所得税に関する悩みが絶えることはありません。103万円の壁という言葉を聞いたことはあっても、いったい何が起きるのかを知らない人は多いのではないでしょうか。103万円以外にも税制改正により多くの数字がでてきます。少しでも役に立つ税金知識を身に着けていただければ幸いです。
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この記事の監修者
キャリアカウンセラー|秋田 拓也
厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。
■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
所得税がいくらからかかるのかわからない人は多い
誰もが直面する所得税ですが、しっかりと考えることをしないと意外とわかりにくいのも事実です。103万円を超えるとどうなるのか、そもそも所得税に対する知識は学校ではほとんど教えてくれません。
自分で学ぶ以外に方法がないものの、難しい言葉が並ぶことも多くわかりにくいものです。できるだけわかりやすく解説していきます。
103万は自分への所得税の納税義務で106万は会社への働き手に対する社会保険加入義務とかなんとか…???(わかってない)
— (・8・)ぐらっち(・8・) (@Glatch_) February 18, 2020
妻がパートに出て103万を稼ぐのと、俺が103万+で稼ぐのだと、税金は一緒🤔?
— しんたろー🦍筋トレ×英語×会計 (@SHIN_NRFC) February 20, 2020
ツイッターなどでも多くのコメントがあるように、103万円以下の収入で止めるのと103万円を超えて稼ぐのでは税金額が変化するのか疑問に思う人は少なくありません。
実際、変化する人と変化しない人がいます。個人によって違うために多くの情報が飛び交うことになるのが税金なのです。あなたの所得税に関して、間違うことがないようしっかりと知っていきましょう。
所得税が発生するタイミング
知っているようで知らない所得税が発生するタイミング。アルバイトを含めた労働者は、どの程度の稼ぎを手に入れると所得税がかかるのでしょうか。
多くのアルバイト経験者が103万円を意識していますが、どうして103万円を意識する必要があるのかを考えてみましょう。知っておかなければいけないのは、所得税が発生するタイミングなのです。
①月の所得金額が88,000円を超えている場合
月の所得金額が88,000円を超えている場合には所得税が発生します。特にアルバイトで頑張っている人が直面する金額ですが、所得税は本来1年間の収入に対して徴収される税金です。
ですが、月の所得が88,000円を超える場合は年収が103万円を超える見込みであると判断されます。そのため、88,000円を超えた所得を得る場合には税金分を天引きされるのです。
しかし、最終的に1年間の所得が103万円を超えることが無かった場合には、年末調整をすることになります。年末調整では、実際には支払う必要がなかった税金を納めている場合、税額がそのまま還付されます。
②年間の所得金額が103万円を超えている場合
年間の所得金額が103万円を超えている場合には所得税がかかります。103万円の壁という言葉を聞くことも多いでしょうが、どうして103万円を超えるのかを完結にまとめると以下のようになります。
- 給与所得控除額65万円
- 基礎控除額38万円
給与所得控除は、お給料をもらっている労働者に適用される免除額のことです。また、基礎控除は全ての人が適用される免除額のことです。
一般的に会社勤めの人であれば、給与として賃金をもらっているために給与所得控除が適用され、基礎控除額と合わせた金額が103万円になります。
そのため、103万円を超えない場合は税金がかかる課税所得は0円とみなされ、税金はかかりません。逆に、103万円を超えると所得に応じた税率が適用され、税金を納めなければいけなくなるのです。
103万の壁|年収が103万円を超えたらどうなるのか
前述したように、103万円の内訳は以下の通りです。
- 給与所得控除額65万円
- 基礎控除額38万円
学生時代にアルバイトなどで多く稼いだ人は経験しますが、103万円を超えてしまうことで実際の手取りが下がることがあります。その他にも学生が103万円を超える所得を手に入れた場合には、困ることがありますので以下にまとめます。
①所得税が発生する
前述したように、所得税が発生します。日本には納税の義務がありますので、103万円を超えた所得を手にした人は税金を支払わなければいけません。そのため、所得税がかからない103万円以下に収入額を低下させたほうが、結果的に手元に残る金額が多い場合があるのです。
