地方銀行への就職はあり?なし?志望動機の例文や地銀の将来性を解説

地方銀行は特定地域での銀行業を業とする銀行で、地域に密着した営業が強みです。近年は採用人数が減り就職倍率は上がっているもののの、正しく選考対策をすれば入行することはもちろん可能です。この記事では地方銀行の特色や選考の対策方法を紹介します。

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この記事の監修者

キャリアカウンセラー|秋田 拓也

厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。

■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)

地方銀行とは

横浜銀行・千葉銀行・福岡銀行など、都道府県や地域名がついている銀行は「地方銀行」と言われます。

地方銀行は「全国地方銀行協会」の会員となっていることが必須ですが、まずこの見出しでは地方銀行で具体的にどんな業務が行われているのかを紹介します。

目次

地方銀行の業務内容

まずは地方銀行で日々行われている業務の内容を3つ紹介します。

地方銀行では融資・預金やローン・為替(取引)が行われています。より詳しくそれぞれの業務内容について見ていきましょう。

融資

地方銀行で行われている1つ目の業務は「融資」です。

融資と次の見出しで紹介する「ローン」は両方とも銀行がお金を貸すことを指します。中でも「融資」は、主に企業や事業主に向けてお金を貸すという意味です。

地方銀行は法律に従って企業への融資事業を行い、返済時に収入源となる利息(金利)を受け取ります。融資の際の原資は、次の見出しで紹介する預金によって集めるのです。

預金・ローン

地方銀行の2つ目の業務は預金・ローンです。

預金とは個人・法人問わず銀行に作った口座に自分のお金を預けることです。一方でローンは個人向けの「融資」と言えます。つまり法人ではない個人に対してお金を貸すことです。

預金から直接利益は上がりませんが、預金引き出し時の手数料から儲けを出します。またローンは返済時の利息(金利)から利益を上げています。

為替

地方銀行の3つ目の業務は為替です。

ここで言う為替とは口座間のお金のやり取りのことを言い、FXなどで見る円高・円安といった外国の通貨とのトレードのことでは有りません。

地方銀行では同一銀行内や他の銀行口座との間のお金のやり取りをお客様に変わって行っています。

地方銀行とその他の銀行との違い

次は地方銀行とその他の銀行との違いを紹介します。

ここでは地方銀行・メガバンク・都市銀行・信用金庫という4つの形態の違いを紹介します。行っている業務は似ていますが、その目的に違いが有りますのでその点を押さえましょう。

メガバンクとの違い

地方銀行とメガバンクの違いは、店舗を展開する地域と対象とする顧客です。

地方銀行は多くの場合、銀行名に冠している地方を中心に本店・支店を展開します。横浜銀行であれば横浜市内とその周辺地域や、他地域の主要都市などに店舗を構えています。そして顧客は地域内の企業・個人が多くなります。

一方で、三菱UFJ・みずほ・三井住友などのメガバンクは国内全域に店舗を構えていたり、海外にも支店を構えています。また対象顧客は大企業が中心で1口あたりの取引額が非常に大きいのが特徴です。

都市銀行との違い

地方銀行と都市銀行の違いは、本店を構える都市の特徴です。

都市銀行は東京・名古屋・大阪などの国内の主要都市部に本店を構えているのが特徴です。顧客もその地域の企業がメインとなります。

つまり都市銀行は都市部での営業をメインにしている点では地方銀行と異なりますが、「特定の地域で銀行業を行っている」という点では地方銀行と変わりません。

信用金庫との違い

信用金庫と地方銀行の違いは、金融業を行っている目的です。

信用金庫は非営利法人であり、店舗を構えている地域全体の反映を目的にしています。つまり地域の人から集めたお金を地域内の企業や個人に提供することで、地域全体の活性化や反映を目指しています。営利目的では有りません。

一方で、地方銀行は特定の地域内のみに店舗を構えたり、地域内の法人や個人への貸付がメインです。しかし、その地域外の人からも預金を受け付けたりすることも可能で、営利目的で事業を行っています。

地方銀行の将来性

地方銀行の将来はメガバンクに比べると明るいとは言えません。

その理由には、メガバンクや都市銀行に比べて規模が小さく利益率が低いこと、貸付先の質がメガバンクに比べて劣り貸し倒れリスクが高いこと、人口が東名阪などの主要都市に集中し、地方では優秀な人材の確保が難しいことが理由としてあげられます。

