「安月給」だと感じるポイントは、人によって違うことでしょう。しかし、自分の働きに対する対価として給与を考えた場合、「安月給」のままでいるのは決して得策とはいえません。そこで今回は「安月給」とは何か、それが横行する職場の特徴、そうした状況に陥りがちな人の共通点などについて解説します。
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この記事の監修者
キャリアカウンセラー|秋田 拓也
厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。
■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
「安月給」とは
「安月給」について考えるにあたり、その意味を把握しておく必要があります。ここでは「安月給」とは何かについて、色々な角度から考えてみます。
「安月給」の意味
「Weblio辞書」によると「安月給」の意味は以下の通りです。
少ない給料。安い給料。
しかし「安月給」かどうかを決めるには、労働時間とのバランスをみる必要があります。長時間労働にも関わらず、残業代が支給されない場合などは、「安月給」といえるかもしれません。
「安月給」の月収はどれくらいか
しかし、いくらなら「安月給」というのか、明確な基準はありません。あえて基準をつくるなら、同年代の平均月給を下回っていることでしょう。国税庁が発表した「平成30年分民間給与実態統計調査」によると、年齢階層別の平均給与は以下の通りです。
上記の平均下給は、年間4ヶ月分の賞与が支給されたと換算し、平均年収を16ヶ月で割って算出しています。
どういうときに「安月給」と感じるか
自分が「安月給」だと感じるには、何かきっかけがあるものです。ここでは、どういうときに「安月給」と感じるかという例を3つあげて、説明します。
同世代より稼いでいない
1つめは、同世代より稼いでいないと感じるときです。その基準として、前述した国税庁の「平成30年度民間給与実態調査」に基づき、平均年収を16ヶ月で割った平均月収を、様々な観点から比較してみましょう。まず、男女別の平均月給を以下にまとめました。
男性より女性の方が、総じて「安月給」であることがわかります。次に雇用体系別の平均年収を比較してみましょう。
正規社員は、非正規社員の2倍以上の年収になることがわかります。非正規雇用者は賞与の有無に違いがあるため、年主での比較としました。最後に厚生労働省が発表した「平成30年沈金構造基本統計調査の概況」に基づき、学歴で比較してみましょう。
学歴別にみると、同じ部署で働いていても、給与に格差がある実情が浮かび上がります。
働いているのに生活が豊かでない
2つめは、働いているのに生活が豊かでないと感じるときです。残業や休日出勤が当たり前にも関わらず手当が出ない、長時間労働や成果に見合う報酬を得られていないなどの理由で、生活をするギリギリの月給しか受け取れていない人がいるのも事実です。その場合は、自分が「安月給」だと感じてしまうのでしょう。
出費が多く、貯金ができない
3つめは、出費が多く、貯金ができないと感じるときです。居住地域によって物価が変わるため、月給が高くても消費額が大きく、貯金ができない家庭はたくさんあります。
総務省が2019年6月に発表した「小売物価統計調査(構造編)-2018年(平成30年)結果-」の消費者物価地域差指数を参考に、地域別の物価を比較してみましょう。同調査で、消費者物価地域差指数について以下のように説明しています。
消費者物価地域差指数とは,地域間の物価水準の違いをみることを目的として,各地域の物価水準を全国の物価水準を100とした指数値で示したものであり,全国平均を基準(=100)とした指数 を,地域別(地方10区分,都道府県,都道府県庁所在市及び政令指定都市)に作成したもの
2018年(平成30年)平均消費者物価地域差指数の全国平均を100とした場合、最も高い東京都は104.0でした。2位の神奈川県も104.3となっています。一方で最も低い宮崎県は96.0、鹿児島県は96.1、群馬県は96.3となっています。同じ月給であっても、物価にこれだけの差があれば貯金できる余裕も変わります。
「安月給」になる職場の特徴
個人が「安月給」というより、職場全体がそうなっている企業も少なくありません。ここでは、「安月給」になる職場に共通する特徴を4つ、紹介します。
仕事内容と給料が見合わない
1つめは、仕事内容と給料が見合わないことです。以下の状況に陥っているのは、その典型といえるかもしれません。
- 就業期間に終わらない量の業務を与えられている
- 成果をあげても給料が上がらない
- 残業手当や休日出勤手当が正当に支給されていない
「安月給」なのにこうした働き方が常態化しているのは、まっとうとはいえないでしょう。
時給に換算するとアルバイトの平均時給より低い
