家族経営の会社はブラックか?従業員の声やブラックと言われる理由を解説!

家族経営とは、会社の経営を家族が独断的に行っている経営状況です。一般的に、家族経営では出世するために気に入られることが不可欠で、また評判も良くないです。しかし、公私混同をせずに家族経営を行えている事例もあります。今回は、そんな家族経営の実態に迫るため、その見抜き方などを紹介していきます。

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この記事の監修者

キャリアカウンセラー|秋田 拓也

厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。

■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)

家族経営とは

家族経営とはいったい何なのでしょうか。この見出しでは、家族経営の基本情報を解説します。

目次

家族経営の定義・別名

通常、企業の経営権は複数の経営陣に権力が分配されています。これに対して、家族経営とはその企業の経営を能力に関わらず、家族だけで行っている状態のことを言います。

法人税法では、株主等の3人以下とその同族関係者である個人や法人が、以下のいずれかの条件に当てはまる場合に家族経営(同族経営)とみなされます。(法人税法第二条十)

また、家族経営は「同族経営」や「オーナー系企業」、「ファミリー企業」などとも言われます。いずれにせよ意味は変わりません。

家族経営は評判が良くありませんが、その実情は中小企業と大企業で大きく異なります。以下では、中小企業と大企業における家族経営の事例を紹介します。

家族経営は中小企業に多い

中小企業とは、資本金の金額が3億円以下か従業員数が300人以下の会社です。経営の規模が比較的小さいため、株主から資本金を集めたりせずに会社を設立することができます。

そのため、経営状況を客観的に判断する役割を担う株主がおらず、家族だけで会社を管理する家族経営が行われやすいです。判断が早い一方で、独断的な経営になりがちです。

そのため、一般的に中小企業は会社を管理する経営者の力量が低くなる懸念があります。その結果、多額の負債を抱えてしまったり経営破綻に陥ったりする事例が多くあります。

大企業の同族経営との違い

一般的には、家族経営は中小企業に多いというイメージを持たれがちであり、実際に中小中堅企業が中心です。しかし上記の定義によれば、同族者の出資比率が少ない上場企業であっても家族経営(同族経営)に該当します。

例えば、以下の企業も同族経営会社といえます。

  • トヨタ自動車
  • サントリー
  • キヤノン
  • タニタ
  • 清水建設
  • 講談社

他にも同族経営に該当する大企業は数多く存在します。しかし、上述の中小企業に対して、大企業とは資本金や従業員数がそれ以上であり上場もしています。株式を保有する株主は、その企業の経営陣を経営状況に応じて評価することができます。

そのため、例え同族経営の大企業であっても、経営陣の一存で自由にすることはできません。経営成績という評価でチェックされているため、独断的に決めることができないのです。

したがって、仮に家族や同族経営を行っていたとしても大企業であれば懸念は小さいです。第三者による経営層への監視があるかないかが大きな差となるのです。

家族経営の企業で働く人の声

家族経営に対して、一般的な見方は否定的ですが実際に従業員として働いている人の声はどのようなものなのでしょうか。

以下では、実際に従業員として家族会社で働いている人のツイートを2つ紹介します。家族経営の実態がイメージできるので参考になるでしょう。

上記のツイートでは、家族経営にありがちな人間関係の懸念が述べられています。経営者である両親とその子供との関係、もしくは子供同士の勢力争いなどが想像できます。仕事に加えて、人間関係でのストレスは嫌ですね。

上記のツイートでは、家族経営の中で良い会社と悪い会社に関して意見を述べています。従業員を雇い入れるということは、雇用責任を負うことです。そのため、家族経営の都合で従業員を振り回すべきではありません。

家族経営の評判が悪い5つの理由|メリット・デメリット

そもそも、なぜ家族経営は悪い印象ばかりが目立ってしまうのでしょうか。家族会社の中には、経営レベルが高く従業員を大切にする優れた会社も数多くあります。

しかし、家族経営の欠点を端的に述べると公私混同の一言に尽きます。以下では、どのような実情から家族経営では公私混同の経営となりがちなのかをお伝えします。

家族経営のメリット・デメリット

メリット

主なメリットとして以下のようなものが挙げられます。

  • 経営者に気に入られれば好待遇を得られる
  • 株式や経営権を一族が握っているため安定している
  • 経営者の理念と波長が合えばやりがいを持って働くことができる
  • 経営者と距離が近く、アットホームな雰囲気で働ける
  • 経営者の家族・親類と仲良くしておくと恩恵を受けられる

一般的な企業では難しいことも、家族経営の会社では可能です。経営者の家族と有効な関係を築いていれば特に問題はありません。

デメリット

主なデメリットとして以下のようなものが挙げられます。

  • 気に入られることが何よりも重要
  • 経営者一族に嫌われると、理不尽な扱いを受けることもある
  • 無能な親族でも高給が貰える
  • 会社が利益を出しても従業員に還元されず親族への分配が優先される
  • 仕事に関係なくても経営者家族への気遣い・忖度が必要
  • 一般的な企業にはない謎の会社行事がある
  • 実力よりも社内の人間関係や経営者の好き嫌いで待遇や役職が決まる
  • 経営者一族の一存で方針が決まるため様々な基準が曖昧
  • 経営者の健康状態が直接経営に影響する
  • 家族経営の会社で働いたキャリアは、転職しようとしても他の会社では評価されない可能性が高い