その中で地方銀行には現在の顧客との関係性を構築して顧客離れを防ぐことや、自行の商圏内に企業を誘致して新たな顧客を獲得することが求められています。

地方銀行の強みと弱み

次は地方銀行の強味と弱味を紹介します。

地方銀行は弱みが目立ちますが、規模が大きな金融業者と比較して強みとなる面もあります。

その2つの点を確認してみましょう。

地方銀行の強み

地方銀行の強みは地域に密着することによる地元企業との深い関係性を持てる、地域の事情を理解した営業ができる、という2つが考えられます。

1つ目は地域密着による地元企業との深い関係性があることです。銀行業は信用が非常に重視される仕事です。そのため、あまり馴染みのないメガバンクよりも、親しみのある地方銀行の方が融資契約を申し込みやすいという面があります。

2つ目は地域の事情を知っていることです。これは地元民の考え方や性格の特徴を知ることで営業活動がスムーズに進むことが挙げられます。その他に方言が理解できるか否かで商談の進み方が変わるということもあります。

地方銀行の弱み

地方銀行の弱みは規模、店舗の拡大が難しい、ネットワークが構築できていないの3つが考えられます。

規模についてはメガバンク・都市銀行と比較すると劣り、人件費率が大きくなりやすいです。そして、メガバンクが全国に店舗展開していることで、これから店舗を拡大することは難しく、利益率を上げづらいこともあります。

ネットが発達するまでは、連絡手段が電話・書面飲みだったので広範囲店舗での連携が難しかったことがあります。しかし現在は支店間のスムーズな連携が可能で、ノウハウや顧客情報が共有しやすいのでメガバンクでも地方展開が容易になっています。

地方銀行に就職するメリット・デメリット

次は地方銀行に就職するメリットとデメリットを紹介します。

業界構造的にはデメリットが目立ちやすい地方銀行ですが、就職先という点でどのようなメリット・デメリットが有るのかを確認してみましょう。

地方銀行に就職するメリット

まずは地方銀行に就職するメリットについて3つ紹介します。

地方銀行に就職するメリットは社会的な信用が高い・交渉力がつく・金融知識が身につくの3つです。それぞれについて詳しく見てみましょう。

メリット①|社会的な信用が高い

1つ目のメリットは社会的な信用が高いことです。

ここで言う「社会的な信用」とは金銭面での信用のことです。「銀行員は安定した職業」という考え方は依然としてあるので、住宅ローンを組むときなども審査に通りやすいことはあります。

家庭を持ち、持ち家も手にしたいという方であれば銀行員への社会的信用は高くなります。長期間勤務することで人生設計がしやすくなるのは地方銀行員の1つのメリットと言えます。

メリット②|交渉力がつく

2つ目のメリットは交渉力がつくことです。

これは地方銀行のノルマが厳しいことからくる副産物と言えます。ノルマが厳しい分、自分の努力で顧客を開拓する必要があり、そのためには自らの交渉力を鍛える必要があります。

交渉力は自社の利益・交渉相手のメリットや求めることを考えて、折衷案を提示する技術です。顧客との対話という実践を通して、物事をすすめる能力を身につけることができます。

メリット③|金融知識が身につく

3つ目のメリットは金融知識が身につくことです。

就活の時点である程度自力で金融知識を身に付けていることは大前提ですが、実際に仕事として金融業に関わることとそうでないのとでは身につく知識の質は変わります。

特に将来的に投資なども興味がある学生にとっては、実際に銀行がどういった視点で企業のデューデリジェンスを行うのかなどに携われれば、その後のキャリアアップにも役に立ちます。

地方銀行に就職するデメリット

次は地方銀行のデメリットについて紹介します。

ここまでにもいくつかデメリットについて紹介しましたが、ここでは改めて紹介することと、特に地方銀行に見られるデメリットについて紹介します。

デメリット①|ノルマの達成が難しい

1つ目のデメリットはノルマの達成が難しいことです。

地方銀行は商圏が限られているのと同時に、都心部への人工の集中により自行の商圏から慢性的に見込み客が減っている現状にあります。そのため毎期ごとのノルマを達成するのが必然的に難しい特徴があります。

それだけでなく、そもそも設定されているノルマが高く設定されていて、普通の努力では達成しづらい状況にあるという特徴もあります。

デメリット②|サービス残業が多い

2つ目のデメリットはサービス残業が多いことです。

地方銀行の特に営業をしている社員の場合には日中に新規開拓や既存顧客の営業周りが終わってから店舗に戻り雑務をこなすことも多く、平均帰宅時間は夜10時を回ることがほとんどです。

