就職するからには、高給取りになりたいと考えている就活生もいることでしょう。人によっては、その目標を達成するために、大学進学時から準備をしているかもしれません。しかし現代の日本において、年収がどのくらいなら高給取りなのでしょうか。そこで今回は、高給取りとは何かを多角的に解説します。
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この記事の監修者
キャリアカウンセラー|秋田 拓也
厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。
■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
「高給取り」とは
世間一般でいう「高給取り」の意味を知る前に、言葉をきちんと理解しておくべきでしょう。ここでは、高給取りの意味と読み方、類語、英語表現などについて説明します。知識として、ぜひ覚えておいてください。
高給取りの意味・読み方
「高給取り」は「こうきゅうとり」と読みます。weblio辞書によると、高給取りの意味は以下の通りです。
高額な給料を得ている人を指す語。企業の中で高い役職に付いている人、職能の優れた人、といった意味合いを含めて用いられることも多い。
しかし巷では、単に高収入を得ている人に対してではなく、そこに嫌味や皮肉を加えて使っている人の方が多いようです。
高給取りの類語
類語辞典においては、高給取りの類語は見つかりませんでした。しかし、言葉の意味を考えた時に、類語といえそうな言葉として、以下のものがあります。
- 通常の意味の類語/高禄を食む、富裕、羽振りがいい
- 揶揄する意味の類語/金の亡者、勝ち組、金満家
しかしこれらの類語は、高給取りほど日常的に使われてはいません。
高給取りの英語表現
「高給取り」を英語で直訳すると、「high salary」となります。例文として、以下のものがあげられます。
- A staff of that company is only the capture of high salary.
(あの会社の社員は高給取りばかりです) - He's happy because he has a wife of the capture of high salary.
(彼は高給取りの奥さんがいて幸せです)
しかし、高給取りという言葉に皮肉が感じられるので、英語表現する際にも注意が必要です。
高給取りはいくらから
高給取りという言葉はよく見聞きしますが、その定義は曖昧です。2019年9月に国税庁が発表した「平成30年分 民間給与実態統計調査‐調査結果報告-」によると、給与所得者の平均年齢は46.4歳、平均給与は441万円でした。
これを基準に考えると、30代で年収600万円を超えていれば、高給取りといえると考えられます。そのまま順当にベースアップすると、40代では年収700万円、50代では年収800万円になる可能性が高いからです。
高給取りな職業とは
業界や職種によって、給与所得者の平均年収は変わります。しかし高給取りなのは、会社員に限られたことではありません。ここでは、世間で高給取りだと言われている職種を3つ取り上げて説明します。
職業①|医師
1つめは、医師です。ただし、医師にも勤務医と開業医がいて、専門分野によっても年収に幅があります。研究医の時は労働時間を考えると年収が高いとはいえませんが、専門医としてキャリアを重ねるうちにベースアップしていくため、年収が1,000万円以上になるのは珍しくありません。
美容整形外科など、保険外診療を積極的に行っているクリニックを開業する、あるいは勤務することで、年収が1億円を超える人もいます。そのため、高給取りであるというイメージが定着しているのでしょう。
職業②|弁護士
2つめは、弁護士です。弁護士は飽和状態であると言われていますが、中には高給取りが多いのも事実です。ただし「イソ弁」と呼ばれる、弁護士事務所で修業しているキャリアの浅い弁護士の場合は、高給取りとはいえません。
また、民事や刑事を専門にしている人の中には、年収が低い人も少なくないといいます。弁護士で高給取りを目指すなら、企業法務を専門とするのがおすすめです。
職業③|パイロット
