年間休日120日はホワイトか?年間休日の内訳や実態まで完全紹介!

年間休日が120日以上ある企業はホワイト企業といい切れるでしょうか。120日の内訳を見ると、単に土・日と祝日が休みというだけかもしれません。有給休暇が取りやすいか、夏季休暇・年末年始は休日か、GWなどには長期休暇が取れるのか、求人情報をしっかりチェックすることが重要です。

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この記事の監修者

キャリアカウンセラー|秋田 拓也

厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。

■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)

年間休日とは

105日とか120日などが議論になる「年間休日」の定義は理解できているでしょうか。「年間休日」というのは社員全員に平等に与えられている休日です。社員から会社に何ら申請する必要はありません。

目次

年間休日105日は最低ライン

年間休日105日は労働基準法に照らして最低ラインです。厳密にいえば「年間休日」がこれを下回れば法律違反です。

労働基準法では1週間の労働時間は40時間までと定められています。また1日の労働時間も8時間までと定められています。

  • 1年のうち週の数は365日÷7日=約52週
  • 1週間の労働時間は40時間までなので、働けるのは40時間×52週=2080時間
  • 1日に8時間働くと考えると2080時間÷8時間=260日

以上の計算から、1年間に働くことができる日数は260日です。したがって「年間休日」は最低でも105日は必要という計算になります。

年間休日105日で働く人の声は以下の記事で紹介しています。ぜひご一読ください

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一般的なのは年間休日120日

105日と聞けば結構休めると考えがちですが、年間休日105日は法律に抵触しないギリギリの範囲だということを理解しましょう。「年間休日」には土・日の休みと祝日、夏季休暇、年末年始の休暇が含まれるべきです。

常識的に考えれば我々は土曜日、日曜日だけでなく、祝日や夏休み、年末年始の休みを与えられて当然だからです。

このような事情を考え合わせれば年間休日120日位は当然認められていいはずです。

年間休日の計算方法

「年間休日」は社員の事情によって取れたり、取れなかったりすることのない、社員全員に平等に与えられる休日です。では、夏季休暇や年末年始休暇は「年間休日」に含まれるのでしょうか。有給休暇や会社が独自に設けている特別休暇はどうなのでしょうか。

夏季休暇(お盆)・年末年始休暇

夏季休暇は日本においては一般的にお盆休みとして理解されています。お盆に墓参りに行ったり、親戚が集まってお坊さんにお経を上げてもらったりする風習が古くから定着しています。

年末年始の休暇も日本においてはお正月休みとして、一般的に年末から連続で休日とする場合が多く見られます。公務員の場合は法律で定められていて、12月29日から1月3日まで休日となります。

ただ大企業、特に金融機関においてはお盆休みとしての夏季休暇を設けない場合が一般的で、有給休暇として処理する場合が多いようです。所によってお盆のスケジュールが違いますので、一般的なルールとすることが難しいからです。

有給休暇

「有給休暇」とは雇用者から給与が与えられる有給の休暇日のことです。正しくは「年次有給休暇」と呼ばれ、毎年一定の日数が与えられます。「年次休暇」「年休」「有給」とも呼ばれます。

「有給休暇」は法律で認められた当然の権利で、労働者が会社に請求することによって取得します。 しかしながら、日本では職場への配慮や休みをとることへのためらいから、「有給休暇」の取得率は低い状態が続いているのが現実です。

このために立法化されたのが 2018年に成立した「働き方改革関連法案」です。2019年4月1日から、使用者は社員に毎年5日間「有給休暇」を取得させることが義務付けられました。

企業制度としての休暇

一般的に「年間休日」としてカウントされる土・日・祝日、夏季休暇、年末年始休暇と、法律で定められた休暇としての有給休暇の他にも企業が独自の制度として設ける休暇があります。それは一般的には「特別休暇」と呼ばれます。

「特別休暇」は会社が従業員に対する福利厚生として与える休暇のことをさし、法律での定めはありません。「特別休暇」の例としてあげられるのは、病気休暇、慶弔休暇、ボランティア休暇、リフレッシュ休暇などがあります。

