エンジニアと一概に言っても様々な業務があります。今回は、特に激務だと言われている組み込みエンジニアとはどのような仕事をしているのか、どのような点が激務なのかについてご紹介します。大手の組み込みエンジニアの実態や勉強の必要の有無など志望する前に組み込みエンジニアの実態を把握しておきましょう。
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この記事の監修者
キャリアカウンセラー|秋田 拓也
厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。
■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
組み込みエンジニアとは?
組み込みエンジニアとはその名が表すように、精密機器、機械製品類にシステムを組み込む人のことを言います。
わかりやすい例で言えば、「エアコンの設定温度に室温がなった場合、ファンの回転数を下げる」とか、「給湯器に蓄えたお湯の温度が下がらないように湯温に○℃以上の誤差が生じた場合、自動再加熱する」とかです。
こうしたシステムを設計し、マイクロコントローラ(通称マイコン)にインプットし、機器に組み込む仕事を行うのが組み込みエンジニアです。
電子機器だけではありません。自動車の空調、安全運行システムもマイコンによって制御されています。普通に生活していればまず、マイコンに関わらない日はありません。
組み込みエンジニアの仕事は大きく以下の2つに分類されます。
- システムの設計
- 機器への組み込みと動作確認
それぞれについて詳しく解説していきます。
主な業務①システムの設計
前段でご紹介したような機器のシステムを仮想、設計、実現することが組み込みエンジニアの主な仕事になります。製品の特長を正確に把握し、改善点を見つけ出し、クライアントの要望に応えつつ、機器の背骨とも言えるシステム設計を行う必要があります。
システム設計ではありきたりな機能の他に、「新しい製品ではこういう機能を導入したい」という新機能を制御するシステムも設計し、組み込めるかどうか検証することになります。リリース直前の最終確認よりも膨大な時間をかけて製品のシステム面を構築していくことになるのです。
主な業務②機器への組み込みと動作確認
実際に設計したシステムを機器に組み込む。組み込みエンジニアの名が示すとおり、この職業のメインの業務と言えるでしょう。さらにシステムを組み込んだ製品(以下、「実機」と記します)を実際に動かして問題がないか確認も行います。
実機試験は職場において行う最終確認の業務のようなもので、だいたいはこの段階で開発段階の不具合がすべて解決しているかを総ざらいしていくことになります。その中で新しい不具合が出てくることも多いようです。
こうした不具合をすべて潰した上で、動作に異常がなく製品として使用に耐えられると判断されると製品はリリースへと動き出すのです。
組み込みエンジニアが激務と言われる理由
組み込みエンジニアを担う若者は近年減少傾向にあります。大部分が早期退職すると、生き残ったエンジニアもその後年齢を重ねていくので、自然と平均年齢は上がっていくのです。その一番の原因とされるのが”激務”です。
以下ではどのような点が激務なのか紹介します
需要に対して人手が少ない
日々、精密機器や機械類は目覚ましく進歩しています。当然、需要は高まる一方ですが全ての若者がエンジニアになるわけではありません。職業人口も限られています。
過酷な労働環境のイメージが定着し、辞めていく若者も多いため常に組み込みエンジニアは人手不足の状態にあるといえます。
また激務さや過酷さによってエンジニアの卵や未経験者から敬遠されがちで成り手が少ないという現状もあります。
急な仕様変更やトラブル対応で残業する
組み込みエンジニアの仕事にはクライアントがつきものです。発注者と仕事をする以上、急な仕様変更や納期に間に合わないような注文は覚悟の上で仕事を行わなければなりません。
さらに製品をリリースしてからも何かトラブルなどが起きれば不具合を確認するために出動しなくてはなりません。
ソフトウェアだけでなくハードウェアへの理解も必要
組み込みエンジニアだけでなく、全てのエンジニア職にいえることですが、知識、学問などのソフト面だけでなく、「その製品がどのようなものなのか」、「どんな仕組みになっているのか」、「どうやって動くのか」といったハードウェアへの理解、つまりその製品の仕組みを瞬時に把握できるだけの理解力は不可欠です。
機械好きで知識だけはあるとしても幅広い知識を持ち、実際にハードウェアに触れていなければエンジニアの仕事は務まりません。「これは苦手だからやれない」「こんなの私にできない」といった思考は仕事を続けていくうえで禁忌といえます。
リモートワークがしづらい
リモートワークとは勤務場所のオフィスなどから離れた場所、つまり自宅や滞在先から仕事を行う形態のことをいいます。
しかし組み込みエンジニアがリモートワークを行うことは困難です。なぜならば、自分でシステムを組み込んだ以上、実機を使って稼働確認をする必要があるためです。