3つめは、パイロットです。パイロットになるためには、航空大学校を卒業するか、航空会社に入社して専門の研修や訓練を受け、社内試験にパスしなければなりません。健康状態もシビアに検査されるので、狭き門となっています。
また、人命を預かる仕事でもあり、責任も重大です。その責務に見合うよう、年収も高く設定されています。大手航空会社のパイロットだと、年収2,000万円は下らないといわれています。
高給取りな業界とは
高給取りになれる職業に就くためには、専門的な勉強が不可欠です。しかし多くの就活生は、そうした専門課程を専攻していません。ここでは、一般的な就活生が高給取りになることができる、おすすめの業界を3つ、紹介します。
業界①|総合商社
1つめは、総合商社です。商社とは、他の企業並びに国の製品やサービスを、買いたいと考えている相手に販売する仕事を担う会社のことです。中でも総合商社は、特定の分野に偏ることなく、幅広い商材を扱っています。そのため、事業規模がグローバルとなっており、得られる利益も大きくなります。
基本給が特別高いというより、業績によって昇給や賞与、役職手当の額が大きく、結果的に年収が高くなるといえるでしょう。企業例としては、三菱商事や三井物産、伊藤忠商事、丸紅があげられます。
業界②|メガバンク
2つめは、メガバンクです。メガバンクには明確な定義がありませんが、都市銀行と認識されることが多く、巨大な資産や収益規模を誇る銀行のことです。銀行は斜陽産業と言われ、就活生の人気を下げているという噂もありますが、メガバンクは資金や人材を部署を選択したうえで集中させることで、利益を得られる構造をつくっています。
また、銀行と信託銀行、証券会社の連携を強化させることで、事業間の相乗効果を上げ、利益を増やしています。企業例としては、三菱UFJ銀行や三井住友銀行、みずほフィナンシャルグループです。
業界③|コンサルティング
3つめは、コンサルティング業界です。日本国内でも、外資系のコンサルティング会社が巨額の売上を上げています。また、国内のコンサルティング会社でも高給取りが多いことで知られます。「戦略系」「総合系」「シンクタンク系」「ベンダー系」など、いくつかの種類に分かれています。
コンサルタントになれば年収1,000万円超えは平均的で、外資系であれば年収3,000万円プレイヤーも珍しくありません。企業例としては、アクセンチュアやデロイトトーマツコンサルティング、野村総合研究所、船井総合研究所などがあります。
高給取りな仕事のメリット・デメリット
仕事をするからには、高給取りになりたいと思うのは自然なことです。収入が上がれば生活も豊かになりますし、できることも増えるでしょう。しかし、高給取りになるためには、人より努力しなければならないことも少なくありません。
ここでは、高給取りな仕事のメリットとデメリットについて説明します。
メリット
まず、高給取りになるメリットを以下にまとめてみました。
- 関わる仕事の規模が大きくやりがいがある
- 勤務先や職種のネームバリューがある
- 豊かな生活が送れる
- 海外で活躍できるチャンスが多い
- クレジットカードやローンの審査に通りやすい
- 周囲に称賛されやすい
生活の心配をせずに、自分も家族もやりたいことができるのは、高給取りだけのメリットといえそうです。
デメリット
一方で高給取りにも、デメリットはあります。デメリットとして考えられるものとして、以下があげられます。
- 転勤や海外赴任が当たり前である
- 高い専門スキルを求められる
- 激務のことが多い
- 成果を出さなければ降格や減給もありえる
- 人が眠っている時間帯に働くことも珍しくない
- 税金が高額
高給取りになるためには、凡人にはない努力をしなければなりません。海外の取引先の時間に合わせた生活を送ることを余儀なくされるなど、国内にいても通常の出退勤時間と異なる時間帯で働く人も数多くいます。成果主義の企業も多いので、強靭なメンタルが求められます。
高給取りになるための方法
高給取りになるためには、偏差値の高い大学を卒業するのが一番の早道です。しかし、それが叶わなかった就活生の方がずっと多いことでしょう。ここでは、就活中あるいは就職後に実践できる、高給取りになるための方法を3つ、紹介します。
方法①|難易度の高い資格を取得する
1つめは、難易度の高い資格を取得することです。企業に勤務する会社員であっても、難易度の高い資格を取得することで手当てが支給されたり、昇格できる可能性があります。おすすめの資格には、以下のものがあります。
