「お時間を割いていただき」の使い方は?使用場面や頻出フレーズ、例文を紹介します!

目上の人から時間を頂いた時、「お時間を割いていただきありがとうございました」とお礼することがあります。一見すると、恐縮しているか謝罪のようですが、メールで使うには正しいのでしょうか。本記事では、「お時間を割いていただき」のフレーズ、例文や言い換え表現をご紹介します。

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この記事の監修者

キャリアカウンセラー|秋田 拓也

厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。

■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)

「お時間を割いていただき」の基本情報

相手から時間をもらった場合、目上や歳上であればどのような表現が適切だと言えるのでしょうか。

この見出しでは、「お時間を割いていただき」という表現の基本情報として5つのポイントをご紹介します。

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目次

読み方

1つ目のポイントは、読み方です。

「お時間を割いていただき」とは、「おじかんをさいていただき」という文章を変換した結果になっています。

人によっては、「いただく」を「頂く」と表記しますが、意味としては同じであるのでどちらでも構いません。

「時間を割く」自体の意味

2つ目のポイントは、「時間を割く」自体の意味についてです。

余裕のない時間に都合をつけて、あることのために時間を使うこと

参照: goo辞書

この言葉の意味は、「都合をつける」となりますが、「お時間を割いてお会い頂く」などの表現で使います。

「お時間を割いていただき」から伝わるニュアンス

3つ目のポイントは、「お時間を割いていただき」から伝わるニュアンスについてです。

この言葉には、忙しい相手から貴重な時間を貰っているという、遜ったニュアンスがあります。

正しい表記

4つ目のポイントは、正しい表記についてです。前述の通り、「頂く」をひらがな表記にすると「いただく」になります。

「いただく」の方が、読み手に対して柔らかく優しいイメージを与えますが、表記としての違いは小さいので文字数によって使い分けましょう。

敬語としての分類

5つ目のポイントは、敬語としての分類です。

  • お時間: 「お」+ 「時間」の丁寧語
  • 割いていただき: 「割く」+ 「頂く」の謙譲語

この言葉を敬語表現として分解すると、丁寧語と謙譲語が含まれていることがわかります。

「お時間を割いていただき」を用いたフレーズ

前述の見出しにて、「お時間を割いていただき」の概要をご理解頂きましたが、使い方をより詳しく知りたい方もいらっしゃると思います。

そこでこの見出しでは、「お時間を割いていただき」を用いたフレーズを7つご紹介しますので、場面に応じて使用できるようにしてください。

「お時間を割いていただき誠にありがとうございます」

1つ目のフレーズは、「お時間を割いて頂き誠にありがとうございます」です。

  • 初めまして、T大学の鹿島と申します。本日はお時間を割いていただき誠にありがとうございます。
  • 改めまして、この度はお時間を割いていただき誠にありがとうございます。