②扶養控除から外れてしまう
1年間の所得が103万円を超えてしまうことで、扶養控除から外れることになります。扶養控除とは、親や保護者などに養われていることを前提とした税金控除です。
子どもなどを養っていることで、国が税金を免除してくれているというのが扶養控除です。そのため、稼いだ本人ではなく扶養している人の税金額に影響を与えることになります。
学生時代にアルバイトで103万円を超えることがないように調整するのは、本人の収入額を下げてしまうからという理由ではなく扶養控除から外れることで多くの税金を納めなければいけない親のためでもあります。
③(配偶者控除から外れてしまう)
配偶者が103万円を超える所得を手に入れる場合には、配偶者控除から外れてしまうことになります。配偶者控除額は38万円ですので、配偶者が103万円を超えるときには手元にいくら残るのかを考えましょう。
夫婦共働きをされている場合、103万円を超えずに配偶者控除を受けるかそれ以上稼ぐかの悩みの種になりやすいところです。配偶者の所得税を差し引いて手に入る金額と、配偶者控除が外れることで支払う税金がどちらが多いかという点に注意を払うようにしましょう。
ただし、()で記載させていただいたのは、2018年の税制改正により配偶者控除の基準が甘くなったからです。以下で詳しく見ていきます。
2018年1月の税制改正|配偶者控除の基準が甘くなる
103万円を超えると配偶者控除が外れると述べました。しかし、実際には配偶者控除は外れるものの、配偶者特別控除として一定の割合で控除額が存在していました。ただ、その控除額が38万円以下であるため、納税者が納める税額が高くなる傾向にあったのです。
しかし、2018年1月からは配偶者特別控除の控除額が一定の38万円となりました。そのため、103万円を超えた場合でも150万円以下であれば配偶者特別控除として38万円の控除が受けられるため、税金額が変動しないように改正されたのです。
例えば、夫の配偶者として妻がパートに出ている場合などがあります。2018年1月まで、妻は103万円を意識しなければ夫の支払う税金額が上がってしまうというものでした。
しかし、2018年1月以降は妻の収入が150万円までは夫の納める税金額は変動しないのです。働く配偶者にとってはとてもありがたい税制改正となりました。
103万円以外の壁
所得税に関して最も意識するべき金額は103万円の壁です。しかし、アルバイトの先輩や上司などから106万円の壁や130万円の壁という言葉を聞くことがあります。
簡潔にまとめると次のようになります。
- 103万円の壁(所得税がかかる金額)
- 150万円の壁(配偶者特別控除がかかる金額)
- 106万円の壁(社会保険加入の金額)
- 130万円の壁(配偶者の社会保険扶養から外れる金額)
以下では、106万円の壁と130万円の壁について詳しく見ていきましょう。
106万の壁
年所得の金額が106万円を超えることで社会保険に加入することになります。社会保険とは、健康保険や介護保険などのことです。社会保険に加入すると社会保険料を支払わなければいけません。
会社で働く社会人であれば、社会保険料がどれだけ大きい金額か理解できることでしょう。月給が20万円の人が手取り17万円以下になることも珍しくありません。
給与明細などで天引きされた3万円の内訳を見てみることをおすすめします。所得税よりも社会保険料が圧倒的に高額であることがわかります。社会保険料は個人の収入によって変動していますが、通常税金額よりも高額です。
130万の壁
あなたが夫(妻)の扶養に入っている場合、扶養から外れる金額が130万円です。こちらの扶養は所得税に関するものではなく、社会保険に関する扶養です。
社会保険の扶養から外れた場合、ご自身で社会保険料を納めることになります。月々数万円の出費が発生すると考えていただければと思います。
夫が会社員として働き、その入っていながらパートなどで稼いでいる妻が最も気にするべき金額が130万円ということになります。所得税が発生することよりも、社会保険料を負担することのほうが家計には痛手を負うのです。
2020年の税制改正は103万の壁に影響はあるのか
2018年に続き2020年も税制改正が行われます。103万円の壁に変動があるのか気になる部分ですが、壁自体に変動はありません。しかし、内訳が変化するためしっかりと把握しておくことをおすすめします。
- 給与所得控除額(65万円から55万円へ変更)
- 基礎控除額(38万円から48万円へ変更)
