正社員でも週4で働くことは可能!?メリットや仕事の探し方も紹介します!

正社員で週4勤務できる企業は、都内や大阪、千葉など都市圏を中心に広がりつつあります。今回はその探し方と、週4勤務できる業界を2種類お伝えします。ただし、同時に紹介するメリット・デメリットも理解しておきましょう。週休3日による精神的負担の軽減と給与面のバランスの考慮が大切です。

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この記事の監修者

キャリアカウンセラー|秋田 拓也

厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。

■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)

正社員でも週4で働きたいと願う人は多い

正社員と言えば「フルタイム・週5勤務」が当たり前のようにも思えます。しかし、「週4で働き、残り3日はプライベートを充実させたい」と考える方も多いのではないでしょうか。

事実、ツイッターにも「正社員の週4勤務制度」について、興味深い書き込みが目立ちます。

上記の方は、「給料<休み」という価値感を持っていることが分かります。お給料も大事だけど、プライベートの時間はもっと大切——。こう感じる方は、あなたの周りにも多いのではないでしょうか。

一旦フリーランスとして働き、週4で勤務可能な会社に転職するケースも見受けられました。フリーランスは正社員に比べると安定感や福利厚生などの待遇で見劣りするため、働きやすい会社を選ぶのも頷けます。

このようなツイートを見ると、いかにも正社員の週4勤務が万能のようにも思えてしまいます。しかし、物事には必ず一長一短があるため、以下でお伝えするメリット・デメリットをしっかりと確認したうえでご判断ください。

週4勤務を導入して成功している企業もある

大手IT企業である日本マイクロソフトでは、働き方改革の一環として、2019年の夏に「週勤4日 & 週休3日」トライアルを軸とした「ワークライフチョイス チャレンジ 2019 夏」を行いました。10月には効果測定結果を公表しています。

目次

目的と実施方法

公式HPによりますと、日本マイクロソフト社がこの取り組みを行った目的が説明されています。

「ワークライフチョイス」は、社員一人一人が、仕事(ワーク)や生活(ライフ)の事情や状況に応じた多様で柔軟な働き方を、自らがチョイス(選択)できる環境を目指すものです。

当社では、「ワークライフチョイス」の推進に向けた新しい自社実践を実施することで、全社員が「短い時間で働き、よく休み、よく学ぶ」ことにチャレンジし、生産性や創造性のさらなる向上を目指すこと、またその検証結果を公開することで、法人のお客様の働き方改革のご参考にしていただくことを目的として、「ワークライフチョイス チャレンジ 2019 夏」を実施しました。

日本マイクロソフト社では、この目的に基づき、以下の2つを実施して週休4日制を試験的に導入しました。

  • 2019 年 8 月の全ての金曜日を休業日にする
  • 正社員は特別有給休暇を取得し、全オフィスをクローズする

導入結果

日本マイクロソフト社が公開している「ワークライフチョイス チャレンジ 2019 夏の 効果測定結果」によりますと、印刷枚数の削減や、人材交流の交流が向上したなどの成果が出たようです。社員ひとりあたりの売り上げに換算した労働生産性は40%も向上したと発表しています。

柔軟に社員の働き方を変えていくことは、固定化しがちな組織体制を見直す良い機会であると言えます。

正社員で週4勤務するメリット

正社員で週4勤務するメリットは次の4点です。

  • 月曜日を迎えるのが苦ではない
  • 副業の時間を確保できる
  • ストレスが溜まらずモチベーションも高まる
  • 仕事の生産性も向上する

正社員で週4勤務するメリットは、①や③のように精神的な利点があることが特徴です。私たちはロボットのように無感情で働くわけではありませんので、週4勤務によって精神的に楽になることは大きなメリットです。

以下で4つのメリットを詳しくお伝えしています。

①月曜日を迎えるのが苦ではない

日曜日の「サザエさん」が始まると、途端に憂鬱になる——。これは、月曜日の仕事をイメージして憂鬱さを感じる、代表的な事例ですよね。

一方、正社員の週4勤務によって、こうした悩みも緩和されます。

たとえば、土曜日と日曜日に加え、火曜日も休みだとしましょう。月曜日のわずか1日だけ仕事を頑張れば、すぐに休みが1日もらえます。さらに水・木・金と3日働くだけで土曜日が訪れるため、精神的に大変楽になります。

②副業の時間を確保できる

週4勤務によって「仕事4:休み3」になると、3日間を利用して副業に十分な時間をとれるようになります。

たとえば、スキマ時間を見つけて、週末プログラマー(フリーランス)の副業を行っていたとしましょう。休日が土曜と日曜だけでは、クライアントに返信する頻度も少なくなり、自分の休みに充てる時間もなくなってしまいます。

