日本人の平均年収は高学歴の方が年収が高かったり、年功序列的な傾向がまだ残ると言われますが、実際はどうなのでしょうか。この記事では公的機関のデータを基に、年齢・性別・業界・最終学歴など様々な視点から、平均年収の傾向を見ていきます。職場の年収の傾向が気になる方は、ぜひご一読下さい。
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この記事の監修者
キャリアカウンセラー|秋田 拓也
厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。
■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
日本人の年収分布に対する議論が隆盛している
ツイッターでは、下記のように日本人の平均年収に対する議論が活発に行われています。
日本人の年収こんなかんじ pic.twitter.com/mWjdxZFrAy
— ボサノバ和尚 (@sativa_high) February 4, 2019
このツイートでは、日本人の収入水準と割合ごとに生活レベルが公開されており、今の日本が抱えている問題から、更に状況が悪化することが言及されています。
みずほのレポート興味深いなぁ
年収分布でちょうど真ん中(中位)の年収
✅1985年を100とする
✅ピークは1992年(117)
✅そこからどんどん減少
✅2013年は89
✅ピークから24%も減少!中位だけでなく中間層全体でも収入が低下
一方で税金は上がった
そりゃ生活が苦しくて日本に活気がないわけだ pic.twitter.com/P3p2g6fBCG
— master_k (@master_k1805) October 21, 2019
その一方で、こちらのツイートではみずほリサーチの調査結果を基に、日本人の年収は1992年をピークに、一貫して下落傾向が続き、ピーク時から24%も平均年収の水準が下がっていると述べられています。
ツイッターでは上記のような悲観的な意見や考察がありますが、実際はどうなのでしょうか。この記事では、公的機関の統計情報などから、実際の年収状況の推移を確認していきます。
日本人の年収に関する統計・調査は沢山ある
日本人の年収に関する統計や調査は沢山あり、公的機関による調査では以下のようなものがあります。
- 賃金構造基本統計調査(厚生労働省)
- 民間給与実態統計調査(国税庁)
- 国民生活基礎調査(厚生労働省)
- 職種別民間給与実態調査(人事院)
- 国家公務員給与等実態調査(人事院)
- 地方公務員給与実態調査(総務省)
公的機関が公表している日本人の給与水準・割合等に関する統計資料には、上記の6つがあります。それぞれで調査方法・調査内容・調査対象となっている人が異なります。
様々な情報がありますが、最も一般的な給与関係の情報は「賃金構造基本統計調査」と「民間給与実態統計調査」の2つです。次の見出しからは特にこの2つの資料を参照しながら、様々な視点から年収の分布を見ていきます。
男女別の年収分布
まずは男女別に年収の分布を見て生きます。ここで紹介する分布から分かることは、一般的なイメージの通り男性の方が収入が多く、女性の方が収入が低い傾向があることです。
ここでは、国税庁の「民間給与実態統計調査」の「給与階級別分布」の情報を基に男女別・年収階級別の人口分布を紹介していきます。
男性の年収分布
まずは男性の年収分布です。
参考:国税庁「民間給与実態統計調査」
男性の年収分布は、300〜400万円水準の年収の人が最も大きな割合を締めており、それ以降の年収水準は金額が大きくなるにつれて分布割合が小さくなっています。
また、年収1,000万円以上の方は7.7%、本の資料で公開されている年収2,500万円以上の方は、0.5%と非常に限られた人だけが獲得できる年収水準であることが分かります。
女性の年収分布
次は女性の年収分布です。
参考:国税庁「民間給与実態統計調査」
女性の年収分布では、200〜300万円水準が最も多くの割合を占め、男性で最も多かった300〜400万円ではマイナス0.1%の17.2%でほぼ同じですが、400〜500万円でマイナス7%となり、更に高い水準では男性と比べて構成比率が小さくなります。
年収1,000万円以上の割合は男性が6.6%だったのに対して、1.2%と更に人数が絞られ、参考資料の情報では、年収2,000万円以上の方は0.2%とされています。
年代別・世代別の年収分布
次は、年代別・世代別の年収水準を紹介します。
ここでは厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」の「賃金の分布」の情報を基に、10歳ごとに区切った年代別に各年代の前半・後半に分けて年収分布を紹介します。
20代の年収分布
まずは20代の年収分布です。
20代の年収分布は280万円以下の水準に多くの割合が集まり、800万円以上では分布が0%となっています。
20代前半(20~24歳)