2つめは、時給に換算するとアルバイトの平均時給より低いことです。正社員は社会保険料を月給から天引きされているので、総支給額は高くても手取り額が低くなるケースは珍しくありません。その手取り額を、残業を含めた総労働時間で割った時に、居住地域の平均時給を下回っている場合は、「安月給」と判断して間違いありません。
この場合は、基本給のアップや残業手当の支給について、上司に相談してみるのもよいでしょう。改善されない場合には、転職も念頭におく必要がありそうです。
企業の売り上げが低い
3つめは、企業の売り上げが低いことです。平均月給はすべての業界・職種の平均値として算出しています。しかし、業界や職種によって報酬にバラつきがあるのが現実です。それは、業界や職種によって企業の売上にも高低があるからに他なりません。業界的に「安月給」の場合は、他の業界への転職も視野に入れることも選択肢の一つです。
残業代がつかない
4つめは、残業代がつかないことです。労働基準法第37条には、以下の記載があります。
使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
しかし、「管理職である」「フレックスタイム制である」「裁量労働制である」「みなし労働時間制である」などを理由に、残業手当を支給しない企業があるのも現実です。この場合、企業に支払いを請求することでトラブルに発展し、退職を余儀なくされるケースも珍しくありません。
「安月給」に陥りがちな人の特徴
「安月給」に陥りがちな人には、残念ながら共通点があるようです。ここでは「安月給」に陥りがちな人の特徴を3つ、紹介します。
基本的なスキルが低い
1つめは、基本的なスキルが低いことです。同じ業務に就いている同僚と比較して、仕事の量や質が劣っている場合、スキルが低いと考えられます。それが評価に響くことで、昇給や昇格ができない事態に陥っているため、自分で努力しない限り、状況が変わることはないといえます。
不満を上司に伝えない
2つめは、不満を上司に伝えないことです。自分が正当に評価されていない、あるいは効率アップのために組織改革が必要であるケースもあります。しかし、気づいていても誰にも相談せず、自分の中に不満をためているだけでは、状況は変わりません。上司に対して自分が不満に感じていることを話し、打開策を見つける方法を探すというプロセスが必要です。
給与体系を理解していない
3つめは、給与体系を理解していないことです。企業は通勤して就業していることに対して、給与を支払っているわけではありません。社員のスキルや職位に合わせて、達成目標や評価基準を設けており、それが給与体系と連動しています。そうした事情を理解せずに仕事をすることで。昇給のチャンスを潰している可能性もあります。
「安月給」から脱するための4つのポイント
自分が「安月給」であると自覚したなら、黙って手をこまねいているのは損です。その状況から脱却する方法を、考えるのが得策でしょう。ここでは「安月給」から脱するためのポイントを4つ、紹介します。
ポイント①|会社に給与交渉をしてみる
1つめは、会社に給与交渉をしてみることです。特に同期社員や同じ部署で同ポジションの社員と自分では、給与差があると感じている場合は、会社と交渉するのが先決です。まずは上司に相談してみましょう。
一方で、直属の上司が評価を下げている可能性もあるので、組合がある会社は相談してみるという方法もあります。
ポイント②|スキルアップをする
2つめは、スキルアップをすることです。業務に役立つ、あるいはキャリアアップにつながる資格を取得するのがおすすめです。勤務先によっては資格手当がついたり、昇給や昇格につながる可能性もあります。
経理・財務職であれば「日商簿記検定」や「BATIC」、営業職であれば「中小企業診断士」「営業士検定」「販売士」などがおすすめです。
ポイント③|副業をする
3つめは、副業をすることです。退勤後や休日を使って副業を行うことで、収入アップが見込めます。副業の例として、以下のものがあげられます。
- アンケート、モニター、覆面調査員、商品モニターなど1日で終わるもの
- 株式や不動産の投資
- データ入力
- テープ起こし
- WEBライター
- 校正
- 翻訳
- 輸入・輸出ビジネス
- 転売
- せどり
ただし、副業禁止の企業に勤めている場合は、懲戒処分を受ける可能性が大きいです。必ず事前に就業規則を確認しましょう。
ポイント④|日々の出費を見直す
4つめは、日々の出費を見直すことです。収入アップを目指して努力したからといって、翌月からすぐに月給が上がるのは難しいのが現実です。そのため、日々の出費を見直して節約することで、「安月給」でも生活を楽にすることができます。
携帯電話や保険、家賃などの固定費を見直すと、節約額も多くくなります。まずは家賃を月給の3分の1以下にすることから始めてみるのがおすすめです。
どうしても「安月給」から抜け出せないときは