しかし、もう1日だけ休みが生まれると、「本業4:副業2:休暇1」となり、ワークライフバランスが向上します。増えた休日を使い、副業のための勉強に充てるなど柔軟性が生まれる点もメリットです。

③ストレスが溜まらずモチベーションも高まる

人間はどうやっても、緊張が持続した状態で生活を続けていくことはできません。正社員の週5勤務で常に緊張感を強いられていると、ストレスが溜まり、モチベーションも高まりません。

月曜日に感じる、「今週はあと4日も仕事があるのか」という倦怠感。これが、週4勤務によって適度に休暇が生まれることにより、ストレスの滞留を和らげ、持続的なモチベーション維持へと繋がります。

④仕事の生産性も向上する

「今週はあと4日も仕事があるのか」という気持ちから倦怠感が生まれる一方で、「明日は休みだから頑張るか」と、状況によって向上心が生じるのも人間の性ですよね。

週4勤務になることで、「明日は休みだ」と感じる頻度が高くなります。たとえば土・日・水曜が休みだと、金曜日のほか、火曜日にも向上心が生まれやすくなるでしょう。

定期的に「やる気スイッチ」が点灯することで、仕事の生産性を高められるメリットがあります。

正社員で週4勤務するデメリット

正社員で週4勤務するデメリットは次の4点です。

  • 週5で働く正社員と比べて給料が低くなる
  • 週4で仕事を終わらせるために残業が発生する
  • 職務が限定される
  • 有給休暇が少なくなる

先ほどのメリットに比べ、正社員で週4勤務するデメリットは「お金」や「待遇」によく関わってきます。つまり、週4勤務の仕事を探すときは、「精神面のプラス(メリット)」と「待遇のマイナス(デメリット)」を、いかにバランスよく検討するかが大切だということです。

ここでは、4種類のデメリットを順に解説していきます。

①週5で働く正社員と比べて給料が低くなる

週4勤務の正社員は、週5勤務の正社員に比べ、ほぼ確実に給料が低くなります。なぜなら、ほとんどの日系企業が労働時間によって社員の給与額を決めているからです。

ただ、増えた休日を副業に充てることもできるため、収入面で確実にデメリットになるというわけではありません。

②週4で仕事を終わらせるために残業が発生する

忙しい正社員が週4勤務になることで、今度は業務分量の面でもデメリットが発生します。今まで週5勤務で行っていた業務を週4でこなす必要があるため、残業(または早朝出勤)が多発する可能性があるでしょう。

一方で、正社員の週4勤務が可能な企業にはシフト制が導入されているケースも多いため、業務量や残業についてよく上司と相談しておくことをおすすめします。

③職務が限定される

週4勤務の正社員は会社に出る頻度も低くなるため、職務が限定されやすい点がデメリットです。たとえば、常に取引先と連絡を取り合わなければならない業務、組織マネジメントを任される役職などは、週4勤務では対応が難しくなります。

このデメリットの対策としては、リモートワークを実施している企業を選ぶこと、および休日も応対できることをアピールしておくことです。休日に会社から連絡が来ると煩わしさを感じますが、リモートワークの環境が整っていれば比較的重要な仕事も任されやすいといえます。

④有給休暇が少なくなる

週4で正社員として働く場合、有給休暇が少なくなる点に注意してください。

有給休暇の付与日数は、労働時間が計算対象の一つです。週5日勤務から週4日勤務に変わることで労働時間が減少するため、自動的に有給休暇も減ってしまいます。

ただし、考え方次第でデメリットも大きな負担にはなりません。社内コンプライアンスの厳しい大企業でさえ、有給取得率は58.6%(2018年)にとどまります。有給休暇の日数が少ない場合でも、消化率が高ければデメリットを感じにくくなるでしょう。

参考(有給取得率):厚生労働省 平成31年就労条件総合調査の概況(第5表)

企業側が正社員に週4勤務を認めるメリット

正社員が週4勤務する点について、企業がそれを認めるメリットは次の3つです。

  • 企業の魅力を高めて優秀な学生を採用できる
  • 社員の生産性も向上する
  • 従業員満足度を高めて早期退職を防げる

このように、従業員だけではなく、企業にとっても週4勤務の制度化はメリットがあります。多くの企業がこうしたメリットに着目することで、週4勤務を望む人にとって働きやすい環境に変わることでしょう。

上記3つのメリットは、以下で詳しくお伝えしています。

①企業の魅力を高めて優秀な学生を採用できる

「週4勤務可能」「年間休日120日→170日」など、募集要項にこのように記載されていれば、今までより多くの学生が志願するのは想像に難くありません。学生の応募数が増えれば、それだけ優秀な人材も獲得しやすくなります。

