相手に何かを丁寧に尋ねる場合、「いかがでしょうか」と聞きますが、他にも言い換え表現があります。例えば、「いかがでしたか」や「ございませんでしたでしょうか」などが考えられます。本記事では、まず「いかがでしょうか」の表現が正しいかと使用シーンについて。次に、その言い換え表現と敬語表現を解説致します。
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この記事の監修者
キャリアカウンセラー|秋田 拓也
厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。
■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
「いかがでしたでしょうか」は正しい表現か
大学や企業では、目上の人と話す機会が増えるため、「いかがでしょうか」と尋ねることもありますが、正しい表現なのでしょうか。
本見出しでは、「いかがでしょうか」という表現に関して2つのポイントを解説致します。
「いかがでしたでしょうか」の意味
1つ目のポイントは、「いかがでしょうか」の意味についてです。この言葉の意味は、主に以下として使われることが考えられます。
- 相手の経験したことに対する感想を聞く
- 何らかの判断に対する決定を求める
- 提案に対する合意を確認する
日本語を母語とする者同士の会話では、直前に話したことを丁寧に繰り返したり、同じ動詞を用いて聞きなおすことは少ないと言えます。
そのため、代動詞の役割として「いかがでしょうか」と尋ねることにより、相手との会話を次に進める意味として機能するのです。
「いかがでしたでしょうか」は敬語として正しいか
2つ目のポイントは、「いかがでしたでしょうか」は敬語として正しいかということです。
- 「いかが」: 連体詞「どの」+ 助動詞「ように」
- 「でした」: 丁寧語「です」の過去形
- 「でしょうか」: 丁寧な表現の「だろうか」
Goo国語辞典によると、「いかがでしたでしょうか」という言葉はこのように3つへ分類することができ、敬語表現として成り立っています。
しかし、人によっては「でしたでしょうか」という言い回しに違和感を感じることもあるため、指摘をされた場合には別の表現を使いましょう。
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「いかがでしたでしょうか」を使うシーン
前述の見出しにて、「いかがでしたでしょうか」という表現の正しさについてご理解を頂きましたが、使い方を知りたい方も多いかと思います。
そこでこの見出しでは、「いかがでしたでしょうか」を使う2つのシーンをお伝え致しますので、状況に合わせてぜひご活用ください。
シーン①|サービスの評価を聞く
1つ目のシーンは、サービスの評価を聞く時です。
- エステやマッサージを受けた顧客
- レストランで食事をした顧客
- ヘアカットをした顧客
例えば、これらはいずれも何らかのサービスを顧客が受けた状態であり、その満足度を顧客に対して聞く際に使用することができます。
サービスの詳細や、細かな質問をしてしまうよりも、「いかがでしたでしょうか」と聞けば、「良い・悪い」の評価を受けることに繋がります。
シーン②|過去の経験を確認する
2つ目のシーンは、過去の経験を確認する時です。
- 週末や長期休暇について尋ねる
- 前回購入した商品の感想を聞く
- 特定の体験に対する意見を聞く
これらは、1つ目のシーンよりも若干漠然とした質問に活用することができ、答えは良し悪しに限らず自由なコメントをすることができます。
会話を新たに始めるシーンや、その場の雰囲気を崩さないために会話の糸口として、「〜はいかがでしたでしょうか」と用いることになります。
「いかがでしたでしょうか」の言い換え表現
実際に「いかがでしたでしょうか」を用いるシーンをご理解頂きましたが、代わりの表現を覚えておきたい方も大勢いらっしゃると思います。
そこでこちらの見出しでは、「いかがでしたでしょうか」の言い換え表現を3つご紹介致します。
言い換え①|どうでしたか
1つ目の言い換えは、「どうでしたか」です。この言い方は、良い・悪いのみならず、自由なコメントに繋がりやすい表現となります。
- 先週末のお休みはどうでしたか?
- 本日の体験レッスンはどうでしたか?
- ご検討の結果はどうでしたか?
このように、「いかがでしたでしょうか」という表現を「どうでしたか」に言い換えるだけで、シンプルに感想や決断を聞くことができます。
目上の人に使いにくいと感じるかもしれませんが、「どう」+「だったか」を丁寧語で聞いているため表現として問題はないと考えられます。
言い換え②|感想を伺えますか
2つ目の言い換えは、「感想を伺えますか」です。この言い方は、相手の考えや感想をオープンに話してもらう際に役立つ表現と言えます。
- ご購入頂きました商品の感想を伺えますか?
- 担当者Aの対応について感想を伺えますか?
- 改善の余地について感想を伺えますか?
例えば、お客様が購入した商品や担当者へ評価など、本音を聞きたい質問に対して「感想を伺えますか」と聞けば良いと考えられます。
また、悪い評価をされると想定できる場合には、改善点や改善の余地とすることで、相手の本音を引き出すことが可能になります。
言い換え③|ご満足頂けましたか
3つ目の言い換えは、「ご満足頂けましたか」です。この言い方は、聞き手がYesかNoで回答できるため、手短に聞く際に活用できます。
- お客さんの退店時において
- 商品やサービスの説明終了後において
- 物事がひと段落したタイミングにて
初対面の相手や、目上の人に対しては中々意見を聞きにくいことは多いですが、何かしらのフィードバックを得たい時も多々あると考えられます。
ご満足という判断のポイントをこちらから提示しておけば、聞き手は咄嗟に答えるためスムーズかつ手短に会話が成り立つのです。
間違えやすい敬語表現
本記事を検索頂いた方の中には、「いかがでしたでしょうか」という表現が、敬語として正しいのか否かを考えた方もいらっしゃると思います。
そこでこの見出しでは、本記事の締めくくりとして間違えやすい敬語表現を3つご紹介致しますので、正しくお使い頂ければ幸いです。
表現①|おっしゃられる
1つ目の敬語表現は、「おっしゃられる」です。この表現は、敬語+敬語の二重敬語であり最もよくある誤った敬語表現となります。
- おっしゃる: 言うの敬語
- られる: するの敬語
正しい敬語表現としては、「おっしゃる」が挙げられますが、敬語の代わりに謙譲語として「伺う」とすれば、謙って聞くという意味です。
この他にも、「お越しになる」や「お食べになる」など、「お〜なる」は二重敬語で誤った表現であると覚えておきましょう。
表現②|伺わせて頂く
2つ目の敬語表現は、「伺わせて頂く」です。この表現では、謙譲語+謙譲語の二重敬語であり誤っています。
- 伺わせて: 行くや訪ねるの謙譲語
- 頂く: するの謙譲語
正しい敬語表現としては、シンプルに「伺います」や、「参ります」など、謙譲語+丁寧語の表現を用いると良いでしょう。
また、「申し上げて頂きます」や「参らせて頂きます」も、謙譲語を重ねた重敬語として間違っているため注意する必要があります。
表現③|社長様
3つ目の敬語表現は、「社長様」です。これは、「社長」という尊敬の意味を込めた職位に、「様」を加えた表現となります。
企業によっては、取引先の人を出来るだけ尊敬して扱うために、職位や会社名などにも様をつけることがありますが、表現としては不適切です。
敬語表現で相手を敬うことも大切ですが、仕事でのパフォーマンスや相手が直面する課題の解決など行動で敬意を示してはいかがでしょうか。
まとめ
本記事では、「いかがでしたでしょうか」という一見すると正しいのかわかりにくい敬語表現の文法構造や使用シーンについて解説致しました。
また、「いかがでしたでしょうか」の言い換え表現や、その他の敬語表現もご紹介致しましたので、正しく活用頂ければ幸いです。