まずは20代前半の年収分布です。
参考:厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」をもとに作成
20代前半の年収分布は200〜219.9万円水準が最も多く、180万円以下についても16.6%と比較的大きな割合を締めています。
340万円以上はまとめて紹介していますが、資料のデータでは450〜499.9万円水準が0.1%となり、500万円以上の年収を獲得している割合は全て0%となっています。
20代後半(25~29歳)
次は20代後半の年収分布です。
参考:厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」をもとに作成
20代後半では、200〜239.9万円水準と240〜279.9万円水準で合計61.4%となり、6割強の割合が集まっています。
そして20代前半では340万円以上が1.2%だったのに対して、後半では合計6.0%となり、平均給与の最高水準も上がっています。
30代の年収分布
次は30代の年収分布です。
30代からの年収分布は、20代の時に200〜250万円水準に固まっていた分布が、徐々により高い年収水準に移動しています。
30代前半(30~34歳)
まずは、30代前半の年収分布です。
参考:厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」をもとに作成
30代に入ると220〜359.9万円水準で、合計66.9%の分布となり、20代後半と比べて水準が上昇します。
また、360万円以上の年収分布が15.2%で、より多くの年収を獲得する人が増えてきています。
30代後半(35~39歳)
まずは、30代前半の年収分布です。
参考:厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」をもとに作成
30代前半では220〜259.9万円水準に23.4%と多くの分布が集まっていたのが、300〜359.9万円水準に23.1%となっており、最も年収分布が多い水準が80〜100万円ほど上昇しています。
40代の年収分布
次は40代の年収分布です。
40代以降の年収分布の変化は、20から30代のようにより高い年収水準に分布が移動すると言うよりは、これまでの220〜300万円水準に幾分か割合を残しつつ、更に上の年収水準に割合が移動していきます。
40代前半(40~44歳)
まずは、40代前半の年収分布です。
参考:厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」をもとに作成
40代前半では、340〜499.9万円水準で合計35.2%となり、30代後半と比較しても更に年収分布がより高い水準に移動しています。
しかし、全体的に年収分布が上昇すると言うよりは、より低い水準にも多くの割合を残していることが分かります。
40代後半(45~49歳)
まずは、40代後半の年収分布です。
参考:厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」をもとに作成
40代後半になると260〜339.9万円水準に最も多くの分布が集まっていることに変化はない一方で、400万円以上の水準ではより高い水準に向けて分布が移動していることが分かります。
50代の年収分布
次は50代の年収分布です。
50代の年収分布も、40代と同様に400万円以上の水準に分布が移動しつつも、それ以下の水準の割合が大きく残っている傾向があります。
50代前半(50~54歳)
まずは50代前半の分布です。
参考:厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」をもとに作成
40年代と同じ年収水準で比較すると400万円以上の水準に大部分の割合が移動しているものの、400万円未満の水準にも3割強の割合が残っており、年収分布が700万円水準まで均一化し始めています。
50代後半(55~59歳)
まずは50代後半の分布です。
参考:厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」をもとに作成
50代後半になると、700万円水準までの各年収水準で、割合がほぼ均一になり、各水準で15〜18%前後の割合が分布します。
また700〜899.9万円水準の分布が50代前半の5.8%から5.5%に下落する一方で、900万円以上が2.3%から2.4%に上昇しています。
企業規模別の年収分布
次は、企業規模別の年収分布を紹介します。
ここでは国税庁の「民間給与実態統計調査」の「企業規模別の給与階級別分布」を基に、企業の資本金の規模別の年収牛順の割合を紹介します。
個人規模の年収分布
個人事業者の年収分布は下記の通りです。
参考:国税庁の「民間給与実態統計調査」をもとに作成
個人事業では、100〜300万円水準に50%強が分布しています。しかし20代前半の年収分布と同様に200万円以下の水準の分布が最も大きいため、個人事業者の多くは収入水準が低いことが考えられます。
