「秘書」とは、担当する上司や役員の影で仕事がしやすい環境を整え、業務効率を最大限高めるために依頼された雑務をこなす仕事です。この記事では秘書の業務の概要・役割・秘書を目指すにあたっておすすめの資格などを紹介します。平均年収程度の収入は確保できる可能性が高い職種なので、興味がある方はご一読下さい。
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この記事の監修者
キャリアカウンセラー|秋田 拓也
厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。
■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
秘書の仕事の概要
「秘書」の仕事は、これまで秘書の業務に携わったことがない方にとっては、イメージしづらいことが多いと思います。
どのような業務を行っているかを実際に秘書の方に聞ける機会も少ないため、目指すにしても何を注意すべきか・どんな能力を身に付けておくべきか、判断しづらいこともあります。
この記事ではそんな方向けに、秘書の役割・仕事内容・求められる人物像・向いている人の特徴などを紹介します。まず、この見出しでは秘書の役割・秘書の種類を概観してみましょう。
秘書の役割
秘書の役割は、社長・取締役などの上司の身の回りの雑務をこなし、業務効率を上げることです。
会社役員は会社のトップであり、自社が属する業界の現状を知り、今後さらに企業を成長させたり、会社を存続させるための戦略を練る必要があります。その役割を担う上司が文書作成・取引先への贈答品の手配などをしていては、効率が悪くなります。
そうならないために、秘書が本来上司たちがやるべき細々した雑務を変わりにこなし、自社の戦略立案・取引先や政府機関との関係構築など、自社の利益増加と存続に必要な業務に時間を割きやすい環境を作ります。
秘書には様々な種類がある
秘書には以下のような種類があります。
- 役員秘書
- 議員秘書
- 医療秘書
- 学者秘書
- 弁護士秘書
秘書の種類は「誰の秘書になるか」でその種類が決まります。ただ、どの種類でも共通しているのは前の見出しで紹介した役割で、秘書が担当する上司の業務効率・生産性向上のために、雑務を代わりにこなすことです。
どの秘書も、本人に変わってスケジュール調整・来客対応・必要資料の調達・家族の使用手伝いなど、幅広い業務をこなし、仕事に集中できる環境構築を目指します。
個人秘書とグループ秘書がある
また、秘書には個人秘書とグループ秘書の2通りがあります。
「個人秘書」とは、一人の上司などに対して専属の秘書が一人就くタイプの秘書です。一般的な秘書のイメージはこの「個人秘書」のイメージだと思います。
一方で、「グループ秘書」には更に2通りあり、複数の上司に対して一人の秘書が就く場合と、一人の上司に複数の秘書が就くことを意味する場合があります。どちらを意味しているのかは企業や文脈で異なるので、適宜判断が必要です。
秘書の主な仕事内容
秘書にも様々な種類があることが分かりましたが、具体的に秘書はどのような業務を行っているのでしょうか。
ここでは、総務・文章・情報・接待・その他という5つの分類に分けて、秘書が行うそれぞれの業務内容について紹介します。
基本的な総務業務
まずは、秘書が行う最も基本的な業務を5つ紹介します。
スケジュール管理・社内連携・出張手配・精算業務・製造や環境整備が当てはまります。それぞれの業務内容について詳しく見てみましょう。
①上司のスケジュール管理
1つ目の業務は、上司のスケジュール管理です。
本人がスケジュールを調整したり管理することになると、自分の仕事の手が止まるため、生産性が落ちます。そうならないために、秘書が外部の人や社内で発生する会議などのスケジュールを決定・調整し、本人に伝えます。
②社内の担当部署との諸連絡
2つ目の業務は、社内の担当部署との諸連絡です。
秘書が必要な大企業では、決定事項を社内全体に伝達することも大きな時間を要します。部長などの直下の管理職者に連絡をするだけでも、連絡先を探す・伝達用の文書を作る・送信するなどの手間がかかるので、代わりに秘書が行います。
