アルバイトや正規雇用の場合でも、労働環境が整っていない会社の場合には10連勤を余儀なくされることがあります。労働基準法では違反にならないのか気になる方もいるでしょう。この記事では労働基準法と照らし合わせて、10連勤の違法性や長期の連勤が続く場合の対処法を紹介します。
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この記事の監修者
キャリアカウンセラー|秋田 拓也
厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。
■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
10連勤がきついと苦しむ人は多い
アルバイト・店舗運営・教育などのサービス業界の現場では10日以上の連勤をすることもありますが、そうした長期の連勤について、ツイッターでも下記のような声が上がっています。
バイトおわたぁ~
10連勤目終了死ぬっ…
— 🐥あいたん🐥 (@aitan1850) 2020年1月9日
<script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script>
このツイートでは10日間の連勤が終了し、体力的に限界が来ていることが伺えます。若年層のアルバイトとはいえ、10日間という長期間の労働は肉体的な疲労が蓄積し、休暇を取る必要がある事が分かります。
弊社、隣の部に配属された新人が早速1人退職願を出したらしいが、話を聞くと
現場配属して早々に10連勤
と聞き、そりゃ辞めるだろと()
(そもそも募集要項は完全週休二日制+祝日である)
— HARUKAZE(春風) (@harukaze_JSDF) 2019年6月12日
<script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script>
こちらのツイートでは、募集要項では「完全週休二日制」と書かれていたのに、実際に勤務してみると10連勤となっており、募集内容との食い違いから早々に退職していることが見て取れます。
法律で認められている連勤は何日までか
実際の労働の現場では10日間以上の連勤が発生していますが、労働基準法では何連勤までが認められているのでしょうか。
ここでは労働基準法に記載されている内容も踏まえて、使用者(会社側)が遵守すべき労働環境設計や、休暇の与え方について確認していきましょう。
労働基準法35条1項|最低でも週1回は休日としなければならない
まず、労働基準法35条1項では下記のように記載されています。
使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。
参考:厚生労働省「労働基準法」
この記載を見る限りでは、「毎週1日休みが得られるから最大6連勤までなのでは」と考えられるかもしれません。しかし、下記のように前週の日曜日と翌週の土曜日に休暇をとった場合、12連勤まで可能となり、10連勤は違法ではありません。
下記の記事では12連勤に関する法律や、あまりにも連勤が続くような職場への対処法などを紹介しているので、連勤が気になる方は下記の記事も参考にしてみてください。
労働基準法35条2項|月4日の休日があれば1項は適用されない
次に、労働基準法35条2項では下記のように記載されています。
前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。
参考:厚生労働省「労働基準法」
4週間の間に合計4日間の休日を与えている場合には、労働基準法35条1項の「週1日の休暇」という決まりは「適用されない」とされています。つまりこの条項さえ守っていれば更に長期間の連勤が許されるということです。
実際には「7日間(1週間)×4週間−4日=24日間」の連勤が労働基準法によって認められており、職場によってはこの日数の連勤が課せられる可能性があるということです。
労働基準法36条|時間外労働を認めている
次に、労働基準法36条では下記のように記載されています。
使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。
参考:厚生労働省「労働基準法」
言葉遣いがやや難しいですが、簡単に言うと「労働組合や、過半数の従業員と取り決めをして行政に届け出れば、労働時間の延長や休日出勤が可能になる」ということです。
基本的に労働基準法では、労働時間は1日8時間・週40時間、また休日について上記の通り規定されています。ただし、労働者の合意があればその労働時間の延長や休日に出勤させることも可能となっています。
労働基準法37条1項|休日出勤の残業代は3割5分増し
労働基準法37条1項では下記のように記載されています。
使用者が、(中略)労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
参考:厚生労働省「労働基準法」
上記の条文を簡単に説明すると、「時間外労働や休日出勤分の賃金は、政令の定め以上の率で計算した割増賃金を払う必要がある」ということです。この「政令」とは割増賃金令のことで、その条文では以下のように述べられています。
労働基準法第三十七条第一項の政令で定める率は、(中略)延長した労働時間の労働については二割五分とし、(中略)休日の労働については三割五分とする。
参考:労働基準法第三十七条第一項の時間外及び休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令(割増賃金令)
つまり、割増賃金令では「休日出勤の賃金は3割5分増しにする」と定めているため、労働基準法37条1項の内容に従えば「休日出勤の賃金は3割5分以上の率を増額して計算」する必要があることになります。
36協定が恒常的な連勤を可能にしている
ここまでに紹介した通り、労働基準法の条文でも合法的に長期間の連勤や時間外労働が認められていますが、特にその傾向を顕著にしているのが36(サブロク)協定の規定です。
ここでは、その36協定について厚生労働省が発行するPDFの内容も合わせて紹介します。
①36協定で認められる時間外労働は年360時間
先述の通り、36協定では時間外労働(いわゆる残業)が認められており、厚生労働省が公表する「36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針」でも月45時間・年間360時間以内の時間外労働は認められています。
