人材業界は人材派遣・人材紹介など様々な業態があり、更に「HRTech」という技術的な進歩も伴い、更に進化を遂げている業界です。この記事ではその人材業界の代表的な企業の売上ランキング・海外企業との比較・今後の動向などを紹介します。
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この記事の監修者
キャリアカウンセラー|秋田 拓也
厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。
■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
人材業界の基本情報
まずは日本の人材業界の基本情報を見てみます。
ここでは人材業界に属する企業の、シェアTOP3と人材業界の市場規模を紹介します。
人材業界のシェアTop3
日本の人材業界のシェアトップ3は以下の通りです。
上記のデータは2017〜2018年の市場シェアに関する情報ですが、上記のシェアから見て分かる通りリクルートHDが圧倒的なシェアを締めていることが分かります。
営業力に圧倒的な優位性を持つ同社では、その営業力を身につけることを目的に入社する社会人もいるほどです。リクルートHDの営業力が市場占有率となって現れていると言えます。
人材業界の市場規模
次に人材業界全体の市場規模です。2014〜2018年の人材業界の市場規模は以下の通りです。
2019年以降の市場規模に関する情報は見られませんが、2018年までは年によって伸び率に変化はあるものの、総じて市場が拡大を続けていることが分かります。
特に2015には日経平均株価が15年ぶりに2万円台に回復したり、2016年には消費税の8%から10%への延期が再度決定されたことから、経済活動が活発化し、それに伴い人材業界も大きく伸びたことが考えられます。
人材業界のビジネスモデル
次に人材業界のビジネスモデルを見てみます。
一口に「人材業界」といってもその収益源やビジネスの仕組みは沢山あります。人材業界の企業の売上につながる基本的な4つの事業について紹介します。
ちなみに、ここで紹介するモデルは密接に関わっているため、1つの人材業界の企業が複数をビジネスモデルを採用していることがほとんどです。
人材紹介事業
人材業界の1つ目のビジネスモデルは人材紹介事業です。代表的な人材紹介事業は以下の通りです。
- リクルートエージェント
- パソナキャリア
- type転職エージェント
- doda
人材紹介事業の事業内容は、人手が欲しい企業から求人情報と仕事を探している求職者を集めます。そして、人材紹介会社の社員が最適なマッチングを求めて求人情報と求職者をつなぎ合わせます。
人材紹介事業者はあくまでも「職業紹介者」です。そのため応募者(企業)と求職者(働き手)のマッチングが成立したら、その双方で雇用契約が結ばれ、人材紹介業者の仕事はこの時点で終了します。
人材派遣事業
人材業界の2つ目のビジネスモデルは人材派遣事業です。代表的な人材派遣業者には以下のようなものがあります。
- テンプスタッフ
- スタッフサービス
- パソナ
- リクルートスタッフィング
人材派遣業者のビジネスモデルは人材紹介業者と類似しており、人手不足である企業に求職者を派遣することです。一方で、人材派遣事業の場合は、人材派遣業者と求職者の間に雇用契約が結ばれています。
下記の記事では、人材派遣業で感じられるやりがい・向いている人の特徴といったポジティブな面と、「人材派遣業は激務」と言われる原因について紹介しています。人材派遣業への転職・就職を考えている方はこちらの記事も併せてご確認下さい。
求人広告事業
3つ目のビジネスモデルは求人広告事業です。代表的な事業には以下のようなものがあります。
- マイナビ
- リクナビ
- タウンワーク
- an
求人広告事業とは人手不足となっている企業から求人情報を集め、その求人情報を自社(求人広告事業者)が運営する各種メディアに掲載することで、その掲載料や雇用成立による成果報酬を手にする事業です。
上記の4社は、自社のウェブサイト・フリーペーパー・スマホアプリなどに求人情報を掲載しており、そのメディアへの求人広告掲載費やメディアを通じて雇用が成立するごとに報酬を受け取っています。
人材活用事業
4つ目のビジネスモデルは人材活用事業ですが、日本で人材活用事業を行っている民間企業はありません。
人材活用事業とは、従来のように企業側が長期的に継続して自社で働いてくれる人材を確保するのではなく、自社が今抱える問題を解決できる特定分野のプロを探し、プロジェクト単位で期間限定で採用するものです。
