IT土方の年収はいくら?|仕事内容や脱却方法を徹底解説!

SEやプログラマーなど、IT業界で就職することを希望している皆さんは、「IT土方」という言葉を耳にしたことがあるかと思います。ITと土方という言葉の間には、一見繋がりがないようにも思えますが、これは一体何を指す言葉なのでしょうか。今回はそんなIT土方について徹底解説していきます。

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この記事の監修者

キャリアカウンセラー|秋田 拓也

厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。

■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)

IT土方とは

IT土方とは、IT業界において単純労働に従事している作業員を指す言葉です。

IT業界はクライアントから直接仕事を請け負う企業がおり、その企業がさらに別の企業に仕事を発注し、さらにその企業が別の企業に発注する、といったピラミッド構造になっています。

このとき、クライアントから直接発注を受ける企業を「元請け」と呼び、それ以降の企業を「1次請け」、「2次請け」、「3次請け」と呼びます。

元請けの企業から離れれば離れるほど、業務内容は単純作業になります。こうした単純作業ばかりを請け負う企業に勤める作業員はIT土方になりやすいと言えます。

このような多重下請け構造はゼネコン業界にもよく見られるため、土木業界や建築現場で働く作業員と重ねて「IT土方」と呼ばれます。

IT土方の仕事内容

続いてはIT土方の仕事内容について解説していきます。

IT土方という言葉が指す職種は、一般的にはITプログラマーやSE(システムエンジニア)を指すケースが多いです。

しかし、その全てがIT土方になってしまうわけではありません。

そこで、本項目ではIT土方と呼ばれるITプログラマーやSEとそうではない方の違いについても紹介していきます。

目次

仕事①|テストスクリプトの実行

テストスクリプトとは、作成したプログラムが仕様書通りに正しく動作するかどうかをテストするための手順書のことです。

作成したプログラムを納品するにあたって、テストスクリプトを作成し、それに沿ってテスト作業をすること自体は必要な作業です。

しかし、テストスクリプトを自分で作成することもなく、ただ誰かの書いたそれに沿って作業をするだけになっている場合はIT土方になっている可能性があります。

中にはテストスクリプトに沿ってボタンを押すだけという、ITプログラマーやSEとは呼べないような作業をしている方もいるようです。

仕事②|デバック作業

続いての仕事はデバック作業です。

デバックとは、コンピュータのプログラムの誤り、すなわちバグを見つけて修正をすることです。

テストスクリプトの実行と同じく、デバック作業も作成したシステムを納品するためには必要です。

しかし、IT土方に該当する作業員はデバックのために単純な作業を長時間させられていることが多いです。

例えば、画面上のボタンをシステムがクラッシュするまで押し続け、何回目でクラッシュするかを数えるという作業をしているなど、技術力が必要とされない作業が該当します。

仕事③|システムの監視や運用保守

サーバーやネットワークの障害が起こらないように監視や保守を行っているITプログラマーやSEもいます。

IT土方と呼ばれる作業者も発生したエラーに対処したり、システムのメンテナンスや最適化を行ったりしますが、それらは全てマニュアル化されており、それに沿って作業をするだけになっている場合があります。

ルーティンワーク化された仕事は特別な技術を必要としないため、労働時間が多い割にあまり給与がもらえない傾向にあります。

その他の仕事

IT土方と呼ばれる方は、ここまででご紹介しているもの以外にも、以下のような業務を行なっている場合があります。

  • 手順書に沿って、複数のPCにアプリケーションをインストールし、設定作業をする
  • 簡単なプログラムの修正を行う
  • システムのユーザーからの質問にメールや電話で回答する
  • 他人が作成した手順書に沿ってバックアップ作業を行う
  • 既存のソースコードをコピペし、プログラミングを行う

IT土方と呼ばれる作業員の仕事内容についてご紹介してきましたが、彼らの仕事には共通点があります。

それは、ITプログラマーやESといった専門的な技術を身に付けた方でなくてもできる仕事であるということです。

誰でもできる仕事をしており、それが常態化している場合は、ご自身がIT土方になっていると疑った方がいいかもしれません。

IT土方の年収は100〜350万円

続いてはIT土方と呼ばれるITプログラマーやSEの年収について解説していきます。

経済産業省が平成29年度に行った「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」によると、IT業界で働く20代の年収の平均値は413万円です。

