労働力の流動性が高まっている現在、「ポータブルスキル」は多くの社会人が身に付けておくべきスキルとなっています。この記事では「ポータブルスキル」の意味や構成する3つの要素などを紹介します。どんな業種・業界でも通用する能力なので、幅広い業務で成果を上げたい方は、ぜひご一読下さい。
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この記事の監修者
キャリアカウンセラー|秋田 拓也
厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。
■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
ポータブルスキルとは
厚生労働省の「”ポータブルスキル”活用研修」の冊子の内容によると、「ポータブルスキル」とは下記のように記載されています。
業種や職業が変わっても通用する「持ち運び可能な能力」
参考:厚生労働省「”ポータブルスキル”活用研修」
後述するように、仕事上のスキルは「ポータブルスキル」と「テクニカルスキル」の2種類があり、「ポータブルスキル」は幅広い業界・職種でも通用する普遍的な仕事能力のことを言います。
転職が当たり前になった今、厚生労働省が提唱する「ポータブルスキル」を身に付けることは、社会情勢に応じて柔軟に仕事を変更できるようになるために、社会人が身につけるべきスキルと言えます。
ポータブルスキルとスタンスの違い
「ポータブルスキル」と「スタンス」の違いは、「具体的な仕事の実行能力」と「意識」の違いと言えます。
「ポータブルスキル」では計画の作成・進捗や部下の管理能力・職務の遂行能力と言った、仕事を形にするために必要な具体的な能力のことをいます。その一方で、「スタンス」は「仕事をする上で大切にしていること」といった抽象的なものです。
「スタンス」は個々人の価値観に依存するためどんな意識を持つかは自由ですが、「ポータブルスキル」は研修などで必要な知識をインプットしたり、経験に応じて能力を高めることも可能です。
ポータブルスキルとテクニカルスキルの違い
「ポータブルスキル」と「テクニカルスキル」の違いは、「専門性」です。
「テクニカルスキル」とは、特定の業種で必要とされる能力で、転職等によって仕事が変わった際に活用するのが難しいスキルのことを言います。具体的には弁護士資格や医師免許などは、転職した場合の活用が難しいテクニカルスキルと言えます。
しかし、テクニカルスキルは専門性がなければ出来ない仕事には必要不可欠な能力なので、ポータブルスキルと合わせて身に付けておく必要があります。
ポータブルスキルが評価される理由
では、ポータブルスキルが企業内の人事や、就職・転職市場で評価されるのはなぜなのでしょうか。
この見出しではポータブルスキルが評価につながる、「根本的な能力」「人との過関わり方」という2つのポイントを紹介します。
業種・業界ごとの仕事をこなすために必要な「テクニカルスキル」ではないですが、ポータブルスキルの有無は仕事の成果に直結します。この点から評価につながることを理解しましょう。
理由①|仕事をこなす「根本的」な能力だから
ポータブルスキルの1つには「仕事のし方」という項目があり、この能力は「テクニカルスキルを活用して、高い成果を上げる能力」といえます。
どんな仕事でも、任された仕事をこなすためには計画を立てたりその進捗を管理する能力が必要です。テクニカルスキルを持っていても、ポータブルスキルがなければより「短時間」で「最大」の成果を残すことは出来ません。
資格をなどで証明することが出来ない「ポータブルスキル」ですが、仕事で実績を残すためには不可欠な能力なので、この能力が高いと考えられる人は人事や面接でも高い評価を受けやすくなります。
理由②|仕事で欠かせない「人との関わり方」だから
ポータブルスキルには仕事上欠かせない「人との関わり」というポイントが有り、仕事をする上では不可欠な能力なため、高い評価に繋がりやすくなります。
円滑なコミュニケーション出来る能力は、どんな業種・業界でも必要な能力です。報連相を徹底したり、上司の指示を的確に把握する能力・チームメンバーとの連携・部下への指示など、状況に応じたコミュニケーション能力が仕事では欠かせません。
資格で証明できる専門性の高い能力があっても、コミュニケーション能力が低ければ、自分が考えをうまく周囲の人に伝達できません。そうなれば仕事の成果も上げられないため、「ポータブルスキル」が高いことが、評価に繋がりやすくなります。
ポータブルスキルの構成要素
ここでは、「ポータプルスキル」の具体的な3つの構成要素を紹介します。その構成要素は以下の3つです。
- 専門技術・専門知識
- 仕事のし方
- 人との関わり方
参考:厚生労働省「”ポータプルスキル”活用研修」
この3つのポータプルスキルは全て、仕事が変わっても「持ち運び可能な能力」であることが条件で、いわゆる「潰しが利く」能力とも言えます。
転職が一般化している現在は、ポータプルスキルを身に付けることで仕事の柔軟性が広がり、転職時に苦労することが少なくなるので、ここで紹介する内容を参考に、ポータプルスキルの向上を図ってみて下さい。
専門技術・専門知識
1つ目のポータブルスキルは、「専門技術・専門知識」です。
3つのポータブルスキルの中では最も適応範囲が狭いスキルで、特定の業界・業種内のみで活用できる能力です。「テクニカルスキル」に近い性質を持ち、営業職であればプレゼン能力、マーケティングコース職なら市場分析能力などが考えられます。
この能力があることで特定分野の専門性が高い仕事ができるようになり、会社に対してより高い付加価値を提供できるようになります。実務をこなすためには欠かせない能力なので、重要な1つの能力と言えます。
仕事のし方
2つ目のポータブルスキルは、「仕事のし方」で、厚生労働省「”ポータプルスキル”活用研修」では以下のように分類されています。
