「上代」「下代」という言葉はほとんどの人が聞いたことがないかもしれません。しかし、就職後には当たり前のように仕事の中で出てくることもあります。今回は「上代」「下代」の意味や使い方について解説します。一般教養として知っておいても損はないので、ぜひ本文を参考にしてください。
弊社bizualでは、就活で業界選び、面接対策、ES対策などにお悩みの方向けに無料サポートを実施しております。
無料登録後、下記就活サポートが完全無料で受けられるようになっているため、就活生の方はぜひご活用ください。
bizualのサポートに無料登録しておくと・・・
- 就活生専門のコミュニティに無料参加できる!
- 面談後参加できるコミュニティで近年の就活業界の傾向などの情報を受け取れる!
- ES免除・1次面接無しの選考ルートも選べる!
- 選考対策(ES添削・模擬面接)を無料サポート!
- 面接官からの合否フィードバックを共有!
この記事の監修者
キャリアカウンセラー|秋田 拓也
厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。
■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
上代・下代とは
「上代」「下代」は特にアパレル業界でよく使われる言葉です。この2つの言葉は商品を仕入れる時に使うので、アパレルに限らず流通業界や小売業界でも耳にすることがあります。
つまり、メーカーや商社を含む多くの業界が流通・小売に関わっているので、業界問わずに知っておいた方がよい用語だと言えます。
上代とは
では、「上代」とは何を指すのでしょうか。
以下では読み方と意味、英語表現を紹介します。「上代」だけではわかりにくいかもしれませんが、英語表現を知るとニュアンスを掴みやすくなるでしょう。
上代の読み方
「上代」は「じょうだい」と読みます。
ビジネスだけでなく古典でも「上代」が出てきますが、これも同じく「じょうだい」と読んでください。
上代の意味
上代は、「店舗で商品を販売する時の価格」を意味します。以下の4つは「上代」を同じ意味で使われる言葉です。
- 定価
- オープン価格
- 希望小売価格
- グロス価格
余談ですが、古典の「上代」は奈良時代以前を指し、古事記や万葉集などが執筆された時代に使われたいた日本語を「上代日本語」と言います。
上代の英語表現
「上代」は以下のように英語で表現します。
- retail price
- recommended retail price
- suggested retail price
- listing price
- list price
「retail」は「小売」という意味の英単語です。つまり、上代は「小売が消費者に売る時の価格」という意味だと理解できます。
定価は小売業者次第なので、「recommended」や「suggested」など、「(おろし業者側が)提案する」というニュアンスの英単語を伴うこともあります。
下代とは
一方、「下代」はどういう意味なのでしょうか。
以下では「下代」の読み方と意味、英語表現を紹介します。「上代」とセットで覚えておいてください。
下代の読み方
「下代」は「げだい」と読みます。
初見だとなかなか「げだい」と読むことはできないものです。教養として読み方を覚えておきましょう。
下代の意味
「下代」は「仕入れ価格」を意味します。以下は下代と同じ意味の用語です。
- 仕切り価格
- ネット価格
小売業者がおろし問屋から商品を仕入れる時の価格が「下代」です。上代と下代の差額分が、小売業者の利益となります。
下代の英語表現
「下代」は以下のように英語で表現します。
- wholesale price
- WSP
- purchasing price
- purchase price
「WSP」は「wholesale price」の略で、実際によく使われています。「wholesale」は「おろし」「おろし売り」を意味します。
「purchasing price」「purchase price」は小売側の視点で考えるとわかりやすいでしょう。「(おろし業者から)購入した時の値段」という意味です。
上代・下代の使用例
上代・下代は実際にはどのような文脈で使われるのでしょうか。以下では上代・下代がよく使われる場面での例文を紹介します。
上代の使用例
上代は以下のように使用します。
【例文】
- 税抜き上代価格はいくらに設定しますか
- この商品の上代はいくらですか
上代に消費税を含むかどうかは、場面や人次第です。そのため、「税抜き上代価格」「税込み上代価格」と確認するようにしてください。
また、定価を知りたい時に「上代はいくら」と聞くこともできます。流通や小売関連の仕事をしている人は、個人的な買い物でも定価を聞く時には「上代」を使ってしまうことが多いそうです。
下代の使用例
下代は以下のように使用します。
【例文】
- 下代が低いのに、高い上代で売れた
- この価格で販売するなんて、一体下代はいくらなんだ
- 下代が上がったせいで、店頭価格も値上げせざるをえない
下代は仕入れ価格、おろし価格のことです。前述しましたが、下代が低く、上代が高いほど小売業者の利益は大きくなります。