更に休日に出勤して間に合っていない業務をこなしたり、休日にも顧客とのお付き合いで接待に行ったりと、典型的な旧来の日本企業の特色を残していることもあります。

デメリット③|ルーティーンワークの繰り返し

3つ目のデメリットはルーティーンワークの繰り返しになることです。

社会人1年目の時には業務を覚えることに必死なので新しいことに日々遭遇しますが、2年目や3年目にもなれば自分の業務や回りの業務も見えて来ます。

そこからは細かい数字の確認や関係各所との調整・取引先との確認作業などが続きます。銀行業では数字の間違いが許されないので、その点に神経を研ぎ澄ませながら淡々と同じ作業を進める必要があります。

地方銀行に就職するコツ

次は地方銀行に就職するコツを紹介します。

地方銀行への就職では銀行業界で特徴的なインターンシップや説明会への積極的な参加と、志望動機の整理がコツです。それぞれについて詳しく説明していきます。

コツ①|インターン・合説に参加する

1つ目のコツはインターンシップや合同説明会には積極的に参加することです。

銀行にもよりますが、就活生向けに行っているインターンシップや企業説明会などの出席回数をカウントしているところもあるのが銀行業界です。

特に銀行業界で特徴的なのは、そういった就職関係のイベントに出席していなかった場合に「どうして出席していなかったのか?」ということを面接のときに聞かれることです。そうならないためにも積極的に出席しておきましょう。

コツ②|志望動機を明確にする

2つ目のコツは志望動機を明確にしておくことです。

どの業界にも言えることではありますが、地方銀行を志望するのであればそれ相応の理由が必要です。特にメガバンクではなく地方銀行を志望する理由を論理的にまとめておきましょう。

また、数ある地方銀行の中でもなぜその銀行を志望するのかということを、一つ一つ明確にしておき、どの角度から質問をされても対応できるように論理的な回答方法を考えておく必要があります。

地方銀行の志望動機のポイント

最後に地方銀行を志望する際の志望動機づくりのポイントを3つ紹介します。

地方銀行は年々採用人数が少なくなっている傾向があるので、確実に地方銀行に就職したいと考える方は最低でもここで紹介する3つの点については明確な回答ができるように準備しておきましょう。

メガバンクではなく地方銀行である理由を明確にする

1つ目のポイントはメガバンクではなく地方銀行を志望する理由を明確にすることです。

この記事でも紹介したとおりメガバンクと地方銀行では対象としている商圏・顧客層に明確に違いがあります。そのため同じ銀行業をしていてもそこで求められるスキルや考え方も変わります。

自分の将来設計なども踏まえてなぜメガバンクではなく地方銀行に就職すべきなのか、面接官が納得できるような論理的な回答を面接の本番までに考えておきましょう。

課題の解決策の持論をもつ

2つ目のポイントは課題の解決策の持論を持っておくことです。

地方銀行は沢山ありますが、各銀行ごとに抱えている問題は異なります。そのため、業界・企業研究やOB・OG訪問を通して、面接の本番までに自分が志望する銀行にどんな問題があるのかを把握しておきましょう。

銀行が抱える問題には顧客数・顧客単価・組織・人材育成などがあります。事前調査を通して志望する銀行が抱える問題を特定しておき、あなたなりの解決策を明確にして面接に望みましょう。

理想の行員像をもつ

3つ目のポイントは理想の行員像を持っておくことです。

あなた自身がどんな銀行員になりたいのかということが明確になっていなければ、入行後にどのように行動するのかが見えなくなります。そうなれば面接官を納得させるだけのアピールも難しくなります。

仕事の仕方・顧客との関わり方・協業者とどんなコミュニケーションを取るかといった銀行員としての理想的なあり方を深堀りして、説得力のあるアピールが出来るようにしておきましょう。

まとめ

この記事では地方銀行の特徴・他の金融業者との違い・地方銀行の強味と弱味・就職するメリットやデメリットなどを紹介しました。

現在都心部の物価高騰などの理由から今後は「地方の時代」とも言われているので、そういった点も踏まえて志望理由をアピールできればより内定率も高くなるかもしれません。

面接やエントリーシートを提出する前にどうして「その地方銀行を志望するのか」を徹底的に深堀りしておきましょう。

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