③上司の出張に関する各種手配
3つ目の業務は、上司の出張に関する各種手配です。
出張の際は、新幹線や飛行機など移動時のチケットの手配・出張先の宿泊施設の予約が発生します。当然こうした雑務を本人がするのは、企業の生産性向上の観点から考えれば不適切なので、秘書が行うことになります。
④清算業務
4つ目の業務は、精算業務です。精算業務とは以下のような費用の精算業務です。
- 社内外のイベント(出席)費用
- 交通費
- 出張時の旅費
- 交際費
- 会社として参加した冠婚葬祭費
会社の業務として行った上記のような業務の場合、経費として落とせる可能性があるので、その管理を行う必要があります。経理部に領収書の提出をしたり、経理部から詳細の確認が発生することもあるので、その業務を行います。
⑤清掃・環境整備
5つ目の業務は、清掃・環境整備です。
社長や上司が使う部屋の清掃を行うことで、気持ちよく仕事をしてもらえる環境を構築します。また、各役員室で必要になる備品が不足しないように、清掃業務と併せて備品の状況を確認し、補充したりもします。
文章業務
2つ目の業務は、文章業務です。
ここでお伝えする「文章」とは、簡単なメモから、報告書・社内回覧・各種通達などあらゆる文書が該当します。
①社内向けの各種文書作成
1つ目の業務は、社内向けの文書作成業務です。社内向けに作成する文書には以下のようなものがあります。
- 通達:組織内の該当者向けの指示・命令
- 辞令:配置転換や昇格など
- 議事録:会議の決定事項など
- 回覧・案内:社内のイベント・催事の連絡
- その他、社内からの問い合わせに対する解答
文章の作成の必要性が出た場合に、秘書が詳細を把握し、それぞれの形態に応じて必要な文書を作成します。特に規模が大きな会社の場合には、これらの文章作成に対して担当上司から指示を受けることは少なく、秘書業務として決定づけられています。
②社外向けの各種文書作成
2つ目の業務は、社外向けの文書作成業務です。社外向けの文章には以下のようなものがあります。
- 請求書
- 承諾書
- 依頼状
- 届出文書
- 見舞い状
- 礼状
上記は社外向けに発生する文章の一部ですが、直接ビジネスに関わること以外に公的機関に提出する必要がある文書や、取引先や関係各所の訃報への弔辞といったものまで秘書が作成を担当します。
情報業務
3つ目の業務は、情報業務です。
ここで行う業務は、上司が業務上必要になる情報を収集したり、手元にある各種資料の管理、社外からの郵便物の管理などを行います。それぞれの業務を見てみましょう。
①文書管理・ファイリング
1つ目の業務は、文書管理・ファイリングです。
つまり書類の整理です。日々上司のもとには社内外のあらゆるところか確認や押印などが求める書類が押し寄せます。それらを上司が見やすくしたり、見落としがないように管理しておく業務となります。
②郵便物管理
2つ目の業務は、郵便物管理です。
これも上記の文書管理・ファイリングと似ていますが、秘書が中身を確認し、上司に時間を割いて読んで貰う必要があるかまで判断します。上司に出席・承諾が求められるものは期限内に決定してもらえるよう催促し、解答時の返送も行います。
③情報収集・リサーチ
3つ目の業務は、情報収集・リサーチ業務です。
ここで行う情報収集は、取引先の動向や日々新聞などから発信される情報の収集です。その他、接待に使うお店・お土産のリサーチといった、取引先との関係構築に必要な情報についてもリサーチも行います。
接遇業務
4つ目の業務は、接遇業務です。
接遇業務とは、社外からの来客や電話・メールなどへの対応業務のことで、秘書を設ける会社の場合は、電話やメールは直接上司につながることはなく、受付・秘書などを通して役員に繋がります。
①来客対応
1つ目の業務は、来客対応です。
役員目当てに来客したお客様に対して、一次対応を行い、会議室や応接室までご案内する業務となります。秘書の場合、何時に誰が来るかは把握しているので、重要な取引先などの場合は自社の出入り口で出迎えることもあります。
