「やる気が出ない」「報酬ばかり考える」「人の目が気になる」と考えたことはないでしょうか。アンダーマイニング効果を受けているかもしれません。モチベーションを維持するには、エンハンシング効果も学んでみてください。就活生の内発的動機づけのため、本記事ではアンダーマイニング効果をご説明します。
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この記事の監修者
キャリアカウンセラー|秋田 拓也
厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。
■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
アンダーマイニング効果の意味
アンダーマイニング効果とは、自ら望んで行った行為に対して報酬などが与えられ、自主性が低下する現象です。アンダーマイニング現象とも言います。
人は本来、自主性を用いて自己決定を行います。自己決定による行動に外部から報酬などが与えられることで、報酬が無ければ行動できなくなる意欲の低下を意味します。
アンダーマイニング効果が起こる原因
アンダーマイニング効果が起こる原因は何でしょうか。誰もが自発的に行動をし、意欲に満ち溢れるときがあります。外部からの要因により、意欲が低下するとすれば、原因を突き止める必要があります。
以下には、一般的にアンダーマイニング効果を引き起こす原因を3つご紹介します。
原因①|罰や締め切りを設定される
最も一般的な原因は、罰や締め切りを設定されることでやる気が低下するものです。多くの人は学生時代の宿題が嫌いです。宿題は、教師が生徒に対して締め切りを設定して与えます。
締め切りが設定されることで、学習意欲がある生徒も意欲が失われるのです。社会人でもノルマや収入が下がるなどの設定があると、やる気が低下する人がいます。
罰や締め切りはストレスを与えます。ストレスにより、個人が本来持ち合わせている「自主性」を低下させる原因になる場合があるのです。やる気を上げるには、ゆとりが必要な場合もあります。
原因②|監視されている
監視されていることでも、やる気が低下する場合があります。監視を受ける年齢にもよりますが、一般的に大人になるほど監視されることを嫌います。
幼い子どもであれば、監視は「見守り」になる場合もあります。大人は自我を持っているため、監視がストレスになるのです。アンダーマイニング効果には、ストレスから引き起こされるものが多いです。
自主的に行う行動に対し、監視をつけられるだけでもやる気が低下します。例え報酬が用意されている場合でも、監視されることで得られる報酬に魅力を感じなくなるのです。
原因③|評価を下される
評価を下される場合も、監視と同様に自主性が低下します。評価とは、報酬などを与えるために下されるものです。評価の先に報酬がある場合、報酬を目的に努力を始める人はいます。
しかし、報酬が無くなった場合に、同じ行動を自主的にする人は少ないのです。学校のテストが嫌いな人が多いのは、自主的に行う勉強に評価を下されるからです。
学習意欲を持っている学生でも、評価を下され続けると自主的に勉強を行わなくなるのです。学校生活を思い起こすと、実証済みと言えるでしょう。社会人も同様に、上司からの評価を意識するのです。
アンダーマイニング効果が及ばす影響
アンダーマイニング効果には、悪影響がある場合が存在します。社会で生きていく上で、体験として理解できるものもあるでしょう。就職活動中も、当てはまる影響が多いです。
以下には、影響を3つご紹介します。理解しやすいように例を含めて解説しますので、イメージを膨らませながらお読みください。
影響①|報酬が無ければ行動しない
もともと自発的に行っていた行動が、報酬だけを目的に行動するようになる現象です。例えば、綺麗好きな人が、毎日あなたの部屋の掃除をしてくれているとします。
毎日掃除をしてくれるので、あなたは1日1000円支払うことにしました。毎日報酬を与え、ある時あなたが貧窮したとします。支払いを辞めた場合、相手は掃除をしてくれなくなるのです。
最初は綺麗好きだから掃除をしていたにも関わらず、報酬を与えることで報酬が目的になったのです。報酬が無くなれば、自主性が無くなり掃除をしなくなることがあるのです。
影響②|監視されるから嫌になる
常に誰かに監視されると、自主性は低下します。あなたが趣味で、パズルをしていると考えてみてください。単なる趣味ですので、仕事が終わったら暇つぶし程度にパズルを組み立てていきます。
それを見ていた同居人が、これからパズルをしている姿を横で見ているようになります。さらに、あなたがパズルをしない日があると、早くパズルをするようせがむのです。
あなたは趣味で行っていたパズルでも、誰かに監視されるようになると行動を起こしたくなくなります。外部からの刺激により、嫌に感じるようになるのです。
影響③|評価を意識して行動が鈍くなる
あなたは学生時代、テストの前日に掃除をしたくなった経験はないでしょうか。テストは評価を下される代表的なものです。高得点をとるために努力していた人も、前日になると評価を意識します。
社会人でも、歩合制の営業マンがやる気を失う現象が、評価に対するものです。最初は報酬のために努力していた人も、周りからの評価で行動できなくなります。
