傾聴力とは、いわゆる「聞き上手」ということです。ですが、実際のビジネスシーンでは、傾聴力はただ単に聞き上手な能力だけでは不十分です。傾聴力とは具体的にどのようなことを指しているのでしょう。傾聴力の効果や目的なども含めて解説していきます。
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この記事の監修者
キャリアカウンセラー|秋田 拓也
厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。
■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
傾聴力(けいちょうりょく)とは
傾聴力は、ビジネスシーンなどで特に最近重視されている能力です。傾聴力を磨けば磨くほど仕事で成功する可能性も上がり、人間関係も良好になります。
ですが、傾聴力という言葉を初めて聞いたという人もいるでしょう。そこで、まずは傾聴力の言葉の意味や類義語などについてご紹介します。
傾聴力の意味
傾聴力とは、人の話を聴く能力です。ただ単にぼんやり聞き流すのではなく、さまざまな疑問を抱きながらしっかり聴くことで、コミュニケーション能力も同時に上がっていきます。
また、傾聴力を鍛えることは、人の話を上手に引き出すことにもつながります。上手に合いの手を入れたり、疑問に感じたことを質問したりすることで、「この人は自分の話に興味をもってくれている」と思ってもらえ、好印象を与えることができます。
傾聴力の類義語
傾聴力という言葉には、似たような類義語があります。
- 拝聴力
- 清聴力
- 静聴力
「拝聴力」や「清聴力」には、相手に尊敬の気持ちを持って話を聴くという意味があります。また、「静聴力」は静かに話を聴くという意味です。
これら3つは、それぞれ多少意味に違いがありますが、どれもぼんやり聞くのではなく、相手の話に意識や気持ちを集中させてしっかり聴くという共通した意味があります。
傾聴力がスキルとして求められる仕事
傾聴力がスキルとして高く求められる仕事はかなりたくさんあります。その仕事をいくつかご紹介します。
- コーチング
- カウンセリング
- 臨床心理士
- メンタルトレーナー
- 社会福祉士
- ソーシャルワーカー
- ケアマネージャー
- キャリアコンサルタント
- 産業カウンセラー
どれも相手の話をしっかり聴くことが基本の仕事ばかりです。相手の意見や考えだけではなく、心の底に抑え込んでいるさまざまな感情も上手に引き出してあげるという高い傾聴スキルが求められます。
傾聴力を磨く目的・効果
最近は、傾聴力を磨く人が増えてきています。それは傾聴力を磨くことでさまざまな効果が得られるからです。
それではどんな良い効果があるのでしょう。傾聴力を磨く目的やその効果について解説します。
①信頼を獲得できる
傾聴力を磨くと、多くの人たちの信頼を獲得できるようになります。
想像してみてください。自分の話をじっくり聞いてくれる人と、まったく聞いてくれずに自分の意見ばかりを押し付ける人とでは、どちらが信頼できると感じられるでしょう。
多くの人たちは自分の話や意見を聞いて欲しいと思っています。聞いてもらうことで、自分のことを知ろうとしてくれていると感じられるようになり、それが信頼へと変わっていきます。
②良質なアドバイスができる
傾聴力を磨くと、良質なアドバイスができるようになります。
アドバイスとは、相手が見えていない部分や求めていることに的確な考えや意見を伝えることです。見えていない部分や求めていることが何なのかは、話をじっくり聞かなければわかりません。
「どんなことを求めているのだろう」や「何がしたいのだろう」と疑問を持ちながら、相手の話にしっかり耳を傾けることで、的確で良質なアドバイスが可能になります。
③深遠な関係を築ける
傾聴力を磨くと、多くの人たちと深遠な関係を築くことができます。
自分の話をまったく聞いてくれない人と仲良くしようと思う人はあまりいません。「この人は自分のことをしっかり見てくれていない」と思うからです。