②メール・電話対応
2つ目の業務は、メール・電話対応です。
メールや電話の対応は、ビジネスマンの対応業務の中でも特に集中力や業務効率性を削がれる業務です。それを上司にさせるわけには行かないので、秘書が一次対応し、必要であれば上司に変わります。
その他の業務
その他の秘書業務についても見てみましょう。
秘書の業務は上司の身の回り全般のサポートなので、直接的に自社のビジネスに関わらないことも代行することがあります。
①上司の買い物代行
1つ目の業務は、上司の買い物代行です。
これは業務上必要な備品の他に、イベントや催事に出席する際の衣服・上司が自宅で使う日用品・上司の家族向けのプレゼント購入なども秘書が行う場合があります。これらの買い物も上司の業務効率低下の原因なので、秘書が代行します。
②冠婚葬祭やイベント等での同行・代行
2つ目の業務は、冠婚葬祭やイベントなどへの同行・代行です。
各種社外イベントは、社外の人との接触機会が多々あります。しかし上司は自社の業務に集中しているため、社外の人の近況について全て把握できません。なので、代わりに情報を収集しておいたり、出席できない場合には秘書のみで参加します。
③挨拶状や贈答品の手配
3つ目の業務は、挨拶状や贈答品の手配です。ここで手配するものには、以下のようなももがあります。
- 年賀状
- 暑中見舞い
- お中元
- お歳暮
年末年始・お盆の時期はこうした贈答品のやり取りが多発しますが、上司の業務効率低下につながる要因です。代わりに秘書が行うことになりますが、品物の選択を間違えると失礼に値することもあるので、贈り物は注意深く選ぶ必要があります。
④上司や上司の家族の私用手伝い
4つ目の業務は、上司や上司の家族の私用の手伝いです。
これは、直接自社の業務に関わること以外を秘書が代行するということです。上司の私用は全て業務効率低下の一因なので、場合によっては子供の世話やプライベートで行く旅行の手配などを任される可能性もあります。
【種類別】外資系秘書に求められる仕事内容
前の見出しでは基本的な秘書業務を5つにグループ分けして紹介しましたが、ここでは外資系企業の秘書に任命された場合に発生する3つの特殊な業務について紹介します。
外資系企業に勤めることを考えている方は、ここで紹介する内容も参考に勤務すべきかどうかを判断しましょう。
①日本語以外での文書作成
1つ目の業務は、日本語以外での文書の作成です。
前の見出しでも「文書作成業務」を紹介しましたが、外国人を採用している・海外にも拠点を持っている・海外企業と取引している企業の場合は、日本語で作成した書類を現地の言語に直して作成し直す業務も発生します。
②日本語以外での電話・来客対応
2つ目の業務は、日本語以外での電話・来客対応です。
海外と取引する企業では、自社に来る連絡が外国語の場合も多々あります。なので、外国語でメールのチェック・電話対応をしたり、重要な契約に関わる連絡についても外国語で来る可能性がるので、外国語を使って注意深く確認する必要があります。
③海外出張の準備・手配
3つ目の業務は、海外出張の準備・手配です。
基本的に前の見出しで紹介した、「上司の出張に関する各種手配」と業務は変わらず、移動手段と宿泊先の手配を行います。ただし、場合によっては現地の情勢悪化によるキャンセルや、それに付随して取引先に連絡を行うなどの業務も行います。
【種類別】医療系秘書に求められる仕事内容
次は、医療系秘書に特有の秘書業務を3つ紹介します。
医療系の秘書も、基本的には院長や病院の管理者の雑務を代行することですが、その業務内で専門的な医療知識が必要になることもあります。秘書とは言え、勤める病院や企業が関わる医療分野の情報はインプットしておく必要があります。
①仕事全般に基本的な医学的知識が必須
1つ目は、仕事全般に医学的知識が必要なことです。具体的には下記に関連する知識が求められます。
- 医療カルテ
- レセプト(診療報酬請求明細書)
- 患者への応対方法
- 医療保険
- 医療関連の法律
- 各種医学用語