「特別休暇」が有給か無給かはケースによります。会社や事由によって異なりますので事前に確認が必要です。

年間休日120日に関する3つの知識

今更聞けない制度の一つに「完全週休2日」と「週休2日」の違いがあります。これらは何が違うのでしょうか。「休日出勤」は断れるのでしょうか。GWに長期休暇を取ることはできるのでしょうか。これらについて、改めて考えて見ましょう。

「完全週休2日」の場合がほとんど

「完全週休2日」と「週休2日」は混同されやすい制度ですが、制度的には全く異なります。「完全週休2日」は1年を通じて毎週2日の休暇が保証されています。安定して休暇を取りたい人向きです。

「週休2日」は1ヶ月の間に最低1回週2日の休暇が与えられる制度です。月に1回週休2日であればいいのです。「週休2日」は「完全週休2日」より条件が悪そうですが、1日8時間、週40時間の労働時間制限を考えれば、1日あたりの労働時間は少なくなることを理解しましょう。

「完全週休2日」も「週休2日」も曜日の指定はないことに注意が必要です。必ずしも土・日が休みということではありません。

年間休日が120日あるのであれば、完全週休2日制で年間96日の休日を確保した上で、その他の休日も付与される場合がほとんどです。

休日出勤が全くない訳ではない

「休日出勤」とは本来会社が休みの日に出勤することをさします。土・日が休みと定められているにもかかわらず土曜日に出勤した場合は「休日出勤」です。

「休日出勤」は定められた労働時間の制限を守っていれば必ずしも違法ではありません。しかしながら「休日出勤」には見返り措置として、休日手当や代休(振り替え休日)を与えなくてはいけないことになっています。

なお、休暇は労働者が会社に申請して与えられるものですから休日ではないため、休暇の日に「休日出勤」させることはできません。

年間休日120日は平均より高い

年間休日120日という日数は平均よりも高いことがわかっています。厚労省の「平成31年就労条件総合調査の概況」によりますと、平成30年の年間休日数の平均は114.7日となっております。

なお、本調査では企業規模別の年間休日数も公表されており、企業規模が大きくなるにつれ平均年間休日数も比例して増えていることもわかります。

年間休日120日の休暇イメージ

「年間休日」120日以上が与えられた場合、どのようなライフスタイルになるでしょうか。具体的にイメージしてみましょう。

周囲と予定を合わせやすい

「年間休日」120日が保証されていれば、イメージとしては土・日の他に祝日、夏季休暇、年末年始休暇をそれぞれ5日とれる計算になります。

もちろんこれ以外に有給休暇や特別休暇もとることができますので、家族やパートナーとの予定を調整して様々なイベントに参加することが可能になります。

疲れを癒やす時間が確保できる

人は機械と違って疲れます。特にストレスの多い仕事や繰り返し業務は疲労が大きいといえます。気持ちを切り替え、肉体や精神上の疲れを癒やすためにはある程度の休みが必須なのです。

「年間休日」105日では土・日の他に休日が全くないことになります。いくら有給休暇や特別休暇があるといっても諸般の事情を考えれば疲れを癒やす時間としては不十分といわざるを得ません。

旅行に行きやすい

「年間休日」120日が確保できていれば、土・日の他に祝日や夏季休暇、年末年始休暇を取ることができます。有給休暇と組み合わせれば結構長期の休暇を取ることが可能なります。

