平均勤続年数10年は短いのか!?短くなる理由や気をつけるべき指標を併せて紹介!

今回は平均勤続年数について解説します。企業の中には平均勤続年数が2年や6年など短いところから20年を超える長いところもあります。平均勤続年数15年は長いのか、平均勤続年数10年の企業に考えられる理由は何か、平均勤続年数が長い企業・短い企業の例やその特徴などについてもご紹介します。

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この記事の監修者

キャリアカウンセラー|秋田 拓也

厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。

■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)

平均勤続年数とは

平均勤続年数とは、今現在その企業に勤務している社員が、その企業で何年勤続しているかの平均値です。すでに退職している元社員の勤続年数は含まれません。

平均勤続年数は就活で企業を見極めるときに必要な情報で、平均勤続年数が長いほど「この企業は居心地が良い、または業績等が良好なのだろう」などと考える参考になります。

目次

目安の平均勤続年数は15年

「この企業は平均勤続年数が長い・短い」というのは、一概に判断することは難しいのですが、平均勤続年数の目安は15年と言われています。

これはその企業の平均勤続年数が15年より長ければ「平均勤続年数が長い」と判断できる基準という意味です。平均勤続年数が15年以上の企業であれば、ある程度安心して入社を検討できる、という程度に認識しておきましょう。

反対に15年よりも1年短い14年だからと言って、即「平均勤続年数が短い」と判断することはできません。

平均勤続年数10年は短い

では、平均勤続年数が短いと判断する目安は何年かと言うと10年です。平均勤続年数が10年前後の場合は「この企業は平均勤続年数が短い」と判断することができます。

平均勤続年数が短いということは、居心地が悪いあるいは業績等に不安があり社員が早期に退職をしているのではないか、などの予想をすることができます。

しかし平均勤続年数が短いからと言って、必ずしもその企業が良くないとは言い切れません。居心地や業績以外にも平均勤続年数が短くならざるを得ない理由はいくつかあります。

次の章では平均勤続年数が10年の企業に考えられる理由について解説します。

平均勤続年数10年の企業に考えられる4つの理由

平均勤続年数10年の企業を検討したときに、確認してみたいのはその理由です。居心地が悪い、業績が不安定などの理由以外に致し方ない理由もあります。

以下では平均勤続年数10年の企業に、考えられる理由を4つあげて解説しています。

創業年数が浅い

1つ目は「企業そのものの創業年数が浅い」というものです。創業年数が浅ければ、当然そこで働いている社員の勤続年数も短くなります。

平均勤続年数が極端に短い場合なども、創業から間もない可能性があります。平均勤続年数が10年またはそれ以下の場合は、まずは創業年を確認してみましょう。

他社と合併をしている

2つ目は「他社と合併をしている」というものです。企業自体はそれ以前からあり、途中で他社と合併をした、という場合にも平均勤続年数が短くなります。

また他社と合併をしている場合でも、合併元の企業の場合はそれ以前からの平均勤続年数となるので、合併の有無と合併元か先かという点も確認した方が良いでしょう。

転職者や中途採用が多い

3つ目は「転職者や中途採用者が多い」というものです。一見、転職者が多いことは良いこととは思われにくく、その結果が中途採用なのだろうと考える人は多いかもしれません。

しかし、実際にはそうではない場合もあります。たとえばリクルートなどは、社員がステップアップのために転職をすることを良しとしています。同様に社風として転職を悪いこととは考えていない可能性もあるでしょう。

また中途採用についても、一概に良くない傾向とは言い切れません。高島屋のように大手で安定した企業であっても、中途比率が50%を超える企業も存在しています。

以上のことから、転職者や中途採用者が多いことが良い傾向なのか、悪い傾向なのかというのはその企業によると言えそうです。

労働環境が良くない

4つ目は「労働環境が良くない」というものです。一般的に平均勤続年数が短い企業では、この要因が疑われます。

せっかく入社した社員が、比較的短い勤続年数で退職をしているという事実の原因が労働環境にある、というのは良くある話です。

しかし一口に労働環境と言っても、どのような部分が良くないために社員が辞めているのかまではなかなか調べることができません。口コミサイトやOB訪問などを利用して、具体的な問題点を確認しておいた方が良いでしょう。

平均勤続年数が長い企業の例と特徴

平均勤続年数が長い企業は各業界にたくさんあります。以下では平均勤続年数が長い企業の例をあげていますので参考にしてください。

平均勤続年数が長い企業の例

平均勤続年数が長い企業には大手が多く、どの企業も平均勤続年数15年を大きく上回る数字が出ています。以下では厚生労働省の調べを元にした、平均勤続年数が長い企業をご紹介します。

