カゴメ株式会社は選考に落ちた就活生に自社製品を送って労うなど、常に消費者目線でものを考える企業として知られています。2020年1月には持続的な成長を目的に、技術畑出身の社長が初めて誕生しました。そこで今回は、カゴメ株式会社の新社長をはじめ、独特な人事戦略を実践した前社長も紹介します。
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この記事の監修者
キャリアカウンセラー|秋田 拓也
厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。
■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
カゴメの社長は山口聡(やまぐちさとし)
山口聡(やまぐちさとし)氏は、カゴメ株式会社の代表取締役社長です。トマトの加工品製造から始まったメーカーは現在、日本の健康志向を先取りし様々な商品を展開しています。そして山口聡社長は、入社以来ずっと技術畑を歩んできました。
ここでは、カゴメの基本情報と社長交代の経緯、山口聡新社長のプロフィールについて紹介します。
カゴメの基本情報
まず、カゴメ株式会社の「第75期有価証券報告書」に基づき、基本情報をまとめておきます。第74期の売上高は1,689億3700万円でしたので、前期を上回って成長していることが分かります。
野菜飲料のヒットにより、カゴメ株式会社の売上高や経常利益は増えていますが、将来を見越した社長交代が行われました。次章以降で、社長交代の経緯と新社長のプロフィールを紹介します。
カゴメの社長 山口聡のプロフィール
2020年1月1日に社長に就任した山口聡氏の個人情報がまとまった資料は、現在のところ見つかっていません。カゴメ株式会社の「第75期有価証券報告書」で公表されているデータを抜粋して、表にまとめてみました。
2020年に前社長 寺田直行(てらだ なおゆき)より社長交代
業績が好調な中で社長交代を選択した背景には、カゴメ株式会社が見据える長期戦略があります。前社長である寺田直之氏は新社長就任の発表会見で、以下の発言をしました。
狙いは会社を変えるため。これまでの延長ではない、開発の知見や技術を生かした変革が求められている。
現在のカゴメ株式会社の営業利益は、ケチャップと野菜飲料で9割を占めています。日本の人口減少により食品業界の淘汰が進むことを考えた場合、事業領域と収益の多様性をはかる必要があると考えての決定だったようです。
後任は技術畑出身であることからも、多様な製品開発を目指す方向性と人選がしっかりと合致しています。
カゴメの前社長 寺田直行のプロフィール
前社長であり現会長の寺田直行氏の個人情報がまとまった資料は、現在のところ見つかっていません。カゴメ株式会社の「第75期有価証券報告書」で公表されているデータを抜粋して、表にまとめてみました。
カゴメの歴代社長
カゴメ株式会社は1899年の創業以来、10名の社長が歴任しています。その一部をまとめてみました。
- 蟹江一太郎
創業者。トマトソースの製造からスタートし、ケチャップとウスターソースを開発・販売した。トマト王の異名を持つ。 - 小島要治
2代目。一部上場を実現。世界初の合成樹脂製チューブ入りトマトケチャップを発売。 - 蟹江英吉
3代目。トマトジュースや野菜ジュースといった飲料販売で業績を伸ばす。 - 喜岡浩二
7代目。乳酸菌飲料やデザート事業に参入。 - 西秀訓
8代目。タイや中国で子会社を立ち上げ、グローバル展開を推進する。
創業者である蟹江一太郎氏の自宅裏に工場を置き、トマトソースの製造からスタートしたカゴメは、1933年には国内で初めて、トマトジュースの販売を行いました。その後も様々な商品を市場に送り出していますが、それは10名の社長の経営手腕によるものといえるでしょう。
カゴメの社長 山口聡(やまぐちさとし)の経歴
新社長である山口聡氏は、1983年4月にカゴメ株式会社に入社しました。技術畑で仕事を続け、以下のような役職を歴任しています。
- 2003年4月:業務用ビジネス・ユニット部長
- 2010年4月:執行役員 業務用事業本部長
- 2015年4月:執行役員 イノベーション本部長
- 2018年4月:執行役員 野菜事業本部長
- 2019年4月:専務取締役執行役員兼野菜事業本部長
トマト加工品からスタートしたカゴメ株式会社ですが、近年は冷凍食品や生鮮野菜をはじめとする食品事業にも進出しています。
山口聡社長は入社以来、変革が続く現場で叩きあげられてきました。その経験が「トマトの会社から野菜の会社に」を実現しようとするカゴメに必要だと、判断されたことが予想されます。
カゴメの前社長 寺田直行(てらだ なおゆき)の経歴と実績
前社長であり、現在は決裁権を持たない会長に就いている寺田直行氏は、1978年4月にカゴメ株式会社に入社して以来、一貫して営業畑を歩み続けました。
ここでは、サラリーマン社長としても有名な寺田直行氏の経歴と実績を紹介します。
カゴメの前社長 寺田直行の経歴
寺田直行氏の略歴は、以下の通りです。
- 2004年4月:営業推進部長
- 2005年6月:取締役執行役員
- 2006年4月:東京支社長
- 2008年6月:取締役常務執行役員兼コンシューマー事業本部長
- 2010年4月:取締役専務執行役員兼営業管掌
- 2013年11月:代表取締役専務執行役員
- 2014年1月:代表取締役社長
- 2020年1月:取締役会長
寺田直行氏は社長就任当時、「カゴメをソーシャルブランドに進化させる」と抱負を語っていました。その言葉を裏付ける実績について、次章で紹介します。
カゴメの前社長 寺田直行の実績
カゴメの前社長である寺田直行氏は、業績のみならず、組織改革にも着手したことで知られます。