「医療秘書検定」という資格試験が存在するように、病院や医療系の企業の秘書には、上記のような知識を持っていなければ勤まる仕事ではありません。企業の秘書業務とは業務内容が異なるので、就職を目指す場合は特別な対策が必要です。
②医療系独特の事務業務
2つ目は、医療系特有の事務業務があることです。
医療系秘書には医療保険・診療報酬請求・健康保険・補助金などの知識を使う業務も発生します。これらの知識は、他業界では使われない知識なので、医療秘書を目指す場合に押さえておく必要があります。
上記の業務は実際に秘書が担当しないことも多いですが、それぞれの業務や知識が自社のビジネスや病院の営業にどう関わっているのかが分からなければ、上司に正しい情報を提供できなくなる可能性があります。
③学会・研究論文作成の手伝い
3つ目の業務は、学会・研究論文作成の手伝いです。
これは、一般的な秘書業務の「情報収集・リサーチ」業務に似ています。論文などの作成に必要な資料の調達を手伝ったり、最新情報の収集などを行い、研究や論文作成に集中できる環境構築を行います。
秘書の仕事に向いている人の特徴
次に、秘書の仕事に向いている人の特徴を紹介します。
ここまでにもお伝えした通り、秘書の役割は上司の業務効率の向上のために、あらゆる雑務を変わりにこなすことです。上司に気持ちよく仕事に集中してもらうためには、ここで紹介する6つの能力・資質があった方が適しています。
主に求められる資質・能力
まずは、秘書になる人に「必須」とも言える、6つの資質・能力を紹介します。
秘書は「雑務をこなす仕事」ではあるものの、会社や勤務先に関わる重要で秘匿性の高い情報にも触れる仕事のため、信頼できる人が付く仕事でもあります。そうした業務に適する人が求められる資質や能力を確認しておきましょう。
①情報処理能力に優れている
秘書に求められる1つ目の資質・能力は、情報処理能力に優れていることです。
上司に代わって書類の整理・スケジュール管理等を行うのが秘書ですが、秘書による書類・スケジュール・情報の判断によって、上司の目に届く情報は変わります。つまり、秘書の仕事は会社全体の方向性にも深く関わるということです。
上司に届けるべき情報を正しく選択できなければ、上司の仕事の生産性が低下するので、会社の状況・上司の役割・仕事の性質を正しく把握し、伝えるべき情報を上司に伝える判断力が必要です。
②上司の仕事や会社の組織構造を熟知している
求められる2つ目の資質・能力は、上司の仕事や会社の組織構造を熟知していることです。
秘書業務の中には、上司からの社内向けの通達や辞令などもあります。そうした内容は文書ではなく、口頭で上司から伝えられる事もあります。その時に社内の状況を詳しく理解できていなければ、正しく文書を作成したり該当者への伝達ができません。
なので、自社の組織構造や、最低限どの部署の管理者が誰なのかくらいは把握しておき、自社にとって重要な情報伝達がスムーズになされるように、自社の仕組みを詳しく理解しておく必要があります。
③法的規約に精通している
3つ目の資質・能力は、法的規約に精通していることです。
秘書の種類には弁護士秘書がありますが、弁護士秘書に限らず、各業界に関係する法律の知識を持っていた方が、上司が確認する書類に含まれる法的な文書についても正しい判断が下せます。
- 商法
- 会社法
- 労働基準法
- 法人税法
- 金融商品取引法
上記のようなビジネスに関わる法律について、細部まで全て把握する必要はありませんが、基礎的な知識はインプットしておき、文書の判断・社内外への通達などを正しい手順で行えるようにしておきましょう。
④機密を厳守できる
4杖目の能力・資質は、機密を厳守できることです。
先述の通り、秘書が日々触れる情報は会社全体に関わることであり、機密情報も多く含まれます。それらの情報が社外に漏れた場合には、大きな損害を被る可能性もあります。
なので、業務上取り扱う情報について一切口外しない事は、秘書に求められる必須の能力であり、これができなければ秘書として働き続けることは不可能と言えます。
⑤状況に応じた判断力がある
5つ目の資質・能力は、状況に応じた判断力があることです。
