昇給には「定期昇給」と「ベースアップ」の2種類があることをご存知ですか?また、就活生の中には、「昇給年1回」は確実に実施されるわけではない、ということを知らなかった人も多いはずです。このように、昇給について思わぬ勘違いをしていることも珍しくありません。今回は、その仕組みについて徹底的に解説します。
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この記事の監修者
キャリアカウンセラー|秋田 拓也
厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。
■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
昇給には2種類ある
就活生の方であれば、「昇給」といってもイメージすることは難しいのではないでしょうか。「給料が上がることなんじゃないの?」と思っていても、実は会社員への昇給には次のような2つの意味があることをご存知でしたか?
- 定期昇給
- ベースアップ
昇給のことをしっかりと理解しておけば、自分自身の収支管理やキャリアアップのシミュレーションにも役立ちます。以下で各昇給の違いについて解説していきましょう。
定期昇給
定期昇給とは、自分の年齢や勤続年数に応じて基本給が上がる制度です。基本的に1年ごとに基本給が見直されるため、定期昇給という名称になっています。
年齢や勤続年数に比例して基本給も上昇することを、右肩上がりの曲線に例えて「賃金カーブ」と呼びます。定期昇給は、この賃金カーブを基準に社員の基本給が決定されるのです。
一般的に昇給といえばこの定期昇給をイメージする方も多いでしょう。そのため、今回は「昇給=定期昇給」としてお伝えしていきます。
ベースアップ
ベースアップ(またの名をベア)も昇給制度の一つです。ただ、定期昇給のように、基本給の上昇は年齢や勤続年数には比例しません。その代わり、勤め先がベースアップを実施すると決めれば、社員全員の基本給が底上げされます。
たとえば、「3%のベースアップを行う」と決まった場合、基本給20万円の方ならプラス6,000円、基本給30万円の方ならプラス9,000円といったように、各月に受け取れる給与が増えるのです。
1年ごとに基本給が見直しされる定期昇給に比べ、ベースアップは企業と労働組合との交渉によって実施タイミングや上昇幅が決められます。
昇給は将来の見通しを立てる上で大切
就活生の方でも、今のうちに昇給の仕組みを知っておくことは大切です。昇給を知ることで、将来の見通しを立てることに役立ちます。
たとえば、内定を得た企業の定期昇給幅が毎月プラス1万円だとしましょう。初任給で20万円もらえる人なら、2年目に21万円、3年目には22万円を受け取れる可能性が高くなります。
そのため、年齢を重ねていくうちにお金を使える幅も広がっていくはずです。貯金に回せるお金も増えていくでしょう。つまり、勤め先の昇給制度を知っておくと、将来の収支や貯金の計画も立てやすくなるということです。
一般的な昇給時期は4月
昇給(定期昇給)が行われる時期は一般的に毎年4月です。4月に新入社員として入社する人が圧倒的に多いため、それに合わせて4月より新しい昇給制度が実施されていきます。
ただ、企業によっては昇給時期がずれ込むこともあります。
また、人事評価や個人の業績を昇給に反映させたり(成果主義)、そもそも定期昇給自体を採り入れない企業も存在するため、求人の募集要項はしっかりと確認しておきましょう。
2019年の平均昇給額
2019年の平均昇給額を見るには、日本労働組合総連会合(JTUC)の「2019 春季生活闘争 第 7 回(最終)回答集計結果について」が役立ちます。ここでは、中小企業と大企業に分けて、それぞれの平均昇給額を見ていきましょう。
中小企業
中小企業の平均昇給額は、2019年で1.94%となっています。5年前の2014年から比べると0.18%上昇しており、徐々に賃金水準が高まっていることが予想できるでしょう。
ただ、労働組合側が要求する昇給率は3.33%です。実際1.94%の平均昇給額との開きは1.39%となっており、中小企業側は昇給したくてもできない経営的な問題を抱えていることも示唆しています。
大企業
大企業の平均昇給額は、2019年で2.07%です。5年前と比べるとあまり変化はありませんが、10年前の2009年と比べると0.40%も上昇しており、中小企業よりもハイペースで昇給が進んでいます。
また、労働組合側が要求する昇給率は3.09%で、その開きは1.02%です。中小企業と比べると開きが少ないことから、大企業ほど昇給に前向きということが伺えるでしょう。
2018年の平均昇給額からの変化
2018年の平均昇給額は、中小企業で1.99%、大企業で2.07%です。2019年と比べると、大企業は変化ありませんが、中小企業は2018年よりも0.05%低下しています。
実は、平均昇給額はデータが公開された1989年~1990年には5~6%を示しており、それだけ企業も昇給に積極的でした。
しかし、景気が低下するとともに昇給ムードも鎮火し、2002~2003年頃には過去最低の1.63%(中小は1.26%)にまで沈んでいます。近年はやや平均昇給額が回復していますが、その大きな要因は人手不足です。
公務員の昇給額は民間に準ずる
公務員の昇給額も民間企業と同じように定期昇給が基本となります。
公務員の昇給制度は「行政職俸給表」によって定められており、民間企業と同じく年齢や勤続年数によって給与が決まります。各級ごとにそれぞれの号俸が設けられており、1年ごとに4号ずつ昇進していくことが基本です。
ただし、公務員の場合は毎年1月1日に昇給します。民間企業に比べると昇給幅は狭いものの、様々な手当てが用意されており、勤続年数が増えれば大企業並みの給与を受け取ることも可能です。
昇給に関する3つの注意点
昇給に関しては、なかなか企業から従業員に詳しい説明をすることがありません。そのため、たとえ企業で働いている方でも、昇給に関して勘違いしていることも多いのです。
昇給については求人の募集要項にも記載されています。就活生の方は、今のうちに昇給に関する注意点を学んでおきましょう。
「昇給年1回」は実施ではなく機会
求人情報などでよく目にする「昇給年1回」という言葉は、実は必ず実施されるものではありません。その基準は企業によって異なるため、「昇給年1回」とは単なる機会だということを覚えておきましょう。
機会ということは、「年に1回昇給が行われる可能性がある」ということです。そのため、企業の業績や運営方針によっては、ときに昇給が行われない年もあります。
企業の公表する実績を信じすぎない
昇給制度は各企業の運営方針によって異なります。たとえ昇給しない年があったとしても、国から罰せられるわけではありません。また、「年に50万円昇給した社員がいる」などの実績も掲載自由となっています。
「大幅な昇給実績があるなら私にも……」と考えるのは当然ですよね。しかし、その信憑性を確認する方法はないので、あくまで参考程度と考えるべきでしょう。企業が公表する実績を信じすぎないことも大切です。
昇給がない企業なら転職を検討すべき
業績や個人成績、人事評価を参考に昇給を検討する企業も増えています。景気が悪くなることなどで、突然、今年の昇給は無しになることも考えられます。
しかし、社員の経験値は確実に高まっているはずなので、次の1年間も同じ給与で働くことに納得できない方も多いのではないでしょうか。
もし昇給がない企業なら転職も検討してみましょう。「どうしてもその企業で働きたい」という方は別として、いつまでも同じ収入のまま働くのは、自分の能力に対して適切な給与が支払われていない可能性があります。
まとめ
昇給には、年齢や勤続年数に応じて収入がアップする「定期昇給」と、社員全員の給与を底上げする「ベースアップ」の2種類があります。今回は、より一般的な定期昇給をもとに昇給の仕組みを紹介してきました。
現在就活中という方は、特に「昇給に関する3つの注意点」はしっかりと理解しておいてください。そのうえで、各求人の募集要項を隅々まで読み、できるだけ昇給制度が整った企業を見つけてみましょう。