【理系学生必見!】化学系の資格を取得するべき理由とオススメの資格を紹介します!

化学系の資格が必要な企業への就職を考える場合、資格取得も就職を有利に進める一つの手段ですが、どの資格を勉強・取得するかはよく吟味する必要があります。この記事では資格取得のメリット・おすすめの資格12選・化学系資格の良くある疑問などを紹介しますので、気になる方はぜひご一読下さい。

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この記事の監修者

キャリアカウンセラー|秋田 拓也

厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。

■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)

化学系の資格はなるべく取っておいた方が良い

化学系の企業への就職を考えている方にとって、資格の取得は必要なのでしょうか。

この記事ではおすすめの化学系資格や、資格を取得するメリットなどを紹介しますが、世の中では化学系の資格取得についてどのように考えられているのでしょうか。

目次

大学生・大学院生でも資格は取っておくべき

学部や大学院の研究科に通う学生の場合、就職活動を有利に進められる傾向はあるものの、「資格」は自分の実力を客観的に証明する材料になるため、取得しておくことで更に有利に就活を進めることができます。

化学系の学部・研究科に通っている学生の場合も同様のことが言え、ツイッターでも下記のようなツイートが見られます。

上記のように、危険物取扱者試験の甲種や乙種の資格取得が進められていたり、高圧ガス製造保安責任者・販売責任者などの、高圧ガスの取り扱いに関わる資格の取得が進められています。

入社後に資格取得を推進する企業もある

しかしこのツイートのように、大企業の場合は入社してから高圧ガス・危険物に関する資格の取得が求められることがあります。

就活の時点で取得しておくかは、どれだけ就活を有利に進めたいかによりますが、化学系企業では取得が必須の可能性があります。

化学系の資格を取るメリット

では化学系の資格を取るメリットはあるのでしょうか。既に軽く触れた内容もありますが、化学系の学生が資格を取得することのメリットを3つ紹介します。

メリット①|専門性が高い

1つ目のメリットは、化学系の資格はどれも専門性が非常に高いことです。

化学系の資格はTOEICやMOSのように汎用性はないものの、化学系の企業で業務にあたる上では重要な知識を学べます。特に化学系のメーカーの工場への勤務を考える方の場合は、危険物の取り扱いなどの知識がなければ従事できない仕事もあります。

汎用性がない分、どの資格を取得するかを注意深く選ぶ必要はあります、しかし、資格に合格できれば、化学系の資格保有者は少ないので、取得が求められる企業への就職・転職は難易度が下がります。

メリット②|就活・転職に有利

2つ目のメリットは、就活・転職に有利になることです。

上記の見出しでも触れましたが、化学系の資格は保有者が少ないです。特に就職前に取得している方は人数が限られますので、入社後に取得が求められる資格は先に取得しておくことで就活や転職活動が有利になります。

化学系の資格に限りませんが、取得を求められる資格に合格していることは、履歴書・面接でも大きなメリットになりますので、時間に余裕がある方は予め勉強をしておきましょう。

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メリット③|資格手当がつく職種・企業がある

3つ目のメリットは、企業や職種によっては資格を取得していることでプラスの手当を獲得できる場合があることです。

どの程度の手当がつくかは企業によってそれぞれなので一概には言えません。しかし、業務内容が変わらなくても資格を取得しているだけで毎月の給与が高くなる場合があるので、取得することにはメリットしか有りません。

資格取得には時間的・金銭的コストが掛かりますが、手当は最低でも月1,000〜3,000円程度は得られます。3,000円の手当が得られれば、20,000円の資格を取得した場合でも6〜7ヶ月程度でペイできます。