- 公認会計士
- ファイナンシャルプランナー
- 宅地建物取引士
- 中小企業診断士
- 行政書士
- 司法書士
こうした資格を取得しておくと将来、独立・開業も夢ではありません。
方法②|キツイ仕事をする
2つめは、キツイ仕事をすることです。キツイ仕事とは、体力的あるいは安全面で大変な業務という意味ではありません。目標が高く、達成するのが難しい、困難な仕事に挑戦するという意味です。
普通の人が敬遠するような厳しい仕事に就き、努力して成果を上げれば、それに見合うだけの報酬がついてきます。特に学歴が低いあるいは偏差値がそれほど高くない大学出身者の場合は、大手企業よりベンチャー企業で結果を残す方が、高給取りに近づける可能性が高そうです。
方法③|実力を上げる
3つめは、自分の実力を上げることです。高給取りの会社員は、企業のネームバリューだけでなく、その人でなければならない仕事をして、取引先に認められていることが多いです。そのためには、専門スキルだけでなく、相手の信頼を勝ち取れる人間性もあわせ持つ必要があります。
また、実力をすぐに上げるのは難しくても、自分の仕事を応援してくれる人脈がそれを補ってくれるケースも珍しくありません。現状に甘んじることなく、より成長しようとする姿勢を持ち、努力を続けるうちに実力は備わっていくはずです。
高給取りになるには努力が必要
高給取りになるためには、条件の良い会社に入社すればよいと考える就活生もいることでしょう。しかし、成果が伴わなければ、昇給・昇進などに差が開くのはもちろん、会社の業績によってはリストラされる可能性も否定できません。
高給取りでい続けるためには、会社や社会が求める成果を出し続ける必要があります。つまり努力なくして、高給取りに慣れるはずはないということです。
「高給取り」に関する疑問
就活生が高給取りを目指すうえで、疑問に思うことも多いはずです。もしかしたら、それらの疑問を理由に、努力する気持ちを失っているかもしれません。ここでは、高給取りに関する疑問を3つ取り上げて、説明します。
疑問①|高給取りに学歴は関係あるのか
高給取りを目指して、総合商社やメガバンク、コンサルティング会社に入社したいと考えている場合は、学歴が大いに関係します。企業によっては、高卒では応募できないところもあるからです。また、大卒であっても、偏差値が高い難関大学でなければ、エントリーを通過するのも難しい企業も珍しくありません。
新卒採用で出身大学のハンデを克服するためには、大学在学中に難関資格を取得するなど、努力を形に見せることが必要でしょう。ただし、難関大学出身であっても努力しない人は、高給取りになるのは難しいことも、合わせて覚えておいてください。
疑問②|公務員は高給取りなのか
公務員は高給取りなのかと聞かれると、人によるというのが答えです。というのも、国家公務員であれば高給取りになることは可能ですが、地方公務員で入職時の学歴によっては、それが難しいケースも考えられるからです。
ただし、看護師が公務員として入職した場合は、民間病院より高給取りになれる可能性が高いです。病院の業績に左右されることなく、給料が支払われるからです。自分が目指す公務員の職種の年収を調べたうえで、試験を受けるかどうか検討するとよいでしょう。
疑問③|女性が高給取りになるのは難しいのか
前述した「平成30年分 民間給与実態統計調査‐調査結果報告-」を見ても、男女の平均年収には開きがあります。国家公務員の給与にも男女格差があるように、女性が高給取りを目指すのは難しいと言わざるを得ません。
体力的に激務に耐えにくいという理由の他、妊娠・出産・育児などで、仕事を離れざるを得ない期間がある女性が多いことも関係します。それを避けたいと考えるなら、会社員としてではなく、資格を持って独立・開業して働くという選択肢を検討するとよいかもしれません。
まとめ
今回は、高給取りとは何か、それを目指せる職種や業界、なるための方法などについて解説しました。
仕事をするからには、少しでも給料が高いにこしたことはありません。しかし、高給取りの職種は激務であると同時に、お金のためだけで続けられるほど甘いものではありません。高給取りになるためには、仕事に対する適性や意欲、努力が不可欠なのです。その点も踏まえて、自分が高給取りになるための方法を選択し、実践してみてください。