傾聴力を磨くことで「この人は自分のことをしっかり見てくれている」と思ってもらえるようになり、深遠な関係を築くことができるようになります。特にチームや会社などでリーダー的な立場に立っている人にとっては、大きなプラスとなります。
傾聴力を高める方法
傾聴力を高める方法は、意外と簡単です。特に会話をしている時に、ちょっとしたことを意識するだけで傾聴力が高まります。
会話での傾聴力を高める方法はもちろん、それ以外の方法も合わせて解説します。
①相槌や頷きなどの合いの手を入れる
傾聴力を高める方法として、相槌や頷きなどの合いの手を入れることが有効です。せっかく自分が話をしているのに、何の反応もなかったら不安になります。適当なところで相槌や頷きを入れてもらえると、「聞いてくれている」と確認できます。
「なるほど」や「うん、うん」などのように合いの手を入れましょう。ポイントは、多すぎず少なすぎずです。相手の会話の中で感情や考えの部分が出てきたら、合いの手を入れるようにすると良いでしょう。
「こう思った」や「こんな風に考えた」などのような言葉が出てきた時に、合いの手を入れると「この人は聞いてくれている」と思ってもらえて、傾聴力が高まります。
②別の言葉に言い換えてオウム返しをする
会話の最中にオウム返しをすることがあります。この時、別の言葉に言い換えてオウム返しをすると、傾聴力が高まります。
特に感情を表現する言葉は、同じ感情でもさまざまな表現方法があります。そのため、別の言葉に変えてオウム返しすることが比較的容易です。
例えば、「悲しい」と相手が言った場合は、「胸が苦しくなったんですね」などのように言い換えが可能です。「怒り」についても「頭に血が上るほど腹が立った」などの表現に変えることができます。
③疑問に感じたことを質問する
会話の途中で疑問に感じたことを質問するということも、傾聴力を高める効果があります。質問するということは、それだけ話をじっくり聞いているというサインになるからです。
例えば、「どうしてそのように感じたの?」や「何故そんな風に考えたの?」などのように質問しましょう。感じたことや考えは個人的なものですから、すべての人たちが全く同じということはありません。そのため、ズレた質問になるということがないのです。
注意したいのは、「私はこんな風に感じたのだけれど」などのように、主観的な意見や考えは入れてはいけないということです。あくまで、相手に主体を置いて質問しましょう。
④表情を相手に合わせる
会話の最中、意外と相手の顔を見ているものです。そのため、表情を相手に合わせることで傾聴力を高めることができます。
悲しい話や苦しい話をしている時に笑顔でいると、相手は不信感を抱きます。「この人は人の不幸が好きなんだ」と思い、信頼してくれなくなるということもあるかもしれません。例えば悲しい話をしている時、相手は必ず悲しい表情をしているので合わせましょう。
また、表情を相手に合わせると、声のトーンも相手にあってきます。声のトーンと表情は連動しているので、合いの手や質問をする時にも相手の声のトーンに自然と合わさります。
⑤沈黙を怖がらない
「私はあなたの話を聴いていますよ」とアピールするため、頻繁に合いの手や相槌を入れることがあります。ですが、これは逆効果です。多すぎる合いの手や相槌は会話の妨げになるのです。沈黙を怖がらず、静かに相手の話を聴くことも大切です。
特に相手が自分の考えや意見を述べている時は、合いの手や質問をするのはやめましょう。話の腰を折られたと感じて、そこで話すことをやめてしまう可能性があります。
何の反応もしないことに不安を感じる場合は、静かに頷きましょう。首を小さく、ゆっくり縦に振ることで「この人は聞いてくれている」と思ってもらえます。
⑥活字の本をたくさん読む
本をたくさん読むことは、傾聴力を高める一番の近道になります。何故なら、本を読むことで想像力が養われるからです。
傾聴力を高める為には、相手の会話に疑問を持ったり気持ちに共感したりする必要があります。これらをクリアするために必要なのが想像力です。たくさんの本を読むことで、そこに描かれている状況を頭の中で想像する癖がつき、会話でも活用されるのです。