【難易度別】おススメの化学系の資格12選

ここからは化学系の資格をそれぞれの難易度別に紹介します。それぞれの資格について、下記の項目を紹介しますので、あなたが受験する資格選びの参考にしてみて下さい。

  • 国家資格・民間資格の別
  • 受験資格
  • 試験内容
  • 問題形式(筆記・口述・実技など)
  • 合格基準
  • 免除の有無
  • 合格率

また、それぞれの資格を難易度「高」「中」「低」の3段階に分けて紹介していますが、今回は公開されている最新の試験結果の「合格率」から各難易度を決定しています。

また、同じ資格で等級が設けられている場合は、「最も等級が高い試験」か「合格率が低い試験」を元に難易度を決定しています。

難易度・低

まずは、比較的簡単に取得できる資格を紹介します。

ここで紹介する資格の合格率は50%を超えているものも多く、中には合格率は公開されていないものの、90%の受験者が合格していると言われる資格もあります。

資格①|有機溶剤作業主任者

有機溶剤作業主任者の資格試験の概要は以下の通りです。

有機溶剤作業主任者の資格は、有機溶剤を使った作業や、換気装置の点検・機器の使用状況の監視などを行うにあたって、必要な知識や技術を持っていることを証明する資格です。

この資格を保有する人は、各事業者のもとで有機溶剤を使用した業務の管理責任者として選任される資格を持つことになります。

資格②|ボイラー技士

ボイラー技士の資格試験の概要は以下の通りです。

ボイラー技士の資格は、病院・大型商業施設などの大きな建築物の中に設置されているボイラーについて、正しい知識や扱い方を有することを証明する資格です。

各種建築物の管理業務を行う会社では、ボイラー技士の資格を持つことでボイラーの点検・管理業務に従事できるようになります。ボイラーは地震・火災などで二次災害を引き起こす可能性が非常に高い設備で、その管理が出来る資格を得られます。

資格③|高圧ガス製造保安責任者甲種(化学・機械)

高圧ガス甲種(化学・機械)の資格試験の概要は以下の通りです。

高圧ガス甲種は、各種化学工場で制御が必要な高圧ガスの取り扱い能力を測る試験の中で、合格することで取り扱える高圧ガス機器の処理能力の容量が最も大きくなる資格です。

高圧ガスの取り扱い資格には甲種・乙類・丙類の3種類がありますが、甲種に合格することで、扱える機器や会社から任命される責任者の幅も広がるので、就職後の組織内でのポスト獲得も有利になります。

資格④|乙種危険物取扱者

乙種危険物取扱者の資格試験の概要は以下の通りです。

乙種危険物取扱者はガソリンスタンド・石油会社で働くことを想定している場合に必要になる資格です。この資格を取得すると、ガソリン・灯油・軽油といった引火する可能性が高い危険な液体の取り扱いができるようになります。

総合化学メーカー・電子素材メーカーなどでも研究開発・製品販売時に上記のような危険物の取り扱いが発生することが多々あるので、こうした業界への就職を目指す方は先に取得しておくことで、選考が有利に進められるかもしれません。

難易度・中

次は、難易度「中」の資格を4つ紹介します。

難易度の決定基準は難易度「低」と同様に、合格率で行っています。ここでお伝えする資格は、難易度「低」よりもさらに高度な管理能力や知識が求められる仕事への就職を目指す方に適したものになっています。

資格⑤|甲種危険物取扱者

甲種危険物取扱者の資格試験の概要は以下の通りです。

難易度「低」の資格として「乙種危険物取扱者」を紹介しましたが、それと同じ資格で、あらゆる危険物の取り扱いができるようになります。

受験資格も設けられており、化学系の大学・学部で15単位以上履修済みであったり、実務経験者がある方に限定されているので、就活対策としてこの資格を取得する場合は、化学系の大学・学部の学生である必要があります。

資格⑥|高圧ガス製造保安責任者乙種(化学・機械)

高圧ガス乙種(化学・機械)の資格試験の概要は以下の通りです。

この資格は難易度「低」で紹介した「高圧ガス製造保安責任者甲種(化学・機械)」と同種の資格です。

資格取得後に従事できる責任者の範囲は「甲種」の方が幅広いですが、合格率という点で難易度を見た場合は「乙種」の方が合格は難しい傾向があります。

資格⑦|薬剤師

薬剤師の資格試験の概要は以下の通りです。

ここまでの資格と経路が変わりますが、薬剤師は製薬・創薬系の会社や薬剤師として薬局で働くことを想定している方には取得必須の資格ですす。

受験資格も設けられており、薬学系の大学・学部の卒業(見込者)のみが受験することができます。合格率も約3割と比較的高めなので、しっかりと勉強する必要があります。

資格⑧|エネルギー管理士

エネルギー管理士の資格試験の概要は以下の通りです。

エネルギー管理士は、年間のエネルギー消費量が3000kl以上となる大規模な工場の管理者になるためには必須の資格です。

勤務する工場によりますが平均年収も700万円前後とされているので、仕事選びに収入面を重視している方にもおすすめの資格と言えます。

難易度・高

ここからは取得難易度が高い資格を4つ紹介します。

こちらも合格率で難易度を決定しています。また一部ここまでの資格と異なり、化学系メーカーの本社勤務希望者などに必要になる資格も含まれています。

資格⑨|公害防止管理者1種(大気・水質)