ほとんどの人は影響がないと言えるのは、給与所得控除と基礎控除の合計額が103万円であるからです。細かな事例を例外とすると、一般的な人は103万円の壁に変更はありません。
103万円と130万円どちらが得なのか
実際に生活をするために金額を計算してみましょう。税金額や社会保険料に関しては個人で税率等が違いますので、全国健康保険協会や自治体等のホームページなどで税率を確認することをおすすめします。以下では、大まかな数字として例を挙げておきます。
夫の年収が300万円。妻がパートで働いているときの場合
- 妻の収入を103万円以下にする(例では80万円とする)
- 所得税は0円
- 扶養控除は外れない
- 社会保険扶養控除も外れない
結果的に、夫の年収300万円から給与所得控除65万円と基礎控除38万円、扶養控除38万円が差し引かれた額に税率がかけられます。300万-65万-38万-38万=159万円です。
159万円が課税所得といわれる実際に税金がかかる金額です。359万円の所得にかかる所得税率は5%ですので、159万円×5%=7万9,500円が所得税です。
加えて、社会保険料は都道府県により異なるため、概算として標準報酬月額保険料で計算すると、1年間で合計約9万円となります。そのため、所得税と保険料等を合計した16万9,500円がご家族の収入から支払われます。
そのため、ご家族全体の収支は300万円(夫)+80万円(妻)-16万9,500円=363万500円となります。
- 妻の収入を103万円から130万円の間にする(例では120万円)
- 所得税を支払う
- 配偶者控除が外れるが、配偶者特別控除が適用
- 社会保険扶養控除は外れない
例えば、妻の収入が120万円の場合、配偶者特別控除があるために夫が支払う所得税や社会保険料に変動はありません。しかし、妻自身が支払う所得税が増えます。
120万円から給与所得控除と基礎控除を除いた17万円にかかる所得税率は5%です。そのため、17万円×5%=8,500円だけご家族全体で支払う金額が増加します。
そのためご家族全体の収支は、300万(夫)+120万(妻)-16万9,500-8,500=402万2,000円となります。
- 妻の収入が130万円から150万円にする(例では140万円)
- 所得税を支払う
- 配偶者控除が外れるが、配偶者特別控除が適用
- 社会保険扶養控除が外れる
夫が支払う所得税や保険料に変更はありませんが、妻が支払う社会保険料が増加します。妻が支払う所得税が37万円×5%=1万8,500円です。また、社会保険料は約5万円となります。
そのためご家族全体の収支は300万+140万-16万9,500-1万8,500-5万=416万2,000円となります。
- 妻の収入が150万円を超える(例では160万円)
- 所得税を支払う
- 配偶者控除が外れる。
- 社会保険扶養控除が外れる
最後に妻が150万円を超えると、夫の課税所得が変動するため所得税が増加します。これまで159万円の課税所得であったところに、配偶者特別控除がなくなるために38万円がプラスされます。(実際には段階的に変化)
夫の課税所得197万円にかかる所得税率が10%になり、所得税額は19万7,000円です。社会保険料は約9万円です。また、妻の収入にかかる所得税は(160万-103万)×5%ですので、2万8,500円です。また、妻の社会保険料は5万5,000円となります。
そのためご家族の収支は300万+160万-19万7,000-9万-2万8,500-5万5,000=422万9,500円となります。
参考:「全国健康保険協会ホームページ」「国税庁所得税の税率」
上記のように、各例を見ていただければ家族の収支がどのように変化するかは理解できるでしょう。それでは、結局どちらが得なのかといいますと、103万円を超えることは良しとしても130万円は超えないほうが良いという結論になります。
所得税の額は思っているよりも少なく、実際のパート収入で補填することは可能です。しかし、社会保険料は大きな額になることが多いため家計を圧迫します。労働時間を長く働いたにも関わらず、生活が潤うことが少ないので130万円の壁は超えないことをおすすめします。
まとめ
所得税に関することは、多くの情報により混乱しやすい内容になっています。主に考えるべきは103万円の壁です。つぎに考えるのは130万円や150万円などですが、実際にパートやアルバイトで150万円稼ぐのは体力的に厳しいものがあります。
お金は大切ではありますが、健康を維持しながら満足のいく生活が送れるよう税金や保険料に関する知識はしっかりと蓄えられることをおすすめします。