中小企業の年収分布
次は中小企業の年収分布です。民間給与実態統計調査では、中小企業・大企業という区分で水準を公表していません。
そのため、中小企業基本法でサービス業・小売業について中小企業と定義される、「資本金5000万円以下」という基準を基に、資本金2,000〜5,000万円規模の企業の年収分布を紹介します。
参考:国税庁の「民間給与実態統計調査」をもとに作成
中小企業で最も年収分布が大きいのは、200〜600万円水準の合計55.7%です。600〜800万円でも9%強の水準がありますが、800万円以上になると合計5%程となるので、中小企業で800万円以上稼げるのは一部の人と言えます。
大企業の年収分布
次は大企業の年収分布です。こちらでは資本金10億円以上の企業の年収水準を紹介します。
参考:国税庁の「民間給与実態統計調査」をもとに作成
中小企業で最も割合が多かった200〜400万円に比べて、大企業では400〜600万円水準が24.4%と最も大きな分布となり、600〜800万円水準でも2割強の割合が集まっています。
このデータから見ても大企業の方が中小企業に比べて工学な給与を得ている人の割合が多いことが分かります。
雇用形態別の年収分布
次は、雇用形態別の年収分布です。
ここでは厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」の情報を基に、各雇用形態別の年収分布を紹介します。
ちなみに、ここで紹介する年収分布については、ここまでに紹介したような年収水準別の分布(割合)をまとめたデータはないため、各年代別の平均年収を記載しています。
正社員の年収分布
正社員の年収分布は以下のようになっています。
参考:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」をもとに作成
正規雇用者の場合は、50〜55歳の400万円まで水準までは年齢が上がるにつれて平均年収が上昇し、定年退職を迎える60歳以降では年収が下落します。
非正規社員の年収分布
非正社員の年収分布は以下のようになっています。
参考:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」をもとに作成
非正規雇用の場合は、35〜40歳台で年収のピークを迎え、55歳まで平均年収が徐々に下落します。
60歳以降では平均年収が上昇しますが、これは正社員として勤務していた方が非正規に転向することで、正社員時代の経歴が考慮されることになるために平均年収が増加することが考えられます。
業種別の年収分布
次は、業種別の年収分布を紹介します。
ここで参考にするデータは、国税庁が公表している「民間給与実態統計調査」の「業種別の給与階級別分布」です。
ここでは、採用活動に関する企画提案や就活市場の調査を行う株式会社ディスコが発表する、「キャリタス就活 2021 学生モニター調査結果」の中で、志望者の割合が多い人気業界を基に、各業界ごとの年収分布を紹介します。
情報通信業
情報通信業の年収分布は以下の通りです。
参考:国税庁の「民間給与実態統計調査」をもとに作成
情報通信業では、年収700万円以上の水準が30%近くを締めているため、業界全体として比較的高い年収を得ている人が多いと言えます。
その一方で、300〜500万円水準も合計30%近くの割合を占めているため、給与水準が高い人と低い人が二極化している事が分かります。
サービス業
サービス業の年収分布は以下の通りです。
参考:国税庁の「民間給与実態統計調査」をもとに作成
サービス業では、200万円以下〜400万円の年収水準でそれぞれ19%前後の割合を占めており、多くの人が低水準の収入になっています。
また、参考資料の元データでは700〜800万円が2.7%、800万円以上が5.4%となっているため、より高水準の収入への昇給や高いポストに就く従業員への給与が高く設定されている可能性があります。
建設業
建設業の年収分布は以下の通りです。
参考:国税庁の「民間給与実態統計調査」をもとに作成
建設業では、300〜500万円水準がそれぞれ19%前後の割合を占めている一方で、700万円以上が約18%となり、情報通信業ほどではないものの、比較的高水準の年収を獲得している人の割合が多いと言えます。
製造業
製造業の年収分布は以下の通りです。
参考:国税庁の「民間給与実態統計調査」をもとに作成
製造業では、300〜500万円水準がそれぞれ約16%を締め、500〜600万円もそれに匹敵する13%という割合を占めています。
また、700万円以上も20%強の割合となり、建設業以上の割合が700万円以上の収入をていることが分かります。
金融・保険業
金融・保険業の年収分布は以下の通りです。
参考:国税庁の「民間給与実態統計調査」をもとに作成
金融・保険業も300〜500万円水準が3割近くの割合を占めていますが、業界の特性上売上の成績に応じたインセンティブを獲得できることも多いため、700万円以上で30%以上という大きな割合を締めています。