また、デメリットの中でも、特に家族経営の企業が評判が悪い理由を下記で紹介します。

家族経営の評判が悪い理由

家族経営の会社では経営者とその親族の意向がすべてです。そのため、親族に嫌われたり気にいられなかったりすると、いくら能力のある従業員でも悪い待遇を受けることになります。

気に入られることが何よりも重要

家族経営では、経営陣に経営の手法や決定に関する助言をする人が通常いません。経営陣が圧倒的な力を保持しており、それに異議を唱えたり逆らうことは歓迎されないからです。

そのため、家族経営では経営陣に気に入られることが重要となります。先ず、誰が次期社長となるのか、子供の世代において誰が権力を有しているのかを把握する必要があります。

家族に気に入られれば高い給料、いいポストにつける、もしくは居心地も良くなるといった恩恵を受けられます。 そのため、気に入られるかが最優先となるのです。

その上で、出世しそうな人物や現在の社長に気に入られる努力が必要となります。家族経営では、経営陣に気に入られることが居心地よく働き続ける要因となるのです。

嫌われると理不尽な扱いを受けることもある

家族経営では、経営陣に嫌われると理不尽な扱いを受けることもあります。上場企業のように、経営陣を牽制する力が働かないため彼らの一存で決めることが可能だからです。

例えば、現社長の大切な所有物を破損させてしまったり、希望通りに業務がこなせないと嫌われる可能性があります。経営陣の趣味や好みは、絶対的な判断指標となりうるからです。

したがって、家族会社で不当な扱いを受けずに働き続けるには経営陣の顔色を伺う必要があります。何をすれば喜ばれて、何をすると嫌がられるのかに繊細になる必要があります。

無能な親族が高給をもらう

家族経営では、従業員や経営陣の給与を経営陣自身が決定できます。通常、上場企業であれば経営陣の給与は株主総会でのチェックを受けるため、不当に高くすることはできません。

これに対して、家族経営では経営陣自らの給与を自由に決定することが実務上可能です。そのため、例え無能な親族であっても経営陣の繋がりだけで高給を得る事が起こりうるのです。

したがって、従業員はどれだけ頑張って働いたとしても経営陣の親族と給与面で大きな差が開いてしまいます。これこそ、家族経営の評判を悪化させる要因とも言えるでしょう。

会社が利益を出しても従業員に還元されず親族への分配が優先される

上述のように、経営陣は自分たちや親族の給与を最優先しています。そのため、それ以外の従業員に支払う給与は単なる費用でしかないので、できる限り低くしようと心がけます。

もちろん、一部の従業員は気に入られて高い給与や特別な待遇を受けることもあるでしょう。しかしながら、全体として従業員に支払う給与は労務費であるので削るほうが妥当なのです。

そのため、従業員からすると実績や勤労年数に関係なく給与が決まるためモチベーションが低下します。そのような労働環境においては、家族経営を良く評価することは難しいです。

仕事に関係なくても経営者家族への気遣い・忖度が必要

家族経営において、権力を握っているのは男性の社長だけではありません。社長の奥さんらも実権を握っている場合もあるため、従業員は時に忖度する必要に迫られるのです。

一般的に、社長の奥さんらは企業経営に関与することはほとんどありません。しかしながら、社長に対して意見を言い判断を迫ることができる存在であるため、影の権力者とも言えます。

したがって、従業員は単純に企業経営を行っている社長やその子息淑女に気を配るだけでは足りません。状況に応じて、社長夫人の機嫌を取ったり忖度をする気遣いも必要なのです。

公私混同していない企業も存在する

家族経営の企業であっても、公私混同をしていない優良企業はあります。例えば、個人で夢に向かって事業をはじめたり、飲食店が多い零細企業はアットホームな環境です。

家族経営の全てが前述した悪い面を持っているわけではありません。就職や転職の際に事前に口コミサイトなどで評判を調べておくと、優良企業かそうでないかの判断材料になります。

家族経営の企業の見抜き方

一般的に、家族経営があまり好ましくない企業であることがわかりました。では、具体的にどのような方法で就職先企業が家族経営か、そうでないかを見極めれば良いでしょうか。

下記では、家族経営か否かを見極める簡単な方法を2つご紹介します。就職後と前では大きな差となりますので必ず確認しましょう。

求人情報や企業HPで経営陣を確認する

家族経営かどうかを見極める方法の1つ目は、その企業の求人情報や公式HPで経営陣を確認することです。一般的に、企業の経営陣は顔、名前やその経歴が外部に公開されていることが多いです。

ホームページで経営陣を確認することで、同じ苗字だったり顔が似ているといった家族経営ならではの特徴が確認できます。また、各人の役職によってパワーバランスも把握できます。

企業へ就職の応募をする際には、まずその企業のHPをチェックしましょう。経営者の考え方や事業成績によって、従業員を大切に扱っているか否かも確認できます。

エージェントに確認する

家族経営か否かを判断する方法の2つ目は、就職支援のエージェントに確認することです。エージェントとは、その名の通り就職の支援をしていて企業と従業員を結び付けています。

当然ながら、その企業の情報を細部まで把握していますので、家族経営か否かを知ることができるのです。

仮に、家族経営の会社に就職することへの不安が多少なりともある場合にはエージェントに相談しましょう。どのような経営陣なのかわかるだけでなく、アドバイスも期待できます。

まとめ

家族経営とは、企業の経営権を家族だけで支配している経営方法です。家族経営への印象は芳しくなく、実際に働いている人からも否定的な意見があるとわかりました。

一方で、中小企業や大企業など企業規模でも異なりますし、公私混同していない家族会社もあります。そのため、実情をよく確認してから就職するのが良いでしょう。

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