近年は働き方が多様化し、正社員以外の雇用形態で働く方も増えています。今回はそんな新しい働き方の中から委託社員についてフォーカスしていきます。どのような働き方なのか、また比較されることの多い契約社員や派遣社員との違いは何かまで徹底解説します。
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この記事の監修者
キャリアカウンセラー|秋田 拓也
厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。
■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
委託社員とは
「委託社員」とは企業から特定の業務において業務委託を受け、企業と業務委託契約という契約を結んで働く社員のことです。
業務委託とは企業などの組織が内部ではできない作業を、外部の別の企業や個人に依頼することです。
委託社員は事前に企業との間で業務内容や納期、金額について取り決めをし、それに沿って自らの責任において業務を行います。
契約社員と派遣社員
正社員以外の雇用形態として、委託社員以外にも「契約社員」や「派遣社員」があります。
いずれも求人票などで目にしたことが一度はあるかと思いますが、それぞれは一体どのような違いがあるのでしょうか。
3つは混同しやすい働き方ですが、契約期間などに差がありますので、求人に応募する際は。本項を参考にするなどして注意するようにしてください。
契約社員とは
契約社員は企業と直接雇用契約を結び、業務を行います。業務内容も基本的には正社員と同じです。
しかし、正社員が雇用期間を定めない契約であることに対し、契約社員は一定の期間を終えると雇用関係が終了するという点で正社員と異なります。
契約社員の雇用期間は一定の場合を除いて3年を超えてはならないというルールが存在しますが、契約の更新を行えば、それ以上の期間働くことも可能です。
また、同じ企業で5年以上業務に従事した場合、契約社員は企業に対して契約期間を定めない雇用形態に切り替えるよう求めることができるようになります。
派遣社員とは
派遣社員は派遣会社から派遣されて、別の企業内で働く社員のことを指します。
仕事内容は派遣先の会社によって異なりますが、その企業の正社員と同じ業務、もしくは補佐的な業務であることが多いです。
派遣社員は派遣会社と雇用契約を結びますので、給与の支払いや労務管理は派遣会社に準じますが、実際に業務に関する指示を行うのは派遣先です。
ただし、業務の範囲はあらかじめ派遣会社と派遣先企業との間で終結した契約に基づいて行うので、そこから外れる業務を任されることはありません。
また、雇用期間は契約時に定められた期間までです。更新することも可能ではありますが、同一業務に3年以上従事させる場合、派遣先の企業は直接雇用に切り替える必要があります。
業務委託社員と契約社員と派遣社員の違い
ここまでご説明した委託社員、契約社員、派遣社員の違いをまとめると、以下の表のようになります。
求人に応募する際の参考として使用していただける他、ご自身に合った働き方を考える材料としてもお使いいただけます。
委託社員のメリット・デメリット
続いては委託社員のメリット・デメリットについて解説していきます。
委託社員のメリット
- 専門的な業務を請けることができる
- 働く場所や時間の制約を受けにくい
- 人間関係によるストレスが少ない
委託社員として業務委託を受ける場合、その企業ではできない専門性の高い依頼が持ち込まれるケースが多いので、自身の特技を生かした業務を行うことができ、かつ高収入を得られる可能性もあります。
また、委託社員は契約内容にもよりますが、正社員などのように毎日決まった時間に出社をする必要がない場合が多いので、家庭を優先させたいなど、自分の都合に合わせて業務を行うことができます。
さらに、どこかの企業に属している労働者というわけではないので、上下関係や部署内の人間関係に悩まされる必要がないことも委託社員のメリットといえます。
委託社員のデメリット
- 安定した仕事が得られるわけではない
- 確定申告や保険の支払いなどを自分で行う必要がある
- 労働基準法が適用されない
委託社員のメリットは、比較的自由な働き方ができるという点ですが、逆にこの自由さがデメリットであるともいえます。
委託社員はその業務ごとに企業と契約を結ぶ雇用形態ですので、定期的に仕事が得られるというわけではありません。つまり、安定的に仕事をして一定の収入を得るには、自分自身で仕事を営業活動を行い、自分を売り込む必要があるということです。
また、正社員であれば確定申告や各種保険料の支払いは企業が行ってくれますが、委託社員の場合は自分で手続きをする必要があります。
加えて、委託社員は労働基準法が適用されません。詳しくは次項以降に譲りますが、委託社員は自分を守る知識を身につけておかなければ、トラブルに巻き込まれてしまう可能性もあります。
委託社員の権利とは
本項目では委託社員の権利について解説していきます。
委託社員は正社員や契約社員、派遣社員とは行使できる権利が違う上、保護してくれる法律も、場合によっては他の雇用形態とは異なります。
委託社員は全てのことを自分自身で行う必要がある働き方ですので、委託社員として働くことを希望している方はしっかり把握しておくようにしてください。
委託社員は基本的に「労働者」ではない
契約社員や派遣社員は労働者ですが、委託社員は労働者ではなく、「事業主」として扱われます。
「労働者」とは企業などの組織から指示命令を受けて働く者と定められています。