そのため、組み込みエンジニアは仕事を行うために会社に拘束されることを余儀なくされます。リモートワークで悠々修正しつつ余裕をもって勤務というのは、諦めた方がよいでしょう。
組み込みエンジニアが激務という人の声
組み込みエンジニアの仕事、いかがでしょうか。これらはほんの氷山の一角ですが、組み込みエンジニアの忙しさを端的に表したツイートを発見しましたのでご紹介します。
組み込みエンジニアの何がつらいって、最終的には実機動作をみなきゃだから、結局オフィスに居ないとどうにもならないってところなんだよね。
— niccolli (@niccolli) November 4, 2013
実際に立ち会うというアナログな作業が必要になる以上、組み込みエンジニアになるとしたら「場と時間に拘束される」覚悟は必要です。この仕事の大変さがよくわかる一言です。
組み込みエンジニアは激務な一方、良いところもある
ここまで組み込みエンジニアの過酷さをご紹介しました。見たところ激務な点ばかりが目立ってしまいますが、激務な反面、良いところもあります。
以下では組み込みエンジニアの良い面をご紹介します。
設計したシステムが直接市民の生活に役立つ
「ニッポンのモノ作りは世界一」と言われている現代日本。その製品は世界各地にユーザーを持っていて、根強い人気があります。
洗濯機や冷蔵庫、電子レンジ、エアコンなどの一般的な家電製品から世界的に人気のある自動車にも組み込みエンジニアが設計したシステムが搭載されています。
組み込みエンジニアの仕事は人々の生活に密接に関係しています。
自分の設計したシステムが組み込まれた製品が、街中で動いているのを目にするといった素敵な体験ができるのもこの仕事ならではと言えます。
エンジニアの中では高給
常に最新のシステムを追い求め、高品質な製品づくりの最前線にいるので組み込みエンジニアの給料は高給だと言われています。
給与を開示している企業は少ないものの、製品開発の企業には大手も多いものです。
熟練者で短期間に次々と製品の設計を行う組み込みエンジニアの年収は20代の平均所得を超えているということです。
組み込みエンジニアに向いている人
では、システムエンジニアに向いている人とはどのような人なのでしょうか。
モノづくりにITの側面から関わりたい人
モノづくりに興味がある人、日本の産業を自分の手で回したいという人は適性があるでしょう。
特にITなどのシステム面に理解があったり興味がある人、学生時代から関わってきた人にとっては給与の面でも目指す価値のある仕事ではないでしょうか。
プラスを作り出すよりもマイナスを減らすのが好きな人
組み込みエンジニアは機器に一度組み込み、製品をリリースすればアップデートが利きません。
エラーが起きてしまえば信用を損ないますし、業務的にも苦境に陥りやすくなります。エラーを起こさない、ということは非常に重要なのです。(SEやSlerはより良いものを作り、バグにはアップデート等で対応できるので、この点も組み込みエンジニアとは違うところです)
事前に製品の不具合を潰し、マイナスを減らすことでより良い暮らしというプラスを提供することにやりがいを感じる人は向いているでしょう。
クライアントと密に連絡を取り誤解がない状況を作れる人
最大のネックである「激務」の理由のひとつが突発的な仕様変更、クライアントとの「こんなはずじゃなかった」という事態です。
案件が検討されている最初の段階から、クライアントとコミュニケーションを取り、情報をキャッチアップすることができれば事前に対応できるので、コミュニケーション力が高ければ激務になる要因を緩和することができます。
クライアントからのクレームやコミュニケーションの齟齬も防げますから、コミュニケーション力のある人は組み込みエンジニアの仕事には適性があると言えます。
組み込みエンジニアの働き方改革は進んでいない
今後はさらに需要が伸びることが予想される一方、成り手は少ないのが組み込みエンジニアの現状です。さらにこれからも家電製品や電子機器の種類、量産数は大量消費社会の現代では増えていくことでしょう。
職業人口が少なければ、必然的に仕事量は増えてしまうかもしれません。また、どのような仕事であるかの理解が社会に広まっていないため、働き方改革などはまだまだ未開拓の状況です。
組み込みエンジニアになるならば、働き方への問題提起力、課題解決力も必要になるかもしれません。
さらに、日々進歩するシステムや製品の技術について知識を更新する必要がありますから、ある程度の勤勉さは必要でしょう。どんな仕事もそうですが、大学で勉強したらそれで終わり、というわけではありません。
まとめ
組み込みエンジニアについて以下のような激務さがありました。
- 激務で過酷
- 職業人口が少ない
- 深い知識と製品の理解が必要
- 職場に拘束されがち
- エンジニア未経験の人は敬遠しがち
しかし一方でやりがいを感じられたり、高い報酬を得られると言った点では悪い面ばかりではないと言えるでしょう。実際、職業人口が少ない以上、仕事量は増える可能性がありますが、言い換えればそれだけビジネスチャンスは転がっているということです。
現代社会において組み込みエンジニアは欠かせない職業です。エンジニアとして稼ぎたい、キャリアアップしたいという人に対してチャンスを提供し続けている仕事でもあるのです。