どっちがいい?大企業と中小企業の違いや格差を簡単に解説!

大企業と中小企業を比較すると、どんな違いがあるのでしょうか。大企業・中小企業それぞれの定義を理解している人は少ないかもしれません。今回は大企業と中小企業の違いについて説明します。両者には明確な違いがあるので、違いを踏まえた上で就活を進めるようにしてください。

監修者

キャリアアドバイザー|秋田 拓也

厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。

■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)

大企業と中小企業の違い

そもそも、大企業と中小企業はどう違うのでしょうか。

まずは大企業と中小企業の定義と特徴を把握しておきましょう。特に、中小企業の定義を正確に理解しておくことが大切です。

目次

大企業とは

では、大企業とはどんな企業のことを指すのでしょうか。以下で大企業の定義と特徴について説明します。

定義

大企業には明確な定義がありません。一方、中小企業の定義は、「中小企業基本法」で定められています。

つまり、中小企業の定義にあてはまらない、中小企業より資本金・従業員数の規模が大きい企業を「大企業」と呼んでいます。いわゆる「大手企業」や「人気企業」のほとんどが大企業に所属します。

中小企業の定義から従業員300人以上が在籍する企業のことを大まかに大企業と呼ぶことができます。有名なグローバル企業では20万人以上の従業員を抱えるところもあり、大企業の中でも幅があると言えます。

特徴

大企業の特徴は以下の通りです。

  • 企業数が少ない(全国内企業の0.3%)
  • 法人税の減額割合が大きい
  • 大人数規模の新卒を採用し、教育する
  • コンプライアンスに厳しい

大企業はその業界を代表する企業とも言えるので、社内規則やコンプライアンスが厳しい傾向にあります。また、生え抜きのプロパー社員の割合が大きく、中途採用の人数を抑えている企業が多いと言えます。

中小企業とは

中小企業とは日本の企業のうち99.7%を占めている、事業規模がそこまで大きくない企業のことを指します。ベンチャー企業やスタートアップ企業も中小企業に含まれます。

中小企業は法律により定義されています。その定義と特徴を以下で紹介します。

定義

中小企業は資本金と従業員数によって決められています。中小企業基本法第2条第1項によって、資本金もしくは従業員数が規程以下の場合、中小企業として認められることになっています。

また、業種によって規定が異なります。以下は、中小企業庁による業種ごとの中小企業者・小規模企業者の定義です。

引用:中小企業庁FAQ「中小企業の定義について」

資本金と従業員の条件のどちらか一方にあてはまれば、中小企業としてみなされます。

特徴

中小企業の特徴は以下の通りです。

  • 企業数が多い(全国内企業の99.7%)
  • 税制上の優遇あり
  • 中途採用・アウトソーシングが多い
  • 全就業人口の52.8%が中小企業に勤める(OECD調べ)

中小企業は中途社員が多く、また長年勤めている人の発言権が大きくなりやすい傾向があるので年功序列をとる企業が多いと言えます。中小企業で働く上での特徴などは、後述します。

大企業と中小企業のメリット・デメリット

就活でよくテーマとなるのが、「大企業にいくのか、中小企業にいくのか」です。そのテーマについて考えるためにも、まずはそれぞれのメリット・デメリットを知っておく必要があります。

以下では大企業・中小企業両者のメリット・デメリットを紹介します。両者の違いを比較してみてください。

大企業の場合

大企業は、中小企業よりも就活では人気が集中する傾向にあり、近年さらに就活生の大企業志向に拍車がかかっています。

その人気の最大の理由は「安定」だと考えられますが、大企業のメリットは他にも多数あげられます。以下でメリット・デメリットの両方を見てみましょう。

メリット

大企業への就職後のメリット・就活をする上でのメリットとして以下が挙げられます。

■就職後のメリット

  • 経営が安定している
  • 福利厚生がよい
  • 給料が高い
  • 転職に強い
  • 教育制度・社内制度が確率されている

■就活上のメリット

  • OBが多い
  • 合同説明会などの機会が多い

大企業は業界での売上が多いことから、従業員を増やすことができ、大企業として経営を続けられています。そのため経営が安定し、待遇がよいことが大企業に就職する大きなメリットです。