平均勤続年数が長い企業の特徴

平均勤続年数が長い企業は大手企業だけではありません。しかしいずれの企業にも共通していると思われる特徴があります。

以下では平均勤続年数が長い企業に見られる特徴を3つご紹介します。

待遇が一定水準以上

1つ目は「待遇が一定水準以上である」というものです。年功序列や福利厚生が整っていることで、社員の士気が上がり、結果として長く勤続しています。

特に年功序列は年々待遇が良くなっていくので、今年よりも来年、来年よりも再来年とモチベーションが維持されやすいという点がポイントです。

また福利厚生についても社員の仕事のしやすさやリフレッシュのしやすさに貢献していることが多く、福利厚生に魅力を感じて勤続する社員も多いようです。

最低限の労働環境がある

2つ目は「最低限の労働環境がある」というものです。この「最低限の」というのは、働く人が会社に求める最低限の環境のことを指しています。

たとえば劣悪な労働環境では勤続が難しくなります。そういう意味で最低限の労働環境が備わっているというのは大きなポイントと言えるでしょう。

また、平均勤続年数が長い企業では最低限の労働環境に加えて日々労働環境の改善がされていることも多く、働く人が働きやすい環境が備わっていることが多いようです。

年功序列で早期の出世は望めない

3つ目は「年功序列で早期の出世は望めない」というものです。平均勤続年数が長い企業では年功序列の制度がとられていることが多く、優秀な人であってもある程度の年月が経たなければ出世することができません。

これは一見デメリットのようにも見えますが、見方を変えれば長く居ることで望める出世もあるとも言えます。

つまり長く勤めること自体が出世への足がかりとなる可能性があり、毎日目の前の仕事をきちんとこなしていれば道が開けてくると考えることができそうです。

平均勤続年数が短い企業の例と特徴

平均勤続年数が短い企業も各業界にたくさんあります。以下では平均勤続年数が短い企業の例をあげていますので参考にしてください。

平均勤続年数が短い企業の例

名前の知られた大手でも平均勤続年数が短い企業はたくさんあります。以下の表では主に平均勤続年数10年の企業を上げていますが、10年以下の企業も多いようです。

リクルートホールディングスについては、先にお伝えをした通りステップアップのための転職が良しとされているためと考えられます。

平均勤続年数が短い企業の特徴

平均勤続年数が短い企業は規模の小さな企業だけではありません。企業の規模にかかわらず、平均勤続年数が短い企業にも共通している特徴があります。

以下では平均勤続年数が短い企業に見られる特徴を3つご紹介します。

劣悪な労働環境がある

1つ目は「劣悪な労働環境がある」というものです。働く人が何らかの理由で「働きにくい」と感じる要素がある職場環境のことを指しています。

この劣悪な環境という言葉の捉え方は人それぞれで、たとえば空調が効いていないなど物理的な環境のことを指す場合もあれば、パワハラやセクハラなどの人的被害を被ることを指す場合もあります。

いずれにしても働く人にとって良い環境ではないということは共通しており、労働環境を理由に早期退職となるようです。

企業風土として入れ替わりが激しい

2つ目は「企業風土として入れ替わりが激しい」というものです。先に解説したリクルートホールディングスがこの例にあたります。

転職をすること自体に抵抗がない企業風土で、自身のステップアップのために積極的な転職をする企業もあります。このような企業では、自然と平均勤続年数が短くなります。

ビジネスマンとしてステップアップやキャリアアップを積極的にしたい、という人にとっては喜ばしい理由と言えるでしょう。

企業規模が比較的小さい

3つ目は「企業規模が比較的小さい」というものです。企業規模が小さいと、そのときの業績を理由に早期退職を募られることもあります。また、社員自身が先行きに不安を感じて自ら転職をしやすいということもあるでしょう。

企業規模が小さくても長く経営している企業はたくさんありますが、新卒よりも中途採用が多く、平均勤続年数が伸びないのも要因です。

企業規模が比較的小さく、平均勤続年数が短い場合は中途採用率の高さや、近年の業績などを調べてみると良いかもしれません。

3年後離職率にも目を向けるべき

平均勤続年数も大事ですが、3年後離職率にも目を向けてみてください。厚生労働省の発表した新規学卒者の離職状況では、大卒で約20%強の人が3年後に離職をしています。一般的には3年後離職率が30%に届くと、その企業は危険と言われています。

入社から3年で退職するということは、それだけ新人が育っていないということです。すでに退職している社員の勤続年数は平均勤続年数には含まれませんので、意識的に注目しておきましょう。

大切なのは数字の裏にある理由

これまで平均勤続年数や3年後離職率などさまざまな数字について解説してきました。しかしどの数字も、数字を見ただけでは何も知ることができません。

数字だけを見て企業を判断するのではなく、なぜこの数字が出ているのかと疑問を持つことを心がけましょう。疑問を持てばその数字が出た要因を調べることができ、その企業の本当の姿を知ることができます。

まとめ

平均勤続年数は長いに越したことはない、と思っていた人は多いと思います。しかし一概にそうとは言い切れません。

平均勤続年数はあくまでも指標のひとつです。その数字の裏にあるものを見て、自分が求める企業であるかどうかを判断してください。

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