就職活動がうまく行った学生は複数の企業から内定を獲得することもあり、多くの企業に対して内定辞退の連絡をする必要があります。この記事ではそんな学生向けに内定辞退の手紙の書き方を紹介します。手紙で連絡すべきかの判断の目安も紹介していますので、参考にしてみて下さい。
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この記事の監修者
キャリアカウンセラー|秋田 拓也
厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。
■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
内定辞退をする場合は手紙を出すべきか
内定を辞退した場合に、手紙を出すべきか否かは就活の経験がない学生にとっては迷いやすいポイントです。
丁寧な対応を心がけるという点では手紙を出した方が良いですが、相手によっては手紙は読む手間を嫌うこともあります。ここではまず手紙を出すべき相手・控えるべき相手の目安をお伝えします。
大手企業では電話で済む場合も多い
大企業の内定を辞退した場合は電話で済むことがあります。
上場企業や、社員数が何千人という規模の会社の場合、新卒の学生を100名単位で採用していることが多いです。その場合内定を辞退する学生も他社と比較して多くなります。
その内定辞退者一人ひとりから受け取った手紙に目を通すことは、採用担当者にとっても非常に時間がかかることです。電話で丁寧に辞退するお詫びや、選考過程中にお世話になったことへのお礼を伝えれば事足りることがあります。
以下の記事では、内定辞退を電話でするメリットや内定辞退の例文を紹介しています。ぜひご一読ください。
中小企業では丁寧な印象を与える
一方で、中小企業の場合は手紙を出した方が好印象となる場合があります。
これは大企業と同じように採用を行っている規模から考えると、中小企業では多くても20〜30名程度です。中には新卒採用は10名以下という会社もたくさんあります。
そうした企業の場合は相手に採用担当者が対応する学生の人数が大企業と比べて少なくなるので、「手紙を読む」という行為自体に多くの時間を取られることはなくなります。そのため丁寧に手紙で内定辞退の旨を伝えた方が心証が良くなります。
内定辞退の手紙を出したほうが良い場合
企業規模別に内定辞退の手紙を出す効用についてご紹介しましたが、具体的にどのような場合に手紙を出したほうが良いのでしょうか。
以下では3つの場合をご紹介します。
①内定者懇親会に参加した企業の内定辞退
内定者懇親会は通常、内定をした同期が本社のパーティー会場に集まり、社員も交えて飲食を共にするイベントです。
会社側の意図としては、内定を労うと共に同期間の親睦を深めること、ひいては内定辞退率を下げる効果を期待しています。
そもそも、入社する気がない企業の内定者懇親会には出席しない方が筋が通っています。万が一、入社企業を絞りきれず、内定者懇親会に出席するもその企業の内定を辞退したい場合は手紙を出す方が問題は少なく済みます。
内定後は時間的にも余裕がありますので内定辞退の手紙を用意するのが後回しになりがちです。思い立ったが吉日、「違うな」と感じたらすぐに手紙の準備に取り掛かりましょう。
②知人のコネで内定した企業の内定辞退
企業によっては親戚や親のコネで選考を優遇してもらえる人もいます。一次選考が免除されたり、場合によっては最初から役員面接で早期に内定が決まるケースもあります。
コネや紹介は、その知人の信頼あってのことでいわば自分のためにその人の信頼を切り崩してくれた善意の行いです。内定辞退をする場合はまずは誠実に知人にその想いを伝えるべきです。続いて、優遇して特例として時間を割いてくれた企業側にも内定辞退の旨、手紙を送るべきでしょう。
より確実な方法は、紹介してくれた知人に一度「手紙を出すべきかどうか」を相談してみることです。相当の信頼関係が出来上がっていれば知人の方から伝えておく、という場合もあるかもしれませんが大抵の場合そこまで甘くはありません。
知人にも企業にも、誠実な対応として電話やメールで済ますのではなく、せめて手紙を出して誠意を表すことが重要です。
③入社予定企業と取引関係にある企業の内定辞退
3つ目が最も落とし穴となる場合でしょう。入社予定企業と取引関係にある企業の内定辞退をする際に、存外なやり方をとってしまうと数年後の取引に影響を及ぼすことがあります。
不誠実な行いはなかなか忘れられないものです。特に以下の3つの業界は取引先が多岐に渡り、配属によっては取引関係につくことが多いため注意しましょう。
- 金融業界
- 商社業界
- 広告業界
内定辞退の理由の選び方
内定を辞退する際の理由も注意して選びましょう。
第一志望の企業やより良い企業から内定を獲得した場合には、それ以外に内定を獲得した企業全てに対して自体の旨を伝える必要があります。ただし「もっといい会社から内定を獲得した」とあからさまに伝えてしまうと心証が良くありません。
以下の記事では、内定を辞退する際の理由として使えるパターンを紹介していますので、この記事を参考に採用担当者に悪い印象を与えてしまわない方法を注意深く考えましょう。