学歴別の年収分布
次は、学歴別の年収分布です。
ここでは厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」に記載されている、「学歴、性、年齢階級別賃金、対前年増減率及び年齢階級間賃金格差」の情報を基に、各学歴ごとに、年代別の平均年収を紹介します。
ちなみに同資料では、男女の合計数値が公表されていないので、男性のデータを記載しております。また、データの形式に沿って各学歴の年齢別の平均年収を記載しています。
高卒
高卒生の年収分布は以下の通りです。
参考:厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」をもとに作成
高卒生の場合の最高平均年収は、引用した上記のデータでは352.6万円となります。先述した年代別の平均年収の割合では、50代前半の平均年収は400〜499.9万円が20.2%となっていたので、高卒生の年収水準は低いと考えられます。
高専卒・短大卒
高専卒・短大卒の年収分布は以下の通りです。
参考:厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」をもとに作成
高専卒・短大卒の最高年収も50〜54歳で、約400万円となっています。高卒生と比較すると50万円近く高い水準となり、400〜499.9万円水準に届く程度の年収は得られることになります。
大卒・大学院卒
大卒・大学院卒の年収分布は以下の通りです。
参考:厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」をもとに作成
大卒・大学院卒の最高年収も50〜54歳で約535万円で、学歴別で見た平均年収では最も高い水準となっています。また、400〜499.9万円の水準を超える金額となっているので、大卒・大学院卒の多くは平均年収以上の収入が得られると考えられます。
都道府県別の年収分布
次は、都道府県別の年収分布です。こちらも厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」から、「都道府県別にみた賃金」の情報を参照し、上位5都道府県の平均年収を紹介します。
参考:厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」をもとに作成
平均年収ランキングは、東京都が2位の神奈川県に対して40万円近く高い水準となり、圧倒的に高い金額となっています。
そして、2位〜4位は東名阪の工業地域に位置する神奈川県・大阪府・愛知県となっています。それぞれの県は首都圏や関西経済の中心地であったり、トヨタ自動車が本社を構える地域です。
年収分布から見る貧困層と富裕層の割合
次に年収分布から所得水準が低い貧困層と、高収入を得ている富裕層の割合を見てみます。
参考:国税庁「民間給与実態統計調査」(第 16 表)給与階級別給与所得者数・構成比をもとに作成
上記のデータを基に貧困層と富裕層の割合を見てみます。
ワーキングプアの人々の割合
「ワーキングプア」とは、公的機関などで厳密に定義されている言葉ではありませんが、一般的には「働いているものの収入が年収200万円を下回る人」のことを言います。
上記のデータでは年収200万円以下の人は全体の21.8%を締め、約1,100万人が該当します。他の年収水準と比較しても、200〜400万円と400〜600万円水準に続く割合を占めており、比較的多くの人がワーキングプアであることが分かります。
年収1000万超の人々の割合
一方で、年収1,000万円を超える人の割合は5.0%で、約250万人となっています。
年収1,000万円は多くの人が目指す一つの基準ですが、その水準を達成している人は全体の5%であり、限られた人しか達成できない水準となっています。
更に年収2,000万円超の方は全体の0.6%となり、30万人に満たない人数しか達成できない水準となっています。
年収に関するその他の記事
当メディアでは年収に関する情報として、下記の3つの記事をご用意しております。
それぞれ、年収偏差値・初任給が高い業界ランキング・初任給の手取り額の仕組みについて紹介しており、給与に関する傾向や手取り給与を計算するために知っておくべき、税金や保険料についても学ぶことができます。
就職先・転職先選びの基準として、「収入」を重視している方にとっては、参考になる情報をご提供しておりますので、気になる方はぜひご一読下さい。
まとめ
この記事では、様々な視点から年収水準の分布や、年齢別の平均年収等を紹介してきました。
傾向を簡単にまとめると、高学歴・高年齢・男性の方が年収が高い傾向があり、首都圏や東名阪の企業、情報通信業や保険・金融業の企業に勤めた方が、高収入を得られる可能性が高いと言えます。
仕事選びをする上で年収を重視する方はこの情報も参考にして、選考を受ける企業を選びましょう。