海外はもとより、国内旅行でもゆったりと旅行するためにはある程度の長期休暇は必須です。一泊二日や二泊三日のバタバタした旅行ではかえって疲れてしまうこともあります。

就職や転職を考える場合、「年間休日」105日と120日の間には大きな違いがあることを理解しておきましょう。

年間休日120日が向いている人・向いていない人

仕事をする以上、休日は多ければ越したことはないと思う人もいます。一方で休日数が少ないほうがいいという人もいます。

以下の見出しでは年間休日120日が向いている人と向いていない人をそれぞれ解説します。

年間休日120日が向いている人

前述した通り、年間休日120日は平均と比べても多くかなりホワイトな条件と言えます。
そんな年間休日120日が向いている人とは

  • 家族やプライベートを大事にしたい人
  • 今の仕事を長く健康的に続けたい人
  • 趣味や副業の時間も確保したい人

などが挙げられます。

休日を仕事以外の時間に費やしたいと聞くと勤労意欲の低いように受け取られがちですが、実際1つの仕事を長く続けようと思うと、適度な休みは重要です。

疲労が溜まると仕事のモチベーション低下を招くため、十分な休息をとり休日を明けてまた仕事に意欲的に取り組みたい人に120日という日数は最適と言えます。

年間休日120日が向いていない人

一方、休日数がそれほどいらない人はどのような人でしょうか。

  • 量質転換が起きるほどがむしゃらに働きたい人
  • 今の仕事に期限を設けて転職・独立を検討している人

上記のような短期間で成長を求める人にとっては120日という年間休日数は物足りなさを覚えます。年間休日を120日設ける企業の多くは、内部管理体制の整備された大企業ですので休日中の仕事や副業にも厳格な規則を設けていることが多いです。

このように休日数が多いことが万人に向いているわけではない、という事実は認識しておくべきでしょう。

年間休日120日は多いのか

年間休日120日に対してどのような印象が抱かれているのか、ネット上の声をいくつかご紹介します。

年間休日120日とあると如何にもたくさん休日がありそうに見えますが、実際は1年間の土・日と祝日を合計すればこれに近い日数になります。就活生は募集要項などを冷静な目で見ることを心がけましょう。

転職を考える際、どうしても年収条件の方に目が行きがちです。でもどうせ転職するなら気持ちよく働きたいのが当たり前で、そのためには「年間休日日数」はどうしても抑えておきたい条件です。ホワイトな労働環境を求める人にとって、120日以上は必須と考えましょう。

業界別|年間休日数ランキング

以下の表は厚労省の「平成30年就労条件総合調査の概況」によるデータです。なお、平成31年の調査では業界別の年間休日数が掲載されていませんでした。

年間休日が120日に近い業界とその理由

上記の表で年間休日が120日近いホワイトな業界とその理由を見てみましょう。

金融業・情報通信業

金融業と情報通信業は年間休日数の多さでベスト3に入っています。

金融業は比較的定型的な仕事が多く、カレンダー通りに休日を設定しやすい環境にあります。もう一つ噂されている理由が連続休暇の取得促進です。ある特定の職員を一定期間休ませてその人の不正の有無をチェックするということのようです。

情報通信業はメディア系とIT系と考えてよく、どちらかといえば大手企業が多いため社員が働く環境が恵まれていることと、これらの業種は労働時間に依存しない仕事が多いため年間休日が多くなっています。

製造業(メーカー)

ものづくりの工場はこまめに停止するよりまとめて停止させた方が効率が良いので、年に10日近い休日が2~3回設けられている企業もあり、その結果「年間休日」も長くなる傾向にあります。

年間休日が120日より遥かに少ない業界とその理由

逆に「年間休日」が少ない業界を見てみましょう。これらの業界はなぜ「年間休日」が少なくなっているのでしょうか。

サービス業

サービス業は顧客を直接相手にする仕事ですので、一般の人が休んでいるときこそ忙しくなる傾向があります。したがって基本的に土日は仕事で、平日1日が休みになることが多くなります。

GWやお正月などはかき入れ時ですので、長期休暇は取れないと考えるべきです。

もちろん会社によっては時期を上手く調整して連休を取らせてくれる場合もありますが、あまり多くは期待できないでしょう。

医療業界

病院などの医療機関も「年間休日」は少ないと考えるべきです。休日当番などもあって一般の人が休みだからといって普通に休める仕事ではありません。

人の命を預かる仕事ですので、ハードワークは覚悟する必要があります。休日であっても急に呼び出されることも希ではありません。

ホワイト業界は以下の記事でも紹介しています。ぜひご一読ください

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まとめ

今回は年間休日120日をどう考えるかにスポットをあてました。健康的に持続可能な働き方をするのであれば、年間休日120以上は必須と考える必要があります。

政府が旗を振っている「働き方改革」が成果をあげ、堂々と長期休暇を取ることができるように、日本の労働環境がよりよくなることを期待したいものです。

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