この事業は、企業が抱えている根本的な問題を解決できるような専門職者が、一般的な求人広告経由で仕事を求めることが少ないことから新しく生まれているビジネスモデルです。しかし日本ではまだこのモデルを活用した事業者は見当たりません。
人材業界の概況
次に人材業界の概況を確認します。
これまでの人材業界はここまでに紹介したような、求職者と求人者の長期的なマッチングといった色合いが強かったです。
しかし労働者側の働き方の変化やAI・ロボットの性能向上により、求人業界のあり方も変化しています。
人材業界の歴史
日本の人材関連業の歴史は江戸時代まで遡ることができ、「口入れ屋」という人材派遣業の前身がありました。しかし、派遣先の劣悪な労働環境などの問題への対応として明治時代に法律が制定されたり、戦後にGHQによって職業安定法も成立します。
その後、1966年に日本発の人材派遣会社が生まれてから本格的な法整備が始まり、1985年に労働者派遣法が成立します。さらに1999年は職業安定法の改正により、民間業者が人材を派遣できる業種が自由化されます。
さらに2004年には人材派遣における期間制限も撤廃され、本格的に人材派遣業の環境が変わりました。
人材業界の現状動向と今後
今後の人材派遣業は、従来のような「長期的なマッチング」から「短期的なマッチング」という市場が拡大することと、企業側のより主体的な採用活動が活発化することが見込まれます。
「短期的なマッチング」という点については、「人材活用事業」のような企業が現時点で抱える問題の解決に携われるプロ人材を期間限定で雇うような、欧米的な雇用関係が今後活発化する可能性があります。
またSNSなどの進化により、企業と被雇用者が直接やり取りできるようになっています。そのため企業側がより積極的に人材探しをするダイレクトリクルーティングが行われ、求人広告を使わずに採用活動を行う企業も増える可能性があります。
2019年|人材業界の売上高ランキング – 国内編 –
次は日本国内の人材業界の売上高ランキングを見てみましょう。
先述の通り、日本の人材業界はリクルートが圧倒的なシェア・売上高を占めており、同社に追随する形でパーソルHD・パソナグループが多くのシェアを締めています。
ここでは各社の企業情報や事業者職場環境の特徴について紹介します。
①リクルートホールディングス
日本の人材市場で最も大きなシェアを誇るのはリクルートホールディングスです。
同社は人材関連事業の他に、旅行・結婚・飲食に関するメディアの運営などにもビジネスの幅を広げていますが、ここでは同社の基本情報と事業の特徴を見てみましょう。
基本データ
リクルートホールディングスの有価証券報告書の記載によれば、基本情報と事業内容は下記の通りです。
- HRテクノロジー事業
- メディア&ソリューション事業
- 人材派遣事業
業界トップの人材業者であり他業界の広告事業なども行っていることから売上高・従業員数ともに他社と比べて圧倒的な規模を誇っています。
特徴
リクルートホールディングスの特徴は「起業家思考」です。
事業上の特徴として、人材関連事業から旅行・結婚・飲食など幅広い情報メディアの運営を行っていることが言えます。ただ、このように幅広いジャンルの事業を生み出し、成功させているのは同社に広がる「起業家思考」です。
同社では収益性がある程度見込まれる事業については、積極的にチャレンジしています。そのため同社出身者の中には、マクロミル・じげん・リンクアンドモチベーション・オールアバウトなど、一般的にも名前が知られる企業の社長がたくさんいます。
②パーソルホールディングス
パーソルホールディングスは、海外での人材関連事業や各種業界に特化した人材関連業にも力を入れている企業です。
ここでそのパーソルホールディングスの基本情報や事業などの特徴を見てみましょう。
基本データ
パーソルホールディングスの有価証券報告書の記載によれば、基本データと行っている事業は下記の通りです。
- 派遣・BPO
- リクルーティング
- PROGRAMMED
- PERSOLKELLY
- ITO
- エンジニアリング
パーソルHDでは従来の人材関連事業に加えて、「PROGRAMMED」「PERSOLKELLY」を手がけ、オーストラリア・アジア圏での人材関連業を行うとともに、業務フロー改善やエンジニア職に特化した人材業にも力を入れています。
特徴
パーソルホールディングスの特徴は、アジア地域での事業展開と人材業に関連した事業に裾野を広げていることです。
先述の通りオーストラリア・アジア圏では日本国内と同様に人材関連事業を行っています。それぞれの売上構成比率は21%・8%で、派遣・BPO事業の51%に遠く及びませんが、日本の近隣国での人材業に力を入れています。