現在、正社員は週5日勤務が当たり前ではあるものの、その理由は決して明確ではありません。そのため、週5日勤務がなぜ当然なのか、疑問に感じる若者も多くなってくることでしょう。もしかするとこの先、週4日勤務のメリットに注目する企業が増え、新たな「当たり前」が生まれるかもしれないのです。

②社員の生産性も向上する

先ほどお伝えした社員のメリットのなかに、「モチベーションが高まる」「向上心が生まれる」という精神的な利点が含まれていました。社員の精神的な負担が和らぎ、意欲的な気持ちが強まることで、生産性アップが期待できます。

長時間に渡ってきつい仕事を継続させるよりも、適度に休息を与えて短時間業務に集中してもらうほうが、社員のやる気や業務効率の改善に繋がりやすいと言えます。

③従業員満足度を高めて早期退職を防げる

週4日勤務が可能な職場は、それを求める人が多い観点から多くの労働者の人気を獲得します。さらに、仕事とプライベートのメリハリがうまく取れるようになるため、従業員の働きやすさに寄与することは容易に想像できます。

このように、週4勤務制度の実現が従業員の満足度向上に繋がるケースも珍しくないでしょう。特に現在は、週4勤務に対応する企業が少ないため、「もう週5勤務には戻りたくない」という思いから従業員の早期退職を防げます。

正社員に週4勤務を認める日系企業が少ない理由

今のところ、正社員に週4勤務を認める日系企業はほとんどありません。その理由として、以下で紹介する「旧来の評価制度」「制度不備」の理由が考えられます。

勤務時間で評価される側面が残っている

日系企業のほとんどは、今も勤務時間によって人事評価がなされています。つまり、勤務時間に応じて給与が決まるということです。

勤務時間で評価を行うマネジメント手法は、非常にシンプルで、雇用主にとっては使い勝手の良い制度と言えるでしょう。しかし、人の多様性に焦点を当てだした昨今の労働環境では、いずれ時間を対象にしたマネジメント手法に限界が現れるはずです。

制度が整っていない

昨今は、従業員のワークライフバランスの見直しにより、「週3日休暇」をうたう企業も増えてきました。しかし、大部分の業界・業種では、いまだに制度が整っていません。週4日勤務によって社内制度は大変化が求められるため、制度が整っていないのも無理はないことだと思います。

たとえば、ほとんどの社員が週4日勤務に変わると、取引先への連絡方法、給与や有給のシステム変更など、さまざまな仕組みの再構築が必要です。反対に言えば、徐々に制度から整えていくために、まず少人数だけ週4日制度を適用させる——。このような将来の姿が予想できます。

正社員で週4勤務が可能な業界の探し方

最近では、正社員で週4勤務が可能な企業が徐々に増えつつあります。そのため、求人サイトで「週4勤務」「週休3日」などと検索すると、該当する企業が見つけやすいでしょう。都内や大阪に住む人はより有利です。

このように探し方が少しずつ容易にはなっていますが、現状はまだ対象企業が少ないことは事実です。そこで、以下で紹介する「IT業界」「メーカー」の2種類を検討してみてください。

IT業界|正社員として週4勤務が可能な企業もある

IT業界では、徐々にではありますが、正社員として週4勤務が可能な企業も増えつつあります。

IT業界は古くから長時間労働が問題視されており、今では厚生労働省の監督の下、大掛かりな働き方改革が進められています。また、テレワークやクラウド業務といったIT技術とも関りが深いため、ワークライフバランス是正に取り組みやすい環境が整っています。

先述の通り、マイクロソフトは、2019年夏より「週勤4日 & 週休3日を柱とする自社実践プロジェクト」を開始し、テスト結果を公表しています。大手IT企業が週4日制度に注目するようになると、追随する中小企業も増えてくることでしょう。

メーカー|週4勤務ではないがホワイト企業が多い

メーカーを志望するというのも、方法の一つです。実際に週4勤務制度を敷くメーカーは限りなく少ないものの、他業界と比べてホワイト企業が多い特徴があります。

ホワイト企業が多い業界は働き方改革にも積極的で、将来的に週4勤務に移行する可能性が高いといえるでしょう。

しかし、メーカーと言えば「3K(きつい・汚い・危険)」というイメージも浮かびます。なぜ、メーカーにホワイト企業が多いのか、気になる方も多いでしょう。その詳しい理由に加え、以下の記事では産業別のホワイト企業一覧も紹介しています。ぜひ、ご確認ください。

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まとめ

正社員の週4勤務は、従業員・企業どちらにとってもメリットがあることから、今後は導入する業界が増えることが予想できます。ただし、今回お伝えしたデメリットについても忘れないようにしてください。

今のところ週4勤務制度を実施する企業は多くありません。そこで、徐々に制度の見直しを進めるIT業界、ホワイト企業が多いメーカーなどを中心に、働きやすい環境を提供する会社を検討してみてはいかがでしょうか。

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