどのような意味があるのでしょうか。
洞察力とは
まず、「洞察」という言葉の意味は、『広辞苑』には以下のように書かれています。
よく見通すこと、見抜くこと。
参考:『広辞苑』第7版
一般的なイメージ通り、目の前の情報から読み取れる事を「見抜く」という意味です。なので「洞察力」とは、ものごとを「見抜く力」のことと考えられます。
分析力と洞察力の違い
分析力と洞察力の違いは、「理解」と「気づき」と言えます。
分析力は「物事を分解して、その成り立ちを明らかにすること」と紹介しましたが、洞察力は「見抜く力」です。前者は目の前にある物事を正しく理解することにとどまっていますが、後者では目の前の情報からさらに新しいことに気づいています。
観察力
次は「観察力」です。
辞書的な意味を知らない方にとっては「観察力」というと、「よく見ること」「実験や調査のために注意深く見ること」といったイメージを浮かべる方が多いと思います。
観察力とは
「観察」は広辞苑では以下のように紹介されています。
物事の真の姿を間違いなく理解しようとよく見る。
参考:『広辞苑』第7版
一般的なイメージに相違はありませんが、辞書的な意味としては「真の姿を間違いなく理解する」というニュアンスが含まれています。つまり、ただ「よく見る」だけではなく、「正しく理解するために」よく見ていることが分かります。
分析力と観察力の違い
「分析力」と「観察力」の違いは、「理解力」と「捉える力」と言えます。
「分析力」は「分解して、ものごとの構成を明らかにすること」なので、目の前の物事を正しく理解する力です。一方で、「観察力」は「よく見る力」なので、分析の前段階となる「物事を捉える能力」と言えます。
思考力
3つ目は「思考力」です。
「思考力」はやや抽象的な印象を持つ言葉ですが、実際にはどのような意味なのでしょうか。ここでも広辞苑の記載を参考に意味を紹介します。
思考力とは
まず、広辞苑によると「思考」の意味は以下の通りです。
思いを巡らすこと、考え。広義には、人の知的作用の総称。狭義には、にはある課題の解決に関与する心的操作。
参考:『広辞苑』第7版
最初の意味川も分かる通り、「思考力」は抽象的に「考えること全般」を言います。しかし、狭義の意味としては、「課題を解決しようとして考えを巡らすこと」ということが読み取れます。
分析力と思考力の違い
「分析力」と「思考力」の違いは、「分析力は思考力の一部である」ということです。
狭義の「思考力」の意味は、「課題を解決しようとして考えを巡らすこと」と紹介しましたが、課題の解決には課題やおかれている状況を正しく「理解」して、効果的な解決策を考える必要があります。
そのため、「分析力」は狭義の思考課程の一部であると言えます。
分析力がある人の特徴
では、ここまでに紹介した「分析力」がある人には、どのような特徴があるのでしょうか。
ここでは分析力がある人によく見られる4つの特徴を紹介します。ここで紹介する特徴がよく見られる人には、あなたの分析力を鍛えるためにコツなどを聞いてみると良いかも知れません。
特徴①|冷静な判断ができる
分析力がある人に見られる1つ目の特徴は、冷静な判断ができることです。
物事を正しく分析するためには、おかれている状況や眼の前にある情報を冷静に把握・理解する力が必要です。これができなければ、見落としが出たり感情的な意見に終止してしまって、思考が偏る可能性があるからです。
冷静に状況を捉え、判断することで物事の構成要素を的確にグループ分けでき、正しい分析ができます。
特徴②|客観的に物事を見れる
2つ目の特徴は、客観的に物事を見られることです。
物事を共通する要素ごとにグループ分けして、分かりやすく整理するためには、主観的な判断は厳禁で、適切な切り口から類似する要素をもれなく・ダブり無くまとめる力が不可欠です。
そのためには、1つ1つの情報の特徴を客観的に理解する能力が必須で、これがなければ正しい要素分解ができなくなってしまいます。
特徴③|数学が得意
3つ目の特徴は、数学が得意なことです。
学校で学ぶ数学では、「場合分け」や「因数分解」など、問題を解く過程で必然的に「分析力」が求められることがあります。
また、問題を解くために計算(解決)すべきものを、正確に判断するために、自分の思考を分析する必要があります。そのため、数学が得意な方は、分析力が高い傾向があると言えます。
特徴④|整理整頓が得意
4つ目の特徴は、整理整頓が得意なことです。
自分の部屋やパソコン上にあるデータなどを整理する時には、同じ特徴や性質を持つものやデータをまとめます。その過程では、1つ1つのものやデータの性質を理解してまとめるべき場所にまとめています。
つまり、自分が設定したフォルダや収納場所という「切り口」に応じて、正しくものや情報を振り分けることが出来るということなので、分析力が高いと言えます。
分析力を鍛える方法
では、今「分析力」に自身がない方は、どのようにして分析力を鍛えればよいのでしょうか。
ここではおすすめの4つの方法を紹介します。誰でも簡単に出来ることなので、日々の習慣に加えてみて下さい。
方法①|常に考える癖をつける
1つ目の方法は、常に考える癖をつけることです。
やや抽象的な方法ですが、分析力には適切な「切り口」を見つけて1つ1つの出来事を正しく「理解」する能力が不可欠です。これらを鍛えるために得た情報についてどんな切り口から整理すべきか、整理する情報の特徴は何かを常に考えましょう。
出来事を「理解する力」には差が出ませんが、「切り口」の選び方は分析力を左右します。どんな方法で情報を整理するかによって、分かりやすく物事を理解できるかが決まるので、常に「どう情報をまとめるか」を意識して考える癖をつけましょう。