「秘書業務として、社外イベントへの同行・代行」を紹介しましたが、この業務で上司が最適な立ち振舞が出来るように、周囲の状況をよく観察して、臨機応変に上司のフォローが出来る必要があります。
その他、上司に代わって社内外の人と関わる際には、秘書の対応が上司の意向や判断と見られます。なので、今上司がおかれている状況を踏まえて、相手に失礼のない立ち振舞は何か、瞬時に判断できる能力が非常に重要です。
⑥信頼できる人間性が備わっている
6つ目の能力・資質は、信頼できる人間性が備わっていることです。
秘書の仕事は、上司に代わって書類を整理したり、社内への通達などを行うことです。つまり、上司の代わりに関係する人とコミュニケーションを取る業務が多く発生します。
そのため、上司にとっては「自分の代わり」になる人には、信頼できる人を置きたくなりますし、上司に関わる周囲の人からも信頼される人間性がなければ、秘書のせいで上司が反感を買うことにもなります。
その他求められる資質・能力
ここまでは、秘書に求められる基本的であり特に重要な能力・資質について紹介しましたが、その他にも求められる能力を以下にまとめています。
- コミュニケーション能力・洞察力
- ビジネスマナー
- 人当たりの良さ
- 気配り上手
- 行動力・実行力
- 優れた記憶力
先述の通り、秘書は上司の代わりに会社を代表して社内外の人と関わることがあります。そのため、最低限のビジネスマナーや、周囲の人に好印象を持ってもらえるコミュニケーション能力や立ち振舞が出来る方が向いています。
また、依頼されるタスクは、基本的に会社として重要度が高い業務に関わるものが多いので、確実に実行する力が必要です。その他、臨機応変な対応をするためには、取引先や周囲の状況について、過去にあった出来事も覚えている記憶力も必要です。
秘書の仕事に向いていない人の特徴
一方で、秘書の仕事に向いていない人の特徴としては、以下のようなものが考えられます。
- 自分が目立ちたい
- 融通がきかない
- 気配り下手
- 支援業務に興味がない
- マルチタスクが苦手
- タイムマネジメントが苦手
大前提として、自分が目立ちたい人は、人から依頼された雑務をこなす秘書には向いていません。そして、支援業務は依頼される前に先回りしてこなすことで、相手に気持ちよく仕事に集中してもらうものなので、気配り下手も不向きです。
そして、秘書のもとには常に新しいタスクが降ってくるので、マルチタスクが日常茶飯事です。それを効率的に処理できなければ仕事が続けられません。また自分以外に上司のスケジュール管理もおこおなうので、タイムマネジメント能力は必須です。
秘書の仕事に役立つオススメの資格
ここからは、秘書として働くことを目指す方、もしくは秘書としてより質の高い仕事が出来るようになりたい方向けに、おすすめの資格を9個紹介します。
秘書に特化した資格・ビジネス系の汎用的な資格・語学系の3つのジャンルに分けて、それぞれおすすめの資格を紹介します。秘書を目指す方は、ぜひ参考にされてみて下さい。
秘書系の資格
まずは、秘書業務に特化した資格を3つ紹介します。
ここで紹介する資格は、秘書を目指す方・既に秘書業務を行っていてより専門的な知識を身に付けたい方向けの資格です。それぞれの資格の難易度・合格基準・資格の特徴などを紹介しています。
①秘書検定
秘書検定の概要は以下の通りです。
参考:文部科学省後援ビジネス系検定「秘書検定」
この資格は、秘書業務全般で求められる基礎的な知識・技能を学習できます。なので秘書として質の高い仕事をしたい方にとっては、必ず取得すべき資格と言えます。
全休とも「理論(筆記試験)」と「実技試験」があり、2級までに基本的な技術を学べます、準1級・1級では面接試験も行い、秘書としての正しい立ち振舞ができるかを審査されます。
②国際秘書検定(CBS)
国際秘書検定の概要は以下の通りです。
参考:一般社団法人日本秘書協会
国際秘書検定は、誰でも受験できる「プライマリー試験」では実務とビジネス英語力が問われ、「プライマリー試験合格者(準CBS資格保持者)」が受験できる「ファイナル試験」では、より実務の深い知識の試験と面談顔行われます。