ここでは、主な実績の一部を紹介します。
①「フード・アクション・ニッポン アワード2014」で大賞を受賞
カゴメ株式会社にとって野菜飲料は主力商品ですが、2014年から2015年にかけて売り上げが伸び悩んだ時期がありました。その時期に機能性表示食品制度が始まったこともあり、トマトジュースに「血中コレステロールが気になる方に」と表記し、売り上げをアップさせました。
さらに同業他社との差別化のため、国産加工用トマトを使用した「カゴメトマトジュースプレミアム」を商品化します。この商品は数量限定で単価も高めであったにも関わらず完売が続き、「フード・アクション・ニッポン アワード2014」で大賞を受賞しています。
営業畑出身ならではの、消費者のニーズを捉えた製品でした。
②2018年に相談役・顧問制度を廃止
2014年にはカゴメの株主が、20万人を突破しました。カゴメにも退任後に相談役や顧問を務める人はいましたが、2018年にその制度を廃止しています。
それはカゴメに「退任後は経営に口を出さない」という伝統があります。そのため、相談役・顧問制度は形骸化しているにも関わらず、報酬が支払われていました。
企業経営に何も貢献しない人々への多額の報酬の支払いを廃止したのは、ひとえに寺田直行氏の英断と言えるでしょう。この決断は、株主にも喜ばれたといいます。
カゴメの前社長 寺田直行(てらだなおゆき)の年収と評判
カゴメ株式会社の前社長である寺田直行氏は、商品価値をあげる取り組みを行い、業績を向上させたことで知られています。ここでは、カゴメ前社長の寺田直行氏の年収や評判について紹介します。
カゴメの前社長 寺田直行の資産・年収
カゴメ株式会社の「第75期有価証券報告書」によると、前社長である寺田直行氏の年収は、1億1,400万円でした。その内訳は、以下の通りです。
- 基本報酬/4,300万円
- ストックオプション/2,100万円
- 賞与/4,900万円
資産状況の詳細は不明ですが、カゴメ株式会社の株式を12,400株保有しています。これは大きな資産といえるでしょう。
カゴメの前社長 寺田直行の評判
カゴメ株式会社の前社長であり現会長である寺田直行氏は、就活生だけでなく、一般の人からの人気も高いようです。上述のように、前経営陣への報酬の支払いを廃止したことからも、フラットに物事を考えることができる人物だと分かります。
本見出しでは、そんな寺田氏の評判を見ていきましょう。
カゴメの寺田社長は、本当に素敵な方で、お話ししただけで、一瞬でカゴメのファンになってしまいました。。
🙃🙃
(単純か)https://t.co/Wpe7PFRZ69— 北野唯我@新刊発売中 (@yuigak) September 26, 2019
カゴメ株式会社を受けた就活生全員が、採用されるわけではありません。しかし、就活を機に寺田直行氏の人柄に触れ、そこからカゴメファンになる人も少なくないようです。不採用になっても、消費者としてカゴメを応援したくなると予想されるコメントです。
#報ステ でカゴメの社長がすごく良いこと言ってる。
「男性と女性がバランスよくいて、多様性がイノベーション(革新)をつくる」
女性の採用を増やし、管理職への道を用意し、月8日までの在宅勤務を認め、夜8時以降の残業禁止を導入。
それで会社は過去最高益を記録…ですって! pic.twitter.com/Rd089SqNC1— 岸原さや🌿No War (@sayasaya777) May 10, 2018
カゴメ株式会社は、順調に売上や経常利益を伸ばしています。その一方で積極的に女性を採用・管理職に登用しつつ、ワークライフバランスを実現できるよう在宅勤務や20時以降の残業禁止といった働き方改革を進めています。その経営手腕に魅力を感じる人も多いようです。
カゴメの前社長 寺田直行(てらだなおゆき)の名言
2019年10月4日に日経ビジネスオンラインは、カゴメの前社長であり現会長となった寺田直行氏に対し、「天才を殺す凡人」の著者である北野唯我死のインタビュー記事を公開しました。「社長が転職を勧める?恐るべし、カゴメの時代先取り人事戦略」という記事の中で、寺田直行氏は以下のコメントを残しています。
才能は誰しも持っているし、決して一面的に語ることのできないものです。そう強く心に留めておかないといけない。
寺田直行氏は35歳で初めて5人の部下を持ったそうですが、能力も性格も様々だったそうです。その中に口下手な営業マンがいてA評価をつけたところ、上司に「なぜ愛想のないやつを評価するんだ」と文句を言われた経験がありました。その部下は靴底がすりへるほど顧客を回り、商談が決まらないクライアントは週末も訪問していたといいます。
そうした個性をきちんと見極め、正当に評価しようという姿勢が、寺田直行氏の様々な実績と結びついているのでしょう。さらに同じインタビューで、こんな発言もありました。
これから縮小・淘汰の時代を迎えると、改めて創造性が問われるようになる。勝ち残るには、イノベーションとソリューションを生み出せる企業へ変わらなくてはなりません。
現在のカゴメ株式会社の業績は安定していますが、人口減少や若者の野菜離れなど、長期的に見ると懸念材料があります。時代が変化しても勝ち残るためには、企業も変わらなければならないという信念が伝わる言葉です。大企業は保守的になりがちですが、それではいけないと新たな取り組みを続ける、カゴメの理念を感じるコメントでした。
まとめ
今回はカゴメ株式会社の新社長となった山口聡氏と、前社長である寺田直行氏の経歴や実績について説明しました。
今回の社長交代には、「トマトではなく野菜の会社を目指す」という、カゴメ株式会社の決意が現れているようです。アジアでの市場拡大も含めて、技術畑の新社長によりカゴメ株式会社にどのような変革が起こるのか、興味深く見守りたいところです。