1ヶ月間の営業日数はおよそ21日間なので、1日約2時間程度の残業は労働基準法でも認められていることになります。また、急を要する特別な事情がある場合には、月100時間(休日出勤を含む)までの残業が可能ということです。
この36協定からも恒常的に時間外労働が認められていることを覚えておきましょう。
②突発的でない理由による連勤は違法性が高い
労働基準法上で時間外労働・休日出勤が事実上認められているものの、厚生労働省のPDFにも記載されている通り、時間外労働・休日出勤が必要になる業務内容やそのような状況を明確に規定しておく必要があります。
時間外労働・休日労働を行う業務の区分を細分化し、業務の範囲を明確にしてください。(指針第4条)
参考:36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針
限度時間を超えて労働させる必要がある場合は、できる限り具体的に定めなければなりません。
参考:36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針
残業や休日出勤が必要になる業務や、それが必要になる状況については企業側が予め明確に規定しておき、時間外労働・残業がやむを得ず発生する場合においても、その日数・時間を最小限に留めるように求められています。
この36協定に違反した場合には労働基準法違反となり、罰則を受ける可能性もあるので、使用者は注意が必要です。
体調の異変が起きるほど働かせるのは企業が悪い
企業によっては、労働者が体に異常をきたすまで働かせることもありますが、その場合は明らかに企業側に責任があります。
労働基準法上でも時間外労働や休日出勤は事実上認められていますが、労働環境を正常に保つことも企業には求められており、体調不良が続くような働き方を強いるようでれば労働基準法や36協定に違反していると考えられます。
今勤めている会社で、恒常的に長時間労働・休日出勤を求められている場合には、労働環境の是正を求めたり、転職を考えた方が良いかもしれません。
いざという場合に備え、事前に連勤が法律上何日まで可能かを知ることは非常に有用です。
実は法律上、変形休日制を採用した場合、24連勤まで可能になるのです。詳細はぜひ以下記事をご覧ください。
10連勤が頻繁に起こりがちな業界
次に、10連勤が頻繁に起こりがちな業界を紹介します。
ここで紹介する業界・職種は「施工管理」と「教員」の2つです。どちらも厳しいスケジュールや資金・現場管理が求められ、失敗が許されない仕事のため、業務量も多くなる傾向があります。
下記の記事でも、激務になりやすい職種・業界や、そうした職種・業界の共通点も紹介しています。施工管理や教員以外に、業務量や勤務時間が多くなりがちな職種を知りたい方は下記の記事も参照してみて下さい。
施工管理
1つ目の職種は施工管理の仕事です。「施工管理」とは工事現場のスケジュール・人員・安全・工事品質・お金の管理を行う仕事のことです。
工事現場では常に職人さんが作業をしており、工事のスケジュールなどを常に管理する必要があります。また、工事現場は毎日作業が行われているので必然的に施工管理人も現場にいる必要があり、結果的に連勤が長くなります。
下記の記事でも施工管理の詳しい仕事内容や、激務と言われる理由を紹介しています。施工管理士は比較的給料が高いですが、下記の記事も参考に実際に施工管理者になるかよく考えましょう。
教員
2つ目の職種は教員です。教員の仕事は日中の生徒への授業の他に、宿題の答え合わせや提出物整理などの雑務・部活動の管理・親への対応など、複数の業務が発生します。
特に小学校・中学校などの教員の場合には、問題を起こす学童の対応やその後の親との面談などの業務が沢山発生するため、休日に対応に追われたり勤務時間が長くなる傾向があります。
下記の記事でもこうした教員の仕事の現状・教員を目指す上で気をつけること・激務である一方で教員になる魅力についても紹介していますので、教員を目指す方はこちらもご覧ください。
10連勤が当たり前の会社に勤めている際の対処法
最後に、10連勤などの長期間の連勤が恒常化している会社に勤めている方が、今後どう対処すべきかを3つ紹介します。
連休が生じやすくなる原因は業界の特性・職場環境の問題など様々ですが、適正な労働環境を提供し維持するのは使用者側の責務なので、あまりにも労働環境がひどい場合には、ここで紹介する方法で対処しましょう。
①有給・代休の取得を打診する
1つ目の方法は、有給や代休の取得を打診してみることです。
一般的な5日間(1週間)を超える日数の連勤が頻繁に発生するのは、基本的に異常と言えます。何らかの職場環境に問題がある可能性が高いでしょう。その場合にはまず、有給や代休をもらえるように打診してみてください。
もし打診しても許可してもらえない場合は、使用者側に労働環境改善の意識がなく、将来的に連勤が発生し続ける可能性があるので、同じ会社・職場に居続けるかは考える必要があります。
②上司が問題なら異動を希望する
もし、上司が問題で長期間の連勤が発生している場合には、人事や上司の更に上の役職者などに相談して、部署移動を希望しましょう。
会社そのものの職場環境が良くても、上司の能力が低いことで無駄な仕事が増えたり、その部署だけが劣悪な労働環境になることもあります。
上司に問題がある場合には他の部署の人にも相談し、自分の部署だけに問題があるときは転職はせず、会社内の部署異動のみで対応しましょう。
③転職する
もし会社全体で労働環境に問題があることが分かれば、転職しましょう。
転職する場合は会社全体として問題がある時ですが、準備が整う前に転職することを会社側に伝えると引き止めにあったり、周りの社員に相談しても「これが普通だから我慢すべき」と言われて、ますます転職が難しくなります。
なので、社内の人には相談せずに準備を進めておき、準備が整ったタイミングで辞表を提出しましょう。
まとめ
この記事では労働基準法と照らし合わせて、10連勤の違法性や10連勤が起きやすい業界・劣悪な労働環境で働いている場合の対処法などを紹介しました。
日本は先進国の中でも労働生産性が低く、世界的に見ても労働時間・労働日数が多い傾向がありますが、平日の5日間を超える連勤がずっと続いている会社は、労働基準法上違法ではなくても、明らかに職場環境に問題があります。
その場合は静かに転職先を探して、身体的にも肉体的にも過度なストレス無く働ける職場などに移ることも念頭においておきましょう。