公害防止管理者1種(大気・水質)の資格試験の概要は以下の通りです。

この資格は、工場やその周辺地域の大気・水質・騒音・振動といった「公害」に当たる事項の調査を行い、既定値を超える場合は改善のための具体的な措置について考える仕事の能力を測る資格です。

「資格⑪」として「技術士」という資格を紹介しますが、技術士の資格保有者の場合は、試験は免除されて指定される講習を受講すれば取得することができます。

資格⑩|機械保全技能士

機械保全技能士の資格試験の概要は以下の通りです。

機械保全技能士は、機械の故障や劣化を正しく測定し、必要な対策などを行う管理者としての能力を測る資格です。

3級の場合は約半分の確率で合格できますが、1級・特級では難易度が向上します。また「機械保全に関する業務の例オフィシャルガイド」に記載される通り、受験資格は「機械保全に関する業務の例」に関わる業務を必要な年数している必要があります。

資格⑪|技術士補(化学)

技術士補(化学)の資格試験の概要は以下の通りです。

技術士補(化学)は、各種機械・建築物・農林水産業・経営・環境・理工学など、幅広い分野の業種で必要になる技術を保有していることを証明する資格で、20の技術部門からあなたが身に付けたい分野の学習・試験合格が必要です。

化学系の企業への就職に於いて取得しておくとよいのは「化学部門」の資格で、化学製品の製造・燃料の取り扱い・化学装置や設備の管理法などについて学びます。

資格⑫|弁理士

弁理士の資格試験の概要は以下の通りです。

弁理士は化学系の資格とは思われない方もいますが、化学系メーカーでは独自開発した技術の特許出願・石油の採掘に関する自社の権利確保などで重要な役割を担います。

ここまでに紹介した工場施設の管理をする資格ではありませんが、化学系メーカーでは無くてはならない職種で、化学系企業で本社勤務を志望する方はとっておくと良いです。

化学系の資格に関する疑問

ここで、前の見出しで紹介した各種化学系の資格の内容に就いて、多くの方が感じる疑問について回答していきます。

最も多くの方が疑問に感じる「高圧ガス」資格の「甲種・乙種・丙種の違い」や、「資格・検定・免許の違い」、また大学生・高校生でも取得可能な化学系の資格の有無について紹介します。

甲種・乙種・丙種の違い

「高圧ガス製造保安責任者」には甲種・乙種・丙種がありますが、その違いは以下の通りです。

「高圧ガス」資格においては、甲種・乙種・丙種によって、会社から任命される「法定責任者」に違いが出ます。法定責任者の種類は以下の通りです。

  • 保安技術管理者
  • 保安主任者
  • 保安係員
  • 販売主任者
  • 移動監視者
  • 取扱主任者
  • 容器検査主

「甲種」の場合は上記のすべての職種に制限なく任命されることが可能で、「乙種」「丙種」の場合は、任命される職種によって機器の処理能力や扱うモノの制限が加わります。

資格・検定・免許の違い

当記事で紹介している資格に限らず、自分が持つ知識や技術を証明するものとして資格・検定・免許がありますが、それぞれの違いは以下の通りです。

大まかな違いは上記の通りです。「資格」は簡単に言えば「一定以上の能力証明」であり、特定の業務で必要な知識や実技を持っていることを客観的に示すものです。「検定」は「スキルの程度」を測るもので合格・不合格ではなく点数で測られます。

しかし日本の場合、「資格」を持っているだけでは業務を行うことができない職業があり、そうした職業では国から許可を得ていることの証明として「免許」を取得する必要があります。