ファイナル試験は非常に難易度が上がり、準CBS試験の合格率39%から17%に上書します。面談も英語で行われるので、合格できればビジネス英語による堪能なコミュニケーション能力の証明ができます。
③医療秘書技能検定
医療秘書技能検定の詳細は下記の通りです。
参考:一般社団法人医療秘書教育全国協議会「医療秘書技能検定試験」
「医療秘書技能検定」は、病院で秘書をする人向けの専門的な知識・スキルを測る資格試験です。この資格試験では「医療機関」の組織や法律、また医療事務について学びます。
なので、医療業界とは言え「製薬会社」「医療機器メーカー」などに勤務する方は不要と言えます。これらの企業で秘書になることを目指す場合は、先述した秘書検定・国際秘書検定などを受験しましょう。
ビジネス系資格
次は、ビジネス系の資格です。
ここで紹介する資格は、秘書に特化したものではなく、ビジネスをする人全般に役立つものなので、非常に汎用性の高い資格となります。
秘書としての就職が叶わなかった場合でも、仕事をする上での一定の能力の証明ができるので、秘書以外も視野に入れて就職・転職活動をする方は、最優先で取るべき資格とも言えます。
①ビジネス文書検定
ビジネス文書検定の詳細は下記の通りです。
参考:文部科学省後援ビジネス系検定「ビジネス文書検定」
ビジネス文書検定は、ビジネスで必要な文書の書き方について、読みやすさ・漢字やカナ表記の適切な表記方法・図表などの使い方・シャン内外文書の書き方や扱い方などを学びます。
普段特に気にせずに書いている文章について、正しい文書の書き方・読みやすい文書の書き方を学べるので、上司の代わりに文書を執筆する秘書にとっては欠かせない技術の1つを学べます。
②ビジネス電話検定
ビジネス電話検定の詳細は、下記の通りです。
参考:文部科学省後援ビジネス系検定「ビジネス電話検定」
ビジネス電話検定では、ビジネスで必要な電話対応の全般的な知識と技術を学びます。「知識A級・B級」では筆記試験が行われ、電話応対における話し方・基礎技能に関して座学で学習を行った後筆記試験を行います。
実践給では2つのシーンを想定して、それぞれ1〜2分程度の実技試験を実施。2つの教科基準それぞれに設けられた基準を満たすことで合格できます。
③MOS資格
MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)の詳細は、下記の通りです。
参考:マイクロソフトオフィススペシャリスト公式ホームページ
マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)は、マイクロソフト社が販売するビジネス用ソフト「マイクロソフトオフィス」の、Word・Excel・PowerPointなどの実践的な操作技能を評価する試験です。
秘書にはビジネス状必要な文書を、上司の要望に応じて作成したり、要望に応じてデータを集計・表現する必要があります。その業務で求められるマイクロソフトの操作技術を全て学ぶことができます。
④日商PC検定
日商PC検定の詳細は、下記の通りです。
参考:商工会議所の検定試験「日商PC」
日商PC検定はビジネスで求められるPCの操作技術を測る試験で、「文書作成」、「データ活用」、「プレゼン資料作成」の3科目があります。
それぞれの科目は、マイクロソフトのWord・Excel・PowerPointを使った資料の作成について、知識科目(筆記試験)と実技試験によって技術力を測ります。
語学系資格
ここからは、語学系の資格を2つ紹介します。
語学能力も、秘書に限らず海外企業との取引があったり、外資系企業の日本支社などで働く場合は常に求められる能力です。上記の「ビジネス系資格」をある程度取得できたら、必要に応じて語学系資格も取得しておきましょう。
①英検
英検は5級から1級まで7階級ありますが、実務で使える英語レベルに匹敵する、3級以上の情報を記載しています。
英検は日本の団体が開催している英語能力を測る試験です。4級・5級ではReading・Listening試験のみですが、3級以上ではWriting・Speaking試験が加わり、より秘書業務の実務に近い能力が問われます。