最初は趣味で始めたことが、試験やノルマを与えられることで嫌になる場合は多いです。評価が低いなら、さらにやる気は低下します。本来の自主性が失われてしまうのです。
アンダーマイニング効果を防ぐ方法3選
アンダーマイニング効果を防ぐ方法はあるのでしょうか。外部の要因により、本人のやる気を低下させてしまう可能性を無くしましょう。具体的な方法を以下でご説明します。
アンダーマイニング効果は、心理的なものです。しかし、行動を変化させることで、防ぐ方法はあるのです。ご参考にされてください。
方法①|目で見える報酬は用意しない
主に金銭など、目で見える報酬を用意しないことは重要です。例え社会人でも、ボーナスなどを出すとアンダーマイニング効果が表れます。金銭でなくとも、プレゼントなども同様です。
あなたは誕生日に祝ってもらえる場合、プレゼントを期待するでしょう。誕生日には誰かからプレゼントを貰えると、脳が意識しているのです。子供時代に、親からもらった報酬なのです。
誕生日に言葉だけで祝われても、嬉しくないと感じる人すらいます。誕生日は行動を引き起こすものではありませんが、意識では誰もが経験していることでしょう。
方法②|細かすぎる計画(ノルマ)は作らない
ダイエットを行った経験があるでしょうか。ダイエット目標は、年単位で計画するのが良いです。1日ごとの体重記録などは、ノルマとなります。
ビジネスにはノルマが必要な場合が多いです。しかし、ダイエットと同様に長期的な視点で計画することをおすすめします。細かすぎる計画は、ダイエットに失敗する人と同様の失敗を引き起こします。
1日のノルマではなく、1カ月のノルマにしてみましょう。ゆとりをもった計画は、アンダーマイニング効果を引き起こしにくくなります。逆に、細かすぎるとやる気が低下してしまうのです。
方法③|監視ではなく見守る
他人のやる気を伸ばしたい場合は監視を辞めましょう。監視とは、相手の行動を限定する行動です。見守ることをおすすめします。「見守る」とは、あなたからの口出しはほとんど行いません。
相手が質問してきた場合のみ、あなたは発言します。見ていないときがあっても良いのです。相手が助言を求める場合、あなたの発言はアドバイスになります。
助言を求めていないにも関わらず、口出しする場合はストレスを与えます。就職活動では、監視されていると感じることが多いです。モチベーションを維持する方法は、後にご紹介します。
アンダーマイニング効果とエンハンシング効果の違い
アンダーマイニング効果は、やる気を低下させる現象です。逆に、エンハンシング効果とは、やる気を向上させる現象です。物質的な報酬は必要なく、言葉による称賛を与えます。
報酬を必要としないため、誰にでも実践可能です。部下などの他人のやる気を伸ばすには、まず褒めてみることから始めると良いでしょう。
自分のモチベーションを保つ方法
就職活動中は、毎日ストレスに追われています。内定が取れるか不安であり、常に企業から評価されているでしょう。アンダーマイニング効果により、あなたのやる気は低下している可能性があります。
自分のモチベーションを保つ方法を知っておき、自ら試してみることをおすすめします。心のコントロールが何より大切です。
方法①|報酬ではなく「やりがい」を意識する
報酬を目的にすると、やる気が低下する可能性があります。あなたは幼少のころ、憧れた職業はあったでしょうか。幼少時代に憧れた職業は、単に「かっこいい」などの理由だったでしょう。
大人になるにつれ、給料や待遇を考えるようになります。報酬が手に入らなければ仕事をしない、と考える人も少なくありません。就職活動で給料を意識するのは当然です。
ですが、あなたにとってのやりがいを意識してみてください。報酬以上のやりがいは、あなたの自主性を伸ばします。企業は自主性を受け取り、採用を決定することも多いです。
方法②|自分の能力を高めることを考える
料理人を目指す人は、下積みがあります。美容師なども同様でしょう。下積み時代には、報酬を期待できません。しかし、実に多くの人が料理人や美容師を目指します。
そして、後に大成する人も珍しくないのです。報酬を当てにすることなく、自らの能力を伸ばそうと努力した結果と言えます。就職活動でも、あなたの能力を伸ばす環境を検討してみてください。
就職し、どんなことで能力を伸ばしたいか。後に何を行いたいかなどを考えるのです。「将来の夢」とも言える内容を、今一度考えなおすことでモチベーションが維持できるでしょう。
方法③|得意分野に特化した職場を探す
就活生は企業からの評価を受けています。評価を受け続けることで、やる気が低下する可能性があるのです。あなたの得意分野の特化した職場を探すと、他の人より能力が高い場合があります。
悪い評価ではなく、良い評価を貰える可能性が高まるのです。良い評価は、あなたのやる気を維持する種になります。ストレスを払しょくするには、誰よりも得意な分野で勝負してみてください。
己惚れることなく、さらにあなたの得意を伸ばす意識が持てれば良いでしょう。好きなことを仕事にする意識で、毎日継続できる業種を探すのも良い方法です。
まとめ
アンダーマイニング効果は、報酬を期待することでやる気が低下する現象です。就職活動では、常にストレスを抱えています。やる気を維持する方法を知り、効率よく活動を行いましょう。
自身のやる気を維持する方法や、エンハンシング効果を理解してみてください。必ず困難を乗り越えられます。