また大企業は積極的に採用活動を行っているので、就活上で接点を持ちやすいのもメリットでしょう。企業を知る機会が比較的たくさん用意されています。

デメリット

一方で、大企業にもデメリットがあります。

■就職後のデメリット

  • 意思決定が遅い
  • 出世が遅い・限界がある
  • 裁量が少ない
  • 転勤のリスクがある
  • 若手のうちはできる仕事が限られる
  • 部署が違う社員とは距離がある

■就活上のデメリット

  • 競争率が高い
  • 内定が出るまでに時間がかかる

大企業は決まりが厳しく社内政治も大変なので、息苦しく感じる人もいます。裁量の少なさや出世の限界もデメリットですし、大企業は海外を含めた突然の転勤のリスクもあります。

就活では「売り手市場」をいいますが、実際のところ大企業は買い手市場です。就活生が集中するため競争率が高く、内定を取るのは決して簡単ではありません。

中小企業の場合

中小企業の多くは知名度があまりありませんが、中には隠れた優良企業も多数存在します。優良中小企業は競争率が下がり、就活ではおすすめです。

また、若いうちから戦力として働きたい人、業務を横断的に経験して幅広くスキルを身につけたい人は中小企業が向いています。中小企業のメリット・デメリットも把握しておきましょう。

メリット

中小企業への就職後のメリット・就活をする上でのメリットとして以下が挙げられます。

■就職後のメリット

  • 裁量があり、さまざまな仕事を任せてもらえる
  • 社員どうしの距離が近い
  • 出世が早い
  • 成果が目に見えやすい
  • 異動が少ない
  • 意思決定が速い

■就活上のメリット

  • 競争率が低い
  • 内定が出るのが早い

出世が早く、大きな裁量を任せてもらえるのは中小企業最大のメリットです。経営者と直接話す機会も中小企業勤めなら得やすいので、早くから経営的な観点を身に着けることもできます。

また、志望する就活生が少ないので大企業よりも内定が出やすく、選考自体もスピーディーに行われることが多い傾向にあります。

デメリット

そして、中小企業にもデメリットがあります。

■就職後のデメリット

  • 給料が低いことが多い
  • 福利厚生があまりない
  • 労働環境が悪くなりやすい
  • 経営が不安定
  • 上司に左右されやすい
  • 裁量がある分責任も重い

■就活上のデメリット

  • OBが少ない
  • 情報が少ない

中小企業は大企業に比べて体力がなく、不況の煽りを受けやすいため経営が不安定です。また、少ない人数で事業を回すので労働環境が悪くなりやすいことが懸念点として挙げられます。

就活でも、そもそも企業の存在を知る機会があまり設けられていません。そして気になった企業があっても、インターネット上に情報がなくOBもいないことがよくあるため、企業研究を進めにくいのも事実です。

自分に合うかで企業を決めよう

上記で述べたように、大企業と中小企業には違いがあります。規模の差だけでなく、働き方の明確な違いまで理解できましたか。

「安定した環境の中、きっちりと教育を受けていきたい」「給料や待遇を重視する」「裁量はいらないので指示を待ちたい」という人は大企業に向いているでしょう。

一方、「若いうちからどんどん成長していきたい」「多少整っていない部分があっても融通が利く方がよい」「自分で考えて仕事を進めたい」と思う人は、中小企業でこそ力を発揮できると言えます。

大企業・中小企業のどちらに就職する方がいいのか、一概には言えません。自分の適性や働き方の希望に沿って、自分に合った企業規模を選ぶようにしてください。

まとめ

今回は大企業と中小企業を比較し、両者の違いについて解説しました。

大企業と中小企業にはそれぞれメリット・デメリットがあり、どちらが向いているのかは自分の希望する働き方次第です。安定を求めるなら大企業、成長を求めるなら中小企業が向いているでしょう。

どちらを選ぶにせよ、自分の適性を正しく判断することが大切です。自己分析ツールや適性診断なども活用しながら、自分の向き・不向きについて考えてみることをおすすめします。

目次