方法②|物の見方を変えてみる
2つ目の方法は、物の見方を変えてみることです。
これが、先述の「切り口の選び方」のことです。同じ情報も、見方を変えればその情報への印象が変わったり、より多くの情報をわかり易くまとめることが出来るようになります。
1つ1つの事象の理解には差が出なくても、この「見方」によって、対象について考えるべき要素を網羅的に分析できているかが決まります。
方法③|「因数分解」的な思考を意識する
3つ目の方法は、「因数分解」的な思考を意識することです。
「因数分解的な考え方」とは、「売上=商品単価×販売数量」のように、1つの物事を理解するために必要な要素をもれなく把握する考え方です。論理的思考力についての専門用語では、MECE(ミーシー)とも言われます。
MECEとは「Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive」の頭文字をとったもので、「もれなくダブり無く」という意味です。分析力を鍛えるためには、常にMECEに物事を整理できるように意識しましょう。
方法④|考えるべきポイントを網羅的に洗い出す癖をつける
4つ目の方法は、考えるべきポイントを網羅的に洗い出す癖をつけることです。
これはMECEに関連することで、「ものごとを分解して、構成する要素・成分・側面を明らかにする」という「分析」を正しく行うためには、分析対象について、見落としている点があってはいけません。
情報を正しく理解するためには、分析すべき情報をもれなく把握していることが大前提です。これができなければ見ている情報に偏りが出て、その結果分析結果にも偏りが出てしまいます。
【すぐに実践】分析力を鍛える習慣
分析力を身に着けたい方は、普段から下記のことを習慣づけましょう。
- 毎日自宅やPCのデスクトップを整理する。
- ニュースや人の意見を聞く時は要素別に分解する。
- 言葉の「定義」を意識する。
- 一般的に使える「フレームワーク」を学ぶ。
これらの習慣は「整理整頓の習慣づけ」「分析の前提能力の向上」「分析のパターン理解」に分けられます。「正しい言葉の定義」を知らなければ、情報を正しく整理できないので、日頃から知らない言葉は調べて、「語彙力」を向上しておきましょう。
そして、「分析」には一般的なものやビジネスでよく使う「フレームワーク」があります。対症療法と根本療法・3C・4P・マッキンゼーの7Sなど、種類はたくさんあるので、「思考の武器」として、一般的なフレームワークを押さえておきましょう。
分析力に関するオススメの本
さらに分析力を鍛えたい方には、ここで紹介する3つの書籍を読むことをおおすすめします。
①意思決定のための「分析の技術」
1つ目の書籍は、意思決定のための「分析の技術」(後正武著)です。
この本の筆者は、日頃から高度な分析力を求められる経営コンサルタントです。全9章からなり、1章ごとに分析手法を取り上げて、正しい分析のためのコツなどを紹介しています。
②思考・論理・分析―「正しく考え、正しく分かること」の理論と実践
2つ目の書籍は、思考・論理・分析―「正しく考え、正しく分かること」の理論と実践(波頭亮著)です。
この書籍の内容は「分析」に限定されたものではなく、思考力全般を扱っていますが、思考力の前提として必要な「分析」についても、具体的な事例を取り上げながら分かりやすく紹介されています。
③ロジカル・シンキング 論理的な思考と構成のスキル
3つ目の書籍は、ロジカル・シンキング 論理的な思考と構成のスキル(照屋華子、岡田恵子著)です。
この書籍も「分析力」に限定した内容を扱うものではなく、ロジカルシンキング全般を扱うものです。ただし、MECE・ピラミッドストラクチャーなど、論旨の整理で使う思考法も押さえた本なので、論理的思考力まで鍛えたい方におすすめです。
【就活生】分析力を生かす仕事
最後に、分析力が生かせる仕事を2つ紹介します。
ここではデータアナリストと各種金融商品のアナリストを紹介します。「アナリスト」とは「分析屋」という意味なので、分析力に自身がある方には最適な職業と言えます。
仕事①|データアナリスト
1つ目の仕事は、「データアナリスト」です。
データアナリストはデータを分析する人ですが、主に扱うデータはビッグデータが主となり、膨大なデータから情報を整理するのが仕事です。ただ、実際の仕事では予測モデル構築・課題の特定など、辞書的な意味の「分析」以上の仕事も行います。
AIの登場によって、データアナリストの仕事はなくなると言われますが、当記事でも紹介した分析の「切り口」の判断は、創造力やオリジナリティが求められる部分なので、完全にデータアナリストの仕事が消滅するものではないとも言われています。
仕事②|各種金融商品のアナリスト
2つ目の仕事は、各種金融商品のアナリストです。
これは株・為替・債権といった投資先金融商品を専門に分析を行う仕事です。この仕事では分析力や分析に必要な知識の他に、金融に関する専門的な知識も求められます。
日本の大手証券会社や海外のヘッジファンドではAIによるデータ分析も導入されていますが、「データアナリスト」の紹介でも言及した通り、創造力が求められる業務は今後も残ると言われています。
まとめ
この記事では「分析力」の定義・類義語との違い・分析力がある人の特徴・分析力の鍛え方などを紹介しました。
自分が抱える課題や置かれている状況から最適な行動を取るためには、正確な分析力は必須の能力です。正確な分析力がなければ、構築した解決策も的外れになってしまうからです。
ただし、最後の見出しで紹介した通り、分析力や情報の処理量・速度はAIに勝てるものではありません。なので、分析力の中でもどんな能力を鍛えるべきかを考えて訓練しましょう。