リクルーターの役割は?就活生と企業の双方の視点から目的や注意点を解説!

就職活動では企業側から積極的にあなたに接触してくる社員がいます。リクルーターはそうすることで自社への志望度を高めたり入社後のミスマッチを防ごうとしています。このリクルーターについてもっと深く知りたいと思いませんか?今回はリクルーターの企業側・就活生側双方のメリット・デメリットについて紹介します。

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この記事の監修者

キャリアカウンセラー|秋田 拓也

厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。

■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)

リクルーターの最大の目的は相互理解の促進

まずリクルーターには2つのタイプがあり、1つは選考も兼ねているリクルーター、もう一つは選考をサポートするリクルーターです。

面接とは異なるフランクな雰囲気で会話することで相互理解が深まり、内定辞退や離職率の低下、学生にとってもミスマッチがなく幸せに働ける等、win-winの関係を築くことができるのがリクルーター制度の最大のメリットです。

目次

選考を兼ねているリクルーター

1つ目のタイプは選考を兼ねているリクルーターで、この場合はリクルーターが面談をする中で、次の面談に進めるかを決めています。

このタイプの場合、⑴選考は基本的にリクルーター面談で進み、面接らしい面接は最終選考のみ、もしくは⑵面接に進む前の関門としてのリクルーター面談があるタイプ(合格したら面接に進める)の2つがメジャーなパターンになります。

どちらにしてもリクルーターとの面接が選考過程に直結しているので、フランクな雰囲気のコミュニケーションとは言え、毎回リクルーターと何を話すかをしっかり決めておく必要があります。

選考をサポートするリクルーター

2つ目のタイプは選考をサポートするタイプのリクルーターです。

こちらも面談の評価を人事に提出しますが、また改めて正式な面接があり、そこでのパフォーマンスがより面接の評価として重視されます。つまり、リクルーター面接で自分に足りない点を補い、本番の面接でそれをアピールするという形です。

ただ、リクルーター面談でも、評価が悪い場合はそのまま面接の連絡が来なくなる場合もあり、理系の学生につくリクルーターはこちらのパターンが多いようです。

リクルーターの選び方

企業がリクルーターを選ぶ際のポイントですが、リクルーター制度を使う最大のメリットは学生と企業側が相互理解を深められることです。

そのため、リクルーターになる社員は入社1〜5年目で、年次が若い社員が多いです。企業によっては10年目前後の社員をリクルーターにしていることもありますが、学生の評価によって対応させるリクルーターの年次を変えているわけではありません。 

あくまでも、リクルーターの役割は就職希望者と会社側の相互理解による、円満な入社とその後の長期的な就業です。伝えるべき自社に就職した際のメリット・デメリットを過不足無く伝えて、正しく入社すべきかを判断してもらうことが第1の目的です。

リクルーターが持つ4つの役割

次はリクルーターの4つの役割について紹介します。

リクルーターには2つのタイプがあるとお伝えしましたが、どちらのタイプであっても基本的にはここで紹介する、

  • 母集団の形成
  • 起業理解の促進を通じたい志望度の向上
  • 面接官
  • 内定辞退の未然防止

という4つの役割を果たしています。

母集団の形成

リクルーターの1つ目の役割は母集団の形成です。

母集団とは自社への入社に強い関心を示している学生をある程度確保しておくことです。そのためにはエントリーシートを精査して優秀な人材をふるいにかけて、より質の高い人材にリクルーター側から積極的に連絡を取ろうとします。

その他にも、大学側に推薦枠を提示したり、OB・OB訪問を行った学生や会社説明会に参加した学生の情報を精査して、そこから自社の文化に合いそうな学生や優秀な学生とコミュニケーションを取ろうとします。

企業理解の促進を通じた志望度の向上

リクルーターの2つ目の役割は起業理解の促進を通じた志望度の向上です。

就職活動中の学生は1社のみを志望しているのではなく、業界・企業問わず複数の希望を出しており、同時に複数の企業の選考を進めています。そのため口では「御社が第1希望です」と言っていても、入社日近くになって辞退することもあります。

そのため、面接官よりもより学生と近い関係になるリクルーターという人員を活用することで学生と親密な関係を築き、選考過程を進んできた優秀な学生がより自社に入りたいと思ってもらえるように積極的に働きかけようとします。

面接官

リクルーターの3つ目の役割は面接官です。

リクルーターと面接官はその役割がやや異なりますが、リクルーターも半分面接官としての役割を担っています。というのも、面接ではないにしても話す態度が悪かったり、熱心さが感じられなければ企業側もそれ以上話をする必要がないからです。

選考のサポートの役割を果たすリクルーターとはいえ、企業の社員と入社を希望する学生の関係なので、そこでのコミュニケーションで「この学生は本当は入社を希望していない」というのが明確になればそれ以上時間を割く必要はないからです。