参考:厚生労働省「”ポータプルスキル”活用研修」
上記の通り、「仕事のし方」に上げられている項目は業種・業界に特化した能力ではなく、あらゆる仕事をこなす上で欠かせない「課題の特定」「計画づくり」「実行力」という3つが挙げられています。
どんな仕事でも必要になる能力なので、この能力が高いと考えられる人は専門技術・専門知識を身に付けることで、幅広い業界で高い成果を残せる人材になります。
人との関わり方
3つ目のポータブルスキルは「人との関わり方」で、以下のように分類されています。
参考:厚生労働省「”ポータブルスキル”活用研修」
上記の3つで構成されており、組織で働く以上必要とされる対人能力が幅広く定義されています。上司からの指示への対応・社外の顧客との関係維持・部下との関わり方という全方位のコミュニケーションです。
「仕事のし方」が良くても、周囲の人と良好な関係を構築する能力が低ければ、協力して仕事をこなすことができず、上げられる成果も限られてしまいます。そうした能力を図る指標と考えましょう。
ポータブルスキルを身に着ける方法
では、先述した3つのポータブルスキルを身に付けるためには、どのような方法があるのでしょうか。
単純な「知識」ではないことから、身に付けるのが難しいポータブルスキルですが、ここで紹介する方法を日々実践していくことで少しずつスキルを高めることができます。
資格の勉強のように「知っていれば出来る」といった単純なものではありませんが、意識することで確実に向上する能力なので、この見出しの内容をもとにスキルを身に着けましょう。
方法①|研修の受講・関連書籍を読む
ポータブルスキルを高める1つ目の方法は、関連する研修を受けたり関連書籍を読むことです。
効率的な仕事の進め方や対人コミュニケーションに関する研修は様々な団体が実施しており、1dayセミナーのような手軽なものから、経営学修士(MBA)のカリキュラムの一環として行われる、非常に高度な内容のものもあります。
こうした研修や授業を受けるのも一つの方法ですが、高い学費や受講料の支払いが難しい方の場合は、関連書籍を読むことでも必要な考え方を知ることは可能なので、2〜3冊程度書籍をよみ、何を意識しながら仕事をすべきかを理解しておきましょう。
方法②|普段から意識して行動する
2つ目の方法は、普段から意識して行動することです。
「仕事のし方」「人との関わり方」の2つは、普段から意識することで習慣化し、少しずつ身に付いていくものです。研修や書籍などで成果につながる考え方を知ったら、実践できるものから毎日意識してみましょう。
また、仕事で成果を上げるためには常に仕事の仕方をより効率的にするように意識する必要があります。身に付けた方法についてPDCAを回して、より高い成果を上げるように工夫をすることも意識しましょう。
方法③|周囲の人から定期的にフィードバックを受ける
3つ目の方法は、周囲の人から定期的にフィードバックを受けることです。
ポータブルスキルは、「ポータブルスキル」とは明示されていなくても会社の人事考課の1つの項目として設定されていることもあります。「業務プロセスの評価」などが行われている企業では、ポータブルスキルの育成意識が高いと考えられます。
そうした企業で働く方は、身に付けたいポータブルスキルを上司と相談し、定期的にフィードバックを受けることも1つの方法です。ポータブルスキルに関わる評価がない会社で働く方の場合には、一緒にスキルアップをする人を探してみましょう。
ポータブルスキルの類似表現
最後に「ポータブルスキル」と意味が似ている言葉を2つ紹介します。
ここでは「社会人基礎力」と「トランスファラブルスキル」の2つを紹介しますが、どちらも「ポータブルスキル」と明確に定義が分かれているものではなく、言葉が示す内容が重なる部分もあります。
しかし、どの表現も「仕事をする上で必要不可欠」で「幅広い業種・業界で必要」な能力であることは同じです。
社会人基礎力
社会人基礎力とは、2006年に経済産業省によって提唱された能力で、「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」のことです。
参考:経済産業省「人生100年時代の社会人基礎力」
あらゆるライフステージで必要とされる能力について、上記の3項目が「社会人基礎力」として定義されています。これらの能力は「人と協力しながら自発的に行動する能力」が重視されています。
そして、「ポータブルスキル」では「汎用性の高い能力」という点が重視されていましたが、「社会人基礎力」では「協調性と実行力」というポイントが重視されていることにも留意しておく必要があります。
トランスファラブルスキル
「トランスファラブルスキル(Transferable Skills)」とは、「移動(Transfer)」「可能(able)」なスキルのことで、「移動可能な能力」です。
「トランスファラブルスキル」では一般的に上記の3つがあるとされており、課題への取り組み方と、自己と他者との関わり方に関する能力が定義されています。
ポータブルスキルは厚生労働省が定義する言葉である一方で、トランスファラブルスキルは人材業界で一般的に広まる言葉という違いがあります。「専門技術・専門知識」と「対自己スキル」の有無で、定義が異なる点に注意が必要です。
まとめ
この記事では、厚生労働省が定義する「ポータブルスキル」について、類似する言葉との違い・評価される理由・具体的な内容などを紹介しました。
本編でも紹介した通りポータブルスキルは身に付けるまでには時間がかかる一方で、どんな仕事でも役立つ普遍的な能力なので、習慣化するまで毎日意識して仕事をする必要があります。
一度身につければ、継続的に仕事で高い成果を上げられるようになるスキルなので、当記事で紹介した内容を踏まえて、スキルアップを目指して実践してみて下さい。