このフレーズは、初対面で目上の人に会った際の挨拶や、別れ際で再度お礼を述べる時に使用されます。

「お時間を割いていただき申し訳ございません」

2つ目のフレーズは、「お時間を割いていただき申し訳ございません」です。

  • (取引先を訪問して)、「お時間を割いていただき誠に申し訳ございません。
  • (電話口でお客様に対して)、「お時間を割いていただき誠に申し訳ございません。

このフレーズは、本来必要が無いはずなのにわざわざ相手の時間を頂いたことへの感謝と謝罪を伝える際に使用されます。

「お時間を割いていただきたく存じます」

3つ目のフレーズは、「お時間を割いていただきたく存じます」です。

  • 弊社の新商品をご案内するため、お時間を割いていただきたく存じます。
  • 大変お得なプランがございますので、お時間をさいていただきたく存じます。

このフレーズは、貴重な時間を頂きたいというお願いをする際に使用されます。

「お時間を割いていただきまして恐縮です」

4つ目のフレーズは、「お時間を割いていただきまして恐縮です」というものです。

  • (予期せぬ目上の人に対して)、お時間を割いていただきまして恐縮です。
  • (訪問の約束をしていて)、本日はお時間を割いていただきまして恐縮です。

このフレーズは、多忙な中で会う時間を割いてくださったことへの感謝と畏怖を伝える際に使用されます。

「お時間を割いていただきまして光栄です」

5つ目のフレーズは、「お時間を割いていただきまして光栄です」というものです。

  • (アポイント先の人に対して)、お時間を割いていただきまして光栄です。
  • (飛び込み営業先で)、本日はお時間を割いていただきまして光栄です。

このフレーズは、希望をしていても低確率なことが実現された時に使用されます。

「貴重なお時間を割いていただき」

6つ目のフレーズは、「貴重なお時間を割いていただき」というものです。

  • 貴重なお時間を割いてお会いいただきありがとうございます。
  • 貴重なお時間を割いてご相談にのっていただきありがとうございました。

このフレーズは、相手が時間を自分に使ってくれたことに深い感謝をする際に使用されます。

「お忙しい中お時間を割いていただき」

7つ目のフレーズは、「お忙しい中お時間を割いていただき」というものです。

  • 昨日は、お忙しい中お時間を割いていただきありがとうございました。
  • 先日は急な訪問にも関わらず、お忙しい中お時間割いていただきありがとうございました。

このフレーズは、相手の多忙さを前提として時間をもらったことにお礼を述べる際に使用されます。

このように、誰かに時間を割いて何かをしてもらったときに返す言葉として、「参考にさせていただきます」という言葉があります。この言葉については以下の記事で紹介しています。ぜひご一読ください。

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「お時間を割いていただき」を用いる場面と例文

前述の見出しにて、「お時間を割いていただき」の頻出フレーズをご紹介しましたが、使用方法をご覧になりたい方もいらっしゃると思います。

そこで本見出しでは、「お時間を割いていただき」を用いる場面と例文を5つお伝えしますのでご参照ください。

①面接

1つ目の場面は、面接における例文です。面接とは、新卒採用や中途採用において面接官が候補者に質疑応答をする選考過程です。

面接においては、「お時間を割いていただきありがとうございます」と感謝を伝えることになります。

例文

以下では、面接における例文を2つご紹介します。

  • 本日はお忙しい中、1次面接のお時間を割いていただきありがとうございます。
  • (後日メールにて)、先日は最終面接のお時間を割いていただきありがとうございました。

どちらの例文においても、面接の時間を割いてもらったことに対してお礼を述べています。

②打合せ・商談等のビジネスの場

2つ目の場面は、打合せ・商談等のビジネスの場における例文です。

  • 新規開拓における訪問
  • 取引開始後の定期訪問

打合せ・商談等がなされるケースとしては、これらが想定されます。

また、「お時間を割いていただきありがとうございます」という感謝や、「お時間を割いていただき申し訳ございません」と謝罪を伝えます。

例文

以下では、打合せ・商談等のビジネスの場における例文を2つご紹介します。

  • 本日は、急な訪問依頼にもかかわらず、お時間を割いていただきありがとうございます。
  • 先日は日程調整不備の中、お時間を割いていただき申し訳ございませんでした。

前者では時間を頂いたことに対する感謝を述べていますが、後者では予想外の事態で時間をもらったことに謝罪を伝えています。

③OBOG訪問等の訪問先

3つ目の場面は、OBOG訪問等の訪問先における例文です。

OBOG訪問とは、学生が母校を卒業して就職希望先企業で働く先輩を訪問し、質問をしたりアドバイスをもらったりする活動です。

OBOG訪問では、感謝をするときに「お時間を割いていただき」というフレーズを使います。

例文

以下では、OBOG訪問等の訪問先における例文を2つご紹介します。

  • この度は、OBOG訪問でお話を伺うお時間を割いていただきありがとうございます。
  • 先日はOBOG訪問にて、模擬面接のお時間を割いていただき誠にありがとうございました。