一般消費者は下代を気にすることはあまりありません。下代は仕事の会話でしか使われることがない言葉だと言えます。
その他の専門用語
上代・下代とともに、以下の4つの用語も知っておきましょう。 中代 原価 粗利 消費税 原価率 計算式
- 掛け率
- 掛け
- 元払い
- 発注単位
- 原価
- 粗利
- 原価率
- 消費税
それぞれの意味と使用例を紹介します。小売や流通業界に従事する予定はなくても、知っておいて損はない言葉です。
掛け率とは仕入れ価格の割合
掛け率(かけりつ)とは、上代に対する下代の割合のことを指します。つまり、仕入れ価格は定価の何%か、ということです。
【例】
- アパレル業界の掛け率は50%が相場だ
- 掛け率いくらで仕入れましたか
【計算例】
- 上代(定価)× 掛け率=下代(仕入れ価格)
- 下代 ÷ 上代=掛け率
上代が10,000円・下代が5,000円の場合、
- 5,000(下代)÷ 10,000(上代)=0.5
上記の計算式から掛け率は50%となります。
掛けとは掛け率の省略
「掛け(かけ)」には2つ意味があります。1つは、掛け率のことです。「掛け率50%」のことを「5掛け」と言います。
また、「掛け買い」「掛け売り」の略として「掛け」を使うこともあります。「掛け売り」「掛け買い」とは後で請求書を発行し、まとめて料金を清算する売買の方法です。
【例】
- おろし問屋から6掛けで仕入れることができた
- 掛けで買いたいので、会社宛に請求書を送ってください
おろし問屋から6掛けで仕入れるということは、上代(定価)の60%が下代(仕入れ価格)であることを意味します。つまり、40%が利益です。2つ目の例文は「掛け買い」を略した言い方です。
「掛け」と言ってもかけ算をするわけではないので、注意しましょう。
元払いとは発送元が送料を負担すること
元払い(もとばらい)は、荷物の発送を運送会社に依頼する時「発送元が運送業者に運送料金を支払う」方法のことです。反対の意味として、「着払い」があります。着払いは荷物の受け取り手が支払う方法のことです。
【例】
- この荷物、元払いで明日中に届けていただけますか
- 支払い方法は元払い・着払いのどちらにいたしますか
荷物を送るためにコンビニなどを訪れたことがある人は、支払い方法を「元払い」「着払い」のどちらにするか聞かれた記憶があるはずです。日常生活でも使う機会がある用語なので、押さえておきましょう。
発注単位は商品注文の最小単位
発注単位(はっちゅうたんい)はロットとも呼ばれ、商品を買うことができる単位のことです。メーカーや工場に発注する時によく使われる言葉で、「最小ロット50」は発注単位が50ということです。
つまり、50の単位でしか発注することができません。200個・300個の発注は可能でも280個の発注は不可能ということです。
【例】
- 発注単位が200からとのことですが、120でご対応いただけないでしょうか
- 発注単位が大きいので、バラ売りしてくれる販売会社さんを教えていただけますか
発注単位が設けられているのは、メーカー側の利益確保のためです。大きなロットにすることで生産時の効率面と利益を保証することができます。
原価とは仕入れ価格
原価(げんか)とは、その品物を仕入れた値段のことです。仕入れ価格とも言います。
【例】
- この商品は原価が高かったから、あまり安い値では店頭に出せないよ
- 設けを多くしようとすると、どうしても原価を下げることしか思いつかない
品物を製造する側にとっての「原価」とは、その品物を作るために必要なすべての費用が、1製品あたりいくらになるか、と計算して出た金額を指します。
粗利とは売上高から売上原価を引いた利益
粗利(あらり)とは、売上高からその品物にかかった金額を引いたおおよその利益のことです。
【例】
- この商品は人気ではあるけれど、粗利の時点でもうマイナスぎりぎりだ
- 粗利で良いから、だいたいどれくらいの利益になりそうか計算してみてくれ
粗利を求めるために必要な「売上原価」とは、その品物の仕入れにかかった費用、または製造にかかった費用のことです。売上利益から、この売上原価を差し引くことで粗利を求めます。
また、粗利には必要経費が含まれません。そのため、実際の利益は粗利よりも低くなります。
原価率とは販売価格の内原価が占める割合
原価率(げんかりつ)とは、その商品の販売価格の内、原価が占める割合のことです。
- この商品は原価が30円で、販売価格が120円です、そのため原価率は25%となります。
- 原価率は低い方が良いに決まっているが、粗悪品を仕入れないように注意しよう
原価率は「原価÷販売価格」で求めることができます。上記の例文で言えば「30円(原価)÷120円(販売価格)=0.25(25%)です。
まとめ
今回は上代・下代について解説しました。
普段耳慣れない言葉ですが、どんな業界に入っても「上代」「下代」を仕事で使う可能性はゼロではありません。実務で混乱しないためにも、この機会に「上代」「下代」の意味を正しく理解しておきましょう。
小売や流通にまつわる専門用語は、「掛け」や「発注単位」など「上代」「下代」意外にもたくさん存在します。1つずつ丁寧に意味を覚え、正しい言葉を使いこなせるようになっておくことをおすすめします。