働く人にとって昇給制度や昇給額は大変気になるところです。しかし実は自分の昇給パターンを知らない、昇給額ばかりを気にして就職に失敗してしまったということはありませんか。今回は2019年の昇給平均額を2018年と比較して解説します。2つの昇給種類や昇給に関する3つの注意点についてもご紹介しています。
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この記事の監修者
キャリアカウンセラー|秋田 拓也
厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。
■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
昇給には2種類ある
毎月の給料が上がる「昇給」には主に2種類あります。どちらも給料が上がることに変わりはありませんが、その上がり方には違いがあります。
以下では2種類の昇給について解説します。
定期昇給
一般的に昇給と言えば、この「定期昇給」を指します。定期昇給とは、名前の通り定期的に上がる給料のことです。年齢によって昇給していく年功序列などがこれにあたります。
毎年決まった時期に給料の見直しをし、昇給すべき人にはするというものなので、全員が昇給するというわけではありません。
今後この記事内では、この定期昇給についてお伝えしていきます。
ベースアップ
一方、全員が同じタイミングで昇給するのが「ベースアップ」です。ベースアップはベアと言われます。ベースアップはひとり一人の社員の年齢や成績などに関係なく、一律で昇給することがポイントです。
ベースアップは全員が一度に昇給するので、企業の負担が大きくなります。そのためベースアップを取り入れている企業はあまり多くありません。
一般的な昇給時期は4月
一般的な昇給は、毎年4月に行われます。4月は新年度となることや、新卒が入社する時期です。企業にとって4月は始まりの月であることから、昇給も4月に行われることが多くなっています。
しかし、企業や業種によっては4月以外に昇給することもあります。その企業の会計などの都合で1月に昇給することや、株主総会直後の7月などが昇給時期というところもあるようです。
中小企業・大企業の平均昇給額
給料が上がる人にとって気になるのが昇給額です。以下では2019年の平均昇給額について解説します。
総合労働局が2019年に発表した「2019 春季生活闘争 第 7 回(最終)回答集計結果」によると、中小企業はやや減少傾向、大企業はやや増加傾向にあります。
以下では企業規模ごとに見てみましょう。
中小企業
中小企業の具体的な昇給額については後述しますが、中小企業の昇給額は大企業と比較して小さくなる傾向にあります。
従業員の給料を一度、引き上げてしまうと、なかなか減額しづらいです。加えて、中小企業は1つの事業に特化している場合が多く、将来に渡って事業が継続的に成長していくかどうかが不透明です。景気や技術革新など、外部要因によって経営が左右されてしまうのです。
給料を引き上げた後に経営が傾くと大打撃となるので、それを回避するために昇給に慎重なのです。
2018年度の平均昇給額
厚生労働省が実施している「賃金引上げ等の実態に関する調査」によると、2018年度(平成30年)の中小企業(従業員数が100~299人)の平均昇給額は5,039円でした。
2019年度の平均昇給額
前述の調査によると、2019年度(令和元年)の中小企業(従業員数が100~299人)の平均昇給額は4,997円でした。
昨年度の平均昇給額は5,039円だったため、平均昇給額は約1%の減少となりました。
大企業
大企業の具体的な昇給額については後述しますが、大企業は全体的に中小企業よりも昇給額が高くなっています。大企業の中でも、従業員数が5,000人未満の企業と5,000人以上の企業では昇給額にかなりの差があることが分かります。
大企業は中小企業とは異なり、多角的な事業を経営している場合が多いです。そのため、一部の事業の業績が悪くても好調な事業に注力するなどして、企業としての売上を伸ばしていくことができます。そのため、中小企業よりも積極的に昇給ができるのです。
2018年度の平均昇給額
厚生労働省が実施している「賃金引上げ等の実態に関する調査」によると、2018年度(平成30年)の大企業の平均昇給額は以下の通りです。