内定辞退の手紙を書く前に用意すべきもの
内定辞退の手紙を書く際に用意するものは以下の2つです。
- 便箋(縦書き)
- 封筒
内定辞退の手紙を書く時は上記の2つを用意します。この2つはセットで販売されているものを選びましょう。書き上げた手紙が封筒に入らないという事態を避けることができます。
また、便箋・封筒ともに派手な柄のものは控えましょう。手紙の内容自体が慎み深くすべき内容なので、華やかなものは使わず手紙の内容に合った柄を選びましょう。
書類を郵送する際の封筒のサイズや料金などは以下の記事で紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
内定辞退の手紙の書き方
次に具体的な内定辞退の手紙の書き方です。
7つの項目を紹介しますが、ここで紹介する順番で書けば、内定辞退をする企業に対して丁寧な対応となる手紙を書くことができます。
①頭語
手紙の最初には頭語(とうご)を書きます。頭語には非常にたくさんの種類がありますが、基本的なものには以下のような種類があります。
- 拝啓(一般的な頭語)
- 謹啓(詫び状・礼状で使う丁寧な頭語)
- 急啓(急ぎの連絡の時に使う頭語)
- 再啓(再度送る手紙に使う頭語)
- 拝復(返信の手紙に使う頭語)
内定辞退で使う頭語では一般的には「拝啓」です。特にお世話になった担当者やOB・OGなどには「謹啓」を使っても構いません。
②時候の挨拶
頭語の次には時候の挨拶を書きます。時候の挨拶は月や季節によって様々な種類がありますが、下記のものが使えれば問題ありません。
- 時下ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
時候の挨拶では「初春の候」「残暑の候」など季節ごとに表現が変わりますが、「時下」はオールシーズン使えます。
③内定のお礼
時候の挨拶の次は内定のお礼です。ここでは以下の文を書きましょう。
- この度は内定のご連絡を頂きありがとうございました。
- この度は採用内定の通知をいただき誠にありがとうございました。
上記のどちらかを使えば問題ありません。ここまでは手短に済ませ、なるべく早めに「内定辞退の旨とその理由」という本題に入りましょう。
④辞退の旨とその理由
内定のお礼の次は、本題となる辞退の旨とその理由です。ここでは以下のような文章を書きます。
大変恐縮ではございますが、貴社の内定を辞退させて頂きたくご連絡致しました。
就職活動を通して改めて自身の適性を考慮した結果、他社様とのご縁を感じた次第でございます。
誠に恐縮ではございますが、貴社の内定を辞退させて頂きたく存じ上げます。
上記の例では「適正」というポイントで内定を辞退していますが、他に理由がある場合はその旨を伝えるようにしましょう。また、文中で選考のお礼を伝えても構いません。
⑤末文
内定辞退の旨と理由を書いたら、次は末文です。ここでは以下の文を使いましょう。
- 末筆ながら、貴社の益々のご発展をお祈り申し上げます。
お世話になった会社のさらなる発展を願う文です。短い分ですがあるのと無いのとでは手紙の印象も変わるので、必ず書きましょう。
⑥結語
末文の次は結語(けつご)です。手紙の冒頭で使った「頭語」ごとに決まった結語があるので間違わないように使う必要があります。
- 頭語が「拝啓」の場合:敬具
- 頭語が「謹啓」の場合:謹言
- 頭語が「急啓」の場合:草々
- 頭語が「再啓」の場合:敬具
- 頭語が「拝復」の場合:敬具
「謹啓」と「急啓」の場合は「敬具」は使えないので注意が必要です。細かい使い分けが難しい場合には就活で各手紙では「拝啓・敬具」のペアが使えれば問題ありません。
⑦日付・氏名・名前
手紙の最後には日付や自分の名前などを書きます。具体的には下記の内容を書いておきましょう。
- 日付(手紙を書いた日)
- 大学・学部・学科・学年
- 氏名
- 住所
- 電話番号
文末には上記の5項目を書いておきましょう。選考の成績が良かった学生には、手紙を確認次第すぐに採用担当が連絡をすることもあるので、連絡先も記載しておきましょう。
内定辞退の手紙を書く際の基本
次は内定辞退の手紙の基本的な書き方を紹介します。
友達などに書く手紙ではなく、あくまでもビジネスや社会人同士でやり取りする際の手紙の書き方の基本でもあります。
これから社会に出ていく上で必要になる知識なので、しっかりと覚えておきましょう。
①手書き・縦書きで書く
1つ目のポイントは手書き・縦書きで書くことです。
「内定辞退」という相手に対して失礼に当たることを伝える手紙なので、パソコンで書かずに手書きにしましょう。また、社会人同士の手紙のやり取りは基本縦書きなので、便箋も縦書きのものを選びましょう。
②ボールペンで書く
2つ目のポイントはボールペンで書くことです。
よりかしこまった手紙では毛筆で書くこともありますが、内定辞退の手紙でそこまでする必要はありません。ボールペンよりも丁寧に書きたい場合は万年筆を使いましょう。
③修正液を使用しない
3つ目のポイントは修正液を使用しないことです。
内定辞退の手紙については書き間違い・書き直しが必要になった場合は最初からすべて書き直しましょう。その方が読み手に対する丁寧な対応が伝わります。