内定辞退の未然防止

リクルーターの4つ目の役割は内定辞退の未然防止です。

先述の通り学生は複数の企業を同時に先行していて、その複数の企業から「自社に入社してほしい」と声をかけられています。その中で自社だけ積極的に学生とコミュニケーションを取ろうとしなければ入社する意思がなくなるかもしれません。

そのため、リクルーターという入社希望者との心理的距離が近い社員が積極的に働きかけて、自社の魅力を伝えたり入社したあとにスムーズにキャリア形成が出来るようになるためのサポートを行ったりします。

リクルーター面談を受ける際の注意点

次はリクルーター面接を受ける時の注意点を紹介します。

リクルーターという物自体就職活動を始めなければ出会うことはないので、どんなコミュニケーションを取れば良いのか悩ましいところですが、ここで紹介する3つのポイントを意識して面接を受けるようにしましょう。

面接と同じ気持ちで臨む

1つ目のポイントは面接と同じ気持ちで望むことです。

リクルーターの目的は優秀な人材の入社志望度の向上や内定辞退の未然防止だとは言え、企業側の人間として学生と接しています。そのため正式な面接ではないとは言え学生がどんな態度で話をするか、何を話すかは注意深く聞いています。

なのでリクルーター面談の前には、本番の面接の時と同じように、自分は将来何がしたいのか、なぜその会社を志望するのか、自分にはどんなPRポイントが有るのかなどはしっかりと練った上で面接を行うようにしましょう。

次の面接で話すネタ探しもできる

2つ目のポイントは次の正式な面接で話すネタ探しも出来ることです。

リクルーター面談は従来の正式な面接よりもフランクに話ができ、面接官からの質問に答えるだけではなく、学生側から質問できることも多いです。なので、現状の自己PRをより魅力的にするために足りない部分について質問することができます。

リクルーターもあなたが真剣にその会社への入社を志望しているのであれば、どう自分をPRすれば面接官に魅力を感じてくれるかについて積極的に相談に乗ってくれます。

固くなりすぎない

3つ目のポイントは、リクルーターとの面接では固くなりすぎないことです。

リクルーター自身も面接とは違う雰囲気で、より学生の本音を聞き出す目的で学生とのコミュニケーションを図ろうとします。そのため、リクルーター側からよりフランクな雰囲気で話ができるような雰囲気を作ってくれます。

その一方で学生側も面接のように固くならずに、フランクな雰囲気で話をしてくれるリクルーターにより積極的に質問をしてみるなどして、より深く本音を探り本質的な企業理解が出来るように務めるべきです。

リクルーターは就活生にとって有益か

次はリクルーター制度を使うことが就活生にとって有益かどうかを見てみます。

当然メリットがあればデメリットもあります。ここではメリット・デメリットそれぞれ2つずつ紹介するので、これを踏まえた上で面接に望むようにしましょう。

メリット

まずはリクルーター制度を使うことによる学生側のメリットです。

通常の選考過程とは異なるシステムになるので、リクルーターから積極的にアプローチしてもらえていれば学生側にとっては内定を獲得しやすくなります。

企業の内情を知ることができる

学生側の1つ目のメリットは、企業の内情を知ることが出来ることです。

ここまでに紹介してきたとおり、リクルーターとの面接は正式な面接よりもよりフランクな雰囲気で話ができます。そのため、学生側からより積極的に面接官(リクルーター)に質問ができます。

なので、就活関連の書類や企業説明会などで手に入る情報ではわからないことについてリクルーターに質問してみることで、他の学生が知らない情報を手に入れることができるようになります。

就活が有利に進む

学生側の2つ目のメリットは、就活をより有利にすすめることが出来ることです。

これはリクルーターという制度が優秀な学生を囲い込んでおくという目的から生まれていることから言えることで、リクルーターから連絡が来ているのであれば、それだけあなたに対する期待が大きいということです。

そしてリクルーターと話ができればより深い情報を知った上で選考に臨めるので、しっかりと自分を合わせにいくことができれば他の学生に比べてその企業での就活を有利に進められます。

デメリット

次はリクルーター制度のデメリットを2つ紹介します。

リクルーター制度のデメリットとして考えられるのは、大学ごとに就職活動の格差が生まれてしまうことと、気づかないうちに選考過程が終わってしまう可能性があることです。

これらについても詳しく内容を確認してみましょう。

大学格差が反映される

1つ目のデメリットは、通っている大学ごとに内定のもらいやすさに格差が生まれてしまうことです。

リクルーターは入社説明会やエントリーシートの内容をもとにアプローチする学生を絞り込んでいたり、大学や所属しているゼミによっては推薦枠を出して優先的に内定を獲得できるようにしていることもあります。