大学生や高校生でも取得可能な化学系の資格の有無

大学生・高校生でも取得可能な化学系の資格は、先述した各資格で受験資格によって規制されていないものです。その内容は以下の通りです。

  • 弁理士
  • 技術士補(化学)
  • 公害防止管理者1種(大気・水質)
  • エネルギー管理士
  • 高圧ガス製造保安責任者
  • 乙種危険物取扱者
  • 高圧ガス製造保安責任者甲種
  • ボイラー技士

これらの資格は、試験を受けるにあたって条件が設定されていないので、誰でも受験が可能です。

また、「薬剤師」については薬学系の大学・学部で15単位以上取得していれば受験可能で、有機溶剤作業主任者は満18歳以上が受験可能なので、大学生であれば試験を受けることができます。

化学系の資格取得が必要な業種・職種

では、ここまでに紹介したような資格が必要な業種・職種にはどのようなものがあるのでしょうか。

ここでは、代表的な5つの職種を紹介するので、ここで紹介する職種に興味がある方や、紹介した資格に興味がある方は下記の仕事への就業を検討してみて下さい。

①石油会社の石油の貯蔵・化学メーカーの製造管理者

石油会社の石油の貯蔵・製造管理者として業務に当たる場合は、危険物取扱者乙種4類の資格が必要です。

先述の通り、危険物取扱者乙種4類では、ガソリンスタンド・化学系メーカー・電子素材メーカーなどで業務に当たる場合には、必要になる場面も沢山あります。

化学系企業では研究開発の現場でも危険物を取り扱う場面は非常に多いので、就職後に企業で研究を続けたい場合にも資格を取得しておいた方が良いです。

②工場・研究設備の保守・点検

工場・研究設備の保守・点検を行う場合には「機械保全技能士」の資格が必要になります。

機械保全技能士の仕事は、工場や研究施設内の機械の故障や不備などの点検や、問題が発覚した場合に適切な対処を行うことです。大手化学系メーカーになるほど工場や研究施設の規模は大きくなるので、仕事の責任も大きくなります。

③ホテル・大型商業施設・病院などの管理

ホテル・大型商業施設・病院など、大型の施設の管理業務に従事する場合は、ボイラー技士の資格が必要になることがあります。

ボイラー技士の仕事は、大型のビルなどにほぼ必ず設置されているボイラーの管理をします。ボイラーとは高温・高圧の蒸気を生み出して、暖房・給湯・殺菌・発電などを可能にします。

ホテル・大型商業施設の管理については、暖房機能・温水供給、病院ではそれらに加えて殺菌・滅菌施設が必要になり、そのために欠かせないボイラーが必ず設置されています。このボイラーを管理するのがボイラー技士の仕事です。

④コンビナート・化学工場職員

コンビナートや化学工場職員の場合は、高圧ガス製造保安責任者・ボイラー技士・機械保全技能士の資格が必要です。

コンビナートとは、原料・燃料などを効率的・効果的に使うために各業界の複数の企業が結びついた企業団体のことです。コンビナートでは大規模な1箇所に大規模な工場を持つので、その管理・点検業務が必要になります。

化学系メーカーのコンビナートでは工場で高圧ガスを使用していたり、エネルギー供給のためにボイラーを使用している場合もあります。また機械設備の管理のためには機械保全技能士の資格が必要になります。

⑤騒音・水質調査の専門会社

騒音・水質調査の専門会社では公害防止管理者の資格が必要になります。

日本では高度経済成長期に、工場からの排水・騒音・大気汚染などが発生し、公害が社会問題になりました。そうした被害を再び発生させないために、工場や周辺地域の管理のために公害防止管理者が重要な役割を果たしています。

各種公害被害の状況調査に必要な知識・技術は特殊なものなので、資格を取得して業務に当たれるようにしておく必要があります。

まとめ

この記事では、化学系の大学・大学院に通う学生や、化学系企業への就職を考えている方向けにおすすめの資格や気になるポイントなどを紹介しました。

本編でも紹介した通り、化学系の資格はTOEICやMOSのような汎用性の高い資格ではないため、取得のための学習に取り掛かる前に、本当にあなたにとって必要な視覚化をよく調べる必要があります。

ここで紹介した内容も踏まえて、就職を有利に進めたり、内定後・配属決定後にあなたが取るべき資格を検討してみて下さい。

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