自分なりに努力はしたとしても、それが報われるとは限りません。勤務先で頑張っても改善が見られないときには、状況を変えるという選択肢も必要です。ここでは、どうしても「安月給」から抜け出せないときの対処法を紹介します。
転職するのも一つの手
会社と交渉しても給与改善が見られない、今後も変わらないと予想される場合は、転職をするのも選択肢の一つです。その場合は、在職中に転職先を探すのがベストといえます。そう考えると、転職エージェントを活用するのがおすすめです。ここでは、おすすめの転職エージェントを紹介します。
おすすめの転職エージェント3選
転職エージェントもニーズが細分化しており、若年者向け・ハイクラスなど、様々なサービスが登場しています。ここでは、総合的なサービスに長けているといわれる転職エージェントを3つ、紹介します。
①|doda
1つめは「doda」です。転職エージェントとしては老舗であり、大企業から中小企業、ベンチャー企業にいたるまで幅広く多数の求人を扱っていることで知られています。特徴として、以下のことがあげられます。
- 非公開求人数が多いことに定評がある
- キャリアアドバイザーと採用プロジェクト担当の2名体制できめ細かなサポートを行う
- 転職フェアや転職セミナーといったイベントの開催回数が多い
初めての転職など、手厚いサービスを求める人におすすめです。
②|マイナビエージェント
2つめは「マイナビエージェント」です。新卒採用に強いマイナビが運営する転職サポート会社なので、企業とのつながりが深いことで知られています。特徴として、以下のことがあげられます。
- 新卒採用で関わった企業とのつながりが深く、優良企業の非公開求人が多い
- キャリアアドバイザーの質が高い
- 20代・30代の転職サポートに特に強い
キャリアチェンジも含めた転職を考えている若手社員には、心強い味方になってくれるはずです。
③|リクルートエージェント
3つめは「リクルートエージェント」です。求人業界の先駆けであり、トップレベルのリクルートが運営しているため、実績が高いことで知られています。特徴として、以下のことがあげられます。
- 業界最大級といわれるほど、非公開求人が豊富
- 各業界や職種に精通したキャリアアドバイザーが、登録者の希望やスキルにマッチする求人を紹介
- 書類添削から独自の業界研究・企業研究の情報提供まで、きめ細かなサポートを実施
転職エージェントとしての歴史と実績はトップクラスなので、必ず登録しておきたいところの一つです。
平均年収の高い業界を目指そう
異業種転職を視野に入れているなら、平均年収が高い業界を目指すのもよいでしょう。2019年2月にマイナビニュースが報じた「年収の高い業界ランキング、第2位は証券-第1位は?」を参考に、業界ごとの平均年収をまとめてみました。
これは、グローバルウェイが運営する「キャリコネ」に2016年4月1日から2018年3月31日にわたって給与明細投稿があった企業を抽出し、業界別に平均年収を算出したものとなっています。同時期に対応する、国税庁の「平成29年分民間給与実態統計調査」では男性の平均年収は532万円、 女性は287万円、 全体では432万円でしたので、トップ10の業界は高めであることがわかります。
「安月給」の人はこんなことに困る
非正規雇用から正規雇用を目指した人の中には、「安月給でも正社員だから我慢しないと」と考える人もいそうです。しかし、正規雇用されていればすべて万全というわけではありません。ここでは「安月給」の人が困ることを2つ、紹介します。
①結婚
1つめは結婚です。「安月給」であることを理由に、プロポーズを断られる、相手の両親に結婚を反対されるケースは、枚挙に暇がありません。また、結婚できたとしても、当初は共働きで生活できていたものの、妊娠・出産・育児を理由にどちらかが働けなくなった場合、生活苦から離婚を言い出される恐れがあるのも現実です。
結婚は愛情だけで続いていくほど甘いものではないので、自分が無理なく食べていけるだけ稼げることは重要です。
②日々の業務でやる気が出ない
2つめは、日々の業務でやる気が出ないことです。「安月給」が常態化している職場では、頑張っても評価が報酬という形で帰ってくることはないものです。そうした状況の中で、モチベーション高く働き続けるのは難しいという現実があります。
状況を改善する努力をすることもなく、日々の業務を淡々とこなしている人に、スキルアップやキャリアアップが望めません。それが、「安月給」のスパイラルから逃れられない要因となります。
まとめ
今回は「安月給」とは何か、それが横行する職場の特徴、そうした状況に陥りがちな人の共通点などについて解説しました。
どれだけ好きで憧れていた仕事であっても、「安月給」が続き改善されなければ、続けていくのは難しいものです。自分が「安月給」だと気づいたのなら、それを完全する努力を始めましょう。転職も視野に入れながら、自分が収入アップできる方法を、できることから実践してみてください。