上述の例では、OBOG訪問の時間をもらったことに対してお礼を伝えています。

④謝罪の場

4つ目の場面は、謝罪の場における例文です。

謝罪の場とは、自らの不注意や不祥事によって何らかの迷惑をかけた場合に、釈明や謝罪をする場面です。

「お時間を割いていただき」というフレーズも、感謝と謝罪を伝える際に、冒頭で述べることが一般的と考えられます。

例文

以下では、謝罪の場における例文を2つご紹介します。

  • この度は、私の不祥事に対する申し開きに関して、お時間を割いていただき誠にありがとうございます。
  • 本日は、不手際をお詫びをするお時間を割いていただき申し訳ございません。

上記の例では、謝罪の場に集まってもらったことにお礼とお詫びをお伝えしています。

⑤挨拶の場

5つ目の例文は、挨拶の場における例文です。

挨拶の場とは、会見や開会式など大勢の人が集まる状況にて、挨拶をする場面となります。

そして、挨拶の場では「お時間を割いていただき」と述べて、挨拶に繋げたりお礼を述べたりします。

例文

以下では、挨拶の場における例文を2つご紹介します。

  • 本日は、お忙しい中お時間を割いていただき、お集まり下さりありがとうございます。
  • この度は、お時間割いていただき私どもの結婚式にご出席下さりありがとうございます。