その視点で考えると、委託社員は特定の企業に管理下にあるわけではなく、あくまでも業務委託を受けて、指示命令をされずに働いていると判断されるため、労働者であると言えないのです。
そのため、一定のケースに当てはまる場合以外は労働法規の保護を受けることができません。
委託社員の社会保険制度
まず、社会保険とは年金保険、雇用保険、医療保険、労災保険、介護保険を指します。
委託社員は会社に直接雇用されているわけではないので、契約社員や派遣社員など、企業に直接雇用されている方と加入できる保険の種類が違います。
また、保険加入の手続きは全て自分で行わなければなりません。
委託社員としての働き方を選択する方は、加入義務のある年金保険、医療保険、さらに40歳以上の方の場合は介護保険への加入を忘れずに行う必要があります。
委託社員の労働基準法制度
先にも述べましたが、委託社員は労働者ではありません。よって、労働基準法の制約を受けることもありません。
法定労働時間や有給休暇、産休などが適用されないというデメリットもありますが、働いた時間によって報酬が決まるわけではないので、短い労働時間で高収入を得ることも可能になります。
「労働者」に含まれる委託社員もいる
委託社員は「労働者」ではないと先に述べましたが、特定の状況下においては「労働者」として認められ、労働法規の保護を受けられる場合があります。
厚生労働省が公開している「労働者について」の資料によると、「労働者」とは労働基準法と労働組合法でそれぞれ以下のように定義されています。
労働基準法(第9条):
職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者
労働組合法(第3条)
職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者
企業と業務委託契約を結んでいても、上記の定義に適合する実態があれば労働者と判断されることがあります。
その判断は「仕事の依頼、業務従事の指示等に対する諾否の自由の有無」や「業務組織への組み入れ」、また「専属性の程度」などの視点に基づいて総合的に決定されます。
参考:厚生労働省ホームページ「さまざまな雇用形態」
業務委託契約の契約形態
これまでに「企業と業務委託契約を交わして業務を行うのが委託社員である」と説明しましましたが、実は「業務委託契約」そのものは民法などの法律に規定されている契約ではありません。
業務委託契約は多くの場合、「委任契約」と「請負契約」を総称する呼び名として使用されています。
本項ではその委任契約と請負契約について詳しくご説明していきます。
委任契約とは
(準)委任契約とは「行為の遂行」を目的とした契約のことで、成果物や業務の質に関して責任を持たない契約のことを言います。
例えば企業研修など外部に依頼する場合は委任契約を結ぶことになります。
社員研修は「研修を行う」という行為の遂行が目的ですので、仮にその研修が社員のスキルに何の影響も及ぼさなかったとしても契約は履行されたことになります。
(準)委任契約は成果や質を問わない契約ですが、通常期待される注意をもって契約を履行する「善管注意義務」という義務を負います。
請負契約とは
業務の遂行そのものが目的である(準)委任契約に対して、成果物や業務の成功によって報酬が発生する契約を請負契約と呼びます。
つまり、業務を行ったにもかかわらず、成果または成果物が得られなかった場合、報酬は発生しない契約です。
例えば、デザイナーにポスターの作成依頼をし、請負契約を結んだとします。この場合、ポスターという納品物(成果)がなければ契約が履行されたことにならず、報酬は発生しないということになります。
業務委託締結の際の注意点
続いては業務委託契約(委任契約もしくは請負契約)を企業と交わす際の注意点についてご説明していきます。
十分な知識を持たない状態で不用意に契約を交わしてしまうと、思わぬトラブルに巻き込まれるリスクがあります。
委託社員として働くことを検討している方は、契約の際に以下の2点に気を付けるようにしてください。
偽装請負に注意
偽装請負とは、「労働者」として業務に従事する者に業務委託契約を結ばせることです。
先に述べたように、業務委託契約を結んだ者は「事業主」として扱われるため、労働基準法などの各種法規の制約を受けません。
そのため、労働者に本来与えるべき権利を与えず、企業に有利な条件でに働かせるために業務委託契約を結ばせる悪質な企業も存在します。
偽装請負の疑いがある場合は、専門機関や弁護士に相談することをお勧めします。
契約書の確認
企業から業務委託を受けた際は、契約書をしっかりと確認しましょう。
例えば、(準)委任契約と請負契約が混同されていないかなどを確認することで、トラブルに巻き込まれるリスクを抑えることができます。
とはいえ、ご自身だけで判断することが難しいケースもあるかと思います。そういった場合は弁護士などに契約書を確認してもらうのも有効な手段のひとつと言えるでしょう。
委託社員から正社員になる方法
現在、委託社員として就労している方が正社員になろうと思った場合、どのようなことをすれば良いのでしょうか。
委託社員の方が、業務委託を受けている企業の正社員に登用されるケースは稀です。
しかし、その企業になくてはならない存在だと思わせることができれば、登用される可能性もあります。
まとめ
正社員と比べて自由な働き方ができる委託社員ですが、労働基準法の適用がなかったり、安定して仕事が請けられるわけではなかったりと、デメリットも少なからずあります。多様な働き方ができる現代だからこそ、事前にしっかりと調べてトラブルに巻き込まれないように注意しましょう。