また英検では「合格基準スコア」制となっており、各受験階級の満点に対してそれぞれ決められた点数以上を得点することで合格となります。
②TOEIC
TOEICは、国際的にもスコアへの信頼性が確立されているビジネス英語力を測る試験で、リスニング・リーディング・ライティング・スピーキングの4つの能力を問う試験が実施されています。
英語が必要な秘書を目指す方は、「TOEIC L&R」では990点中850点以上、「TOEIC S&W」ではライティングテストは「170/200点」以上、スピーキングは「160/200点」以上、発音・イントネーション評価で「MEDIUM」以上は獲得しましょう。
秘書の仕事のやりがい・魅力
秘書の仕事は、自分が担当する上司が求める事を常に考えて、時には先回りして事前に業務を済ませておくことで、上司の仕事の効率や成果を向上させることです。こうした仕事について、ツイッターでは下記のようなやりがいの声があります。
でも秘書はやりがいある。自分のサポートは、その人の仕事の成果に直結する。
空気みたいに立ち回れたら、小さくガッツポーズする。— れーこ (@torareeco) November 26, 2016
秘書の仕事の質は、上司の仕事の成果に直結しますが、上司も気づかないうちに仕事がしやすい環境を整え、その結果仕事で上司が結果を出した時には、大きな喜びを感じられます。
秘書の仕事のつらいこと・大変なこと
その一方で、常に上司が求めることを先回りして考え続け、会社としても自社の利益に関わる重大な仕事に携わる上司のサポートをする秘書業務では、下記のツイートのような大変な思いをすることもあります。
秘書仕事の気疲れはんぱない😱😱😱
— ふれえびちゃん🍤 (@frenchtoastebi) June 2, 2016
秘書の仕事は、いわば「空気を読む」仕事とも言えます。言われる前に対処し、上司にとって万全の環境を整えることが仕事です。そのため、自分が処理すべきタスクとともに、上司の状況にも気を配る必要があるため、「気づかれ」は常に感じます。
秘書の給与・年収目安
そんな「喜び」も「大変さ」も感じる秘書業務ですが、仕事内容に対して手に入る収入はいかほどなのか。
ここでは秘書をしている方の平均年収や、日本人の平均年収と比較した場合の秘書の年収水準について見てみます。
秘書の仕事の平均年収
秘書の平均年収について、公的機関などで取られたデータ・公表されている情報などはありません。そのため、日本の就職・転職支援を行う各サイトで紹介されている情報となりますが、以下のような情報が発表されています。
秘書の平均年収について、上記の4サイトでデータが紹介されていましたが、4サイトの平均を見ると秘書の平均年収は「342万円」程度と考えられます。
ただ、「マイナビ転職」の情報は「一般事務」「受付」など、秘書と比較して年収水準がより低いと考えられる業務も含まれたデータなので、実際はもう少し平均年収が高くなる可能性はあります。
日本人の平均年収との比較
日本人の平均年収について、公的機関が公表しているデータと比較すると、秘書の年収は「平均並み」と考えられます。
参考:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」、国税庁「平成30年分民間給与実態統計調査結果」
平均年収による公的資料のデータでは、厚生労働省のデータでは「306万円」、国税庁のデータでは「約441万円」です。秘書の平均年収は342万円で、両機関のデータの間に位置するので、「平均並み」の年収と考えられます。
なので、日本人の平均年収程度の収入があれば十分と考える方にとっては、秘書という仕事は最適な仕事の一つと言えます。
まとめ
当記事では「秘書」という仕事について、その役割・業務内容・業界別の秘書に必要な能力・役立つ資格などを紹介しました。
気疲れもありますが、上司の仕事が上手く行った時には大きな喜びを感じられる仕事です。また会社の上層部と深く関わる仕事なので、経営に関わる責任が大きな仕事でもきっちりこなせる方は秘書を目指してみて下さい。