内定辞退の手紙の宛名の書き方
内定辞退の手紙の宛名では「様」と「御中」の使い分けに注意が必要です。
- 「様」の使い方:特定の個人に宛てる手紙の場合。
- 「御中」の使い方:特定多数の相手に当てる手紙の場合。
宛名で使用する継承は「様」と「御中」ですが、上記のように使い方が全く異なります。また、「様」と「御中」は併用することもありませんのでその書き方にも注意が必要です。
詳しい使い分け方は、以下の記事で紹介していますので、是非確認してみて下さい。
内定辞退の手紙の例文
内定辞退の手紙の書き方のポイントを理解したところで、実際の例文を紹介します。
────────────
拝啓
貴社におかれましては時下ますますご隆昌のこととお慶び申し上げます。
先日は内定のご連絡をいただき、誠にありがとうございます。
この度、誠に勝手ながら内定を辞退させていただきたくご連絡いたしました。
最後まで悩みましたが、熟慮した結果、他の会社への入社を決意いたしました。
このような結果となりましたこと、心よりお詫び申し上げます。
また、選考で貴重なお時間を頂き大変お世話になりましたこと心より感謝いたします。
末筆ではございますが、貴社ますますのご発展を心よりお祈り申し上げます。 敬具
平成●年月日 氏名
株式会社●● 採用担当者様 (わかる場合は氏名)
────────────
ポイントは以下2点です。
- シンプルに要点のみ伝える
- 敬語や手紙の型をおさえる
内定を辞退する自由はこちらにあるはずです。弁解しようと、文章がつらなり冗長になるのではなく、簡潔に辞退の旨と感謝の意が伝わる内容にしましょう。
内定辞退の手紙を出す前に確認すべきこと
内定辞退の手紙を書いたら、封筒に入れる前にかならず確認しておくべきことがあります。
体裁が整っていても手紙の文章自体が読みづらく、回りくどいものになっていればそこでも採用担当者に悪い印象をも持たれてしまうことになります。
そうならないようにここで紹介するポイントを必ず確認しましょう。
①誤字・脱字の有無
1つ目のポイントは誤字・脱字がないかを確認することです。
これは内定辞退の手紙に限らず、人に読まれる文章を書く時の基本です。手紙を全部書き終わったら始めから全て読み直し、正しい表現か自信がない時はその正誤を調べましょう。
②辞退理由が簡潔に書かれているか
2つ目のポイントは辞退の理由が簡潔に書かれているかの確認です。
内定辞退の手紙は丁寧な文章表現を心がけるべきです。ただし、内定先企業に対して気を使いすぎて回りくどい表現になっていないか確認しましょう。
内定辞退の手紙の郵送方法
手紙を書き上げた後、郵送する時には以下の点に注意しましょう。基本的な注意点は以下の通りです。
- 宛名を書いた封筒を用意する
- 便箋は三つ折りにして入れる
- 封をして「〆」と書く
- 切手は十分な額を用意する
- 期限などに余裕を持って郵送する
特に注意すべきは「切手」についてです。手紙に添付していた切手の額が足りなかった場合、宛先の企業に不足分を支払わせることになってしまいます。
内定を辞退した上に切手の不足分を払わせることになれば、非常に心証が悪くなります。詳しい郵送方法は以下の記事でも紹介していますが、なので内定辞退の手紙を出す時は必ず郵便局に行って受付で必要な額を確認してから切手を貼りましょう。
内定辞退の手紙を出すのが遅れた場合の対処法
内定辞退の手紙の送付が遅れてしまった場合は、気付き次第早急に手紙を準備して送りましょう。
一番やってはいけないのは、そのままなあなあにして内定辞退の旨を企業側に伝えないことです。内定を辞退した企業とは社会人になってから何らかの形で関わるかもしれないので、最低限の筋は通すようにしましょう。
連絡が遅れた場合は手紙でも構いませんが、もし2〜3週間ほど連絡をしていなかった場合には連絡の速度が求められるので、手紙よりも担当者に直接電話をした方が良いです。
選考を辞退する場合に手紙は出すべきか
これまで内定辞退をする場合の手紙の是非について、またその方法について解説してきましたが選考を辞退する場合にはどうすればよいのでしょうか。
結論としては、選考辞退する場合の手紙は不要です。理由としては以下が挙げられます。
- 手紙を準備する時間を他の選考の対策に回したほうが賢明だから
- 企業側も選考に忙しく、手紙の対応ができないから
- 手紙を出さない選考の辞退は多く、悪目立ちしないから
3点目についてですが、たしかに「手紙を出さない選考辞退が多いからこそ、選考辞退を手紙ですることで誠意を表せる」と言えるかもしれませんが、それでも1点目、2点目の理由が強いため、選考辞退をする際は手紙を出さずにメールなどの連絡で済ませるのが無難です。
まとめ
この記事では内定を辞退した場合の手紙の書き方について紹介しました。
様々なポイントについて紹介しましたが、基本的に「内定辞退は失礼に当たる」ということをしっかりと認識しておきましょう。
企業側は採用のために膨大なお金と時間費やしています。その選考過程の中で内定を出した学生から辞退される企業側の気持ちを考えて、出来る限り丁寧に対応することを心がけましょう。