しかし、これにはIT土方に含まれない作業員も含まれています。

ここまででご紹介した通り、IT土方と呼ばれる作業員は専門技術を必要としない業務に従事している場合が多いため、給与も低い傾向にあります。

そこで、仮に下位25%をIT土方として働く作業員だとすると、彼らの年収は150万円〜350万円です。

ご参考までにですが、同じ条件の時の40代〜50代の年収は100万円〜450万円です。

こうしたデータから、IT土方は長く勤めたとしても、そこまで年収が上がらないと言えます。

IT土方はきつい

IT土方の仕事は新3Kと呼ばれることがあります。

新3Kは「きつい」、「厳しい」、「帰れない」といったIT土方の労働環境を指す言葉です。

元々は土木作業の労働環境を指す3K(きつい・汚い・危険)という言葉から派生した言葉で、全てKから始まる言葉で構成されているため、このように呼ばれます。

その他にも「給料が安い」、「結婚できない」、「心を病む」などと言われることもあり、IT土方と呼ばれる方は過酷な労働環境で働いていることが多いようです。

【未経験者】プログラマーをIT土方にする企業を見極める方法

これからIT業界への就職を検討される皆さんにとっては、IT土方にならないよう気を付けたいところでしょう。

先に断っておきますが、全てのITプログラマーやシステムエンジニアがIT土方になってしまうわけではありません。

あくまでも一部の作業員がそうなってしまうという話なので、それを回避することができれば、ITプログラマーやSEとしてやりがいのある仕事をすることができます。

そこで、本項ではプログラマーやSEをIT土方にする企業の見分け方について解説していきます。

プログラマーやSEの求人情報を探す際はぜひ参考にしてみてください。

方法①|頻繁に求人情報を出している

ハローワークや各種転職情報サイトに頻繁に求人情報を載せている企業は従業員をIT土方化させている可能性があります。

そうした企業は離職率が高く、慢性的な人手不足のために、頻繁に募集をしているケースがあります。

特に「未経験者歓迎」や「転職回数不問」、「大量採用」など、応募のハードルを下げるような言葉が、求人情報の中に大量に登場する企業には注意が必要です。

また、説明会や面接で仕事内容や常駐先に関することを詳しく言わない企業も危険です。誰でもできる仕事であることが応募者にばれないように、あえて隠している可能性があります。

こちらの質問に対して明確に答えないなど、不誠実な企業には入社をしないことが賢明です。

方法②|給与額が不自然に高い

未経験者を募集しているにもかかわらず、提示されている給与額が他社よりも高い場合は注意が必要です。

例えば、「未経験でも1年で月収50万円可能」など、特殊なモデルケースをピックアップして、あたかも大多数がそうであるような書き方をしている企業などは避けた方が良いでしょう。

一般的に考えて、余程の事情がない限り、未経験者が高給を得られることはまずありませんので、給与額だけを見て入社を決めないようにしてください。

また、そうでなくても、給与額が月収18万円〜70万円などのように幅がありすぎる場合も注意してください。

そのような企業の場合、70万円に近い金額をもらえるのはごく限られた社員のみで、大半は18万円に近い金額で働いているといった場合があります。

求人情報を見て違和感があるようなら、一度冷静になって考えてみることで、IT土方化してしまうことを防ぐことができます。

【経験者】IT土方を脱却する方法

ここまでIT土方についてご紹介してきましたが、もし自分がIT土方になってしまった場合はどうすれば良いのでしょうか。

IT土方は誰でもできる単純作業をしている場合が多く、楽であるとも言えますが、給与が低かったり、専門的な技術が身に付かないというデメリットもあります。

そこで、本項目では、IT土方から脱却したいと思ったときにどのような行動をすべきなのかについて解説していきます。

方法①|別のIT企業に転職をする

このまま働いていても自分の成長には繋がらないと感じるようなら、転職を検討しましょう。

転職をするにあたっては、転職サイトに登録したり、あるいはエージェントを利用したりと、ご自身に合った方法で行って構いませんが、大切なのは社員をIT土方にする企業を避けることです。

前項の「プログラマーをIT土方にする企業の見極め方」を参考にするなどして、再びIT土方になってしまわないようにしましょう。

方法②|別の職種に転職する

もし、ITプログラマーやSEが向いていないと感じたら、別の職種への転職を検討するのもひとつの手段です。

PC関連のスキルを活かせる職業はITプログラマーやSEだけではありません。事務職やデザイナーなど、パソコンを使う別の職種で役立てることもできます。

スキルアップをすることが全くできないIT土方として働き続けるよりは、思い切って転職をしてしまう方が良い場合もあります。

方法③|フリーランスになる

今勤めている企業を辞めて、フリーランスとして働き始めるのも、IT土方を脱却するひとつの方法です。

すでにスキルがある方であれば、フリーランスとして働く方が、労働環境も改善でき、さらに給与が上がる可能性もあります。

独立後に仕事をもらう方法のひとつは、現在の常駐先の企業から仕事をもらうことです。

しかし、この方法は常駐先の企業とある程度の関係性を持っていることが前提となります。

そうではないという方や、それ以外にも仕事を請けたいという方は、フリーランスの案件を紹介してくれる企業に登録することで、仕事を紹介してもらえる場合があります。

経験が浅いという方でも、実務経験が2〜3年あれば紹介してもらえる仕事もあるので、諦めずに一度チェックしておくのも良いでしょう。

まとめ

IT業界において誰でもできる単純労働に従事しているIT土方。IT土方になってしまうと、折角ITプログラマーやSEを志して入社したにもかかわらず、それに見合わない業務しか行えない場合があります。もし、IT土方になってしまい、そこから脱却したい場合はスキルアップや転職を行うと良いでしょう。

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