2019年度の平均昇給額
前述の調査によると、2019年度(令和元年)の大企業の平均昇給額は以下の通りです。また、前年度(2018年度)との比較も紹介しています。
高卒と大卒における平均昇給額の違い
大卒者と高卒者での平均昇給額の違いを発表している媒体を見つけることはできませんでしたが、大卒と高卒の間で、昇給率には差があります。
ある調査では、大卒男性の昇給率は2.9%で、高卒男性昇給率は2.3%という結果が出ているようです。0.6%の違いは一見小さなものに見えますが、それを積み重ねていくと非常に大きな差になることが、生涯賃金を見ると分かります。
独立行政法人 労働政策研究・研修機構が発表する「ユースフル労働統計(2019)」では、卒業から60才までフルタイムで働き続けた場合の推定生涯賃金を算出しています。結果は以下の通りです。
大卒者の推定生涯賃金は2億7,000万円弱であり、これに65才までの給与や退職金を含めれば、3億円近くにのぼります。一方、高卒者は2億1,000万円であり、40年弱で6,000万円近い差になっていることが分かります。
公務員の昇給額は民間に準ずる
公務員の給与は、人事院が公表する俸給表によって定められています。職種ごとに号が決められているほか、毎年昇給があるわけではありません。
自分の級が昇給した場合に、1つ上の級の給与を受け取る仕組みになっています。
また、俸給表は毎年改定が入ります。「公務員の昇給額は、民間企業のそれに準じる」とされているためです。民間企業の昇給額が上昇すれば上がり、減少すれば俸給表の昇給額も下がる仕組みになっているのです。
昇給に関する3つの注意点
初めての昇給を控えている人にとっては、自分がどれくらい昇給するのかということが気になるものです。しかし、昇給について調べたり考えたりするときには注意点もあります。
以下では昇給についての3つの注意点をご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
「昇給年1回」は実施ではなく機会
企業の募集要項などに見られる「昇給年1回」の文字は、毎年1回必ず昇給するという意味ではありません。「昇給年1回」とは「年に1回昇給できる機会がある」という意味です。
年に1回の昇給の機会に、昇給できないと判断された場合は昇給がありません。これは企業の業績や世間の動き、または本人の勤務態度や業務成績など様々な要因があります。
就職をするときは「昇給年1回」の意味を正しく理解しておくようにしましょう。
企業の公表する実績を信じすぎない
企業によっては「過去の昇給実績」を公表していることがあります。その昇給実績を基に、企業を選定していくという人もいるかもしれません。
しかし、企業が公表している昇給実績はあまり信じすぎないようにしましょう。これは企業が虚偽の情報を発信しているということではなく、稀な昇給例を公表している可能性があるためです。
業績も良い時期に世間の動きにも合ったタイミングで、特別大きな仕事が入ったために発生した大幅昇給という可能性もあります。
そのため公表されている昇給実績が、数年に渡って継続してる企業の方が安心です。
昇給がない企業なら転職を検討すべき
厚労省が発表している「定期昇給制度、ベースアップ等の実施状況」によれば、管理職以外の一般職の昇給制度を設けている企業が85.1%あるのに対し、設けていない企業は14.4%です。
また昇給制度があるにもかかわらず、実際には昇給を行わなかった企業は4.5%と一定数存在していることがわかります。
昇給は自分の生活だけでなく、将来の人生設計のための大切な制度です。昇給制度がなくてもベースアップがあるなど、何らかの形で昇給していく仕組みがある企業に就職することを強くおすすめします。
昇給がないということは、将来に希望が持てないとも言えます。昇給制度がある企業に就職・転職をするという検討をしなければなりません。
以下の記事では、昇給がない企業の実態やその理由、対処法を徹底解説しています。昇給がない企業に勤めている方に限らず、昇給に不満のある方はぜひご覧ください。
まとめ
昇給は生活が楽になるだけでなく、仕事に対する大きなモチベーションにもなります。どのような理由で昇給したとしても、自分が昇給に値すると認められたのだという喜びは日々の仕事に大きく影響するでしょう。
この機会に昇給制度や昇給額について、一度よく検討・確認をしてみてください。