上述の例では、会見と結婚式という挨拶の場を想定して、感謝を述べる挨拶を紹介しています。

「お時間を割いていただき」を利用したビジネスメールの例

前述の見出しでは、「お時間を割いていただき」を用いる場面と例文をご紹介しましたが、メールの実例が気になる方もいらっしゃると思います。

そこで、「お時間を割いていただき」を利用したビジネスメールの例を2つご紹介します。

例①|営業訪問を終えて

1つ目の例は、営業訪問を終えて取引先の担当者へお礼のメールを送るケースです。

ーー

お世話になります。

先日、弊社の事業改善プランをご報告に上がらせて頂きました株式会社Aの笹川です。

改めまして、この度はお時間を割いていただき誠にありがとうございました。

伺いましたお話を元に、再度弊社内で準備を進めて改善プラン実行の手順を、再来週ご説明に伺います。

ーー

このケースでは、営業訪問の時間をもらったことに対して、お礼として「お時間を割いていただき」を使用しています。

例②|打ち合わせを終えて

2つ目の例は、取引先との打ち合わせを終えて議事録を送るケースです。

ーー

B株式会社 橘様

お世話になります。先日は、打ち合わせのご調整をいただきありがとうございました。

また、山下部長にもお忙しい中お時間を割いてご同席いただき申し訳ございませんでした。

以下にて、先日の議事録をお送り致しますので、ご確認を宜しくお願い致します。

ーー

このケースでは、打ち合わせに予期せず同席してくださった取引先の方に対して、感謝と恐縮の気持ちを伝えています。

「お時間を割いていただき」を使うときの注意点

前述の見出しにて、「お時間を割いていただき」の具体的なイメージをお持ちいただけたと思います。

そこでこの見出しでは、「お時間を割いていただき」を使うときの注意点を2つお知らせします。

主語によってニュアンスが変わる

1つ目の注意点は、主語によってニュアンスが変わることです。ニュアンスとは、言葉や文章の意味を表します。

例えば、「お時間を割いていただき」の主語を取引先の人として使えば適切ですが、自分の上司を主語にして取引先の人に使うと不適切です。

目上の人が複数いる場面では、最も尊敬すべき人を主語にして、「お時間を割いていただき」と使うことに気をつけましょう。

疑問文「お時間を割いていただけますか」の使用はなるべく避ける

2つ目の注意点は、疑問文「お時間を割いていただけますか?」の使用はなるべく避けることです。

  • 謙譲語表現なのかわかりにくい
  • 誰が主語なのか誤解を招きやすい

この表現を避けるべき理由としては、これらの2つが挙げられますので、「お時間を割いていただきたく存じます」等の平叙文を使用しましょう。

「お時間を割いていただき」の類語・言い換え表現

この見出しでは、「お時間を割いていただき」の類語・言い換え表現を4つご紹介します。

これらは、使える場面が一部限定されていたり、汎用性やニュアンスも微妙な違いがあることに注意しましょう。

お時間を割いてくださり

1つ目の類語・言い換え表現は、「お時間を割いてくださり」です。

これは、「いただく」という謙譲語を「くださる」に置き換えた表現で、「お時間を割いていただき」とはほぼ同じ意味になります。

  • この度は、急な訪問にもかかわらずお時間を割いてくださりありがとうございます。
  • お忙しい中、お時間を割いてくださり恐縮です。

違いとしては、「いただき」と「くださり」を漢字で表記した文字数になりますので、状況に応じて使い分けると良いでしょう。

お時間を取っていただき

2つ目の類語・言い換え表現は、「お時間を取っていただき」です。

この表現では、「割いて」を「取って」という動詞に代えており、若干カジュアルな印象を与えています。

  • この度は、お時間を取ってお集まりいただき誠にありがとうございます。
  • 先日はお時間を取っていただき申し訳ございませんでした。

ビジネスメールでは、「割いて」の方が堅い表現ですので、「取って」と使い分けることが推奨されます。

お時間を頂戴する

3つ目の類語・言い換え表現は、「お時間を頂戴する」です。

「いただく」は、「もらう」の謙譲語ですが、「頂戴する」はさらに遜ったような表現です。

  • 河原部長からお時間を頂戴致しました。
  • 石黒社長とお話のお時間を頂戴しました。

意味合いとしては大きな違いはありませんが、日系企業では「頂戴する」という言い回しを、取引先の人に対して使う傾向があります。

お時間を賜る

4つ目の類語・言い換え表現は、「お時間を賜る」です。

「賜る」は、「たまわる」と読み、「いただく」の謙譲語表現に該当します。

  • 専務のお時間を賜りました。
  • OBOG訪問にて、社長のお時間を賜った。

「賜る」も「いただく」の謙譲語で似たニュアンスですが、ビジネスの場面で使う人は少数派なので、独特な印象を与える可能性があります。

「お時間を割いていただく」の英語表現

本見出しでは、「お時間を割いていただく」の英語表現をご紹介します。

  • Taking your precious time(貴重なお時間を割いていただく)
  • Sparing your valuable time(貴重なお時間を割いていただく)

以上が、お時間を割いていただくの英語表現となります。

  • I really appreciate that you took your precious time.(お時間を割いていただき本当にありがとうございました。)

また、英語表現の例文としてはこのようになり、文頭で「I really appreciate」と感謝を述べる必要があります。

「お時間を割いていただき」と言われた時の返し方

本見出しでは、「お時間を割いていただき」と言われた場合の返し方を2つご紹介します。

相応しい返し方を理解して、良子な関係を築いていけるように心がけましょう。

返し方①|こちらこそ〜ありがとうございました。

1つ目の返し方は、「こちらこそありがとうございました」という表現です。

  • こちらこそお時間ありがとうございました。
  • こちらこそお越し頂きありがとうございました。

「こちらこそ〜ありがとうございました」とは、相手が述べた自分の行動を、同様に有り難く感じてお礼を述べる表現です。

感謝の気持ちを素直に伝えることができるので、立場の上下に関わらず使用することができます。

返し方②|お会いできて良かったです。

2つ目の返し方は、「お会いできて良かったです」という表現です。

  • (別れ際に)、お会いできて良かったです。
  • (お見送りをしながら)、お会いできて良かったですので、また宜しくお願い致します。

「お時間を割いていただき」は、挨拶の冒頭だけでなく、話が終わったタイミングや後日のメールで使われることが多いと考えられます。

相手と会って、楽しく充実した時間を過ごせたと伝える際には、「お会いできて良かったです」と述べることが推奨されます。

まとめ

「お時間を割いていただき」とは、謙譲語表現で時間をもらったことに感謝するフレーズであり、場面に応じたフレーズがあるとわかりました。

また、「お時間を割いていただき」の類語・言い換え表現や、英語表現もご紹介しましたので、状況に応じて使ってみてはいかがでしょうか。

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