また、近年のプログラマー人材不足に合わせて「エンジニアリング」「ITO」事業で、電気・電子設計、開発などの専門技術者の人材サービスも行っております。こちらの売上構成比は併せて4%とまだ少ないですが、今後の成長が見込まれます。
③パソナグループ
パソナグループは人材関連事業に加えて、生活関連施設の設置や地方創生に関わる事業も行う企業です。
ここで同社の基本情報と、事業の特徴について見てみましょう。
基本データ
パソナグループの有価証券報告書の記載によれば、同社の基本情報と従事する事業内容は以下の通りです。
- HRソリューション
- ライフソリューション
- パブリックソリューション
パソナグループは「HRソリューション」で従来の人材関連事業を行いつつ、「ライフソリューション」では介護・保育など慢性的に人手不足が問題視されている分野での事業も展開しています。
更に「パブリックソリューション」ではレストラン・道の駅・エンタテインメント施設の創設・運営なども行っています。
特徴
パソナグループの特徴は、日本でも特に人手不足が深刻化する分野での人材業を行っていることと、「パブリックソリューション」事業です。
「ライフソリューション」事業では、日本で長年人手不足が問題となっている介護・保育の支援事業を行ったり、官公庁とも協力して業務効率化の支援事業なども行っています。
また、パブリックソリューション事業では地方創生事業などを行い、都心部のみではなく地方における雇用の創出にも関わる事業を行っています。
人材業界の売上高ランキング – 世界編 –
一般社団法人日本人材派遣協会の情報によると、2017年の時点では世界の人材業界の売上ランキングは以下の通りです。
Adecco(アデコ)は創業1957年でスイスの企業、Ranstad(ランスタッド)は1980年創業のオランダの会社、ManpowerGroup(マンパワーグループ)は1948年創業のアメリカの会社です。
ちなみに日本トップのリクルートホールディングスは売上高16,065(百万円)で世界第4位となっています。
人材業界の年収ランキング
各社の有価証券報告書の情報によると、人材業界の平均年収ランキングTOP5は以下の通りです。
トップであるリクルートホールディングスは市場シェアでも圧倒的な規模を誇っていたため、従業員の平均年収も2位の平山HDと比べて176万円の差をつけています。
その一方で、市場シェア2位のパーソルHDは1位のリクルートHDと比べて300万円近く年収が低く、パソナグループについては上位5位にもランクインしていません。年収という点で人材会社を選ぶ場合は必ずしもシェアTOP3が良いとは限りません。
人材業界の今後
最後に人材業界の今後を示すニュースについて紹介します。
「人材業界の概況」でも今後の人材業界の将来性などについて紹介しましたが、ここでは特に注目すべきトピックについて2つ紹介します。
HRTechの勃興
「HRTech」とは「Human Resources」と「Technology」をあわせた言葉で、人材採用・活用シーンでAIなどの最新技術を活用することです。
人材関連業務には採用・労務・勤怠・教育や育成管理業務があり、その業務量は膨大です。その人材関連の管理業務を効率化するためのサービスとして「HRTech」が勃興しています。
IT人材ラボで紹介されるミック経済研究所によるHRTechの市場調査でも、2017年から2018年の市場規模の成長率が139%になる見通しとされており、今後さらなる市場規模拡大が見込まれるとされています。
終身雇用限界宣言
2つ目のニュースは「終身雇用限界宣言」です。日経ビジネスの「脱終身雇用」に関する記事の中でも、経団連会長の中西氏が以下のように発言していることが紹介されています。
企業からみると(従業員を)一生雇い続ける保証書を持っているわけではない。制度疲労を起こしている。終身雇用を前提にすることが限界になっている
参考:日経ビジネス
終身雇用は「日本的経営」の代表的な特徴として知られますが、ビジネスのグローバル化による競争の激化や日本政府の財政悪化に伴い、世界的にも生産性が低いとされる日本企業は終身雇用制度をやめて、効率的な経営が求められています。
まとめ
この記事では人材業界のトップ企業・各社の特徴・人材業界の現状と今後などについて紹介してきました。
人材業界は日本国内のシェアを見ると「リクルート1強」といったイメージが有り、平均年収もそれを物語っています。
営業力や「人材輩出企業」でもあることからも同社の強さが見えますが、人材業界への就職を考える場合、将来どのようなキャリアを積みたいかを考えて、最適な企業を選ぶようにしましょう。