イラストがほとんど書かれていない活字のみの本は、特に想像力を鍛えてくれます。想像力がそのまま傾聴力にもつながるので、たくさんの本を読みましょう。
⑦傾聴力関係のセミナーに参加してみる
傾聴力関係のセミナーは最近、至るところで開催されています。このようなセミナーに参加してみるのも傾聴力を高めることに役立ちます。
セミナーの内容はもちろん大切ですが、それよりも大切なのはセミナーを開催している主催者の表現力や会話力を観察することです。どんな言葉で表現しているのか、どんな表情で相手に伝えようとしているのかを観察することで、観察力が身につきます。
傾聴力では観察力も大切です。相手がどんな心理状態にあるのかを観察する必要があるからです。セミナーを主催している人は伝えることのプロですから、その人をじっくり観察することで観察力が身につき、傾聴力も同時に養われていきます。
⑧傾聴セラピーの資格取得を目指す
傾聴セラピーの養成講座というものがあります。これはカウンセラーやセラピストとしての資格を取得するための講座なのですが、これらを受講して資格を目指すのも良い方法です。
資格試験を目指した講座ともなると、かなり深くまで傾聴力を高める方法や具体的な例を知ることができます。ちょっとしたコツなども知ることができるので、大変有効です。
傾聴でやってしまいがちなNG例
自分では傾聴しているつもりでも、相手にとっては傾聴になっていないということが多々あります。
そこで、傾聴でやってしまいがちなNG例をご紹介します。
自分が言いたいことだけ言う
傾聴では、自分が言いたいことだけを言うのはNGです。
相手はあなたのアドバイスを求めているのではありません。自分の話を聴いてもらいたいと思っているのです。それなのに、自分の言いたいことだけを言って相手の話を聴かないのは、傾聴とは言えません。
相手の目をみて傾聴しない
相手の目を見て傾聴しないこともよくありません。
目を合わせないということは、「私の話を聴いてくれていない」と相手に思わせることになります。
仮に相手が自分の目を見て話していなくても、必ず相手の顔を見て話を聴きましょう。
スマホなど周囲に気をとられる
相手が話をしている最中に、スマホなど周囲に気を取られてしまうのも傾聴とは言えません。話に集中していないことと同じだからです。
静かな場所で相手の話を聴く、携帯の電源は切るなどのような配慮をしましょう。
反論、否定をする
やってしまいがちなのが、反論したり否定したりすることです。相手はあなたの意見や考えを聴きたいと思っているわけではありません。自分の話を聴いて欲しいと思っているのです。反論や否定されると、相手は自分自身を否定されたと思ってしまいます。
例え自分の考えや思いと異なっていても、反論したり否定したりするのはやめましょう。「なぜそのように考えたのですか?」の様に質問すると、反論や否定をすることはなくなります。
結論や結末を急かす
「それで、どうなったの?」や「結局何が言いたいの?」などのような結論や結末を急かすと、相手は話をする気力が失われてしまいます。また、会話が上手にできない人にとっては「怖い」と感じることもあります。
相手の会話のペースに合わせて聴いてあげましょう。質問や合いの手を入れるときにも、相手の会話のペースに合わせると、相手は話しやすいと感じてどんどん話してくれます。
傾聴力を面接の自己PRで伝えるポイント
面接で傾聴力を自己PRとして伝える場合は、ただ単に話を聴くことが上手というだけでは不十分です。ビジネスの場面で最も求められるのは、問題解決の能力だからです。話を聴くばかりで具体的な解決策が提示できないのでは、マイナスと取られかねません。
相手の話を聞いた上で自分はどんなアドバイスをしたのか、そしてそのアドバイスがどのように役に立ったのかということを、実体験に基づいて話すようにしましょう。すると、「人の話を聴いた上で問題を解決へ導く能力がある」と受け取ってもらえます。
まとめ
傾聴力は日常生活のちょっとした工夫で、すぐに鍛えて伸ばすことができます。まずは人の話を興味をもって聞きましょう。その上で質問したり合いの手を入れたりといった工夫をすることで、傾聴力はぐんぐん伸びていきます。