つまり、推薦枠が与えられるような大学・学部・ゼミなどに所属していなければ、その時点で就職活動が不利になりますし、そうした優先的な枠からの内定者が多くなれば、一般選考からの内定人数も少なくなってしまいます。

気づかないうちに終わる可能性

2つ目のデメリットは気づかないうちに選考が終わってしまう可能性があることです。

企業のリクルーターは自分がリクルーターであるとは明言せずに学生とコミュニケーションを取ることもあります。リクルーター制度があることを知らない学生は、楽しい雰囲気で企業の社員と話すうちに篩に掛けられてしまう可能性があります。

その結果、本選考のエントリーをしてもエントリーシートの時点で不合格になってし舞う可能性もあります。なのでリクルーターに限らず企業側の人と接触する前には志望動機・自己PRなどはある程度完成させておく必要があります。

リクルーター制度は企業にとって有益か

次はリクルーター制度が企業側にとってどんなメリット・デメリットが有るのかを確認してみましょう。

リクルーター制度を使えばより質の高い学生を予め囲い込んでおくことは可能ですが、本選考とは違う形で学生にアプローチするためその分コストがかかると言ったデメリットもあります。

メリット

まずはリクルーター制度の企業側のメリットについて見てみましょう。

優秀かつ適性のある層にアプローチ可能

1つ目のメリットは優秀かつ適正のある学生層にアプローチできることです。

リクルーターは消極的な採用システムではなく、積極的な採用システムです。自社に興味を持っている学生の中から、より質が高く適正があると見込まれる学生に対して企業側から積極的にアプローチしていきます。

より優秀で適正のある学生に積極的にアプローチできれば、企業としても利益に貢献できる人材をより多く確保できるようになりますし、適正のある人材であれば自社の風土にマッチして、離職してしまう可能性も低くなります。

就活生とのミスマッチを減らせる

2つ目のメリットは就活生と企業のミスマッチを減らせることです。

リクルーターと学生の面接では形式張らずにフランクな雰囲気でコミュニケーションを取ることができ、学生側からも気になることについて沢山質問を投げかけることができます。

つまり学生とリクルーターで双方向のコミュニケーションが出来るので、学生側の企業理解度が高まり、入社してから「やっぱり違った」といった事が減ります。そのため離職率の低下・満足度の向上が可能になります。

選考プロセスも簡略化できる

3つ目のメリットは選考プロセスを簡略化出来ることです。

リクルーター面接ではフランクな会話を通して学生が本心で考えていることをより深く探っています。そのため、正式な選考過程ではないとは言え学生をここでも評価していることになります。

話している中で合格不合格を決めていく場合もあり、リクルーター面談後は最終選考を行うのみにすることも可能です。ただ、もちろんリクルーター面接の結果で合格が保証されている訳ではないので、その後の本選考もしっかり行う必要があります。

デメリット

次はリクルーター制度を取ることによる企業側のデメリットについて確認してみます。

母集団が限られる

1つ目のデメリットは面接を通して見られる学生の母集団が限られてしまうことです。

リクルーター制度では企業に興味を持った学生に対してリクルーター側から積極的にアプローチするものの、条件に合った学生に絞って選考を進めるので、選考過程で見られる学生の数が限られてしまいます。

ただこの問題は通常の選考過程と併用してリクルーター制度を活用することで解決できます。つまりリクルーターを使った優秀な人材の囲い込みと、通常の選考からも良い学生を獲得するようにすることでこの問題は解決できます。

一定のコストがかかる

2つ目のデメリットは一定のコストが掛かってしまうことです。リクルーター制度採用によってかかることが想定されるコストには以下のものが考えられます。

  • リクルーターの「育成」
  • 求める人物像の明確化
  • 社内ルールや共有システムの構築
  • 特別選考過程の構築

リクルーター制度は従来の選考プロセスに「加えて」別枠の選考プロセスや方法を用意することになるので、当然そのシステムを構築したり改善のためのコストが掛かります。

リクルーター制度を採用する企業

最後にリクルーター制度を使っている企業をいくつか紹介します。

リクルーター制度を使う企業は大手企業である傾向が強いです。これはリクルーター制度にもコストがかかることと、企業が大きくなるにつれて実際の企業風土と学生が感じている企業風土にずれが生じないようにすることが理由として考えられます。

上記の企業では通常の選考過程の他にリクルーター面接が複数回設けられていることがほとんどです。自己PRや志望動機などの他に、質問事項も複数準備して面接に取り組むようにしましょう。

まとめ

この記事ではリクルーター制度について、学生と企業側のメリット・デメリットそれぞれについて紹介してきました。

通常の採用選考とは異なる仕組みで行われる先行になるので、就活を始めた頃には困惑しがちですが、通常の選考のように自己PRや志望動機などをしっかりと考えるのに加えて、リクルーター面接用の質問事項も準備しておきましょう。

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